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第十二章:スイートアンドビター
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路地からでて再び人混みの中に戻る。先ほどとは全く変わりなく、またたくさんのカップルが歩いていた。しかし波折はあまり気にすることはなく、鑓水をみてにこにこと楽しそうに話している。鑓水に身体をオンナとして慰めてもらったことで満足したのかもしれない。
しかし、鑓水はわかっていた。波折がちょっぴり寂しそうにしていること。鑓水ははあ、とため息をつくと、ぱしりと波折の手を掴む。
「へっ? け、慧太!? 」
「手くらい繋いだって誰も気にしねーよ」
「だ、だめだって……絶対変に思われるから……」
くいくいと軽く引いて拒絶する波折の手を、鑓水は離さなかった。波折は拒絶の素振りをみせてはいるが、嫌がっているというわけではない。微かに頬を染めている。鑓水はじっと波折をみつめ、繋いだ手の指を絡ませた。
「別に……いいだろ、変に思われたって」
「えっ……でも、」
「……おまえの事情はよくわからないけどさ……俺は周りから変な目でみられても、おまえとこうしていることが幸せだから、それでいいんだ」
「し、幸せとか……大袈裟な」
「波折……好きだよ。俺、おまえが隣にいてくれればそれだけで幸せってくらい、おまえのことが好き。たとえ周りから何を言われても、俺はおまえさえいればそれでいい」
二人が立ち止まって話し込んでいるからだろうか、すれ違う人々が不思議そうにちらりと二人を見て通り過ぎてゆく。もちろん、繋がれている手もみられている。しかし、波折はその視線よりも鑓水の視線しか感じることができなかった。ぶわっと顔を赤くして、瞳を潤ませる。
「慧太……嬉しい。すごく、嬉しい……」
繋がれた波折の手に、微かに力がこもった。波折はつい、と鑓水の隣に寄ると、俯いて照れ臭そうに言う。
「……いこ。慧太」
……本当に嬉しそうな顔をしていた。真っ赤な頬、にやけを抑えている口元、揺れる瞳。ああやばい。今すぐ抱きしめてキスをしたい。でもさすがにそれはだめかな、と鑓水は衝動を抑える。
案外手を繋ぐくらいならば周りの人は気にしていないようで。立ち止まっていれば少しばかり注目が集まってしまったが、歩き出せば自分たちも人混みの一員だ。周りと溶け込んで、それほど視線も気にならなかった。
アーケード商店街には服屋や軽食が売っている店が多く並んでいる。二人は特に目的もなく服屋に入っては色々と商品を眺めていた。
「これ好きかも」
「俺こっちの色のほうが好き」
「えー?」
波折と鑓水は服の趣味があまり合わないようだった。お互いが選ぶものを良いとは思っても自分だったら着ないな、といった、微妙なズレ。でもそんなズレがまた楽しい。普段みないような服を見たり、彼はこういうのが好きなんだと知っていく、新鮮な感覚がわくわくした。
「慧太、こういうの似合うと思うよ」
「大人っぽすぎてなんか恥ずかしいな」
「そう? 慧太は背も高いし顔もかっこいいからなんでも似合うと思うけど」
波折が一枚の服を鑓水に合わせてみては、楽しそうに笑っている。波折は結構服をみるのが好きなようだ。楽しそうな波折をみて、鑓水も嬉しくなる。
「おまえそんなに服好きだったんだ? 知らなかった」
「うーん? 服は好きだけど……慧太といるからいつもよりも楽しくて。ごめん、飽きた?」
「……まさか」
鑓水は服はそれなりに着ればいいかな、といった考えのため、そこまで好きというわけではない。しかし、波折がくるくると無邪気に笑う姿をみているだけで幸せだった。店員さえいなければここでキスをしていたと思う。それくらいに愛おしくて、……ただ、波折が笑っているだけで愛おしさが加速して、苦しかった。
しかし、鑓水はわかっていた。波折がちょっぴり寂しそうにしていること。鑓水ははあ、とため息をつくと、ぱしりと波折の手を掴む。
「へっ? け、慧太!? 」
「手くらい繋いだって誰も気にしねーよ」
「だ、だめだって……絶対変に思われるから……」
くいくいと軽く引いて拒絶する波折の手を、鑓水は離さなかった。波折は拒絶の素振りをみせてはいるが、嫌がっているというわけではない。微かに頬を染めている。鑓水はじっと波折をみつめ、繋いだ手の指を絡ませた。
「別に……いいだろ、変に思われたって」
「えっ……でも、」
「……おまえの事情はよくわからないけどさ……俺は周りから変な目でみられても、おまえとこうしていることが幸せだから、それでいいんだ」
「し、幸せとか……大袈裟な」
「波折……好きだよ。俺、おまえが隣にいてくれればそれだけで幸せってくらい、おまえのことが好き。たとえ周りから何を言われても、俺はおまえさえいればそれでいい」
二人が立ち止まって話し込んでいるからだろうか、すれ違う人々が不思議そうにちらりと二人を見て通り過ぎてゆく。もちろん、繋がれている手もみられている。しかし、波折はその視線よりも鑓水の視線しか感じることができなかった。ぶわっと顔を赤くして、瞳を潤ませる。
「慧太……嬉しい。すごく、嬉しい……」
繋がれた波折の手に、微かに力がこもった。波折はつい、と鑓水の隣に寄ると、俯いて照れ臭そうに言う。
「……いこ。慧太」
……本当に嬉しそうな顔をしていた。真っ赤な頬、にやけを抑えている口元、揺れる瞳。ああやばい。今すぐ抱きしめてキスをしたい。でもさすがにそれはだめかな、と鑓水は衝動を抑える。
案外手を繋ぐくらいならば周りの人は気にしていないようで。立ち止まっていれば少しばかり注目が集まってしまったが、歩き出せば自分たちも人混みの一員だ。周りと溶け込んで、それほど視線も気にならなかった。
アーケード商店街には服屋や軽食が売っている店が多く並んでいる。二人は特に目的もなく服屋に入っては色々と商品を眺めていた。
「これ好きかも」
「俺こっちの色のほうが好き」
「えー?」
波折と鑓水は服の趣味があまり合わないようだった。お互いが選ぶものを良いとは思っても自分だったら着ないな、といった、微妙なズレ。でもそんなズレがまた楽しい。普段みないような服を見たり、彼はこういうのが好きなんだと知っていく、新鮮な感覚がわくわくした。
「慧太、こういうの似合うと思うよ」
「大人っぽすぎてなんか恥ずかしいな」
「そう? 慧太は背も高いし顔もかっこいいからなんでも似合うと思うけど」
波折が一枚の服を鑓水に合わせてみては、楽しそうに笑っている。波折は結構服をみるのが好きなようだ。楽しそうな波折をみて、鑓水も嬉しくなる。
「おまえそんなに服好きだったんだ? 知らなかった」
「うーん? 服は好きだけど……慧太といるからいつもよりも楽しくて。ごめん、飽きた?」
「……まさか」
鑓水は服はそれなりに着ればいいかな、といった考えのため、そこまで好きというわけではない。しかし、波折がくるくると無邪気に笑う姿をみているだけで幸せだった。店員さえいなければここでキスをしていたと思う。それくらいに愛おしくて、……ただ、波折が笑っているだけで愛おしさが加速して、苦しかった。
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