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第十章:その弱さを知ったとき
29
「波折、おい。どうしたんだよ」
淺羽から逃げるように二年の階までのぼってきた波折を不思議に思って、鑓水は問う。まだ朝早いため生徒もまばらで、廊下には人が少ない。二人で歩いていても、特別注目を受けることはなかった。しかし、静かなこの空間には少々鑓水の声のトーンが大きいと、波折は鑓水をトイレまで引っ張ってゆく。
「慧太」
「……?」
個室に連れ込んで、波折は鑓水に詰め寄るように近づいた。鑓水は思わず身を引こうとしたが、いかんせん狭くてそれはかなわない。
「本当に、付き合ったりするつもりはないから」
「……知ってるよ」
「絶対に、俺を好きにならないで」
「……え」
泣きそうな波折の顔。今まで散々波折をいじめてきたというのに、鑓水はそんな波折の表情にぎょっとしてしまった。いったい波折が何を考えているのかわからない。それでも、彼が酷く悲しんでいるということはわかる。鑓水は波折の腰に手をまわし、そっと、抱き寄せる。
「……好き、じゃねえよ。好きじゃない。俺はおまえを、所有したいだけだから」
「……うん」
鑓水の首元に顔を埋めていた波折が、顔をあげる。目が合うと、波折の瞳が揺らいだ。
「……んっ」
どちらともなく、キスをする。その瞬間、波折の瞳から涙がこぼれ落ちた。
いくら早朝のトイレとはいっても、全く人が入ってこないとは限らない。必死に声をおさえながら、二人は身体を弄り合う。時間がないというのもあって、少し乱暴な愛撫となってしまったが……波折はいつもよりも感じていた。手で自らの口を塞ぎ、なんとか声を出さないようにと頑張っている。
「……っ、――っ、……ぁ……ん、」
波折に脚を開脚させ、臀部を掴むようにして身体を持ち上げる。そしてその状態で挿入すれば、波折はぎゅっとしがみついてきた。波折の体重全てを支えるのはなかなかに辛いが、彼が完全に自分に身を委ねるしかないというこの体位も、なかなかに興奮した。鑓水は思い切り身体を揺すり、波折を激しく揺さぶってやる。ずぶ、ずぶ、と奥にペニスがはいりこむたびに、波折はびくびくと小さく震えながらよがっていた。
「あっ……んっ、んーっ……~~ッ」
「波折……」
「けー、た……」
息のかかる距離で見つめ合う。そうすると、波折のなかがぎゅうぎゅうに締まった。鑓水が何度も優しく「波折」と名前を呼んでやれば、波折が感じすぎてたまらないといった風に身体をこわばらせる。
「やさしい、の……いや……ッ、あっ……あーっ、」
「激しくしてんじゃん」
「んーッ、~~ッ、あっ、んんーっ、ちがっ、もっと……俺のことっ……いつもみたいに、奴隷みたいに、……あっ……あッ、あっ、」
「うん」
ぼろぼろと波折は泣きながら、何度も何度もイッていた。波折は鑓水が甘ったるく「波折」と呼ぶたびに、全身に走るどろどろに甘い甘い痺れのようなものに、やられてしまっていた。鑓水が優しくキスをしてくるたびに、頭が真っ白になってしまっていた。
「やだっ……けいたっ、やだ、やだ、だめっ……へんっ、からだ、へんっ……」
「イきそう? いいよ、何回でもイッて。でももうちょっと声抑えろ」
「んんっ……んーっ……」
鑓水が唇を塞いでやると、波折の身体がビクッと強張る。一番の締め付けに思わず中で出しそうになって、鑓水は慌ててペニスを波折から引き抜いた。
「けい……た……」
ゆっくりと身体を降ろしてやると、とろとろの顔をした波折が、鑓水に抱きついてくる。波折ががくがくと脚を震わせて辛そうだったから、優しく腰をさすってやれば、身体を擦り付けてくる。
「波折……可愛い。波折……」
「……っ、だめっ……けいた……」
「波折……」
ちゅ、ちゅ、と鑓水が愛おしげに波折の顔全体にキスの雨を降らすと、波折は顔を蕩けさせたが……同時に、哀しそうに涙を流していた。
淺羽から逃げるように二年の階までのぼってきた波折を不思議に思って、鑓水は問う。まだ朝早いため生徒もまばらで、廊下には人が少ない。二人で歩いていても、特別注目を受けることはなかった。しかし、静かなこの空間には少々鑓水の声のトーンが大きいと、波折は鑓水をトイレまで引っ張ってゆく。
「慧太」
「……?」
個室に連れ込んで、波折は鑓水に詰め寄るように近づいた。鑓水は思わず身を引こうとしたが、いかんせん狭くてそれはかなわない。
「本当に、付き合ったりするつもりはないから」
「……知ってるよ」
「絶対に、俺を好きにならないで」
「……え」
泣きそうな波折の顔。今まで散々波折をいじめてきたというのに、鑓水はそんな波折の表情にぎょっとしてしまった。いったい波折が何を考えているのかわからない。それでも、彼が酷く悲しんでいるということはわかる。鑓水は波折の腰に手をまわし、そっと、抱き寄せる。
「……好き、じゃねえよ。好きじゃない。俺はおまえを、所有したいだけだから」
「……うん」
鑓水の首元に顔を埋めていた波折が、顔をあげる。目が合うと、波折の瞳が揺らいだ。
「……んっ」
どちらともなく、キスをする。その瞬間、波折の瞳から涙がこぼれ落ちた。
いくら早朝のトイレとはいっても、全く人が入ってこないとは限らない。必死に声をおさえながら、二人は身体を弄り合う。時間がないというのもあって、少し乱暴な愛撫となってしまったが……波折はいつもよりも感じていた。手で自らの口を塞ぎ、なんとか声を出さないようにと頑張っている。
「……っ、――っ、……ぁ……ん、」
波折に脚を開脚させ、臀部を掴むようにして身体を持ち上げる。そしてその状態で挿入すれば、波折はぎゅっとしがみついてきた。波折の体重全てを支えるのはなかなかに辛いが、彼が完全に自分に身を委ねるしかないというこの体位も、なかなかに興奮した。鑓水は思い切り身体を揺すり、波折を激しく揺さぶってやる。ずぶ、ずぶ、と奥にペニスがはいりこむたびに、波折はびくびくと小さく震えながらよがっていた。
「あっ……んっ、んーっ……~~ッ」
「波折……」
「けー、た……」
息のかかる距離で見つめ合う。そうすると、波折のなかがぎゅうぎゅうに締まった。鑓水が何度も優しく「波折」と名前を呼んでやれば、波折が感じすぎてたまらないといった風に身体をこわばらせる。
「やさしい、の……いや……ッ、あっ……あーっ、」
「激しくしてんじゃん」
「んーッ、~~ッ、あっ、んんーっ、ちがっ、もっと……俺のことっ……いつもみたいに、奴隷みたいに、……あっ……あッ、あっ、」
「うん」
ぼろぼろと波折は泣きながら、何度も何度もイッていた。波折は鑓水が甘ったるく「波折」と呼ぶたびに、全身に走るどろどろに甘い甘い痺れのようなものに、やられてしまっていた。鑓水が優しくキスをしてくるたびに、頭が真っ白になってしまっていた。
「やだっ……けいたっ、やだ、やだ、だめっ……へんっ、からだ、へんっ……」
「イきそう? いいよ、何回でもイッて。でももうちょっと声抑えろ」
「んんっ……んーっ……」
鑓水が唇を塞いでやると、波折の身体がビクッと強張る。一番の締め付けに思わず中で出しそうになって、鑓水は慌ててペニスを波折から引き抜いた。
「けい……た……」
ゆっくりと身体を降ろしてやると、とろとろの顔をした波折が、鑓水に抱きついてくる。波折ががくがくと脚を震わせて辛そうだったから、優しく腰をさすってやれば、身体を擦り付けてくる。
「波折……可愛い。波折……」
「……っ、だめっ……けいた……」
「波折……」
ちゅ、ちゅ、と鑓水が愛おしげに波折の顔全体にキスの雨を降らすと、波折は顔を蕩けさせたが……同時に、哀しそうに涙を流していた。
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