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8.執事長に会いに行く夜、忍者のコスプレヤーに出会う
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採寸騒動が起きた、その夜。
僕は胸元にテディグマを抱え、執事長室へと向かっていた。
シス婆は悪くないという旨を伝えるためという理由と、"メイから聞いた、"とある気になる事"を執事長に聞くためだ。
執事長カルバドス・ロゲインは、メルセデス騎士団首席騎士、アッシュ・レディー家直属近衛隊隊長、執事長の三つの肩書きを持っている俗に言う天才である。
正直、執事達から聞いている執事長という人物には恐怖しか覚えていない。何事も完璧にこなす超人という反面、背筋が凍るような冷血人間で数々の執事を葬ったという噂や人身実験が趣味という噂があるという。美男子で女受けがいいようだが、男からしてみれば天敵に近い人種だ。
ちなみに僕の部屋は中央館一階にある。執事長室は、執事達が住んでいる別館の一階にあり、そこに行くには警備がいる渡り廊下を通らないといけない。
屋敷内の警備の数は総勢十五名で皆騎士上がりの手練であり、渡り廊下には、警備二名が両廊下入口に立っている。
ここ以外の経路は、外を迂回しないといけないらしく、外の警備は6名いる為にそれは避けたい。これは全てテディグマの情報だグマ。
──数分後──
渡り廊下前に到着した僕とテディグマは、廊下にあった観葉植物の後ろに隠れながら様子を伺った。忍者のような黒装束の格好した大柄な体型の男が立っているのが見える。
「え、忍者のコスプレ?」と僕が呟くと胸元に抱いていたテディグマが喋る。
(そんなのどうでもいいグマ。屋敷の警備内訳は話したベアが、別にそんなコソコソしなくていいグマ。マッシュ・クルーシオは、この屋敷の主の子供、王国の王子グマ。堂々と歩けばなんの問題もないグマよ)
時間の無駄だから早く行けと言わんばかりにテディグマは言い張る。確かに、屋敷の主である子供なのだからコソコソ隠れる必要は無い。だが、時間帯が問題だ。これが昼間なら何の問題もないが、夜間は話が違う。ましてや屋敷の坊ちゃん、王国の王子が夜中に屋敷を徘徊していたら大騒ぎになる。
「そうは言ったって、夜中に1歳にもならない王子の坊ちゃんが屋敷を徘徊してるとなったら大騒ぎになるでしょ」
と、胸元に視線を落としテディグマに話す。僕の背後から忍び寄る黒影に気付かずに・・・
「坊ちゃん、こんな所で夜遅くになにしとん」
「わぁッ!?」
突然、背後から話し掛けられ心臓が口から飛び出そうな程に驚いた僕の口からは、間抜けな声が漏れていた。その後、一瞬で我に返り、声がした方を急いで振り返り確認する。酷く訛った口調で話す黒影の正体は、先程目視した忍者の格好をしている大柄な人物だった。
「べ、別に何もしてないよ!? 貴方は誰・・・!?」
ただ意味もなく、楯突くように声を発すると同時に僕は動揺を隠しきれず、無意識に胸元のテディグマを力強く抱き締めていた。
(痛ッ、痛たたたッ、痛いグマ、落ち着くベアね!!)
