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第一章︰転生
第05話
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「さて、お腹空いた?なんか食べる?」
「お、それはありがたい。何も食ってないからな。」
「じゃ少し待ってて。」
昔話の後、この森のことやラルフの役割など聞いたが一貫して感じたのは
人間はクソザコナメクジってことだ。聞いた内容をまとめると・・・
<ラルフとピリトの役割>
森の西側出入口の警護を担当。
ほかにも色々な種族や役割があるらしい。
<森のこと>
インガの森。
この大陸で最古の森とのこと。因果の森・・・?
<周辺のこと>
人間の国がここからまっすぐ100kmほどにある。
人間は群れないと生きられない為、国からハブれた者達も集落を作る。
森の南側には海があり、その向こうには見知らぬ亜人の国がある。
東側は人間の集落とドラゴンが住む山岳部。北側は知らないとのこと。
<人間のこと>
劣等種族。しかし言葉を発することが出来るのでコネクターを生む種族の認識。
50~60歳ぐらいが平均寿命でこの世界からしたら平均の10分の1の寿命。
あまりに弱いので、旅人が魔獣に捕食される。エルフにも食べられたり・・・?
<コネクターのこと>
人間のコネクターは後発的なもの。
妖精に気に入られた者が妖精と契約し、コネクターが生まれる。
しかし、ここ50年ほど新たなコネクターは生まれていない。
現在では70歳と90歳の二人が現役のコネクターとのこと。
俺と同じように転生したコネクターも過去に三人いたらしいが故人。
三英雄と呼ばれているらしいが、ラルフは鼻で笑っていた。
でも、コネクターのおかげで人間の地位はそれなりに守られており、
人間側から迷いこまない限り、森の民やドラゴンは不可侵の契約となっている。
転生者が故人だったのは話を聞こうとしていた俺からしたら肩を落とす内容だが、
それでもこの世界における人間の扱いは分かった。
コネクターがいなかった時は人がどんな扱いをされていたのか分からんな・・・
人間達はコネクターの卵を育てるのに必死なようだが、地位確保の為なら当然か。
人間が神から与えられた言葉というスキル。
この森の動物達も念話でやり取りしているが、なんの違いがあるのだろうか。
長い期間を経て、ジャスチャーとか諸々を経て通訳がいてもおかしくない気がする。
まぁいいか郷に入っては郷に従えだ・・・・
ぼーっと考えていたらピリトが木の皿を持って来てくれた。
「はいどうぞ。」
「・・・・」
でかいカブト虫みたいなものに緑色のソースがかかってる。
この上なくヤヴァイビジュアルだ。やばいじゃないぞ。ヤヴァイだ。
「私は口がないから食べられないけど・・・おいしいとは聞いてる。」
本当かよ。カブト虫だぞ。さすがにこれは・・・
でもせっかく出してくれたんだし。食っても死にはしないだろう。
ケツの穴が痛い。
卑猥な意味ではなくお腹を下した。
「お前、こんなんで腹下してんのか。生きられんのか本当に。」
猪木みたいな言い回ししやがって。
そのあとに渋々と出してくれた木の実の盛り合わせが一番だな。
ちょっと苦いが普通の味だし、とりあえずは活力も出てきた。
・・・ちょうどいい。乗りかかった船だ。お願いしてみよう。
「人間の・・・ヒューマンの集落にいってみたいんだけど・・・・」
「お前・・・俺達をいいように扱ってねえか?
俺達はコネクターを保護する慣わしに従ってしょうがなく保護しているが、
それはあくまで価値があるからだ。その点、お前ただの浮浪者じゃねえか。」
直球で正論すぎて耳が痛い。
「まぁまぁ対価を得るにも他の色々学ばないとどうにもならないでしょ。
いいじゃん一緒に行ってやりなよラルフ。」
「「え」」
翌日。
ラルフを横に俺は微かに見えた人間の集落に向かって歩いている。
およそ2時間ほどで着くらしいのだが暇である。
少し気になっていたことを聞いてみるか。
「なぁ・・・念話ってイマイチ相手の状況掴みにくいというか・・・
文字が頭の中に入ってくる感じだから相手の性別とか分からないな。」
「・・・・」
「なんで黙るの?」
「・・・お前は魔獣の性別とか気にするのか?」
「え?別に気にしているわけじゃないけど、念話だと分からないなーと。」
「そうか。」
「ラルフはオスとして、アルラウネのピリトはやっぱりメスなの?」
「・・・・」
「なんで黙るの?」
二回目の沈黙は意味深だからやめてくれ。
「ピリトは両性の亜人で性別がない。俺は・・・メスだ。」
「まぁアルラウネはどうみても植物だしなぁ。」
ん?
「え・・・ラルフってメスなの?」
てっきり、というかオスにしか・・・・なるほど、俺っ娘タヌキというやつか。
「気にしてるんだから、性別の話はやめろ。」
ラルフが気にしてるんだから素直に従っておこう。別にケモナーじゃないしな。
「あー・・・それはそれとして、俺はあまりヒューマンに会いたくはないんだが。」
「なんで?」
「コチラは敵意がないのに、めちゃくちゃ怖がられる。」
弱肉強食の世界じゃそうなのか。
人間の俺がいるからピリトは人間の集落に一緒に行くことを許可したと。
「おおか...タヌキや森の動物は人間...ヒューマンとコンタクトしないのか?」
「別に言い直さなくていい。ヒューマンとの会話は・・・」
ラルフは面倒くさそうに答えてくれた。
コネクター以外の人間は念話が出来ない。
だから敵意がなくても怖がられたらどうしようもならない。
意志疎通をするにはコネクターを介する必要があり、物流等を含め依頼するとのこと。
それ以外では基本的に接点は持たない。迷って捕食される者を除いて。
昨日ピリトから聞いた話通りではあるが、意思疎通が出来ないのは不便だな。
「気になってたんだが、コネクターはこの世界で妖精?と契約して生まれるんだよな?」
「そうだ。妖精に気に入られたものだけだが。」
「俺は妖精とか関係ないんだけど。」
ラルフの歩みが止まる。
「それだ。俺も話を聞いただけだが、お前らのような転生者は邪神と同じように・・・」
「ん?」
「実際にヒューマンの集落で試したほうがいいな。」
実際に試すとはなんなのか。会話するだけが俺の武器なのに。
もうそれが俺の能力だってことは確定だろう。
集落の入口には守備をする者が二人。
・・・なぜラルフは俺の後ろに隠れるんだ。
森のハンターならなら堂々としてほしい。
「だから嫌なんだって。敵意がなくても攻撃してくるんだぞ。痛いのは嫌だ。」
確かに理不尽だな。前の世界の熊とかもこんな気持ちなんだろうか。
とりあえずラルフは草むらに隠れてもらい、入口を衛る者に声をかける。
約一日ぶりの肉声だ。
「あのーこの集落の方と話をしたいんですが。貴方たちでもいいんですけど。」
「~~~?」
え?なにいってるのか分からん・・・やっぱり日本語じゃだめか。
参ったな、英語で通じるのかは分かんが、TOEIC395点の俺は英語も怪しいぞ。
念話は・・・もちろんダメか。
「~~~~!!」
「待って待って!」
「目を見て他のことを考えずに伝えろ。」
50mほど離れたところからラルフ先生の念話!
目を見てー
話したい・・・話したい・・・話したい・・・・
キリッ!
「私は旅の者です。このあたりの事が分からないのでお話を聞かせて頂きたく。」
「~~~!!ん?やっと言葉が通じたか。」
「わけの分からん言葉で喋るなよ。南方の島国から来たかと思ったわ。」
肉声で喋ってるのに通じる理屈が分からない。だがとりあえずは・・・
「記憶が曖昧で色々と教えてほしくて。」
「教えてやるぐらいなら構わんぞ。入って休むことも許可する。」
「だが施しはできんかもしれんぞ。余裕はないからな。」
「はい。ありがとうございます。あ、あと連れている犬も近くにいるのですが」
「犬?まぁ別に構わんが。一匹ぐらいなら。」
「大丈夫だってーラルフー」
念話と切り替えるのにちょっと考えてしまうな。
慣れるしかない。
「・・・え?あー・・・うーん分かった。」
ラルフが草むらから姿を現す。
それと見た入り口を衛るもの達の顔色が青色になっていく。
え・・・やばいか?
「た、、、たタヌキじゃねえかああああ!」
「緊急ー!人を呼べ!!!!」
まずいことになったZE☆
「お、それはありがたい。何も食ってないからな。」
「じゃ少し待ってて。」
昔話の後、この森のことやラルフの役割など聞いたが一貫して感じたのは
人間はクソザコナメクジってことだ。聞いた内容をまとめると・・・
<ラルフとピリトの役割>
森の西側出入口の警護を担当。
ほかにも色々な種族や役割があるらしい。
<森のこと>
インガの森。
この大陸で最古の森とのこと。因果の森・・・?
<周辺のこと>
人間の国がここからまっすぐ100kmほどにある。
人間は群れないと生きられない為、国からハブれた者達も集落を作る。
森の南側には海があり、その向こうには見知らぬ亜人の国がある。
東側は人間の集落とドラゴンが住む山岳部。北側は知らないとのこと。
<人間のこと>
劣等種族。しかし言葉を発することが出来るのでコネクターを生む種族の認識。
50~60歳ぐらいが平均寿命でこの世界からしたら平均の10分の1の寿命。
あまりに弱いので、旅人が魔獣に捕食される。エルフにも食べられたり・・・?
<コネクターのこと>
人間のコネクターは後発的なもの。
妖精に気に入られた者が妖精と契約し、コネクターが生まれる。
しかし、ここ50年ほど新たなコネクターは生まれていない。
現在では70歳と90歳の二人が現役のコネクターとのこと。
俺と同じように転生したコネクターも過去に三人いたらしいが故人。
三英雄と呼ばれているらしいが、ラルフは鼻で笑っていた。
でも、コネクターのおかげで人間の地位はそれなりに守られており、
人間側から迷いこまない限り、森の民やドラゴンは不可侵の契約となっている。
転生者が故人だったのは話を聞こうとしていた俺からしたら肩を落とす内容だが、
それでもこの世界における人間の扱いは分かった。
コネクターがいなかった時は人がどんな扱いをされていたのか分からんな・・・
人間達はコネクターの卵を育てるのに必死なようだが、地位確保の為なら当然か。
人間が神から与えられた言葉というスキル。
この森の動物達も念話でやり取りしているが、なんの違いがあるのだろうか。
長い期間を経て、ジャスチャーとか諸々を経て通訳がいてもおかしくない気がする。
まぁいいか郷に入っては郷に従えだ・・・・
ぼーっと考えていたらピリトが木の皿を持って来てくれた。
「はいどうぞ。」
「・・・・」
でかいカブト虫みたいなものに緑色のソースがかかってる。
この上なくヤヴァイビジュアルだ。やばいじゃないぞ。ヤヴァイだ。
「私は口がないから食べられないけど・・・おいしいとは聞いてる。」
本当かよ。カブト虫だぞ。さすがにこれは・・・
でもせっかく出してくれたんだし。食っても死にはしないだろう。
ケツの穴が痛い。
卑猥な意味ではなくお腹を下した。
「お前、こんなんで腹下してんのか。生きられんのか本当に。」
猪木みたいな言い回ししやがって。
そのあとに渋々と出してくれた木の実の盛り合わせが一番だな。
ちょっと苦いが普通の味だし、とりあえずは活力も出てきた。
・・・ちょうどいい。乗りかかった船だ。お願いしてみよう。
「人間の・・・ヒューマンの集落にいってみたいんだけど・・・・」
「お前・・・俺達をいいように扱ってねえか?
俺達はコネクターを保護する慣わしに従ってしょうがなく保護しているが、
それはあくまで価値があるからだ。その点、お前ただの浮浪者じゃねえか。」
直球で正論すぎて耳が痛い。
「まぁまぁ対価を得るにも他の色々学ばないとどうにもならないでしょ。
いいじゃん一緒に行ってやりなよラルフ。」
「「え」」
翌日。
ラルフを横に俺は微かに見えた人間の集落に向かって歩いている。
およそ2時間ほどで着くらしいのだが暇である。
少し気になっていたことを聞いてみるか。
「なぁ・・・念話ってイマイチ相手の状況掴みにくいというか・・・
文字が頭の中に入ってくる感じだから相手の性別とか分からないな。」
「・・・・」
「なんで黙るの?」
「・・・お前は魔獣の性別とか気にするのか?」
「え?別に気にしているわけじゃないけど、念話だと分からないなーと。」
「そうか。」
「ラルフはオスとして、アルラウネのピリトはやっぱりメスなの?」
「・・・・」
「なんで黙るの?」
二回目の沈黙は意味深だからやめてくれ。
「ピリトは両性の亜人で性別がない。俺は・・・メスだ。」
「まぁアルラウネはどうみても植物だしなぁ。」
ん?
「え・・・ラルフってメスなの?」
てっきり、というかオスにしか・・・・なるほど、俺っ娘タヌキというやつか。
「気にしてるんだから、性別の話はやめろ。」
ラルフが気にしてるんだから素直に従っておこう。別にケモナーじゃないしな。
「あー・・・それはそれとして、俺はあまりヒューマンに会いたくはないんだが。」
「なんで?」
「コチラは敵意がないのに、めちゃくちゃ怖がられる。」
弱肉強食の世界じゃそうなのか。
人間の俺がいるからピリトは人間の集落に一緒に行くことを許可したと。
「おおか...タヌキや森の動物は人間...ヒューマンとコンタクトしないのか?」
「別に言い直さなくていい。ヒューマンとの会話は・・・」
ラルフは面倒くさそうに答えてくれた。
コネクター以外の人間は念話が出来ない。
だから敵意がなくても怖がられたらどうしようもならない。
意志疎通をするにはコネクターを介する必要があり、物流等を含め依頼するとのこと。
それ以外では基本的に接点は持たない。迷って捕食される者を除いて。
昨日ピリトから聞いた話通りではあるが、意思疎通が出来ないのは不便だな。
「気になってたんだが、コネクターはこの世界で妖精?と契約して生まれるんだよな?」
「そうだ。妖精に気に入られたものだけだが。」
「俺は妖精とか関係ないんだけど。」
ラルフの歩みが止まる。
「それだ。俺も話を聞いただけだが、お前らのような転生者は邪神と同じように・・・」
「ん?」
「実際にヒューマンの集落で試したほうがいいな。」
実際に試すとはなんなのか。会話するだけが俺の武器なのに。
もうそれが俺の能力だってことは確定だろう。
集落の入口には守備をする者が二人。
・・・なぜラルフは俺の後ろに隠れるんだ。
森のハンターならなら堂々としてほしい。
「だから嫌なんだって。敵意がなくても攻撃してくるんだぞ。痛いのは嫌だ。」
確かに理不尽だな。前の世界の熊とかもこんな気持ちなんだろうか。
とりあえずラルフは草むらに隠れてもらい、入口を衛る者に声をかける。
約一日ぶりの肉声だ。
「あのーこの集落の方と話をしたいんですが。貴方たちでもいいんですけど。」
「~~~?」
え?なにいってるのか分からん・・・やっぱり日本語じゃだめか。
参ったな、英語で通じるのかは分かんが、TOEIC395点の俺は英語も怪しいぞ。
念話は・・・もちろんダメか。
「~~~~!!」
「待って待って!」
「目を見て他のことを考えずに伝えろ。」
50mほど離れたところからラルフ先生の念話!
目を見てー
話したい・・・話したい・・・話したい・・・・
キリッ!
「私は旅の者です。このあたりの事が分からないのでお話を聞かせて頂きたく。」
「~~~!!ん?やっと言葉が通じたか。」
「わけの分からん言葉で喋るなよ。南方の島国から来たかと思ったわ。」
肉声で喋ってるのに通じる理屈が分からない。だがとりあえずは・・・
「記憶が曖昧で色々と教えてほしくて。」
「教えてやるぐらいなら構わんぞ。入って休むことも許可する。」
「だが施しはできんかもしれんぞ。余裕はないからな。」
「はい。ありがとうございます。あ、あと連れている犬も近くにいるのですが」
「犬?まぁ別に構わんが。一匹ぐらいなら。」
「大丈夫だってーラルフー」
念話と切り替えるのにちょっと考えてしまうな。
慣れるしかない。
「・・・え?あー・・・うーん分かった。」
ラルフが草むらから姿を現す。
それと見た入り口を衛るもの達の顔色が青色になっていく。
え・・・やばいか?
「た、、、たタヌキじゃねえかああああ!」
「緊急ー!人を呼べ!!!!」
まずいことになったZE☆
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