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第十章:その弱さを知ったとき
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「……ん?」
日付が変わる頃だ。スマートフォンのヴァイブレーションの音に気付いて、波折は目を覚ます。丁度眠りに堕ちそうなときだったが、なんとか手を伸ばしてスマートフォンを手にとった。
「あ……」
電話の着信だ。発信元は「ご主人様」。無視をするわけにもいかず、自分の体を抱く鑓水の腕をそっとどかして、ベッドを抜け出す。
「……はい」
『もしもし、波折? 寝てた?』
「いえ……」
『あ、もしかして鑓水くんとエッチしてた?』
「今日はしてないです」
『ほうほう、今日は、ね。これから毎日鑓水くんが泊まりにくるんだって?』
「はい」
いったい何の用だろう。なんとなく不安に思いながら、波折は「ご主人様」の言葉を聞いていた。「ご主人様」は機嫌が良いようで、電話の向こうで笑っている。
『鑓水くんさ、気になって調べたんだけど……結構良物件だね~』
「……え?」
『面白そうだからちょっと虐めてみようかな、なんてさ』
「あ、あの……いじめるって、」
『それだけ! じゃあね、波折』
「は? えっ、ちょっと」
ブツン、と音がして電話は切れてしまう。「ご主人様」の企みに波折は呆然としながら、スピーカーから漏れてくる終話音を聞いていた。なんとなく鑓水の眠るベッドに戻るのが憂鬱に感じる。だから、しばらくその場に座り込み、膝を抱えてうずくまっていた。
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