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第十三章:予兆
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今日は波折は沙良の家から来たため、お弁当を持ってきていない。昼休みに沙良が購買に向かえば、波折もそこで買い物をしていた。
「あ、波折先輩~!」
「沙良」
波折をとりまく女子たちに物怖じせずがんばって話しかけてみれば、波折はにっこりと笑って応えてくれる。波折に寄ってくる沙良をみて女子達は「かわいい~」だのなんだのと言って沙良に構い始めたが、沙良はへこたれずに波折に着いていった。
なんとか女子たちを振りきって買い物を終え、購買を出た時。誰かが、波折に近づいてくる。
「――こんにちは、冬廣会長」
波折に話しかけてきたのは、ガタイのいい男子生徒。ネクタイの色は波折と同じ、赤。二年生のようだ。波折よりも……下手したら鑓水よりも背が高く、身体はがっしりと筋肉がついていてたくましい。なかなかに迫力のある男だ。
「ああ……こんにちは。篠崎くん」
波折はにこやかに返事をしながらも、どこか表情がひきつっていた。「いくぞ」と言いたげに沙良の手を軽く引っ張ってきている。
「冬廣会長はいつも女子生徒に囲まれていますね。さすが会長……裁判官じゃなくてアイドルにでもなったらどうでしょう」
「……どうも」
明らかないやみにも波折は嫌な顔をみせなかった。ぺこりと彼――篠崎にお辞儀だけをして、その場を去ってゆく。
「――相変わらずだね~生徒会長と風紀委員長」
どこからか、声が聞こえてくる。その声に、沙良はぎょっと顔をひきつらせた。
「えっ……今の人が風紀委員長!?」
「そうだよ。篠崎基(しのさき はじめ)くん。風紀委員長」
生徒会を忌み嫌う風紀委員会の会長。今のラグビーとか野球とかやってそうなガッチリした人が件の風紀委員長だとは。鑓水に今朝言われたことを思い出して沙良は顔を青ざめさせる。
「……俺があの人追い払うんですか……」
「がんばって。まあ、慧太が頑張ってくれるよ。見た目の怖さなら慧太もなかなか」
「鑓水先輩と今の人の怖いの方向性違いますよっ……! 今の人に張り手くらったらぶっ飛ばされそう」
「大丈夫大丈夫」
(くそー、自分は相手しないからって~!)
放課後の事が不安で仕方ない。あわよくば来ないでくれ~!と沙良は心のなかで祈りながら、波折のあとを着いていった。
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