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第十三章:予兆
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その日の生徒会活動がなんとか終了する。メンバーが生徒会室を出ようとしたときのことだ。一番先に教室から出た可織が小さな悲鳴をあげる。何事かと波折が出てみれば……
「……篠崎くん?」
生徒会室の前に、篠崎が立っていたのだ。可織は予想外の人物がいたということに驚いて悲鳴をあげてしまったらしい。おそらく、可織でなくても驚いただろう。それくらいに篠崎が今ここにいるということは、おかしなことだった。
「……何か、ご用が?」
「冬廣会長に話がありまして」
波折に声をかけられれば、篠崎はそう答える。さすがに波折も変だと思ったが、波折が答える前に鑓水が出て行って篠崎を追い払おうとした。
「いい加減にしろ。今日の活動は終わりだ、帰れ」
「……鑓水くんには用がないのですが」
「うるせえ! 波折にも迷惑がかかるって言ってんだよ! 何の用だ、手短に言え!」
「……僕は冬廣会長と話がしたい」
……話にならなかった。どうしても篠崎は波折と話がしたいらしい。しかしだからといって波折と彼を話させてあげようと鑓水は思えなかった。ここまで波折に執着し嫌っている奴なんかと、波折を対峙させたくない。しかし、波折はすっと鑓水の前に出ると穏やかに言う。
「……どのくらいかかります?」
「……少し時間をいただくかもしれません」
「……いいでしょう、中にはいってください」
「――オイ!」
波折は篠崎と話をするつもりらしい。波折が篠崎を生徒会室に案内したのをみたメンバーはみんな顔を青ざめさせた。その体格差にぎょっとしてしまったのである。もしもここで篠崎が波折に暴行でもしたら……と考えると、二人きりにさせるわけにはいかない。波折はまた先ほどのように「追い払うのと話をするのでは前者の方が時間の短縮になる」と思っているのだろうから、鑓水が何を言おうがこのまま篠崎と話をするつもりだ。
「なら、俺も立ち会う。篠崎、中にはいれ」
「……鑓水くんには用がないので帰ってください」
「ざっけんな! おまえ波折に何をするつもりだよ! 力任せに生徒会長潰す気か?」
「まさか……話をするだけです」
篠崎は頑なに、鑓水の同行を拒んだ。どう考えても怪しいと、鑓水も躍起になってしまう。しかし、波折は至極冷静に篠崎を生徒会室の中へ案内していた。「やめろ」と止めるメンバーの声をきこうとしない。
「大丈夫、さすがに風紀委員全体の評判を落とすような真似を彼はしないでしょ。俺がちゃんと話しておくから……みんな先に帰って」
「でも……!」
「いいからいいから。残っているなよ、帰れ。みんなの仕事はもう終わりだから」
波折がひらひらとメンバーに手を振る。篠崎を中に入れると、ぴしゃりと扉を閉めてしまった。
波折が扉を閉めてからも、しばらくメンバーは生徒会室の中の様子を伺うようにその場に残っていた。しかし、扉に耳をあてて話を聞いていれば、案外二人の声色は穏やかだ。これは大丈夫そうだ、と判断したメンバーは後ろ髪をひかれながらも帰って行く。
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