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20 高貴な女友達
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アディントン公爵家のローズマリー様は、その美しい容姿に似合わず、魔道具オタk・・・じゃなくて、
魔道具に非常に造詣が深く、ご自身も用途不明の怪しげな魔道具を開発している変じn・・・じゃなくて、
一風変わった才能を持つご令嬢である。
そのローズマリー様は、新しいオモチャを見つけた時の様に、興味深そうにキラキラした目で私を観察し始めた。
「へぇ~。
このウサギちゃんが、噂のフィリップ様の婚約者なのね?
可愛いわぁ!
撫でくりまわしたくなっちゃう!」
そう言いながら、私の頭や頬をペタペタと触る。
いや、もう既に撫でくりまわされてますけど。
ところでウサギちゃんってなんだろう?
瞳の色が赤いからかな?
「やめろ。ディアが戸惑ってる」
フィルが私を抱き寄せて、ローズマリー様の魔の手(?)から救い出してくれた。
「ちょっとくらい私にもディアナちゃん貸してくれたって良いじゃないの!
ケチねー。
大体にして、フィリップ様だけでは、女子同士の集まりの時にはディアナちゃんを護り切れないでしょ?
ね?だから、私とお友達になりましょう」
「・・・・・・そうだな。
ディア、ローズマリーは僕の幼馴染なんだよ。
ちょっと変人ではあるけど、そこそこ信用できる奴だ。
僕がそばにいられない時には、彼女を頼ると良い」
やっぱり変人なんだ・・・。
「よろしくお願いします。
ローズマリー様」
「嬉しいわ。ローズって呼んでね」
本当に嬉しそうなローズ様は、私を手招きで呼び寄せると、耳元に顔を寄せた。
「ねぇ、知ってた?
フィリップ様ったら、影で貴女の事を『僕のウサギ』って呼んでるのよ。
小さくて色白でフワフワで、ウサギみたいに可愛いんですって」
囁かれた言葉に、頬が熱くなった。
は・・・、恥ずかしいっ!
僕のウサギって何っっ!?
ニヤニヤと笑っているローズ様は、きっと私達を揶揄っているのだろう。
「ローズマリー、聞こえてるぞ。
余計な事言うなよ!」
不機嫌そう顔を顰めたフィルは、少し照れた様に頬を染めていた。
「ちょっと貴女!
フィリップ様に何をしたのよ!?」
さっき私に聞こえる様に悪口を言って来たご令嬢達に囲まれている。
少しだけフィルやローズ様と離れてお手洗いに入った私は、教室へ戻ろうと廊下に出た途端に捕まった。
「何を・・・、と言われましても・・・」
「女性に冷たかった彼が、あんな風に貴女を庇うなんておかしいわっっ!
変な薬でも飲ませたんじゃ無いの!?」
確かに私達は普通の婚約者同士とは違うが、彼が優しくしてくれるのは、ただの親切心からだ。
変な薬を使ってるなんて、酷い濡れ衣である。
集団の真ん中に立つご令嬢は、美しいけれどとても気が強そうな印象。
その左右に侍るご令嬢達は、所謂取り巻きと言うヤツだろうか。
その中の一人が前に進み出た。
「ブリトニー様を差し置いて、フィリップ様の婚約者に収まるなんて、身の程知らずも甚だしいわ!」
(ブリトニー様・・・・・・?)
その名前を耳にして、私の心臓がドクンと跳ねた。
───彼女達を身勝手な人間だと思ったけれど、身勝手なのは私の方だ。
気が強そうな彼女は、おそらくブリトニー・オールストン侯爵令嬢だろう。
この髪と瞳の色は、間違いない。
一度目の人生では学園にも通わず、社交にも出なかった私は、殆どのご令嬢の顔を知らない。
だが、知識として、名前は覚えさせられた。
しかも彼女は、学園卒業後に、ちょっとした話題になったのだ。
フィルの婚約者として───。
「貴女達、何をしているの!?」
厳しい顔をしたローズ様が、私達の元へツカツカと歩み寄る。
「私達は何も・・・。
ただ、この子爵令嬢に、上位貴族への礼儀を教えていただけですわ」
しどろもどろに言い訳をするオールストン侯爵令嬢を素通りして、ローズ様は私の手を握った。
「ああ、こんなに青褪めて震えているじゃない。
手も冷たくなってる。
帰りが遅いから心配して来てみれば・・・。
この事はフィリップ様にもお伝えしますから、貴女達、覚悟する事ね!」
ローズ様はご令嬢達を睨みつけると、私の手を引いて教室へと向かった。
純粋に私の心配をしてくれたローズ様には何も言えなかったけど、私が震えていたのは彼女達が怖かったからではない。
自分のした事が、怖くなったから・・・。
魔道具に非常に造詣が深く、ご自身も用途不明の怪しげな魔道具を開発している変じn・・・じゃなくて、
一風変わった才能を持つご令嬢である。
そのローズマリー様は、新しいオモチャを見つけた時の様に、興味深そうにキラキラした目で私を観察し始めた。
「へぇ~。
このウサギちゃんが、噂のフィリップ様の婚約者なのね?
可愛いわぁ!
撫でくりまわしたくなっちゃう!」
そう言いながら、私の頭や頬をペタペタと触る。
いや、もう既に撫でくりまわされてますけど。
ところでウサギちゃんってなんだろう?
瞳の色が赤いからかな?
「やめろ。ディアが戸惑ってる」
フィルが私を抱き寄せて、ローズマリー様の魔の手(?)から救い出してくれた。
「ちょっとくらい私にもディアナちゃん貸してくれたって良いじゃないの!
ケチねー。
大体にして、フィリップ様だけでは、女子同士の集まりの時にはディアナちゃんを護り切れないでしょ?
ね?だから、私とお友達になりましょう」
「・・・・・・そうだな。
ディア、ローズマリーは僕の幼馴染なんだよ。
ちょっと変人ではあるけど、そこそこ信用できる奴だ。
僕がそばにいられない時には、彼女を頼ると良い」
やっぱり変人なんだ・・・。
「よろしくお願いします。
ローズマリー様」
「嬉しいわ。ローズって呼んでね」
本当に嬉しそうなローズ様は、私を手招きで呼び寄せると、耳元に顔を寄せた。
「ねぇ、知ってた?
フィリップ様ったら、影で貴女の事を『僕のウサギ』って呼んでるのよ。
小さくて色白でフワフワで、ウサギみたいに可愛いんですって」
囁かれた言葉に、頬が熱くなった。
は・・・、恥ずかしいっ!
僕のウサギって何っっ!?
ニヤニヤと笑っているローズ様は、きっと私達を揶揄っているのだろう。
「ローズマリー、聞こえてるぞ。
余計な事言うなよ!」
不機嫌そう顔を顰めたフィルは、少し照れた様に頬を染めていた。
「ちょっと貴女!
フィリップ様に何をしたのよ!?」
さっき私に聞こえる様に悪口を言って来たご令嬢達に囲まれている。
少しだけフィルやローズ様と離れてお手洗いに入った私は、教室へ戻ろうと廊下に出た途端に捕まった。
「何を・・・、と言われましても・・・」
「女性に冷たかった彼が、あんな風に貴女を庇うなんておかしいわっっ!
変な薬でも飲ませたんじゃ無いの!?」
確かに私達は普通の婚約者同士とは違うが、彼が優しくしてくれるのは、ただの親切心からだ。
変な薬を使ってるなんて、酷い濡れ衣である。
集団の真ん中に立つご令嬢は、美しいけれどとても気が強そうな印象。
その左右に侍るご令嬢達は、所謂取り巻きと言うヤツだろうか。
その中の一人が前に進み出た。
「ブリトニー様を差し置いて、フィリップ様の婚約者に収まるなんて、身の程知らずも甚だしいわ!」
(ブリトニー様・・・・・・?)
その名前を耳にして、私の心臓がドクンと跳ねた。
───彼女達を身勝手な人間だと思ったけれど、身勝手なのは私の方だ。
気が強そうな彼女は、おそらくブリトニー・オールストン侯爵令嬢だろう。
この髪と瞳の色は、間違いない。
一度目の人生では学園にも通わず、社交にも出なかった私は、殆どのご令嬢の顔を知らない。
だが、知識として、名前は覚えさせられた。
しかも彼女は、学園卒業後に、ちょっとした話題になったのだ。
フィルの婚約者として───。
「貴女達、何をしているの!?」
厳しい顔をしたローズ様が、私達の元へツカツカと歩み寄る。
「私達は何も・・・。
ただ、この子爵令嬢に、上位貴族への礼儀を教えていただけですわ」
しどろもどろに言い訳をするオールストン侯爵令嬢を素通りして、ローズ様は私の手を握った。
「ああ、こんなに青褪めて震えているじゃない。
手も冷たくなってる。
帰りが遅いから心配して来てみれば・・・。
この事はフィリップ様にもお伝えしますから、貴女達、覚悟する事ね!」
ローズ様はご令嬢達を睨みつけると、私の手を引いて教室へと向かった。
純粋に私の心配をしてくれたローズ様には何も言えなかったけど、私が震えていたのは彼女達が怖かったからではない。
自分のした事が、怖くなったから・・・。
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