異世界転生したら・・・幼児体型になりました。(旧題:異世界転生したら性悪王子になりました?)

めんとうふ

文字の大きさ
5 / 9

5. 謎の声の正体「ベアー・テディグマ」

しおりを挟む
 母親の声が聞こえて以来、脳内に声が響き渡る事は無い。
 異世界転生して、もう5日目。現世に戻れる兆しが見えない。

 「あぁ~、どうすればいいんだ」

 月の光が差し込む部屋の中、ベットの上で大の字に手を広げ、装飾で飾られた天井に向かって叫んだ。すると、急に視界にクマのヌイグルミが現れた。

 「わぁ!?」
 
 いい歳をして恥ずかしい程に声を出して驚いた。声を出すと同時に咄嗟に起き上がろうとしたが、目の前にヌイグルミがあるため起き上がれず、ただヌイグルミを見つめる事しか出来なかった。

 (君、僕の存在を知っているマッシュじゃないグマね)

 ヌイグルミの口元は動いていないが、はっきりと声が聞こえてくる。脳内に響き渡るみたいに・・・って、そういう事か。

 「この前の声は君だったのか」
 (そうベアね、君は誰グマ?)
 「うん~なんて説明すればいいかなぁ。日本という国から異世界転生して、こっちのマッシュ君に乗り移ってしまった感じかなぁ」

 僕は熊のヌイグルミのボタンで作られた目を見ながら話し掛ける、ってなんだこの状況!? 熊のヌイグルミだぞ!?
 なんで御丁寧に説明してるんだ僕は・・・っと思っていると熊のヌイグルミは、僕の胸の上に四つん這いになり乗ってきた。

 (グマは君の心が本当は読めてるベアね、嘘をつかない正直者は好きグマ。グマの名前は「ベアー・テディグマ」。君の名前は藤田 カナタふじた かなたというグマか)

 本名を言い当てられ動揺を隠し切れない僕の心拍数は急激に上昇し、ただ熊のヌイグルミのボタンの漠然と見つめていた。
 鳩に豆鉄砲という、ことわざが日本にあるが今の僕はまさしくその状況にいる。この世界で自分がマッシュの偽物であるという事を知られたらどうなるのだろう、この世界では当たり前の事なのか? 色々な疑問が一瞬で頭を駆け抜け、その数秒後に頭の思考は完全に停止した。

 (そう驚かなくてもいいグマ、この世界じゃ当たり前の事ベア。グマは君の敵じゃないベア、ただのマッシュの友人グマよ)

 テディグマはそう言うと僕の胸の上から降りて、ベットの端に移動し僕に背を向けた。その背中は少し悲しげで哀愁が漂っていた。その時、僕は長年生きてきて培った直感で感じ取った。

 「ごめん、僕が友人であるマッシュじゃなくて・・・テディグマは、本物のマッシュに会いたいんだね」

 僕がそう言うとテディグマは振り返り、僕の目を見ながら小さな声で言った。

 「君の中に本当のマッシュはいるグマよ、賢者の刻印によって封印されたマッシュが・・・。君には、その封印を解くのを手伝って欲しいグマよ」

 そう言ったテディグマのボタンの目は、何処か悲しげで燃えているように見えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...