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30 不穏な知らせ
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私がコールドウェル様からちょっと離れて、ミアと一緒に靴屋のショーウィンドウを覗いている隙に、色っぽいお姉様が彼に近付いた。
「領主様ぁ、たまには私とも遊んで下さいませ」
「俺は興味が無いから、他を当たってくれ」
腕に縋りつこうとするお姉様の手をさりげなく避けた彼は、ちょっと不機嫌そうに見える。
でも、少しだけ…、ほんの少しだけモヤモヤしてしまい……。
「コールドウェル様はおモテになるのね」
「貴族令嬢には怖がられて避けられていますが、下町では人気がありますね。
辺境では元々荒っぽい男が好まれる傾向にありますので。
ですが、旦那様がああいった女性を相手にする事はありませんよ」
私の小さな呟きを拾ったミアが、すかさずフォローする。
頭では分かっている。
なのに、なんでこんな気持ちになるのだろう?
いくら「好きになって欲しい」なんて言われたとしても、それはきっと夫婦として上手くやっていく為にって事だ。
私達は恋愛から婚約を結んだ訳では無いのだから、多くを望んではいけないのに。
「どうした、フェリシア?
疲れてしまったか?
その辺りのカフェにでも入って少し休むか?」
思わず溜息を吐いたのを、コールドウェル様に気付かれてしまった。
私の顔を覗き込む彼は、とても心配そうで……。
少し気まずくなって、そっと目を逸らした。
「いいえ、大丈夫です」
「そうか、良かった。
だが、もう少し先にあるカフェは、シフォンケーキが人気なんだ。
良かったら行ってみないか?」
「それは素敵ですね。
私シフォンケーキが好物なんですよ」
「知ってる。
バッセル伯爵に教えて貰った」
「お父様に?
いつの間に連絡を取っていらしたのですか?」
二人が会話を交わしたのはお見合いの時と、移住の打ち合わせの時だけだと思うのだけど……。
「何度か手紙のやり取りをしている。
大事なお嬢さんをお預かりしているのだから、出来るだけ安心して貰いたくて」
私の知らない内に、家族にまで気を遣ってくれていたのか。
そう思うと、あの程度の事で拗ねていた自分が申し訳なくなった。
「ありがとうございます。
では、そのお勧めのカフェに行ってみたいです」
三人で再び歩き始めたのだが……。
残念ながら、この日はシフォンケーキのカフェに行く事は出来なかった。
この直後、辺境伯邸の騎士が、私達を呼び戻しに来たのだ。
私達が留守の間に、クラリス王女の輿入れの護衛をしていたはずの王宮騎士が慌てた様子で辺境伯邸に駆け込んで、『王宮との緊急通信をしたいので魔道具を使わせて欲しい』と要求したとの事。
急いで邸に戻った私達をロバートが迎えてくれる。
「直ぐに通信室の方へお願いします。
フェリシア様にも聞いて頂きたいそうですので、ご一緒に」
案内された部屋には、王宮にあったのと同じ魔道具が設置されていた。
室内には辺境の騎士の中でも上の地位の者達が集められている。
その中に一人だけ見知らぬ騎士がいた。
多分彼が王女の護衛なのだろう。
王女の護衛から王太子殿下への緊急報告は粗方済んでいるらしい。
「ヒューバート、何事だ?
くだらない話だったら、次に会った時覚えておけよ」
お出掛けを邪魔されたコールドウェル様は、少々ご機嫌斜め。
そんなに街歩きがお好きなのかしら?
ご友人とは言え、王族に対する不遜な態度にヒヤヒヤする。
「折角のデート中に邪魔してしまって申し訳なかった。
だが、本当に緊急事態なんだ」
「何があった?」
「どうやら、クラリスが逃げたらしいよ」
「「はあっ!?」」
軽い口調で伝えられた情報に、私達は揃って驚愕の声を上げた。
「領主様ぁ、たまには私とも遊んで下さいませ」
「俺は興味が無いから、他を当たってくれ」
腕に縋りつこうとするお姉様の手をさりげなく避けた彼は、ちょっと不機嫌そうに見える。
でも、少しだけ…、ほんの少しだけモヤモヤしてしまい……。
「コールドウェル様はおモテになるのね」
「貴族令嬢には怖がられて避けられていますが、下町では人気がありますね。
辺境では元々荒っぽい男が好まれる傾向にありますので。
ですが、旦那様がああいった女性を相手にする事はありませんよ」
私の小さな呟きを拾ったミアが、すかさずフォローする。
頭では分かっている。
なのに、なんでこんな気持ちになるのだろう?
いくら「好きになって欲しい」なんて言われたとしても、それはきっと夫婦として上手くやっていく為にって事だ。
私達は恋愛から婚約を結んだ訳では無いのだから、多くを望んではいけないのに。
「どうした、フェリシア?
疲れてしまったか?
その辺りのカフェにでも入って少し休むか?」
思わず溜息を吐いたのを、コールドウェル様に気付かれてしまった。
私の顔を覗き込む彼は、とても心配そうで……。
少し気まずくなって、そっと目を逸らした。
「いいえ、大丈夫です」
「そうか、良かった。
だが、もう少し先にあるカフェは、シフォンケーキが人気なんだ。
良かったら行ってみないか?」
「それは素敵ですね。
私シフォンケーキが好物なんですよ」
「知ってる。
バッセル伯爵に教えて貰った」
「お父様に?
いつの間に連絡を取っていらしたのですか?」
二人が会話を交わしたのはお見合いの時と、移住の打ち合わせの時だけだと思うのだけど……。
「何度か手紙のやり取りをしている。
大事なお嬢さんをお預かりしているのだから、出来るだけ安心して貰いたくて」
私の知らない内に、家族にまで気を遣ってくれていたのか。
そう思うと、あの程度の事で拗ねていた自分が申し訳なくなった。
「ありがとうございます。
では、そのお勧めのカフェに行ってみたいです」
三人で再び歩き始めたのだが……。
残念ながら、この日はシフォンケーキのカフェに行く事は出来なかった。
この直後、辺境伯邸の騎士が、私達を呼び戻しに来たのだ。
私達が留守の間に、クラリス王女の輿入れの護衛をしていたはずの王宮騎士が慌てた様子で辺境伯邸に駆け込んで、『王宮との緊急通信をしたいので魔道具を使わせて欲しい』と要求したとの事。
急いで邸に戻った私達をロバートが迎えてくれる。
「直ぐに通信室の方へお願いします。
フェリシア様にも聞いて頂きたいそうですので、ご一緒に」
案内された部屋には、王宮にあったのと同じ魔道具が設置されていた。
室内には辺境の騎士の中でも上の地位の者達が集められている。
その中に一人だけ見知らぬ騎士がいた。
多分彼が王女の護衛なのだろう。
王女の護衛から王太子殿下への緊急報告は粗方済んでいるらしい。
「ヒューバート、何事だ?
くだらない話だったら、次に会った時覚えておけよ」
お出掛けを邪魔されたコールドウェル様は、少々ご機嫌斜め。
そんなに街歩きがお好きなのかしら?
ご友人とは言え、王族に対する不遜な態度にヒヤヒヤする。
「折角のデート中に邪魔してしまって申し訳なかった。
だが、本当に緊急事態なんだ」
「何があった?」
「どうやら、クラリスが逃げたらしいよ」
「「はあっ!?」」
軽い口調で伝えられた情報に、私達は揃って驚愕の声を上げた。
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