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第十三章:予兆
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「……活動が終わってからくるってことは、個人的な話なんでしょ? 何? 篠崎くんは随分と俺を嫌っているみたいだけど」
生徒会室の前からメンバーが姿を消したころ、波折はずっと感じていたことを篠崎に問う。鑓水は篠崎が生徒会の邪魔をしている……と言っていたが、それは誤りだ。篠崎は生徒会の邪魔をしているのではなく、波折の邪魔をしている。鑓水や沙良とは会話をする気がなく、波折と会話をすることだけを求めていた、ということでそれは明確である。普段も出会うたびに嫌味を言ってきたりとしているため、それはもう、風紀委員として波折が嫌いなのではなく、個人として波折のことを嫌っているに違いない。
「……」
「何? 言いづらいこと? いいよべつに、俺は何を言われても」
「……冬廣会長。貴方の目に、僕はどう映っていますか」
「え……? いつも突っかかってくる風紀委員長……?」
「風紀委員としてではなく……!」
「な、何? 篠崎くんのこと? えー……たくましそうな……人? 俺以外の人には優しそうだよね……? これでいいの?」
「そう、ですか……気持ち悪いデブでは、ないんですね……」
「太ってないよね? 気持ち悪くもないよ? え?」
突拍子もない篠崎の言葉に、波折は戸惑った。しかしわけがわからないといった表情をしている波折とは裏腹に、篠崎は今にも泣きそうな顔をしている。感極まっているような。何がそんなに悲しいのか……もしくは、嬉しいのか。それが波折にはさっぱりわからなかった。
「……みんなの憧れの冬廣会長の隣に立っても恥ずかしくないように……僕は、頑張って体型も変えて、」
「……篠崎くん?」
「どうにか冬廣会長に意識してもらいたくて、生徒会と対立する風紀委員会にはいって、そしてこの学校で唯一貴方を嫌う存在になって、」
一歩、篠崎が波折に近づいてくる。突然篠崎に泣かれてしまった波折は混乱していて、まともに言葉を紡ぐこともできなかった。そもそも篠崎が何を言っているのかわからない。
「冬廣会長……! 好きです……一年前の、あのときから……!」
「えっ」
篠崎の告白と共に、波折の視界がぐらりと反転する。ソファに押し倒されたのだ。がっしりとした篠崎の腕で体をソファに縫いとめられて、波折は抵抗できない。もがくこともできないまま……波折は篠崎に唇を奪われた。
「……!?」
波折は全く状況についていくことができなかった。なんで自分のことを嫌っていたはずの風紀委員長に告白されてキスされているんだ、と頭のなかがぐるぐるとしてしまう。篠崎に唇を離されて、波折がただ驚きの眼差しで見つめていれば……篠崎は波折の手首をまとめてネクタイで縛り上げてしまう。
「ま、待て……篠崎くん、待って……!」
「……冬廣会長。僕と、付き合ってください」
「い、いや……えっと、……それはできないから、……」
「……これをみても!?」
「えっ……」
篠崎が波折の目の前にスマートフォンを突き出す。そして、動画のようなものを再生し始めた。そこに映っていたものをみて、波折は寒気を覚える。
「こ、これ……」
「……冬廣会長……鑓水くんとこんな関係だったんですね」
スマートフォンに映しだされていたのは……波折の部屋だ。そこで、鑓水と波折がセックスをしているところ。音声もばっちりだ。自分の性行為をみせつけられていることよりも、自分の部屋がなぜか撮られているということに恐怖を覚えた。部屋に、隠しカメラが設置されていたということだ。
「……し、篠崎くん……これ、なに……」
「鑓水くんと冬廣会長が付き合っているって噂……前にもありましたけど、あくまで噂でしたもんね。どうなんでしょう、みんなの羨望の的の会長と副会長がこんな関係で、毎日のように淫らなことをしているのって」
「……人が何をしようが勝手だろ……」
「そうかもしれませんけど。これ、みんながみたらどうなりますかね。男同士でこんなことを……貴方はどう思うかしらないですけど、鑓水くんにも確実に迷惑がかかるんじゃないでしょうか」
「……」
「それから」
篠崎が画面をタップして、違う動画を表示させる。そこに映っていたものに――波折は目を見開いた。
『――ご主人様……!』
「こ、これ……」
動画に映っていたのは……今度は「ご主人様」と波折がセックスをしているところ。いつから隠しカメラが設置されていたのか、と思ったが、それよりも……
「……まずくないですか。「ご主人様」って……この人と生徒会長がこんな関係にあるの知られたら大問題でしょ」
動画には、はっきりと「ご主人様」の顔が映し出されている。篠崎に、「ご主人様」と自分の関係がバレてしまった。
生徒会室の前からメンバーが姿を消したころ、波折はずっと感じていたことを篠崎に問う。鑓水は篠崎が生徒会の邪魔をしている……と言っていたが、それは誤りだ。篠崎は生徒会の邪魔をしているのではなく、波折の邪魔をしている。鑓水や沙良とは会話をする気がなく、波折と会話をすることだけを求めていた、ということでそれは明確である。普段も出会うたびに嫌味を言ってきたりとしているため、それはもう、風紀委員として波折が嫌いなのではなく、個人として波折のことを嫌っているに違いない。
「……」
「何? 言いづらいこと? いいよべつに、俺は何を言われても」
「……冬廣会長。貴方の目に、僕はどう映っていますか」
「え……? いつも突っかかってくる風紀委員長……?」
「風紀委員としてではなく……!」
「な、何? 篠崎くんのこと? えー……たくましそうな……人? 俺以外の人には優しそうだよね……? これでいいの?」
「そう、ですか……気持ち悪いデブでは、ないんですね……」
「太ってないよね? 気持ち悪くもないよ? え?」
突拍子もない篠崎の言葉に、波折は戸惑った。しかしわけがわからないといった表情をしている波折とは裏腹に、篠崎は今にも泣きそうな顔をしている。感極まっているような。何がそんなに悲しいのか……もしくは、嬉しいのか。それが波折にはさっぱりわからなかった。
「……みんなの憧れの冬廣会長の隣に立っても恥ずかしくないように……僕は、頑張って体型も変えて、」
「……篠崎くん?」
「どうにか冬廣会長に意識してもらいたくて、生徒会と対立する風紀委員会にはいって、そしてこの学校で唯一貴方を嫌う存在になって、」
一歩、篠崎が波折に近づいてくる。突然篠崎に泣かれてしまった波折は混乱していて、まともに言葉を紡ぐこともできなかった。そもそも篠崎が何を言っているのかわからない。
「冬廣会長……! 好きです……一年前の、あのときから……!」
「えっ」
篠崎の告白と共に、波折の視界がぐらりと反転する。ソファに押し倒されたのだ。がっしりとした篠崎の腕で体をソファに縫いとめられて、波折は抵抗できない。もがくこともできないまま……波折は篠崎に唇を奪われた。
「……!?」
波折は全く状況についていくことができなかった。なんで自分のことを嫌っていたはずの風紀委員長に告白されてキスされているんだ、と頭のなかがぐるぐるとしてしまう。篠崎に唇を離されて、波折がただ驚きの眼差しで見つめていれば……篠崎は波折の手首をまとめてネクタイで縛り上げてしまう。
「ま、待て……篠崎くん、待って……!」
「……冬廣会長。僕と、付き合ってください」
「い、いや……えっと、……それはできないから、……」
「……これをみても!?」
「えっ……」
篠崎が波折の目の前にスマートフォンを突き出す。そして、動画のようなものを再生し始めた。そこに映っていたものをみて、波折は寒気を覚える。
「こ、これ……」
「……冬廣会長……鑓水くんとこんな関係だったんですね」
スマートフォンに映しだされていたのは……波折の部屋だ。そこで、鑓水と波折がセックスをしているところ。音声もばっちりだ。自分の性行為をみせつけられていることよりも、自分の部屋がなぜか撮られているということに恐怖を覚えた。部屋に、隠しカメラが設置されていたということだ。
「……し、篠崎くん……これ、なに……」
「鑓水くんと冬廣会長が付き合っているって噂……前にもありましたけど、あくまで噂でしたもんね。どうなんでしょう、みんなの羨望の的の会長と副会長がこんな関係で、毎日のように淫らなことをしているのって」
「……人が何をしようが勝手だろ……」
「そうかもしれませんけど。これ、みんながみたらどうなりますかね。男同士でこんなことを……貴方はどう思うかしらないですけど、鑓水くんにも確実に迷惑がかかるんじゃないでしょうか」
「……」
「それから」
篠崎が画面をタップして、違う動画を表示させる。そこに映っていたものに――波折は目を見開いた。
『――ご主人様……!』
「こ、これ……」
動画に映っていたのは……今度は「ご主人様」と波折がセックスをしているところ。いつから隠しカメラが設置されていたのか、と思ったが、それよりも……
「……まずくないですか。「ご主人様」って……この人と生徒会長がこんな関係にあるの知られたら大問題でしょ」
動画には、はっきりと「ご主人様」の顔が映し出されている。篠崎に、「ご主人様」と自分の関係がバレてしまった。
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