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第一章:憧れの生徒会長様
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昼休みになって、皆が昼食をとろうと友達同士で集まり始める。結月に加えて他のいつも一緒に食べている友達も今日は用事があるということで、沙良はどうしようかな、と考えた。適当に近くにいる人に声をかけようか……と思いながらまずは食べるものを買うために購買へ向かう。
購買でパンを三つほど買って、沙良は教室へ戻ろうとした。しかし、途中で目に入った階段の前でふと足を止める。その階段の先は、立入禁止の屋上。立入禁止、とはいっても思い思いの学園生活らしさを求めて屋上へいく人は何人もいる。行った人の話によれば、眺めが最高らしい。この学校は無駄に5階建てというなかなかの高さをもっているため、見晴らしもいいのだろう。
「……」
沙良は、あたりをきょろきょろと見渡した。こちらを見ている人は、いない。よし、いってみよう。好奇心がふつふつとわいてくる。駆け足で階段をのぼり、少しいけないことをしているというドキドキ感を噛み締めて、一番上まで辿り着く。重そうな鉄の扉がみえるといよいよ高揚感はマックスに到達する。
「……うわ、」
ぎ、と全身をつかって扉をあけて。そうすれば真っ青な空が広がっていて、風が吹き込んできた。さっと髪が風になぶられて、爽やかな空気が肺に入り込む。
(やばい、屋上すごい)
最高の気分だ。沙良は踊りだしたくなるような気分の高鳴りを覚えた。下の景色をみてみたい――そう思って柵に近づこうとしたところで……
「げっ」
沙良は顔をひきつらせる。
――波折が、いたのだった。
(で、でたー……まだ心の準備できてねーんだけど)
予想外の登場に、沙良は動揺してしまった。どう波折に接すればいいのか、まだ沙良のなかで決めかねていたというのに、突然現れてしまっては参ってしまう。このまま見なかったことにして、屋上を立ち去ろうと思えば……運悪く、目が合ってしまった。
「あ、ど、どうも……」
「……神藤君」
目があって無視するというのも、後々めんどくさいことになる。ここは「一緒にいいですか」といくのが一番自然なパターンだ。おそらく波折もその考えは同じようで、沙良が近づいていってもいつものような嫌な顔はしない。
「えっと……波折先輩はいつもここで食べているんですか」
「うん、一人でいたいから」
ひやひやとしながら、沙良は波折の隣に座り込む。一人でいたいから教室を抜けだしてわざわざ屋上にきているとは……いよいよ「人付き合いが苦手」説は濃厚だ。そう思ってしまえば彼の今までの態度も可愛く思えてくるもので、いらだちも徐々に薄れてゆく。
「波折先輩はおべんとう派なんですね。俺つくるの面倒くさいからいつもパン買ってます」
「栄養偏るよ」
「惣菜パンと菓子パンバランス良く買っているので大丈夫です!」
「……意外と神藤くん、馬鹿だね」
「え、なんでですか」
(お、話せている話せている!)
波折の表情を伺いながら、沙良は波折に話かけてみる。一応、普通に会話を交わすことはできそうだ。……とはいっても、波折は上辺の顔はだいぶいい。先日魔女に襲われて助けてもらった時も、一緒に登校しているときは饒舌だった。たぶん、今、波折のなかで沙良は「自分の領域にはいってこなそうな人」なのだろう。だからちゃんと会話をしてくれるし、警戒もされていない。
しかし、沙良の目的は波折と話すことではなくて、仲良くなることだ。上辺の会話を続けていても意味がない。
「あ、そうだ、波折先輩」
「ん?」
「……あの、手首の怪我」
「えっ」
「いや、痛そうだったので、絆創膏……いります?」
何を話そうかな、と考えたところで、沙良は波折が手首に怪我をしていたことを思い出す。ごそごそとポケットから絆創膏をとりだして波折に渡せば、波折は戸惑ったような表情をしてそれを受け取った。
「……あ、ありがとう」
「……!」
受け取る瞬間、波折は少しだけ嬉しそうな顔をした。上っ面の笑顔とは違う、自分のなかだけでこっそり笑うようなほほ笑みを見せたのだ。
(えっ……)
思わず、沙良はどきっとしてしまう。心配しているんだ、ということがちゃんと伝わったらしい。新鮮な波折の表情に、なぜだか沙良はたまらなく嬉しくなってしまう。
「……?」
……しかし。その、少しだけみせた笑顔はすぐに引っ込められてしまった。波折ははあ、と溜息をついてすぐに沙良から目を逸らしてしまう。絆創膏の封を切って痣に貼っている様子はどこか憂いげだった。
「えーっと……波折先輩って、なんでこの学校にはいったんですか?」
「……? 裁判官になりたいから?」
「あ、そうじゃなくて……なんで裁判官になりたいって思っているのかなーって」
少し穏やかになったと思った雰囲気も、気のせいだったのか。間が持たなくなって、沙良は話題を切り替える。前々から気になっていたことだ。生徒会長になる人が、一体どういう想いで裁判官を目指しているのか、ということ。
「なんで裁判官になりたいのか……うん、……なんでかな。裁判官になりたいから裁判官になりたいんだ」
「ん? どういうことです?」
「別に理由はないっていうか……裁判官になれればいいっていうか」
「……な、なんじゃそりゃ! 給料高いからとかいう理由もなくて?」
「べつに……給料も興味ないし。ほんとなれればいい」
「親になれっていわれているとか?」
「別に言われていないかな……っていうかむしろ裁判官になりたいのかもよくわからない」
「な、なに……」
沙良は唖然とした。そして瞬間的に頭に浮かんだのが、
「だ、だったら生徒会長の座俺にくださいよ!」
ということだった。
というのも、このジャッジメントスクールで生徒会に入っていると、学校の推薦を受けることができるため、裁判官になれる可能性がぐっとあがる。その中でも生徒会長になると扱いは特別だ。だから、そんなに裁判官にないたいというわけでもない波折が生徒会長になっているということが、沙良はどうしても納得できなかった。自分には明確な、裁判官になりたい理由があるのに。
「え……? 生徒会長になりたいなら試験でトップとればいいんじゃない?」
「そ、そりゃあそうですけど! なんか俺みたいに必死に裁判官目指しているやつがバカみたいじゃないですか!」
波折の言い分はもっともである。生徒会にはいる条件は、学内で行われる「魔術試験」で成績上位を収めること。裁判官になるにあたって最も重要な魔術の技能でトップにはいれば、推薦を受けることのできる生徒会に入れるのである。そのため、試験の成績で負けた沙良に文句を言う資格はないのだが……いわゆる、やつあたりである。だいぶ子供じみたことを言ってしまっているのは、沙良も自覚していた。しかし、求めていない人が手に入れて、求めている自分が必死になっても手に入れられなかったという事実をどうしても受け入れられなかったのである。かっこ悪いとわかっているのに、ふつふつと湧いてくる悔しさを抑えることが、沙良にはできなかった。
「お、俺は……魔女に親を殺されて、何が何でも魔女をこの世から消してやろうって、強く思って……! それでこの学校にきて、死に物狂いで勉強して、……それなのに波折先輩は俺の欲しかった生徒会長って座を軽くとっちゃって」
「……別に……不正をしたわけでもないのに責められても」
「まだ波折先輩が本気で裁判官を目指しているなら、俺だって仕方ないって思えたかもしれないのに……波折先輩には失望した、憧れていたのに、すごい人だなって思っていたのに、そんな何も考えていない人だったなんて」
「……勝手に失望されても」
自分でも何言っているんだ、と思った。波折を責めてどうするんだ、なんてわかっているのに、口が止まらない。沙良のなかのプライドがそれほどに傷ついてしまったのだ。だから、波折の表情が陰り始めたことにも、気付かなかった。
