スイートアンドビターエゴイスト〜淫乱生徒会長の調教日記〜

うめこ

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第十二章:スイートアンドビター

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「……やっぱり、「ご主人様」から離れましょう。俺が先輩の手を引きますから」

「……むり」

「だめです。波折先輩……先輩は、「ご主人様」と一緒にいたら幸せになれない」

「……いいよ。別にみんなの言う「幸せ」なんていらない。いいんだ……ご主人様に気持ちいいことされていれば、それが俺の幸せ」

「俺は先輩に本当の意味で幸せになって欲しいんです……! 俺が……俺が、先輩のことを幸せにしますから……!」

「本当に……無理なんだって……俺には、無理……」

「先輩……!」


 沙良は、ぐ、と波折の顔をもちあげると、唇を奪った。波折がびく、と身体を震わせる。沙良が波折の頭を掴んで、手を握って――強く、唇を押し当ててやれば、次第にこわばっていた波折の身体の力が抜けてゆく。波折は目を閉じて、ゆっくりと沙良に身を委ねていくと……ぽろりと涙をこぼした。


「愛しています……先輩。あなたを救いたい。俺の手をとって」

「……沙良……だめ……」

「先輩……」

「んっ……」


 何度も、キスをした。

 なぜ波折が「ご主人様」から逃げられないのかは、わからない。それでも、なんとかして救いたい。どうか、その想いよ伝わって。あなたの意思で、この手をとって。

 沙良のキスに、波折の体温が上昇してゆく。沙良が自分のことを本当に愛してくれていると、それはしっかり感じることができた。それが嬉しかった。しっかりと身体を包まれて、そしてキスをされていると、沙良の強い想いがびりびりと伝わってくる。

――でも。でも、俺は……

――ガタン。

 そのとき、物音がした。ぎょっとして沙良が顔をあげて音のした方をみやれば……そこには、驚いた顔をして立っている洋之がいた。


「……っ、」


 まさか、今のキスを見られていただろうか……沙良と波折は固まる。呆然とした様子でこちらをみている洋之は、明らかに何かをみてしまった、といった様子。沙良が苦笑いをしてみれば……彼も同じく苦笑いを返してくれた。


「……そういう関係だったかー、ごめんな、わからなかった」

「やっ……やっぱり見て……」


 やばい。咄嗟に沙良は思う。この家の長男である自分が同性と恋愛をするなんて、猛反発をくらうに決まっている。そんな風に反対されるところを波折がみたらどう思うだろう……それを考えると、気が気ではなかった。


「……」


 洋之がじっと二人をみつめる。唇は離しているものの、抱き合っている二人。沙良にすっかり身体を預けている波折の体勢は、友達や先輩で済ませられるような格好じゃない。沙良がドキドキとしていると……やがて、洋之がふっと笑う。


「沙良ー、ちょーっとだけこっちこい。ちょーっとだけだ、ちょーっとだけ」

「は……はい」


 彼は一体何を考えているのだろう……沙良が不安に思いながら洋之の元へ寄っていく。残された波折に洋之は「すぐ返すから、待っててな!」と声をかけると、ずるずると沙良を引っ張っていってしまった。



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