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第十章:その弱さを知ったとき
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生徒会活動が終わって、波折と鑓水は二人で校舎を出て行く。二人で並んでいると昨日以上に注目を浴びてしまっているが、気にしないことにした。
「そのうちみんなも飽きるよ。変に意識すれば余計に怪しまれる」
「まったくそのとおりだな」
波折もどうでもいいといったふうにしている。いつもと同じ距離を保って、普通に会話をして。そんなふうにして校門を出て行った。
「……?」
駅までしばらく歩くことになる。その間、鑓水は背後に視線のようなものを感じていた。時折振り向いてみても、怪しい人物はいない。精々同じ駅を使うJSの生徒たちが好奇の眼差しで見ているくらいで……このように悪意のある視線を向けてくる者はいなかった。波折は気づいていないから、きっと自分がストレスのせいで過敏になっているだけだ、と鑓水は無理やり心を落ち着ける。
ぞわぞわと心臓を撫で付けられるような。そんな気配に耐えて、ようやく駅に辿り着いた。電車に乗って、空いている席に座る。
変に気を張っていたせいか疲れてしまった。はあ、と溜息をつきながら鑓水が何気なく締まるドアをみたときだ。
「――ッ!?」
――いたのだ。先ほどから、自分たちについてきていた人物が。ホームに立って、窓を挟んでこちらをじっとみつめ――微笑んでいた。
「……慧太?」
突然身にまとう雰囲気が変わった鑓水を不審に思い、波折が声をかける。その瞬間、鑓水は波折の手をひいて席を立ち上がった。そして「彼」の死角まで早足で移動していく。
「け、慧太……なんだよ、いきなり」
「……こんどは、」
「え?」
波折を掴む鑓水の手が震える。息を荒げうつむく鑓水の顔を波折が覗きこめば――消え入りそうな声で彼は呟いた。
「……こんどは波折を奪う気かよ、兄貴」
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