99 / 357
第十章:その弱さを知ったとき
4
「うわー、遅くなったな」
いつもよりも暗くなるまで仕事をして、ようやく今日の活動は解散となった。沙良は途中で帰宅してしまって、鑓水は波折と一緒に学校を出る。
「今日誰のうちいくか決めてねーや。波折ー、おまえんち行っていい?」
「……うん」
クラスの出し物の準備を終えた生徒がまばらに校舎を出てゆく。そんななか、二人で帰っているとやはり注目の的となってしまっていた。
家に行くと言ったときに波折が微かに頬を赤めたものだから、鑓水は手でも繋いでやろうかと思ったが、こうも注目されてはそれはできない。
そもそも波折が嬉しそうにしたのはセックスができるという期待からであって、そんな甘い行為は求められていないと知っていたため、鑓水もすぐに諦めがついたのだが。
「つーか、寒い」
「もう秋だし夜も遅いからね」
「マジで寒い!」
「ブレザー着てないからじゃないの」
「波折の貸して!」
「ふざけんな」
身を縮こめてかたかたと震える鑓水を波折は無視してスタスタと歩いている。ああ、凍えそうだ……と鑓水は波折に抱きついてやろうかと思ったが、やっぱり人目が気になる。
波折の言うとおり、そろそろ寒くなってくる季節だ。窮屈だからとブレザーを着ないでカーディガンだけでいるのは、さすがに寒い。これからブレザーなしで過ごすのは辛いかな、と思った鑓水は憂鬱げにぼそりと呟く。
「……波折、ちょっとうちに寄っていい? ブレザーとってくる」
「……慧太の家? ああ、いいけど」
波折は鑓水の表情に「あれ?」と眉をひそめた。家に帰るのにそこまで嫌そうな顔をするのか、と。そういえばほとんど家に帰らないと言っていたような気がするな……と思いつつ、言及する気にもならない。波折は黙って鑓水のあとに着いていった。
いつもよりも暗くなるまで仕事をして、ようやく今日の活動は解散となった。沙良は途中で帰宅してしまって、鑓水は波折と一緒に学校を出る。
「今日誰のうちいくか決めてねーや。波折ー、おまえんち行っていい?」
「……うん」
クラスの出し物の準備を終えた生徒がまばらに校舎を出てゆく。そんななか、二人で帰っているとやはり注目の的となってしまっていた。
家に行くと言ったときに波折が微かに頬を赤めたものだから、鑓水は手でも繋いでやろうかと思ったが、こうも注目されてはそれはできない。
そもそも波折が嬉しそうにしたのはセックスができるという期待からであって、そんな甘い行為は求められていないと知っていたため、鑓水もすぐに諦めがついたのだが。
「つーか、寒い」
「もう秋だし夜も遅いからね」
「マジで寒い!」
「ブレザー着てないからじゃないの」
「波折の貸して!」
「ふざけんな」
身を縮こめてかたかたと震える鑓水を波折は無視してスタスタと歩いている。ああ、凍えそうだ……と鑓水は波折に抱きついてやろうかと思ったが、やっぱり人目が気になる。
波折の言うとおり、そろそろ寒くなってくる季節だ。窮屈だからとブレザーを着ないでカーディガンだけでいるのは、さすがに寒い。これからブレザーなしで過ごすのは辛いかな、と思った鑓水は憂鬱げにぼそりと呟く。
「……波折、ちょっとうちに寄っていい? ブレザーとってくる」
「……慧太の家? ああ、いいけど」
波折は鑓水の表情に「あれ?」と眉をひそめた。家に帰るのにそこまで嫌そうな顔をするのか、と。そういえばほとんど家に帰らないと言っていたような気がするな……と思いつつ、言及する気にもならない。波折は黙って鑓水のあとに着いていった。
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー