222 / 357
第十三章:予兆
2
「いよいよ週末ですね! 学園祭!」
学校につくなり、いつもよりも賑やかな周りの様子に沙良の気分は高揚していた。波折と一緒に登校してきたから、というのも上機嫌の理由かもしれない。好きな人と二人で登校してるんるんの状態でいた今の沙良は、きっと何を見てもはしゃぐだろう。
「んー……でもちょっと面倒なことがあるなあ」
「面倒? 波折先輩って面倒って思うことあるんですか?」
「あるよ。イベント事が近くなってくると生徒会に突っかかってくるやつらがいる」
「突っかかってくるやつら?」
「風紀委員会だよ。やつら俺達を目の敵にしているから」
「えっ、生徒会と風紀委員会が仲悪いって噂ほんとなんですか」
「この学園の伝統みたいなものかな。俺は穏便にすませようと思っているんだけど、残念ながらあっちが仲良くする気がないみたい」
しかしそんな沙良とは裏腹に、波折は憂鬱そうにため息をつく。そんな彼をみて、沙良は信じられないといった顔をしていた。波折に突っかかるということにびっくりしていたのだ。波折のような頭が良くて信頼を得ていて完璧で可愛くて可愛くて天使みたいに可愛くてとりあえず可愛い生徒会長に突っかかるなんて……と沙良にはその風紀委員会という人たちを理解できなかった。
「おー、おはよー波折。……と神藤」
沙良がむすっとしていれば、二人に声をかけてくる人物がいた。鑓水だ。鑓水はいつもは自分が波折と一緒に登校しているのに、といった意地悪そうな目で沙良をみてくる。
「……慧太。おはよ。風紀委員会のことだけど……」
「風紀? あ~あいつら一学期の球技大会のときもウザかったな! 俺達じゃなくて球実に言えってーの」
波折が風紀委員会の名前をだせば、鑓水は眉をひそめた。後期から生徒会に入った沙良にはわからないことだが、前から生徒会だった鑓水は以前から風紀委員会に面倒な思いをさせられているのだろう。風紀委員会が生徒会に突っかかってくるというのはどうやら本当らしい、と沙良は苦笑いする。
「だいじょーぶだいじょーぶ、俺が適当に追い払うからさ。生徒会長は自分の仕事やっとけよ」
ふふん、と鑓水が笑う。鑓水はそのまま沙良に近づいてきて、がっと肩を組んできた。
「神藤、おまえもあいつら追い払うの手伝えよ。イベント一週間前の副会長の仕事はあいつら追い払うことだ」
「そ、そうなんですか」
まさかの命令に、沙良は目を白黒とさせる。風紀委員会がどんな人たちなのか、沙良はそんなにわからない。鑓水と一緒だとしても不安だな~、と沙良はこれから学園祭までの一週間が怖く感じてしまったのだった。
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー