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24話 現実にて②
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頭痛が止まらないな……。
もう一日経っているのにどうしてだよ……。
「本当に大丈夫なの? 帰って来てからずっと顔色悪いみたいだしさ。」
炎天下、今日も捜索は続いている。近況と言えば新しく二枚のメモが見つかったぐらい。
後はあき以外の四人が頭痛に見舞われていた。
しかしなぜか僕だけが未だに頭痛が続いているようだった。
朝から頭がガンガンしている。一体なぜだろうか。僕には一切わからなかった。
「出ねーなやっぱ。なあ、本当におかしくねえか? こんな時間まで連絡無しってさ。」
日をまたぎ、そろそろ様相のおかしさが露呈し始めた。
俺らはその違和感を抑えられずに、俺、元橋隼人と幼馴染の来海は真道の家に来ていた。
「まあ、そうね。真道君だけならまだしも、あのあきからも連絡が無いんじゃ、緊急事態と言わざるを得ないわね。」
来海の口ぶりからは、まるで真道が非常識であるかのように聞こえてしまう。
しかし実際、真道は最低限のマナーや常識は持っている人だ。
確かに遅刻は多いし突っ走る傾向にあるけれど、人の話をちゃんと聞くし、思いやりも人並み以上にある。
「クソッ。あいつ留守っぽいな……。サスペンスドラマみてえに鍵開いてるとかねえのかな……。」
俺は冗談めかしく言って、半ば諦めの気分でドアノブに手をかけた。そしてそっと回してみた。
「おい、扉開いてるぞ……。」
俺は狼狽えた。てっきりスーパーで食料品でも買いに行っているのものだと勝手に思い込んでいた。
だから、本当に俺の言葉通りのなるとは夢にも思っていなかった。
混乱を隠せずにいる俺を尻目に、来海は呆れたように言った。
「別に、鍵をかけ忘れただけかもしれないじゃない。なんでそんな青くなってるのよ。変だと思うなら入って確かめてみましょう。そうすれば全てわかるじゃない。」
時々こいつ、犯罪者みたいな事言うんだよな。
まったく、しっかりしているのか、天然なのか分かんねえよ。
僕は若干引き気味の感情を抱いていた。
とりあえず俺らは勝手に真道の家に上がった。
玄関から見た感じ時に荒れた感じは無い。というか不自然なくらい放置されている気がする。少し嫌な気配が俺の心を掠った。
靴下が一足脱ぎっぱなしで、窓は締め切られている。しかも台所のシンクには食器類がない。
もしかしたら、夕飯食べずに寝たのかもしれない。そう俺は思った。
カップラーメンやコンビニ弁当も考えたがあいつは毎日自炊するタイプの人間。だからゴミ袋に入っていなのは当然だった。
「肝心の真道は寝室かな。」
「ええ。そうみたいよ。」
寝室らしき部屋の中から来海の声が聞こえてきた。彼女の辞書に遠慮という文字は入っていないようで、ずかずかと真道のプライベートな空間に入り込んでいた。
とりあえず、来海の元に向かってみる。
「こいつ、寝てんのかよ……。」
最近勉強漬けで疲れている、なんて話を耳にしたから、ひと段落して早めに寝たのだろう。
それで熟睡した挙句この時間になっても起きない、そんなところだろう。
「おい、真道、起きろよ。」
しかしベッドのそいつからの反応は無かった。
「真道、おい……、冗談キツイぜ。寝たふりしてるんだよな。」
俺は少し強めに揺した。
それでも、涼しい顔で眠っているあいつの顔は崩れなかった。
「お、おい。う、嘘だよな。起きろよ真道、おい、おい‼」
俺はさらに激しく体を揺らした。しかし、状況は一向に変わらなかった。
「ちょっとどいて。」
言った来海は、首元に指を押し当てると、安堵したように息をふーと吐いた。
「とりあえず、死んでいる訳じゃなさそうね。ただ息をしていないわ。急いで救急車を呼んで。私はあきのとこ行ってくるからここはよろしく。」
「あ、ああ……。」
来海に突き飛ばされてから、腰が抜けて立てなくなってしまった。発する声も情けない声色になってしまう。
彼女に突き飛ばされた拍子に、ぴんと張っていた糸が切れてしまったようだった。
「心配なのは分かるけど、まずは真道君たちの体が優先。目覚めた後で好きなだけ文句言えばいいじゃない、ね?」
「確かにな……。気を付けて行ってこいよ。」
「ええ。ありがと。」
そう言い残すと、来海は飛び出すように部屋を後にした。
やっぱり来海は強かった。
腰を抜かしてその場に座り込んだ俺とは対照的に、先々を考えて的確な行動をとっている。
そんな来海がかっこよくて仕方がなかった。
あいつの言う通りだ。今はこいつらの体優先。起きた後、聞き飽きるほど文句を言ってやろう。
そうじゃなきゃ、僕らの気持ちと釣り合わない。
もう一日経っているのにどうしてだよ……。
「本当に大丈夫なの? 帰って来てからずっと顔色悪いみたいだしさ。」
炎天下、今日も捜索は続いている。近況と言えば新しく二枚のメモが見つかったぐらい。
後はあき以外の四人が頭痛に見舞われていた。
しかしなぜか僕だけが未だに頭痛が続いているようだった。
朝から頭がガンガンしている。一体なぜだろうか。僕には一切わからなかった。
「出ねーなやっぱ。なあ、本当におかしくねえか? こんな時間まで連絡無しってさ。」
日をまたぎ、そろそろ様相のおかしさが露呈し始めた。
俺らはその違和感を抑えられずに、俺、元橋隼人と幼馴染の来海は真道の家に来ていた。
「まあ、そうね。真道君だけならまだしも、あのあきからも連絡が無いんじゃ、緊急事態と言わざるを得ないわね。」
来海の口ぶりからは、まるで真道が非常識であるかのように聞こえてしまう。
しかし実際、真道は最低限のマナーや常識は持っている人だ。
確かに遅刻は多いし突っ走る傾向にあるけれど、人の話をちゃんと聞くし、思いやりも人並み以上にある。
「クソッ。あいつ留守っぽいな……。サスペンスドラマみてえに鍵開いてるとかねえのかな……。」
俺は冗談めかしく言って、半ば諦めの気分でドアノブに手をかけた。そしてそっと回してみた。
「おい、扉開いてるぞ……。」
俺は狼狽えた。てっきりスーパーで食料品でも買いに行っているのものだと勝手に思い込んでいた。
だから、本当に俺の言葉通りのなるとは夢にも思っていなかった。
混乱を隠せずにいる俺を尻目に、来海は呆れたように言った。
「別に、鍵をかけ忘れただけかもしれないじゃない。なんでそんな青くなってるのよ。変だと思うなら入って確かめてみましょう。そうすれば全てわかるじゃない。」
時々こいつ、犯罪者みたいな事言うんだよな。
まったく、しっかりしているのか、天然なのか分かんねえよ。
僕は若干引き気味の感情を抱いていた。
とりあえず俺らは勝手に真道の家に上がった。
玄関から見た感じ時に荒れた感じは無い。というか不自然なくらい放置されている気がする。少し嫌な気配が俺の心を掠った。
靴下が一足脱ぎっぱなしで、窓は締め切られている。しかも台所のシンクには食器類がない。
もしかしたら、夕飯食べずに寝たのかもしれない。そう俺は思った。
カップラーメンやコンビニ弁当も考えたがあいつは毎日自炊するタイプの人間。だからゴミ袋に入っていなのは当然だった。
「肝心の真道は寝室かな。」
「ええ。そうみたいよ。」
寝室らしき部屋の中から来海の声が聞こえてきた。彼女の辞書に遠慮という文字は入っていないようで、ずかずかと真道のプライベートな空間に入り込んでいた。
とりあえず、来海の元に向かってみる。
「こいつ、寝てんのかよ……。」
最近勉強漬けで疲れている、なんて話を耳にしたから、ひと段落して早めに寝たのだろう。
それで熟睡した挙句この時間になっても起きない、そんなところだろう。
「おい、真道、起きろよ。」
しかしベッドのそいつからの反応は無かった。
「真道、おい……、冗談キツイぜ。寝たふりしてるんだよな。」
俺は少し強めに揺した。
それでも、涼しい顔で眠っているあいつの顔は崩れなかった。
「お、おい。う、嘘だよな。起きろよ真道、おい、おい‼」
俺はさらに激しく体を揺らした。しかし、状況は一向に変わらなかった。
「ちょっとどいて。」
言った来海は、首元に指を押し当てると、安堵したように息をふーと吐いた。
「とりあえず、死んでいる訳じゃなさそうね。ただ息をしていないわ。急いで救急車を呼んで。私はあきのとこ行ってくるからここはよろしく。」
「あ、ああ……。」
来海に突き飛ばされてから、腰が抜けて立てなくなってしまった。発する声も情けない声色になってしまう。
彼女に突き飛ばされた拍子に、ぴんと張っていた糸が切れてしまったようだった。
「心配なのは分かるけど、まずは真道君たちの体が優先。目覚めた後で好きなだけ文句言えばいいじゃない、ね?」
「確かにな……。気を付けて行ってこいよ。」
「ええ。ありがと。」
そう言い残すと、来海は飛び出すように部屋を後にした。
やっぱり来海は強かった。
腰を抜かしてその場に座り込んだ俺とは対照的に、先々を考えて的確な行動をとっている。
そんな来海がかっこよくて仕方がなかった。
あいつの言う通りだ。今はこいつらの体優先。起きた後、聞き飽きるほど文句を言ってやろう。
そうじゃなきゃ、僕らの気持ちと釣り合わない。
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