「もっと……本気で裁判官目指せよ! 全生徒の上にたつ立場なら! みんなに失礼だろ!」
「……あのさ、いい加減にしてくれる」
とん、と波折がペットボトルを地面に置く音で、沙良は我に返る。ハッ、と気がついたときには、波折は鬱陶しそうに表情を歪め、沙良を睨んでいた。今までの「嫌そうな」顔とはもはや別物の、「はっきりと嫌悪をあらわにした」表情である。
「俺が何を考えていようが俺の勝手だろ。おまえに口出しされる筋合いないんだけど」
「えっ」
「俺にあれこれ言ってくるなよ、鬱陶しい。おまえには関係ない」
今まできいたことのない、波折のきつい口調に沙良はぎょっとしてしまった。
「おまえの事情なんて毛ほども興味ないし、自分の意見を俺に押し付けるな。おまえと意見のぶつけあいとかする気、微塵もないから」
「……、あ、えっと……すみません、言い過ぎまし」
「生徒会長になりたい? じゃあなればいいだろ。なれるもんならな。俺を試験の成績で抜いてみろ、凡人」
「……なんだって?」
波折がキレるのは、仕方ない。冷静になってみれば自分は彼に身勝手なことを一方的に言っていた。……が、最後の言葉には沙良もカチンときてしまった。
……凡人? 凡人っつったか、今こいつ。
「……なに、あんたは、自分以外の人をそうやって凡人って見下しているわけ? 天才様」
「間違ったことを言ったつもりないけど。おまえたちは、どこにでもいる、普通の人。俺とは違う」
「随分と……高飛車な野郎だなあんたは! 自分を特別だとでも思ってんのかよ、少し魔術の成績がいいくらいで! そんなんだから友達もつくれなんだろ!」
「友達? そんなものハナから作る気ない。俺はおまえたちとは違う、仲良くしたところで何一つ、いいことなんてない」
「ムッカツク! 何様だおまえ! マジ見損なった、一瞬でも尊敬していた自分が馬鹿みたいだ、頭は良くても人としてサイテーだよあんたは! あんたは人の上にたつ資格なんてない、みてろ、絶対に次は俺が生徒会長になるからな!」
沙良は立ち上がり、じろりと波折を見下ろした。波折はそんな視線を振り払うようにしっしっ、と手を振る。うざい、あっちいけ、ということだろう。沙良は壮大に舌打ちをしながら沙良に背を向け、屋上を出て行った。どうやってあの生徒会長を蹴落としてやろう、そう考えながら。
購買でパンを三つほど買って、沙良は教室へ戻ろうとした。しかし、途中で目に入った階段の前でふと足を止める。その階段の先は、立入禁止の屋上。立入禁止、とはいっても思い思いの学園生活らしさを求めて屋上へいく人は何人もいる。行った人の話によれば、眺めが最高らしい。この学校は無駄に5階建てというなかなかの高さをもっているため、見晴らしもいいのだろう。
「……」
沙良は、あたりをきょろきょろと見渡した。こちらを見ている人は、いない。よし、いってみよう。好奇心がふつふつとわいてくる。駆け足で階段をのぼり、少しいけないことをしているというドキドキ感を噛み締めて、一番上まで辿り着く。重そうな鉄の扉がみえるといよいよ高揚感はマックスに到達する。
「……うわ、」
ぎ、と全身をつかって扉をあけて。そうすれば真っ青な空が広がっていて、風が吹き込んできた。さっと髪が風になぶられて、爽やかな空気が肺に入り込む。
(やばい、屋上すごい)
最高の気分だ。沙良は踊りだしたくなるような気分の高鳴りを覚えた。下の景色をみてみたい――そう思って柵に近づこうとしたところで……
「げっ」
沙良は顔をひきつらせる。
――波折が、いたのだった。
(で、でたー……まだ心の準備できてねーんだけど)
予想外の登場に、沙良は動揺してしまった。どう波折に接すればいいのか、まだ沙良のなかで決めかねていたというのに、突然現れてしまっては参ってしまう。このまま見なかったことにして、屋上を立ち去ろうと思えば……運悪く、目が合ってしまった。
「あ、ど、どうも……」
「……神藤君」
目があって無視するというのも、後々めんどくさいことになる。ここは「一緒にいいですか」といくのが一番自然なパターンだ。おそらく波折もその考えは同じようで、沙良が近づいていってもいつものような嫌な顔はしない。
「えっと……波折先輩はいつもここで食べているんですか」
「うん、一人でいたいから」
ひやひやとしながら、沙良は波折の隣に座り込む。一人でいたいから教室を抜けだしてわざわざ屋上にきているとは……いよいよ「人付き合いが苦手」説は濃厚だ。そう思ってしまえば彼の今までの態度も可愛く思えてくるもので、いらだちも徐々に薄れてゆく。
「波折先輩はおべんとう派なんですね。俺つくるの面倒くさいからいつもパン買ってます」
「栄養偏るよ」
「惣菜パンと菓子パンバランス良く買っているので大丈夫です!」
「……意外と神藤くん、馬鹿だね」
「え、なんでですか」
(お、話せている話せている!)
波折の表情を伺いながら、沙良は波折に話かけてみる。一応、普通に会話を交わすことはできそうだ。……とはいっても、波折は上辺の顔はだいぶいい。先日魔女に襲われて助けてもらった時も、一緒に登校しているときは饒舌だった。たぶん、今、波折のなかで沙良は「自分の領域にはいってこなそうな人」なのだろう。だからちゃんと会話をしてくれるし、警戒もされていない。
しかし、沙良の目的は波折と話すことではなくて、仲良くなることだ。上辺の会話を続けていても意味がない。
「あ、そうだ、波折先輩」
「ん?」
「……あの、手首の怪我」
「えっ」
「いや、痛そうだったので、絆創膏……いります?」
何を話そうかな、と考えたところで、沙良は波折が手首に怪我をしていたことを思い出す。ごそごそとポケットから絆創膏をとりだして波折に渡せば、波折は戸惑ったような表情をしてそれを受け取った。
「……あ、ありがとう」
「……!」
受け取る瞬間、波折は少しだけ嬉しそうな顔をした。上っ面の笑顔とは違う、自分のなかだけでこっそり笑うようなほほ笑みを見せたのだ。
(えっ……)
思わず、沙良はどきっとしてしまう。心配しているんだ、ということがちゃんと伝わったらしい。新鮮な波折の表情に、なぜだか沙良はたまらなく嬉しくなってしまう。
「……?」
……しかし。その、少しだけみせた笑顔はすぐに引っ込められてしまった。波折ははあ、と溜息をついてすぐに沙良から目を逸らしてしまう。絆創膏の封を切って痣に貼っている様子はどこか憂いげだった。
「えーっと……波折先輩って、なんでこの学校にはいったんですか?」
「……? 裁判官になりたいから?」
「あ、そうじゃなくて……なんで裁判官になりたいって思っているのかなーって」
少し穏やかになったと思った雰囲気も、気のせいだったのか。間が持たなくなって、沙良は話題を切り替える。前々から気になっていたことだ。生徒会長になる人が、一体どういう想いで裁判官を目指しているのか、ということ。
「なんで裁判官になりたいのか……うん、……なんでかな。裁判官になりたいから裁判官になりたいんだ」
「ん? どういうことです?」
「別に理由はないっていうか……裁判官になれればいいっていうか」
「……な、なんじゃそりゃ! 給料高いからとかいう理由もなくて?」
「べつに……給料も興味ないし。ほんとなれればいい」
「親になれっていわれているとか?」
「別に言われていないかな……っていうかむしろ裁判官になりたいのかもよくわからない」
「な、なに……」
沙良は唖然とした。そして瞬間的に頭に浮かんだのが、
「だ、だったら生徒会長の座俺にくださいよ!」
ということだった。
というのも、このジャッジメントスクールで生徒会に入っていると、学校の推薦を受けることができるため、裁判官になれる可能性がぐっとあがる。その中でも生徒会長になると扱いは特別だ。だから、そんなに裁判官にないたいというわけでもない波折が生徒会長になっているということが、沙良はどうしても納得できなかった。自分には明確な、裁判官になりたい理由があるのに。
「え……? 生徒会長になりたいなら試験でトップとればいいんじゃない?」
「そ、そりゃあそうですけど! なんか俺みたいに必死に裁判官目指しているやつがバカみたいじゃないですか!」
波折の言い分はもっともである。生徒会にはいる条件は、学内で行われる「魔術試験」で成績上位を収めること。裁判官になるにあたって最も重要な魔術の技能でトップにはいれば、推薦を受けることのできる生徒会に入れるのである。そのため、試験の成績で負けた沙良に文句を言う資格はないのだが……いわゆる、やつあたりである。だいぶ子供じみたことを言ってしまっているのは、沙良も自覚していた。しかし、求めていない人が手に入れて、求めている自分が必死になっても手に入れられなかったという事実をどうしても受け入れられなかったのである。かっこ悪いとわかっているのに、ふつふつと湧いてくる悔しさを抑えることが、沙良にはできなかった。
