9 / 14
9 ファンの暴走
しおりを挟む
「ナディア・プレシアド様はいらっしゃいますか?」
お昼休み、5人の令嬢が連れ立って、私を訪ねて来た。
知り合いでは無いが、なんか見覚えがある。
ミゲルの周りによく居る子達かもしれない。
「私がプレシアドですが?」
名乗り出ると、中心にいた気が強そうな女性が、不機嫌そうに目を細めて私を見る。
「お話がございますの。
少々お時間よろしいでしょうか?」
よろしくは無いが、逆らっても余計に面倒な事になりそうだ。
「ナディア、大丈夫?」
「ええ。ちょっと行ってくるわ」
心配そうなマリソルにそう言うと、彼女は頷き、足早に教室を出て行った。
ミゲルを呼びに行ってくれたのだろう。
5人組は、私を空き教室に連れて行く。
「貴女のような平凡な女が、ミゲル様のような素敵な方を婚約者に持っている癖に、何故他の殿方のファンクラブになんか入っているのですか?」
彼女の気持ちは分からないでも無いが、私だって好きでこんな事をしている訳では無い。
「それを貴女に説明する義務は無いと思うのですが」
私の言葉に、彼女は益々瞳に怒りを宿す。
「今の立場に不満があるのでしたら、ミゲル様の婚約者を降りて下さい」
「それは、両家の当主が決めた事ですので、私達の気持ちだけでは、何とも・・・」
「貴女の態度は不誠実です。
ミゲル様がお可哀想だと思わないのですか!?」
その時、突然扉が開いた。
「僕が、何だって?」
「ミゲル様!?」
ミゲルは走ってこの場所を探してくれたのか、少し乱れた息を整えながら、無表情に令嬢達を見据えた。
「僕の気持ちを勝手に代弁するのは止めてくれないか?
それは、僕とナディアだけの問題であって、君達にはナディアを責める権利なんて無い筈だ」
「ですが・・・・・・」
「大体、君達の中にも婚約者が居る人も居るよね?
ナディアがやってる事と、どう違うの?
それに、僕は君達の存在を承認した覚えは無いし、こんな事望んでもいないんだけど」
彼女達は、もう涙目だ。
流石にこれは少し可哀想になってくる。
「ミゲル、もう行こう」
私はミゲルの腕を掴み、空き教室を出た。
この国は近年、急速に女性の地位が向上し、社会進出も進みつつある。
それに伴い、自由恋愛を推奨する風潮も出て来た。
しかし、一方では、まだまだ政略結婚が多く、理想と現実の狭間で揺れているのだ。
彼女達も、自分の好きな人を結婚相手に選べないもどかしさを感じているのだろう。
そして、彼女達が好きなミゲルの婚約者という、幸運な立場にいるにも関わらず、彼を蔑ろにしているように見える私に怒りを覚えているのだ。
その気持ちは理解できるのだが、私には私の事情がある。
お昼休み、5人の令嬢が連れ立って、私を訪ねて来た。
知り合いでは無いが、なんか見覚えがある。
ミゲルの周りによく居る子達かもしれない。
「私がプレシアドですが?」
名乗り出ると、中心にいた気が強そうな女性が、不機嫌そうに目を細めて私を見る。
「お話がございますの。
少々お時間よろしいでしょうか?」
よろしくは無いが、逆らっても余計に面倒な事になりそうだ。
「ナディア、大丈夫?」
「ええ。ちょっと行ってくるわ」
心配そうなマリソルにそう言うと、彼女は頷き、足早に教室を出て行った。
ミゲルを呼びに行ってくれたのだろう。
5人組は、私を空き教室に連れて行く。
「貴女のような平凡な女が、ミゲル様のような素敵な方を婚約者に持っている癖に、何故他の殿方のファンクラブになんか入っているのですか?」
彼女の気持ちは分からないでも無いが、私だって好きでこんな事をしている訳では無い。
「それを貴女に説明する義務は無いと思うのですが」
私の言葉に、彼女は益々瞳に怒りを宿す。
「今の立場に不満があるのでしたら、ミゲル様の婚約者を降りて下さい」
「それは、両家の当主が決めた事ですので、私達の気持ちだけでは、何とも・・・」
「貴女の態度は不誠実です。
ミゲル様がお可哀想だと思わないのですか!?」
その時、突然扉が開いた。
「僕が、何だって?」
「ミゲル様!?」
ミゲルは走ってこの場所を探してくれたのか、少し乱れた息を整えながら、無表情に令嬢達を見据えた。
「僕の気持ちを勝手に代弁するのは止めてくれないか?
