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第四章:フォール・イン・ラブ
6
生徒会活動が終わって帰りの支度をする。沙良は波折に一緒に帰ろうと誘ってみようとしたが、思いとどまった。焦るな。もっと自然な流れで誘えるときに誘えばいい。とくに会話もなく支度をしている今誘うのは、少し不自然だ。
帰り道は同じ方向なんだし、当たり前のように一緒に帰る仲になりたいな。そんなことを考えてため息を吐きながら、沙良はメール等のチェックをするためにポケットに入っていたスマートフォンを取り出す。その拍子に、ポケットに入っていた何かが転がり落ちてしまったようだ。下からコツン、と音がする。
「沙良、落としたよ」
波折のほうへそれは転がっていった。波折はそれを拾って、渡してくれる。
「あ、波折先輩ありがとうござ……」
波折の手のひらにのっているものをみて、思わず沙良は言葉を呑み込んだ。それは、チョコレート。昼間に授業で同じ班だった女子にもらった、10円で売っているチョコレートだ。もらったまま、ポケットの中に入れっぱなしにしていた。
はっ、と「あのとき」の光景が頭に浮かぶ。波折がチョコレートを食べて発情し……そしてこの生徒会室でいやらしいことをしてしまった、あのときの光景。少しずつ仲良くなろう、なんて純情めいたことを考えていたものだから忘れそうになっていたが、波折とは一度、友達を超えたことをしてしまっている。
この清廉とした雰囲気の美貌の生徒会長は、ほんとうは。
「あ、あのっ、あ、ありがとうございます! ま、また明日……!」
ぶわ、と汗が噴き出してきて、沙良はひったくるようにして波折の手からチョコレートを奪うと、逃げるよう生徒会室を出て行った。
頭のなかに沸々と浮かび上がってくる、蕩けきった波折の表情。あれは、絶景だ。あれ以上に劣情を煽るものがこの世に存在するのかと思うほどに。
またあの顔をみたい……そんな邪な想いを沙良は必死に振り切る。ゆっくり仲を深めていくって決めたんだ。寂しそうなあの人を、笑わせてあげたいって思ったんだ。だから、こんな穢い想いは捨てなくちゃ……!
「……、」
沙良が走って出て行った生徒会室の出口を、波折はじっと見つめる。そして物憂げに視線を鞄に落とし、ため息をつく。
そのとき、制服のポケットからスマートフォンのヴァイブレーションが聞こえてきて、波折はびくりと肩を震わせた。恐る恐るスマートフォンを手にとり、画面に表示された名前をみて、きゅ、と唇を噛む。画面をタップし、スマートフォンを耳に当てる。
「……はい」
『昼間に送ったメッセージはみた?』
「……みました」
『そう。じゃあ、はやくこっちにきて。俺待っているから』
「……はい」
電話を切ると、波折は鞄の上に頭を伏せて、拳を握りしめる。そして、はあ、と大きく息を吐いた。
「……沙良、」
帰り道は同じ方向なんだし、当たり前のように一緒に帰る仲になりたいな。そんなことを考えてため息を吐きながら、沙良はメール等のチェックをするためにポケットに入っていたスマートフォンを取り出す。その拍子に、ポケットに入っていた何かが転がり落ちてしまったようだ。下からコツン、と音がする。
「沙良、落としたよ」
波折のほうへそれは転がっていった。波折はそれを拾って、渡してくれる。
「あ、波折先輩ありがとうござ……」
波折の手のひらにのっているものをみて、思わず沙良は言葉を呑み込んだ。それは、チョコレート。昼間に授業で同じ班だった女子にもらった、10円で売っているチョコレートだ。もらったまま、ポケットの中に入れっぱなしにしていた。
はっ、と「あのとき」の光景が頭に浮かぶ。波折がチョコレートを食べて発情し……そしてこの生徒会室でいやらしいことをしてしまった、あのときの光景。少しずつ仲良くなろう、なんて純情めいたことを考えていたものだから忘れそうになっていたが、波折とは一度、友達を超えたことをしてしまっている。
この清廉とした雰囲気の美貌の生徒会長は、ほんとうは。
「あ、あのっ、あ、ありがとうございます! ま、また明日……!」
ぶわ、と汗が噴き出してきて、沙良はひったくるようにして波折の手からチョコレートを奪うと、逃げるよう生徒会室を出て行った。
頭のなかに沸々と浮かび上がってくる、蕩けきった波折の表情。あれは、絶景だ。あれ以上に劣情を煽るものがこの世に存在するのかと思うほどに。
またあの顔をみたい……そんな邪な想いを沙良は必死に振り切る。ゆっくり仲を深めていくって決めたんだ。寂しそうなあの人を、笑わせてあげたいって思ったんだ。だから、こんな穢い想いは捨てなくちゃ……!
「……、」
沙良が走って出て行った生徒会室の出口を、波折はじっと見つめる。そして物憂げに視線を鞄に落とし、ため息をつく。
そのとき、制服のポケットからスマートフォンのヴァイブレーションが聞こえてきて、波折はびくりと肩を震わせた。恐る恐るスマートフォンを手にとり、画面に表示された名前をみて、きゅ、と唇を噛む。画面をタップし、スマートフォンを耳に当てる。
「……はい」
『昼間に送ったメッセージはみた?』
「……みました」
『そう。じゃあ、はやくこっちにきて。俺待っているから』
「……はい」
電話を切ると、波折は鞄の上に頭を伏せて、拳を握りしめる。そして、はあ、と大きく息を吐いた。
「……沙良、」
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