テディグマが苦しみ声を出しながら手足をバタバタと動かす。
「あっ・・・、しまった・・・」と心の中で呟くがもう遅い。その光景を見た大柄な男は驚きながら口を開いた。
「おいは警備を担当してる、オイッスって名だぁ。ところで、そんヌイグルミ、動いてんけどなんだぁ?」
幸い、テディグマの声は僕の脳内にしか聞こえていない。これは単なる動く玩具だと認識させればいいだけの話、僕は玩具という事で突き通そうと心の中で腹を括った。
「これは、そういう玩具なんだぁ!」
「なるほどなぁ、近頃の玩具はよくできてるでな。んでだ、坊ちゃん部屋に戻んぞ。おい達警備や執事のもんが、親方に怒られちまうかんな」
意外にも簡単に玩具だと信じてくれたオイッスと名乗る大柄な男は、僕をひょいと抱え上げ居室へと僕を運んだ。部屋に戻るとテディグマと作戦会議をしたが、結論今日の所は無理という判断となった。
(これは仕方ないベア、今日は諦めるベアね)
テディグマに同意した僕は寝床に入り、そして眠りに入った。
僕は胸元にテディグマを抱え、執事長室へと向かっていた。
シス婆は悪くないという旨を伝えるためという理由と、"メイから聞いた、"とある気になる事"を執事長に聞くためだ。
執事長カルバドス・ロゲインは、メルセデス騎士団首席騎士、アッシュ・レディー家直属近衛隊隊長、執事長の三つの肩書きを持っている俗に言う天才である。
正直、執事達から聞いている執事長という人物には恐怖しか覚えていない。何事も完璧にこなす超人という反面、背筋が凍るような冷血人間で数々の執事を葬ったという噂や人身実験が趣味という噂があるという。美男子で女受けがいいようだが、男からしてみれば天敵に近い人種だ。
ちなみに僕の部屋は中央館一階にある。執事長室は、執事達が住んでいる別館の一階にあり、そこに行くには警備がいる渡り廊下を通らないといけない。
屋敷内の警備の数は総勢十五名で皆騎士上がりの手練であり、渡り廊下には、警備二名が両廊下入口に立っている。
ここ以外の経路は、外を迂回しないといけないらしく、外の警備は6名いる為にそれは避けたい。これは全てテディグマの情報だグマ。
──数分後──
渡り廊下前に到着した僕とテディグマは、廊下にあった観葉植物の後ろに隠れながら様子を伺った。忍者のような黒装束の格好した大柄な体型の男が立っているのが見える。
「え、忍者のコスプレ?」と僕が呟くと胸元に抱いていたテディグマが喋る。
(そんなのどうでもいいグマ。屋敷の警備内訳は話したベアが、別にそんなコソコソしなくていいグマ。マッシュ・クルーシオは、この屋敷の主の子供、王国の王子グマ。堂々と歩けばなんの問題もないグマよ)
時間の無駄だから早く行けと言わんばかりにテディグマは言い張る。確かに、屋敷の主である子供なのだからコソコソ隠れる必要は無い。だが、時間帯が問題だ。これが昼間なら何の問題もないが、夜間は話が違う。ましてや屋敷の坊ちゃん、王国の王子が夜中に屋敷を徘徊していたら大騒ぎになる。
「そうは言ったって、夜中に1歳にもならない王子の坊ちゃんが屋敷を徘徊してるとなったら大騒ぎになるでしょ」
と、胸元に視線を落としテディグマに話す。僕の背後から忍び寄る黒影に気付かずに・・・
「坊ちゃん、こんな所で夜遅くになにしとん」
「わぁッ!?」
突然、背後から話し掛けられ心臓が口から飛び出そうな程に驚いた僕の口からは、間抜けな声が漏れていた。その後、一瞬で我に返り、声がした方を急いで振り返り確認する。酷く訛った口調で話す黒影の正体は、先程目視した忍者の格好をしている大柄な人物だった。
「べ、別に何もしてないよ!? 貴方は誰・・・!?」
ただ意味もなく、楯突くように声を発すると同時に僕は動揺を隠しきれず、無意識に胸元のテディグマを力強く抱き締めていた。
(痛ッ、痛たたたッ、痛いグマ、落ち着くベアね!!)
テディグマが苦しみ声を出しながら手足をバタバタと動かす。
「あっ・・・、しまった・・・」と心の中で呟くがもう遅い。その光景を見た大柄な男は驚きながら口を開いた。
「おいは警備を担当してる、オイッスって名だぁ。ところで、そんヌイグルミ、動いてんけどなんだぁ?」
幸い、テディグマの声は僕の脳内にしか聞こえていない。これは単なる動く玩具だと認識させればいいだけの話、僕は玩具という事で突き通そうと心の中で腹を括った。
「これは、そういう玩具なんだぁ!」
「なるほどなぁ、近頃の玩具はよくできてるでな。んでだ、坊ちゃん部屋に戻んぞ。おい達警備や執事のもんが、親方に怒られちまうかんな」
意外にも簡単に玩具だと信じてくれたオイッスと名乗る大柄な男は、僕をひょいと抱え上げ居室へと僕を運んだ。部屋に戻るとテディグマと作戦会議をしたが、結論今日の所は無理という判断となった。
(これは仕方ないベア、今日は諦めるベアね)
テディグマに同意した僕は寝床に入り、そして眠りに入った。
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