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5. 謎の声の正体「ベアー・テディグマ」
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母親の声が聞こえて以来、脳内に声が響き渡る事は無い。
異世界転生して、もう5日目。現世に戻れる兆しが見えない。
「あぁ~、どうすればいいんだ」
月の光が差し込む部屋の中、ベットの上で大の字に手を広げ、装飾で飾られた天井に向かって叫んだ。すると、急に視界にクマのヌイグルミが現れた。
「わぁ!?」
いい歳をして恥ずかしい程に声を出して驚いた。声を出すと同時に咄嗟に起き上がろうとしたが、目の前にヌイグルミがあるため起き上がれず、ただヌイグルミを見つめる事しか出来なかった。
(君、僕の存在を知っているマッシュじゃないグマね)
ヌイグルミの口元は動いていないが、はっきりと声が聞こえてくる。脳内に響き渡るみたいに・・・って、そういう事か。
「この前の声は君だったのか」
(そうベアね、君は誰グマ?)
「うん~なんて説明すればいいかなぁ。日本という国から異世界転生して、こっちのマッシュ君に乗り移ってしまった感じかなぁ」
僕は熊のヌイグルミのボタンで作られた目を見ながら話し掛ける、ってなんだこの状況!? 熊のヌイグルミだぞ!?
なんで御丁寧に説明してるんだ僕は・・・っと思っていると熊のヌイグルミは、僕の胸の上に四つん這いになり乗ってきた。
(グマは君の心が本当は読めてるベアね、嘘をつかない正直者は好きグマ。グマの名前は「ベアー・テディグマ」。君の名前は藤田 カナタというグマか)
本名を言い当てられ動揺を隠し切れない僕の心拍数は急激に上昇し、ただ熊のヌイグルミのボタンの漠然と見つめていた。
鳩に豆鉄砲という、ことわざが日本にあるが今の僕はまさしくその状況にいる。この世界で自分がマッシュの偽物であるという事を知られたらどうなるのだろう、この世界では当たり前の事なのか? 色々な疑問が一瞬で頭を駆け抜け、その数秒後に頭の思考は完全に停止した。
(そう驚かなくてもいいグマ、この世界じゃ当たり前の事ベア。グマは君の敵じゃないベア、ただのマッシュの友人グマよ)
テディグマはそう言うと僕の胸の上から降りて、ベットの端に移動し僕に背を向けた。その背中は少し悲しげで哀愁が漂っていた。その時、僕は長年生きてきて培った直感で感じ取った。
「ごめん、僕が友人であるマッシュじゃなくて・・・テディグマは、本物のマッシュに会いたいんだね」
僕がそう言うとテディグマは振り返り、僕の目を見ながら小さな声で言った。
「君の中に本当のマッシュはいるグマよ、賢者の刻印によって封印されたマッシュが・・・。君には、その封印を解くのを手伝って欲しいグマよ」
そう言ったテディグマのボタンの目は、何処か悲しげで燃えているように見えた。
異世界転生して、もう5日目。現世に戻れる兆しが見えない。
「あぁ~、どうすればいいんだ」
月の光が差し込む部屋の中、ベットの上で大の字に手を広げ、装飾で飾られた天井に向かって叫んだ。すると、急に視界にクマのヌイグルミが現れた。
「わぁ!?」
いい歳をして恥ずかしい程に声を出して驚いた。声を出すと同時に咄嗟に起き上がろうとしたが、目の前にヌイグルミがあるため起き上がれず、ただヌイグルミを見つめる事しか出来なかった。
(君、僕の存在を知っているマッシュじゃないグマね)
ヌイグルミの口元は動いていないが、はっきりと声が聞こえてくる。脳内に響き渡るみたいに・・・って、そういう事か。
「この前の声は君だったのか」
(そうベアね、君は誰グマ?)
「うん~なんて説明すればいいかなぁ。日本という国から異世界転生して、こっちのマッシュ君に乗り移ってしまった感じかなぁ」
僕は熊のヌイグルミのボタンで作られた目を見ながら話し掛ける、ってなんだこの状況!? 熊のヌイグルミだぞ!?
なんで御丁寧に説明してるんだ僕は・・・っと思っていると熊のヌイグルミは、僕の胸の上に四つん這いになり乗ってきた。
(グマは君の心が本当は読めてるベアね、嘘をつかない正直者は好きグマ。グマの名前は「ベアー・テディグマ」。君の名前は藤田 カナタというグマか)
本名を言い当てられ動揺を隠し切れない僕の心拍数は急激に上昇し、ただ熊のヌイグルミのボタンの漠然と見つめていた。
鳩に豆鉄砲という、ことわざが日本にあるが今の僕はまさしくその状況にいる。この世界で自分がマッシュの偽物であるという事を知られたらどうなるのだろう、この世界では当たり前の事なのか? 色々な疑問が一瞬で頭を駆け抜け、その数秒後に頭の思考は完全に停止した。
(そう驚かなくてもいいグマ、この世界じゃ当たり前の事ベア。グマは君の敵じゃないベア、ただのマッシュの友人グマよ)
テディグマはそう言うと僕の胸の上から降りて、ベットの端に移動し僕に背を向けた。その背中は少し悲しげで哀愁が漂っていた。その時、僕は長年生きてきて培った直感で感じ取った。
「ごめん、僕が友人であるマッシュじゃなくて・・・テディグマは、本物のマッシュに会いたいんだね」
僕がそう言うとテディグマは振り返り、僕の目を見ながら小さな声で言った。
「君の中に本当のマッシュはいるグマよ、賢者の刻印によって封印されたマッシュが・・・。君には、その封印を解くのを手伝って欲しいグマよ」
そう言ったテディグマのボタンの目は、何処か悲しげで燃えているように見えた。
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