それは、僕とナディアだけの問題であって、君達にはナディアを責める権利なんて無い筈だ」
「ですが・・・・・・」
「大体、君達の中にも婚約者が居る人も居るよね?
ナディアがやってる事と、どう違うの?
それに、僕は君達の存在を承認した覚えは無いし、こんな事望んでもいないんだけど」
彼女達は、もう涙目だ。
流石にこれは少し可哀想になってくる。
「ミゲル、もう行こう」
私はミゲルの腕を掴み、空き教室を出た。
この国は近年、急速に女性の地位が向上し、社会進出も進みつつある。
それに伴い、自由恋愛を推奨する風潮も出て来た。
しかし、一方では、まだまだ政略結婚が多く、理想と現実の狭間で揺れているのだ。
彼女達も、自分の好きな人を結婚相手に選べないもどかしさを感じているのだろう。
そして、彼女達が好きなミゲルの婚約者という、幸運な立場にいるにも関わらず、彼を蔑ろにしているように見える私に怒りを覚えているのだ。
その気持ちは理解できるのだが、私には私の事情がある。
176
あなたにおすすめの小説
殿下の愛しのハズレ姫 ~婚約解消後も、王子は愛する人を諦めない~
はづも
恋愛
「すまない。アメリ。婚約を解消してほしい」
伯爵令嬢アメリ・フローレインにそう告げるのは、この国の第一王子テオバルトだ。
しかし、そう言った彼はひどく悲し気で、アメリに「ごめん」と繰り返し謝って……。
ハズレ能力が原因で婚約解消された伯爵令嬢と、別の婚約者を探すよう王に命じられても諦めることができなかった王子のお話。
全6話です。
このお話は小説家になろう、アルファポリスに掲載されています。
私と貴方の報われない恋
梨丸
恋愛
田舎の男爵家の少女、アーシャには好きな人がいた。
家族同然の幼馴染を好きになってしまったアーシャの恋は報われない……。
主な登場人物
アーシャ 本作の主人公
フェルナン アーシャの初恋
※アーシャ編とフェルナン編の二編を投稿します。
※完結後も番外編を追加するかもしれないです。
11/3 完結いたしました。
11/4HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
優柔不断な公爵子息の後悔
有川カナデ
恋愛
フレッグ国では、第一王女のアクセリナと第一王子のヴィルフェルムが次期国王となるべく日々切磋琢磨している。アクセリナににはエドヴァルドという婚約者がおり、互いに想い合う仲だった。「あなたに相応しい男になりたい」――彼の口癖である。アクセリナはそんな彼を信じ続けていたが、ある日聖女と彼がただならぬ仲であるとの噂を聞いてしまった。彼を信じ続けたいが、生まれる疑心は彼女の心を傷つける。そしてエドヴァルドから告げられた言葉に、疑心は確信に変わって……。
いつも通りのご都合主義ゆるんゆるん設定。やかましいフランクな喋り方の王子とかが出てきます。受け取り方によってはバッドエンドかもしれません。
後味悪かったら申し訳ないです。
沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―
柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。
最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。
しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。
カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。
離婚届の上に、涙が落ちる。
それでもシャルロッテは信じたい。
あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。
すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる