256 / 357
第十四章:彼らにとっては最後の青い春
16(2)
「翼、俺達もいこう」
「お、おう、まって飲み物だけ飲ませて」
妙な危機感を覚えて沙良は翼を連れて波折のもとに向かう。わらわらと人があつまるそこになんとか入り込んでいって、ぐっと首を伸ばすと……いた。メイド服を着た波折。まわりの女装メイドをみるとあえてカツラはかぶらないスタイルなのか、地毛にそのままブリムをのせている。そして、露出の少なめのメイド服。スカートはひざ上10センチほど。
「……可愛い」
「……っ、沙良!? あっ」
思わず素直な感想を沙良がつぶやけば、波折が沙良の存在に気付いたらしい。ばっと沙良と翼のいるほうに顔を向けたが……すぐにまた違う方をむいてしまった。ひどい、と思ったが、どうやら波折はそれどころではないようで。周囲の男子生徒から「おさわり」されまくっているのだ。
「冬廣、おもったよりおまえ可愛いな!?」
「ちょっ、触りすぎだから! んっ」
「反応も可愛い……」
後ろから胸を揉んでみたり、スカートの中に手をいれてお尻を撫でてみたり。さすがに女子はそこまでやる勇気はないらしいが、いつもとは違う波折の姿に顔を赤らめてみている。
「~~っ」
もともと感じやすい波折は、そんなふうにもみくちゃにされて大分参っているらしい。声が出るのを必死に堪えて、ぷるぷると震えている。正直エロいその姿に沙良が呆然と動けないでいれば、波折がなんとか自分におさわりをしまくってくる男子たちを振りきって、沙良のもとに飛び込んでくる。
「た、……たすけろよ!」
「あっ……すみません、うっかり」
「確信犯だろ、この……!」
そうとう余裕がないらしい。波折がぜーぜーと言いながらいつもの人前の優雅さはどこかに置いてきて沙良を見上げている。沙良はそんな波折をみていて、どうにもふつふつと嗜虐心が湧いてきてしまって困った。すっごいエッチなことしたいと思いつつ、さすがにこんなに人の目があるところではやれない。うーん、と悩んだ結果、ちょっとした意地悪を思いつく。
「……先輩、先輩はメイドだから俺にちゃんと敬語使わないと」
「うっ……」
「せーんぱい」
いいぞいいぞ、と周りの生徒がわくわくとした眼差しを向けてくる。どうやらみんな考えることは一緒らしい。あの王子様の人に下る姿をちょっとみてみたい、なんて思っているのだ。
波折は悔しそうに沙良を睨み上げて、そしてばふ、と沙良の胸に顔をうずめて呟く。
「助けてください……沙良様」
「……!!」
――やばい、勃つ!
自分で言えと言っておいて、その破壊力に沙良はたじろいでしまった。周りでピロンピロンとカメラのシャッター音が鳴り響いているのがまた、思考を邪魔する。
沙良が固まっていると、後ろから誰かがぽんと肩を叩いてきた。振り向けば、メイドさん。彼女はにっこりと笑って、言う。
「冬廣くん、そろそろ休憩させてあげたいから連れてって大丈夫だよ。助けてあげてね、沙良様」
「……は、はい」
一番の目玉とはいえ、さすがにここまでへとへとの波折をこれ以上酷使はできないのだろう。波折に気を使ったらしい彼女がそんなことを言ってきた。沙良はお言葉に甘えて、食事のお金を払うと波折と翼を連れて教室を出て行った。
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー