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第十章:その弱さを知ったとき
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「ねえねえ神藤くん!」
「えっ?」
今日は図書室に寄らず、まっすぐに教室に向かう。教室に入った瞬間に女子たちがわっと自分のもとに集まってきて、沙良は驚いて固まってしまった。沙良はそれなりに女子と話すが、特別仲いいというわけでもない。こうして登校するなり突撃されると、びっくりしてしまうのだ。
「会長さんと副会長さんって付き合ってるの!?」
「へっ?」
「だから、波折様と鑓水先輩!」
「……いや、付き合ってはいないけど……」
彼女たちに問われて、沙良はう、と固まる。二人は付き合って「は」いない――セックスはめっちゃやってるらしいけどな! と考えたくもないことを考えてしまったからだ。
そもそもなんでこんなことを彼女たちはきいてくるのだろうと沙良が思ったときだ。一人の女子が沙良の前にスマートフォンを突き出してくる。
「これ! まわってきたの!」
「な、なんじゃこりゃ!」
スマートフォンにうつっていたのは、二人で並んで座っている写真。電車の中と思われるそこで、鑓水が波折の肩に頭を預けている。しかも、手を繋いでいる。
「男同士!?ってびっくりしたけど、この二人ならありかな[D:12316]って!」
「むしろ付き合ってて欲しいかも……! 目の保養……!」
「神藤くん本当になにも知らないの?」
鑓水がこんなに気を抜いている姿も、波折が正気のときにこんな風にされることを許しているというのも、沙良には衝撃的すぎた。そして、ショックをうけた。もしかしたら自分の知らないところで二人の関係が進展しているのかも、と考えると胸が苦しかった。
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