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12 婚約の成立
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成人男性に対して『可愛い』などと失礼な発言をした事を謝罪すると、コールドウェル様は逆に申し訳なさそうな様子で頭を掻いた。
「……いや、構わない。
此方こそ、悪かった。
君を怖がらせたい訳ではないのだが、どうにも俺は目付きが悪いらしい。
しかも、緊張するといつも以上に険しい顔になってしまうんだ」
彼も緊張していたのか。私と同じだ。
「いいえ、ご気分を害していらっしゃる訳では無いのでしたら、大丈夫です。
ご覧になってお分かりの通り、私も朗らかな表情を作るのが苦手ですので、コールドウェル様のお気持ちはよく理解出来ます」
ここでニコリと微笑む事が出来れば良いのだが、無理に笑えば凶悪な表情になり兼ねないので、無表情のままでそう言った。
私と目が合うと彼は戸惑った様に視線を逸らした。
その耳がほんのり赤くなっている。
やっぱり可愛らしい。
もう絶対に言わないけれど。
「本当ならばもっと早く顔合わせの機会を設けたかったのだが、最近魔獣の被害が増えていて少々ゴタゴタしていた」
十年ほど前のコールドウェル様が傷を負った小競り合いの後、西側の隣国との間に新たな友好条約が結ばれたお陰で、現在では国境付近での争いは殆ど無いらしい。
しかし、西の辺境伯領は魔獣の森に隣接しており、その管理を国から依頼されている為、毎日交代で少しづつ魔獣の討伐を行なっているのだと言う。
「それは大変でしたね。
もう大丈夫なのですか?」
「ああ、取り敢えず今の所は落ち着いている。
そう言えば、魔獣が多く生息する地域に嫁に来るのは怖くないか?」
「魔獣は怖いですよ、普通に。
でも、魔獣討伐は誰かがやらなければいけない事ですよね。
魔獣の森に隣接している領地の皆様の努力のお陰で、王都での魔獣の被害が少なくて済んでいる事に感謝しています。
残念ながら私は剣を握れないので、辺境に嫁入りしても戦力にはなれないですが、何らかの形でお役に立ちたいと考えています」
私の答えを聞いたコールドウェル様の頬が、少しだけ緩んだ様な気がした。
「娘は薬師の資格を有しておりますので、多少はお役に立てるかと存じます」
父がここぞとばかりにアピールをする。
「成る程、それは頼もしい」
コールドウェル様は満足そうに頷き、王太子殿下はその隣でニヤリと笑いながら紅茶のカップに口を付けた。
両者の条件や婚姻までの流れなどを確認して、なんと、その場で婚約が決定してしまった。
王太子殿下が用意周到に作成していた正式な婚約の契約書にお互いにサインをし、恙無く初めての顔合わせが終了した。
四人中三人が無表情という、ハタから見たらなかなか重苦しい空気が漂う見合いであったかもしれないが、最終的に契約を交わす事が出来たのだから大成功だと言えるだろう。
帰宅後のマーヴィンの反応が心配ではあるが、弟はああ見えても婚約者のミラベルにぞっこんなので、彼女に宥めて貰えば問題ないと思う。
「……いや、構わない。
此方こそ、悪かった。
君を怖がらせたい訳ではないのだが、どうにも俺は目付きが悪いらしい。
しかも、緊張するといつも以上に険しい顔になってしまうんだ」
彼も緊張していたのか。私と同じだ。
「いいえ、ご気分を害していらっしゃる訳では無いのでしたら、大丈夫です。
ご覧になってお分かりの通り、私も朗らかな表情を作るのが苦手ですので、コールドウェル様のお気持ちはよく理解出来ます」
ここでニコリと微笑む事が出来れば良いのだが、無理に笑えば凶悪な表情になり兼ねないので、無表情のままでそう言った。
私と目が合うと彼は戸惑った様に視線を逸らした。
その耳がほんのり赤くなっている。
やっぱり可愛らしい。
もう絶対に言わないけれど。
「本当ならばもっと早く顔合わせの機会を設けたかったのだが、最近魔獣の被害が増えていて少々ゴタゴタしていた」
十年ほど前のコールドウェル様が傷を負った小競り合いの後、西側の隣国との間に新たな友好条約が結ばれたお陰で、現在では国境付近での争いは殆ど無いらしい。
しかし、西の辺境伯領は魔獣の森に隣接しており、その管理を国から依頼されている為、毎日交代で少しづつ魔獣の討伐を行なっているのだと言う。
「それは大変でしたね。
もう大丈夫なのですか?」
「ああ、取り敢えず今の所は落ち着いている。
そう言えば、魔獣が多く生息する地域に嫁に来るのは怖くないか?」
「魔獣は怖いですよ、普通に。
でも、魔獣討伐は誰かがやらなければいけない事ですよね。
魔獣の森に隣接している領地の皆様の努力のお陰で、王都での魔獣の被害が少なくて済んでいる事に感謝しています。
残念ながら私は剣を握れないので、辺境に嫁入りしても戦力にはなれないですが、何らかの形でお役に立ちたいと考えています」
私の答えを聞いたコールドウェル様の頬が、少しだけ緩んだ様な気がした。
「娘は薬師の資格を有しておりますので、多少はお役に立てるかと存じます」
父がここぞとばかりにアピールをする。
「成る程、それは頼もしい」
コールドウェル様は満足そうに頷き、王太子殿下はその隣でニヤリと笑いながら紅茶のカップに口を付けた。
両者の条件や婚姻までの流れなどを確認して、なんと、その場で婚約が決定してしまった。
王太子殿下が用意周到に作成していた正式な婚約の契約書にお互いにサインをし、恙無く初めての顔合わせが終了した。
四人中三人が無表情という、ハタから見たらなかなか重苦しい空気が漂う見合いであったかもしれないが、最終的に契約を交わす事が出来たのだから大成功だと言えるだろう。
帰宅後のマーヴィンの反応が心配ではあるが、弟はああ見えても婚約者のミラベルにぞっこんなので、彼女に宥めて貰えば問題ないと思う。
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