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第四章:フォール・イン・ラブ
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何者かの腕に引っ張られて、気付けば沙良は全くみたことのない部屋に閉じ込められていた。普通の、一般家庭の私室のような部屋。ベッドもあって机もあって、本棚もあって。どこにでもありそうな部屋なのに、部屋を出入りするための扉がない。……おそらく、魔術でつくられた異空間だ。
「んっ……んー……」
「……?」
誰かの声が聞こえる。それは、ベッドの上から。布団がこんもりと盛り上がっていて、それがもぞもぞと動いている。こういう状況で下手に動くのは危険なような気がしたが、何かアクションを起こさなければこの状況を打破できないような気がした。沙良は恐る恐る布団を掴み、一気にめくりあげる。
なかから出てきた人物をみて――沙良は驚きのあまり固まってしまった。
「な、波折先輩……!?」
布団のなかにいたのは、両手足を縛られ、口にタオルを噛まされて拘束されている波折だった。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
涙をぽろぽろと流し、顔を真っ赤にしている波折。どこか様子が変だ、と思って、沙良はあることに気づく。波折のまわりに、チョコレートの包み紙が散らばっている。そして……ぶーん、と無機質なモーター音。恐る恐る音をたどっていけば……波折の臀部のあたりで何かが、ぐりぐりと動いている。スラックスの中にそれはあるためよくわからないが……たぶん、
「やあ、神藤くん」
「……!?」
とりあえず波折を解放してあげようとしたところで、後ろから声をかけられた。今まで誰もいなかったはずなのに……と慌てて沙良が振り向けば、そこには不可思議な生物がいた。人の形をした影のようなもの。ちりちりのノイズがかかっていて、それはゆらゆらと動いている。魔術かなにかで作られた傀儡だろうか。
「……何が目的だ。おまえ、魔女だな」
「目的なんて、そんな難しいものじゃないさ。ただ俺を楽しませて欲しいだけ」
「……楽しませる?」
「この部屋を出る条件を教えてあげる。お察しのとおり、この部屋は俺の魔術でつくった異空間。一切の外側からの介入を許さない、完全に隔離された空間だ。つまり、俺の条件をちゃんと飲まないとこの部屋は出られない」
「……もったいぶってないで早く条件を教えろよ」
「そこの波折を正常な状態に戻してあげればいい」
「……正常って、」
「チョコレートを食べた波折は、何回かイケば正常な状態に戻るんだ。だから、君のやることは……わかったよね?」
「……」
チョコレートを食べてしまった波折。あの、生徒会室でみた彼と同じ状態だ。発情してしまって、身体も敏感になる。イカせてあげるには……
「……っていうか、なんでおまえが波折先輩がチョコレートを食べるとやばくなるって知ってんだよ、おまえ、誰だ!」
「じゃあ、またね」
「あ、おい!」
沙良の問には答えず、影は消えてしまう。
沙良は冷や汗を流しながら、波折を横目で見た。はあはあと息を荒げながら、身体のなかにあるソレの刺激に耐えている波折。かあっと身体が熱くなってくる。せっかく、波折とは少しずつ仲良くなって、彼の救いになりたいと決めたのに。その決心が揺らぐ。今の波折は、あまりにも淫靡だった。沙良にとって、過激すぎた。
「な、波折、先輩……」
「んー……んー……」
波折が涙目で沙良を見上げてくる。どき、と心臓が高なった。しかし、今は動揺している場合じゃない。とりあえず、彼を解放してあげなければ。沙良はまず、波折の口を塞ぐタオルを解いてやる。するり、波折の口から離れていったタオルには彼の唾液がついて、糸をひいていた。
「ふ、あぁっ……」
「先輩……大丈夫ですか……!」
「あぁっ……あぁん……さ、らぁ……あぁ……」
「せ、せんぱい……」
塞ぐものがなくなった瞬間、波折の口からはいやらしい声が溢れだす。あまりにも蠱惑的なそれに、ずく、と沙良の下半身が疼いてしまう。それでも沙良は歯をくいしばって、今すぐにでも波折を犯したいという欲望を押さえつけた。体のなかから湧いてくる熱のせいでくらくらとする視界の中、続いて手足を拘束する縄をほどいてやる。きつく結ばれたそれは解くのがなかなか大変で、解いている間にも波折がくねくねと体を動かすものだから理性を保つのが、大変だった。
「はぁっ……さら、……さらぁ……!」
「ちょっ、」
手足が自由になったとたん、波折がぎゅっと沙良に抱きついてきた。あまりの驚きに、沙良は固まってしまう。波折の抱きついてきた勢いのままベッドに倒れこんでしまった。
「んっ、んっ、さらっ、さらっ……」
「あのっ、波折、先輩、ちょっと……」
波折が顔をすりすりと沙良の首元にすりつけてくる。そして同時に、全身を触れ合わせるように体を揺すってくる。甘えるような、誘うような、そんな彼の仕草に沙良の理性は陥落寸前だった。
――だめだ、だめだだめだ、波折とは段階を踏んでいきたい。
しかし、既のところで、欲望に理性が勝利する。沙良は優しく波折を抱きしめ返してやって、とりあえずは自分の気持ちをおちつけてやる。
「波折先輩……」
波折の頭に顔を埋めると、ふわりといい匂いがした。どきどきする。胸が、満たされる。波折が身体を擦りつけてくるため、身体の密着度が半端じゃない。暖かくて、本当に胸がきゅうっと甘く締め付けられた。
「んっ……んー……」
「……?」
誰かの声が聞こえる。それは、ベッドの上から。布団がこんもりと盛り上がっていて、それがもぞもぞと動いている。こういう状況で下手に動くのは危険なような気がしたが、何かアクションを起こさなければこの状況を打破できないような気がした。沙良は恐る恐る布団を掴み、一気にめくりあげる。
なかから出てきた人物をみて――沙良は驚きのあまり固まってしまった。
「な、波折先輩……!?」
布団のなかにいたのは、両手足を縛られ、口にタオルを噛まされて拘束されている波折だった。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
涙をぽろぽろと流し、顔を真っ赤にしている波折。どこか様子が変だ、と思って、沙良はあることに気づく。波折のまわりに、チョコレートの包み紙が散らばっている。そして……ぶーん、と無機質なモーター音。恐る恐る音をたどっていけば……波折の臀部のあたりで何かが、ぐりぐりと動いている。スラックスの中にそれはあるためよくわからないが……たぶん、
「やあ、神藤くん」
「……!?」
とりあえず波折を解放してあげようとしたところで、後ろから声をかけられた。今まで誰もいなかったはずなのに……と慌てて沙良が振り向けば、そこには不可思議な生物がいた。人の形をした影のようなもの。ちりちりのノイズがかかっていて、それはゆらゆらと動いている。魔術かなにかで作られた傀儡だろうか。
「……何が目的だ。おまえ、魔女だな」
「目的なんて、そんな難しいものじゃないさ。ただ俺を楽しませて欲しいだけ」
「……楽しませる?」
「この部屋を出る条件を教えてあげる。お察しのとおり、この部屋は俺の魔術でつくった異空間。一切の外側からの介入を許さない、完全に隔離された空間だ。つまり、俺の条件をちゃんと飲まないとこの部屋は出られない」
「……もったいぶってないで早く条件を教えろよ」
「そこの波折を正常な状態に戻してあげればいい」
「……正常って、」
「チョコレートを食べた波折は、何回かイケば正常な状態に戻るんだ。だから、君のやることは……わかったよね?」
「……」
チョコレートを食べてしまった波折。あの、生徒会室でみた彼と同じ状態だ。発情してしまって、身体も敏感になる。イカせてあげるには……
「……っていうか、なんでおまえが波折先輩がチョコレートを食べるとやばくなるって知ってんだよ、おまえ、誰だ!」
「じゃあ、またね」
「あ、おい!」
沙良の問には答えず、影は消えてしまう。
沙良は冷や汗を流しながら、波折を横目で見た。はあはあと息を荒げながら、身体のなかにあるソレの刺激に耐えている波折。かあっと身体が熱くなってくる。せっかく、波折とは少しずつ仲良くなって、彼の救いになりたいと決めたのに。その決心が揺らぐ。今の波折は、あまりにも淫靡だった。沙良にとって、過激すぎた。
「な、波折、先輩……」
「んー……んー……」
波折が涙目で沙良を見上げてくる。どき、と心臓が高なった。しかし、今は動揺している場合じゃない。とりあえず、彼を解放してあげなければ。沙良はまず、波折の口を塞ぐタオルを解いてやる。するり、波折の口から離れていったタオルには彼の唾液がついて、糸をひいていた。
「ふ、あぁっ……」
「先輩……大丈夫ですか……!」
「あぁっ……あぁん……さ、らぁ……あぁ……」
「せ、せんぱい……」
塞ぐものがなくなった瞬間、波折の口からはいやらしい声が溢れだす。あまりにも蠱惑的なそれに、ずく、と沙良の下半身が疼いてしまう。それでも沙良は歯をくいしばって、今すぐにでも波折を犯したいという欲望を押さえつけた。体のなかから湧いてくる熱のせいでくらくらとする視界の中、続いて手足を拘束する縄をほどいてやる。きつく結ばれたそれは解くのがなかなか大変で、解いている間にも波折がくねくねと体を動かすものだから理性を保つのが、大変だった。
「はぁっ……さら、……さらぁ……!」
「ちょっ、」
手足が自由になったとたん、波折がぎゅっと沙良に抱きついてきた。あまりの驚きに、沙良は固まってしまう。波折の抱きついてきた勢いのままベッドに倒れこんでしまった。
「んっ、んっ、さらっ、さらっ……」
「あのっ、波折、先輩、ちょっと……」
波折が顔をすりすりと沙良の首元にすりつけてくる。そして同時に、全身を触れ合わせるように体を揺すってくる。甘えるような、誘うような、そんな彼の仕草に沙良の理性は陥落寸前だった。
――だめだ、だめだだめだ、波折とは段階を踏んでいきたい。
しかし、既のところで、欲望に理性が勝利する。沙良は優しく波折を抱きしめ返してやって、とりあえずは自分の気持ちをおちつけてやる。
「波折先輩……」
波折の頭に顔を埋めると、ふわりといい匂いがした。どきどきする。胸が、満たされる。波折が身体を擦りつけてくるため、身体の密着度が半端じゃない。暖かくて、本当に胸がきゅうっと甘く締め付けられた。
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