「お、俺は……魔女に親を殺されて、何が何でも魔女をこの世から消してやろうって、強く思って……! それでこの学校にきて、死に物狂いで勉強して、……それなのに波折先輩は俺の欲しかった生徒会長って座を軽くとっちゃって」
「……別に……不正をしたわけでもないのに責められても」
「まだ波折先輩が本気で裁判官を目指しているなら、俺だって仕方ないって思えたかもしれないのに……波折先輩には失望した、憧れていたのに、すごい人だなって思っていたのに、そんな何も考えていない人だったなんて」
「……勝手に失望されても」
自分でも何言っているんだ、と思った。波折を責めてどうするんだ、なんてわかっているのに、口が止まらない。沙良のなかのプライドがそれほどに傷ついてしまったのだ。だから、波折の表情が陰り始めたことにも、気付かなかった。
「もっと……本気で裁判官目指せよ! 全生徒の上にたつ立場なら! みんなに失礼だろ!」
「……あのさ、いい加減にしてくれる」
とん、と波折がペットボトルを地面に置く音で、沙良は我に返る。ハッ、と気がついたときには、波折は鬱陶しそうに表情を歪め、沙良を睨んでいた。今までの「嫌そうな」顔とはもはや別物の、「はっきりと嫌悪をあらわにした」表情である。
「俺が何を考えていようが俺の勝手だろ。おまえに口出しされる筋合いないんだけど」
「えっ」
「俺にあれこれ言ってくるなよ、鬱陶しい。おまえには関係ない」
今まできいたことのない、波折のきつい口調に沙良はぎょっとしてしまった。
「おまえの事情なんて毛ほども興味ないし、自分の意見を俺に押し付けるな。おまえと意見のぶつけあいとかする気、微塵もないから」
「……、あ、えっと……すみません、言い過ぎまし」
「生徒会長になりたい? じゃあなればいいだろ。なれるもんならな。俺を試験の成績で抜いてみろ、凡人」
「……なんだって?」
波折がキレるのは、仕方ない。冷静になってみれば自分は彼に身勝手なことを一方的に言っていた。……が、最後の言葉には沙良もカチンときてしまった。
……凡人? 凡人っつったか、今こいつ。
「……なに、あんたは、自分以外の人をそうやって凡人って見下しているわけ? 天才様」
「間違ったことを言ったつもりないけど。おまえたちは、どこにでもいる、普通の人。俺とは違う」
「随分と……高飛車な野郎だなあんたは! 自分を特別だとでも思ってんのかよ、少し魔術の成績がいいくらいで! そんなんだから友達もつくれなんだろ!」
「友達? そんなものハナから作る気ない。俺はおまえたちとは違う、仲良くしたところで何一つ、いいことなんてない」
「ムッカツク! 何様だおまえ! マジ見損なった、一瞬でも尊敬していた自分が馬鹿みたいだ、頭は良くても人としてサイテーだよあんたは! あんたは人の上にたつ資格なんてない、みてろ、絶対に次は俺が生徒会長になるからな!」
沙良は立ち上がり、じろりと波折を見下ろした。波折はそんな視線を振り払うようにしっしっ、と手を振る。うざい、あっちいけ、ということだろう。沙良は壮大に舌打ちをしながら沙良に背を向け、屋上を出て行った。どうやってあの生徒会長を蹴落としてやろう、そう考えながら。
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