98 / 357
第十章:その弱さを知ったとき
3
「沙良、あんまり無理しなくていいからね」
「えー、大丈夫ですよ」
学園祭も近くなってきたということで、生徒会活動も忙しくなる。夜遅くまで残って作業するといことも少なくない。沙良の自宅で夕紀が一人で待っているということを知っている波折は、沙良を気遣っていた。とりあえず夕食の時間までに帰ればいいかな、と思っていた沙良は、もう少し残ることにしたのだが。
「高校の文化祭ってすごいんですね。前夜祭まであるんだ」
「――その前夜祭、おもろい噂あるぜ!」
沙良と波折が話していると、間に鑓水が割って入ってくる。きょとんとした沙良に、鑓水がにやにやとしながら囁きかけた。
「前夜祭でな、花火があがるんだ。その花火を好きな人と一緒にみると両思いになれるんだってさ」
「――波折先輩! 一緒に見ましょう!」
花火の話を聞いた瞬間、沙良は鑓水を押しのけて波折の手を掴みそう叫んだ。波折は突然誘われたからか驚いて固まってしまっている。弾き飛ばされた鑓水は沙良を押し返してまた自分も波折の肩を掴んだ。
「いや、俺と見ようぜ」
「先輩! 俺と!」
そんな三人の様子を遠巻きに月守は「修羅場……」と呆れ顔だ。当事者である波折もそんな二人と同じような表情を浮かべていた。沙良と鑓水の手を払うと、ため息をつきながら言う。
「……花火あげてるときは、俺達は裏で仕事しているだろ」
「あっ」
波折は「仕事しろ」とつぶやくと、沙良と鑓水から離れていって会計の二人のもとへいってしまった。取り残された二人は目を合わせて苦笑いしたのだった。
「えー、大丈夫ですよ」
学園祭も近くなってきたということで、生徒会活動も忙しくなる。夜遅くまで残って作業するといことも少なくない。沙良の自宅で夕紀が一人で待っているということを知っている波折は、沙良を気遣っていた。とりあえず夕食の時間までに帰ればいいかな、と思っていた沙良は、もう少し残ることにしたのだが。
「高校の文化祭ってすごいんですね。前夜祭まであるんだ」
「――その前夜祭、おもろい噂あるぜ!」
沙良と波折が話していると、間に鑓水が割って入ってくる。きょとんとした沙良に、鑓水がにやにやとしながら囁きかけた。
「前夜祭でな、花火があがるんだ。その花火を好きな人と一緒にみると両思いになれるんだってさ」
「――波折先輩! 一緒に見ましょう!」
花火の話を聞いた瞬間、沙良は鑓水を押しのけて波折の手を掴みそう叫んだ。波折は突然誘われたからか驚いて固まってしまっている。弾き飛ばされた鑓水は沙良を押し返してまた自分も波折の肩を掴んだ。
「いや、俺と見ようぜ」
「先輩! 俺と!」
そんな三人の様子を遠巻きに月守は「修羅場……」と呆れ顔だ。当事者である波折もそんな二人と同じような表情を浮かべていた。沙良と鑓水の手を払うと、ため息をつきながら言う。
「……花火あげてるときは、俺達は裏で仕事しているだろ」
「あっ」
波折は「仕事しろ」とつぶやくと、沙良と鑓水から離れていって会計の二人のもとへいってしまった。取り残された二人は目を合わせて苦笑いしたのだった。
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー