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第十章:その弱さを知ったとき
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「……あっ」
チカ、と瞼の裏が明らんで波折は目を覚ます。昨夜気後れして鑓水の隣になかなか戻れず、やっとベッドに入ったのは1時ころ。寝る時間が遅くなったためか、いつもよりも起床時間が遅れてしまった。急いで朝食をつくらないと、そう思って波折が体を起こそうとしたとき。
「わ、」
ぐ、と後ろから手を引かれた。そして、また布団のなかに引きずり込まれる。
「け、慧太……ごはんつくらないと」
「いいよ、適当に飯買って行って学校で食う」
「えっ?」
「いいから」
鑓水はバサリと波折に布団をかけると、そのなかで後ろから抱きしめた。首筋にキスをされ、乳首を摘まれて、波折はぴくんと腰を跳ねさせ身を縮こませる。
「触らせて」
「んっ……あっ……けいた……」
鑓水は波折の肌の感触を楽しむように、あちこちを触ってきた。もだもだとしたそんな彼の愛撫が気持よくて、波折は目を閉じて彼に身を委ねる。
――「ご主人様」はいったい彼になにをするつもりだろう。そう思うと波折は頭が痛くなった。波折にとって、鑓水は大切な人のうちの一人だ。彼が傷つくところはあまりみたくない。鑓水がこうして優しくしてくれていると、切なくなる。「ご主人様」のことを黙っている時点で鑓水のことを裏切っているようなものだから。……でも、言えない。
「んっ……んーっ……、けいたっ……もう、やだ……」
「なんで?」
「身体、あつい……したくなる、から……もう、だめ……」
「……時間ないもんな。じゃあ、学校でしよ」
「……っ、う、」
鑓水が波折の頭を撫でる。そろそろと波折が振り向いて、目が合えば……彼は笑っていた。
「波折」
「……っ」
キスをされる。……ああ、まただ。また、頭がびりびりするキス。胸が苦しくなるキス。
最近の鑓水の態度の変化に、いやな予感を覚える。もしも彼が自分へ好意を抱いているのなら……彼から、離れなければいけないから。
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