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第二部 蘭から薔薇へ 第三章
吹雪會組長・水原柾
ここは中野にあるBARの「ベルモンド」
吹雪會組長の水原は本来は横浜が縄張りだが、この店「ベルモンド」は東京では数少ないが、以前から水原が懇意にしているBARだった。
いかにも昔風の雰囲気が水原の好みで、また水原の助けを求めて来た中森紗季と言う女性が小滝橋に住んでいる事から中野が近いと言う理由だった。
そしてこの店のマスターは水原を決して裏切る事はないことから、相談にはうってつけの場所と言えた。
「ベルモンド」のテーブルでビールを飲みながら友江を待つ水原。
若衆は一人だけ運転手役も兼ねて連れてきていた。
名前は椎名十五。
横浜の伊勢佐木近辺では知らぬ者がいない不良少年だったが、水原が面倒を見る事にして吹雪會に入ったのだ。
金髪のイケメン。身長175。やや痩せ型。
左利きで特にナイフを持たせたら水原ですら手こずるほど。
スーツは着ているがネクタイはしていない。
もっとも水原は赤いブルゾンにジーンズにウェスタンブーツととてもヤクザには見えない姿だが。
そこへ友江に連れられて紗季がやってきた。
麻里子は紗季のマンションで待機だ。
「よう!友江。意外と早かったな。」
「そりゃおじさんの助けを借りるんだから、待たす訳にゃいかねーよ。」
「へえ…お前も社会人らしい対応が出来る様になったじゃねえか。感心感心!」
「なんだ?そりゃ褒めてんのか?それと若衆は一人だけか?」
「ああ。十五はまだ20歳と若いが、腕は一騎当千揃いのうちでも一番頼りになる。
まあ…俺の右腕と言ってもいい。特に刃物を持たせりゃ大したもんだぜ。『笑』」
「どうも…鷹矢組のお嬢さんですね。吹雪會で親父の世話になってる椎名十五です。」
十五は立って頭を下げる。
礼儀正しいがどこかぶっきらぼうな印象を与える青年だ。
顔がいいんだからもっと笑顔を見せれば女にモテるだろうに…と友江は思う。
「鷹矢組はよしてくれ。アタシは親父とは喧嘩中でしばらく組に顔も見せてねえんだ。
でもおじさんが言うならえっと椎名…十五…なんて呼べばいい?」
「じゃあ十五でいいっすよ。
組でもそう呼ばれてるし。それに椎名の姓は施設にいた時につけられた名前でしたから。」
「ナイフを使うのか?どんくらい使える。」
「なんでそんな事を聞くんすか?」
「いや何。アタシらの相手はかなり厄介な奴だからよ。
並の腕じゃ困る。
おじさん。十五のナイフの腕を見てえんだけど。」
十五が水原を見やると水原はニヤリと笑いながら頷く。
すると十五はおもむろに手をパン!と友江の直ぐ目の前で叩いた。友江が驚いて目を瞑った瞬間!
十五が無駄の無い素早い動きで瞬時に友江の背後に回り手首に隠し持ったナイフを友江の喉に突きつけた。
「友江!」
驚いて友江の名を呼ぶ紗季。
友江も驚いた目をして苦笑する。
「おいおい、不意打ちは汚ねえだろ。」
「腕を見せろって言ったっすよね。」
「まあな。」
「合格ですか?」
「まあ…悪かねえ。でもそこでアタシの喉が掻けるか?実戦だとそこでためらう奴が多いからな。」
「鷹矢組のお嬢じゃなきゃ死んでるとこです。」
淡々とした十五の口ぶりに友江は安堵した。
✧こいつ、腹は座ってやがる。
友江も物心ついた時から任侠の世界に育ってきただけあって、その筋の人を見る目はあった。
「友江。もう座興はいいだろう。じゃあ本題を話してくれ。
どうやら退屈せずに済むらしいからな。」
水原は平穏な退屈より波乱のトラブルを好むタチだった。
ーーーーー
「じゃあ中森さんだったか。その立花真希ちゃんって女の娘と隅田明奈って子の護衛を頼みたいって事だな。」
「はい。真希は武田麻里子という私たちの仲間が見てやれますが明奈には目が届きません。
相手が私を狙ってきたと言う事は明奈が危険になるかもしれない。
もし相手が明奈に気がついてないようならもう手は引かせますが、とりあえずはしばらく護衛が欲しいんです。
稲垣は地元の名士でもあり政治家に顔も効くので、我々が警察に駆け込んでもうやむやにされる可能性があるんです。
特に稲垣は稲垣の地元の選出議員の山縣圭介の後援会長ですから。」
「なるほどね…そりゃ確かに厄介だな。
しかしあんたらは女がたったの5人でその和希って言う少年を助けようってのか?
そりゃ無謀ってもんだぜ、命がいくつあっても足りねえよ。
だいたいその和希って子とあんたらはいったいどんな関係なんだい?」
紗季と友江はさすがに口ごもった。まさか…サークルのエッチなドライブ旅行で知り合った仲なんて言える訳ない。
顔を見合わせる紗季と友江を見て水原は笑って髪を撫でた。
「まあ…いいか。あんた達はその子を救ってやるために命まで賭けてるんだ。
その和希って坊やがそれほど価値のある少年なんだろう。
俺ももう2年以上前になるかな?
妙に友情に熱い少年達のある事件に関わった事があってな。
仲間の為に命をかける!いいじゃねえか!
俺はそう言うのは好きだぜ!
昔のハリウッド映画でも仲間の為に命を張るのは定番だからな。
いいぜ、友江。ただ組を挙げてって訳にはいかねえ。吹雪會を挙げてって事になると、事が拗れたら大事になるし、それじゃ関東の同業者とのトラブルになるリスクも有る。
ただし俺個人とここにいる十五。あと吹雪會で一騎当千の若衆をその明奈って娘と真希って娘の護衛につけよう。
それと俺達は裏社会の人間だから独自の情報網がある。
俺からも稲垣の事を探ってやるし、またあんたらの知らないネタを掴んだら教えるさ。
で中森さん。あんたの護衛は要らないのか?」
「紗季さんにはアタシと麻里子がついてるさ。
さすがにおじさんに何もかも頼めねえよ。
それに麻里子は多分アタシより強えし、本当に水原のおじさんが真希と明奈の護衛を引き受けてくれたのは本当にありがたいよ。」
「水原さん。私からもお礼を言います。ありがとうございます。今直ぐにではないですが必ず水原さんにはお礼をさせて頂きます。」
「なあに。気にしないでくれ。中森さんみたいな美人に頼られたら男は悪い気はしないもんだ。『笑』」
水原が親指を立ててニヤッと笑うと友江は感心したように首を振っていた。
「水原のおじさんって、前はただのナンパなスケベ親父と思ってたら…実はカッコいい男だったんだなあ…」
「当たり前だ!俺はハマっ子だぜ❗️」
吹雪會組長の水原は本来は横浜が縄張りだが、この店「ベルモンド」は東京では数少ないが、以前から水原が懇意にしているBARだった。
いかにも昔風の雰囲気が水原の好みで、また水原の助けを求めて来た中森紗季と言う女性が小滝橋に住んでいる事から中野が近いと言う理由だった。
そしてこの店のマスターは水原を決して裏切る事はないことから、相談にはうってつけの場所と言えた。
「ベルモンド」のテーブルでビールを飲みながら友江を待つ水原。
若衆は一人だけ運転手役も兼ねて連れてきていた。
名前は椎名十五。
横浜の伊勢佐木近辺では知らぬ者がいない不良少年だったが、水原が面倒を見る事にして吹雪會に入ったのだ。
金髪のイケメン。身長175。やや痩せ型。
左利きで特にナイフを持たせたら水原ですら手こずるほど。
スーツは着ているがネクタイはしていない。
もっとも水原は赤いブルゾンにジーンズにウェスタンブーツととてもヤクザには見えない姿だが。
そこへ友江に連れられて紗季がやってきた。
麻里子は紗季のマンションで待機だ。
「よう!友江。意外と早かったな。」
「そりゃおじさんの助けを借りるんだから、待たす訳にゃいかねーよ。」
「へえ…お前も社会人らしい対応が出来る様になったじゃねえか。感心感心!」
「なんだ?そりゃ褒めてんのか?それと若衆は一人だけか?」
「ああ。十五はまだ20歳と若いが、腕は一騎当千揃いのうちでも一番頼りになる。
まあ…俺の右腕と言ってもいい。特に刃物を持たせりゃ大したもんだぜ。『笑』」
「どうも…鷹矢組のお嬢さんですね。吹雪會で親父の世話になってる椎名十五です。」
十五は立って頭を下げる。
礼儀正しいがどこかぶっきらぼうな印象を与える青年だ。
顔がいいんだからもっと笑顔を見せれば女にモテるだろうに…と友江は思う。
「鷹矢組はよしてくれ。アタシは親父とは喧嘩中でしばらく組に顔も見せてねえんだ。
でもおじさんが言うならえっと椎名…十五…なんて呼べばいい?」
「じゃあ十五でいいっすよ。
組でもそう呼ばれてるし。それに椎名の姓は施設にいた時につけられた名前でしたから。」
「ナイフを使うのか?どんくらい使える。」
「なんでそんな事を聞くんすか?」
「いや何。アタシらの相手はかなり厄介な奴だからよ。
並の腕じゃ困る。
おじさん。十五のナイフの腕を見てえんだけど。」
十五が水原を見やると水原はニヤリと笑いながら頷く。
すると十五はおもむろに手をパン!と友江の直ぐ目の前で叩いた。友江が驚いて目を瞑った瞬間!
十五が無駄の無い素早い動きで瞬時に友江の背後に回り手首に隠し持ったナイフを友江の喉に突きつけた。
「友江!」
驚いて友江の名を呼ぶ紗季。
友江も驚いた目をして苦笑する。
「おいおい、不意打ちは汚ねえだろ。」
「腕を見せろって言ったっすよね。」
「まあな。」
「合格ですか?」
「まあ…悪かねえ。でもそこでアタシの喉が掻けるか?実戦だとそこでためらう奴が多いからな。」
「鷹矢組のお嬢じゃなきゃ死んでるとこです。」
淡々とした十五の口ぶりに友江は安堵した。
✧こいつ、腹は座ってやがる。
友江も物心ついた時から任侠の世界に育ってきただけあって、その筋の人を見る目はあった。
「友江。もう座興はいいだろう。じゃあ本題を話してくれ。
どうやら退屈せずに済むらしいからな。」
水原は平穏な退屈より波乱のトラブルを好むタチだった。
ーーーーー
「じゃあ中森さんだったか。その立花真希ちゃんって女の娘と隅田明奈って子の護衛を頼みたいって事だな。」
「はい。真希は武田麻里子という私たちの仲間が見てやれますが明奈には目が届きません。
相手が私を狙ってきたと言う事は明奈が危険になるかもしれない。
もし相手が明奈に気がついてないようならもう手は引かせますが、とりあえずはしばらく護衛が欲しいんです。
稲垣は地元の名士でもあり政治家に顔も効くので、我々が警察に駆け込んでもうやむやにされる可能性があるんです。
特に稲垣は稲垣の地元の選出議員の山縣圭介の後援会長ですから。」
「なるほどね…そりゃ確かに厄介だな。
しかしあんたらは女がたったの5人でその和希って言う少年を助けようってのか?
そりゃ無謀ってもんだぜ、命がいくつあっても足りねえよ。
だいたいその和希って子とあんたらはいったいどんな関係なんだい?」
紗季と友江はさすがに口ごもった。まさか…サークルのエッチなドライブ旅行で知り合った仲なんて言える訳ない。
顔を見合わせる紗季と友江を見て水原は笑って髪を撫でた。
「まあ…いいか。あんた達はその子を救ってやるために命まで賭けてるんだ。
その和希って坊やがそれほど価値のある少年なんだろう。
俺ももう2年以上前になるかな?
妙に友情に熱い少年達のある事件に関わった事があってな。
仲間の為に命をかける!いいじゃねえか!
俺はそう言うのは好きだぜ!
昔のハリウッド映画でも仲間の為に命を張るのは定番だからな。
いいぜ、友江。ただ組を挙げてって訳にはいかねえ。吹雪會を挙げてって事になると、事が拗れたら大事になるし、それじゃ関東の同業者とのトラブルになるリスクも有る。
ただし俺個人とここにいる十五。あと吹雪會で一騎当千の若衆をその明奈って娘と真希って娘の護衛につけよう。
それと俺達は裏社会の人間だから独自の情報網がある。
俺からも稲垣の事を探ってやるし、またあんたらの知らないネタを掴んだら教えるさ。
で中森さん。あんたの護衛は要らないのか?」
「紗季さんにはアタシと麻里子がついてるさ。
さすがにおじさんに何もかも頼めねえよ。
それに麻里子は多分アタシより強えし、本当に水原のおじさんが真希と明奈の護衛を引き受けてくれたのは本当にありがたいよ。」
「水原さん。私からもお礼を言います。ありがとうございます。今直ぐにではないですが必ず水原さんにはお礼をさせて頂きます。」
「なあに。気にしないでくれ。中森さんみたいな美人に頼られたら男は悪い気はしないもんだ。『笑』」
水原が親指を立ててニヤッと笑うと友江は感心したように首を振っていた。
「水原のおじさんって、前はただのナンパなスケベ親父と思ってたら…実はカッコいい男だったんだなあ…」
「当たり前だ!俺はハマっ子だぜ❗️」
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