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4話 特進の見え方
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「ちょっと本屋付き合ってくれる?」
「いいよ。」
彩白は唐突に僕にそんなお願いをした。僕にはこの後特に予定もなかったから、即座にオッケーした。
「どう今のクラス?」
「慣れたよ、もう。あんなにぶっ飛んでた人ばっかで、初めは驚いたし、印象と真逆で少し安心した部分もあった。」
「でも、一番キャラ濃いのキー君だからね?」
「嘘つけよ! 僕ただのツッコミだから、キャラの濃淡ないよ!」
ほとんど乗客のいないバスの中、僕らは2人で下校していた。
人がいないからこそ、この声量で話せるわけだ。
「いやいや、キー君。自分のキャラクター性はね自分には分からないものだよ~!」
いや、分かってるわ!! クラスであれだけキャラの濃いボケ陣が揃ってて、それをただ捌いている僕とじゃ、キャラ性なんて比べ物にならないだろ!
「彩白さんや……。僕の個性はですね、ボケあってのものなんですよ。」
「ほうほう。続けたまえ。」
「濃いキャラのボケがいないと、僕のキャラは濃くないわけで。」
「なるほどですねー。じゃあ君のキャラは薄いんだよ!」
「おい! そこはさ、食い下がらないで、僕を褒めるとこでしょ!?」
「えっ、そうなの?」
「あれ? 違った?」
流れ的にはそうのはずだし、もっとこう僕に都合の良いようになる感じじゃないのか?
「まあ、何でも良いよ。……私さ、思うんだ。」
「あ、うん。」
「何で特進クラスの雰囲気が怖がられるんだろうってさ。」
「あー、確かにね。」
「あれ、興味ない感じ?」
「そうじゃなくて、確かになと思ってさ。」
僕がこのクラスに始めて入った時、不安感と恐怖心しかなかった。
別に何か酷いことをされた訳でもなく、ただイメージとして怖い印象があった。
「内輪でずっと話してるからじゃない?」
「というと?」
「特進クラスの人達って、怖いぐらい全員と仲良くてさ。そこに入り込む隙がないんだよね。だから、その中で何が行われてるのか分からないんだよ。」
結論、僕が中に入って思ったことは、何も無かったということ。誰かの悪口を言う訳でもなく、いじめることもしない。
ただ、内輪で全てが完結しているだけだった。
「なるほどね。やっぱり、外から見た景色が私たちには分からないのよ。」
そうだと思うよ。主観と客観は反対だからね、見え方が違うのは仕方ない。
そんな、彩白と柄にもなく真面目な話を繰り広げた後は、他愛もない笑い話をした。
そして、バスは最後の停留所に着くと、僕らは荷物を持って下車し、駅に併設されている百貨店の上の方の階の本屋に立ち寄った。
「彩白って漫画とかラノベ読むんだな。」
「えっ、逆に読まないって選択肢ないと思うけど。」
うわ、ガチのオタクだ。本を見る顔もガチだし、話しかけづらっ!
「僕来た意味ある?」
「うん。だって女子1人じゃ怖いじゃん。」
「何が?」
「もしかしたら、誰かに襲われるかもしれないじゃない!!」
「もしかしたら過ぎる……。」
そんな可能性信じてたら、何も出来なくなるぞ。
次に彩白はおもむろにある本を手に取り僕に見せてきた。
「えっ、彩白もリ○ロ読んでんの?」
「全部読んだよ。キー君はどのキャラ推し?」
「白い髪のキャラ。」
「うわ……。分かってないね。そこは青髪のショートのキャラでしょ!」
「いや、そこは譲れないな!」
「こっちだって。そこだけは譲らない!」
そんなオタトークを30分ほど繰り広げた後、僕らは本屋を後にし、帰路に着いた。
「私こっちだから、バイバイ。あっ、女子が1人で暗闇の道を歩くのが危険だ。なんてカッコいい理由でついてくるならいいけど、どうする?」
「えっと、女子?」
「キー君、それ言っちゃうんだ。あー、こんな美少女に対してそんなこと言うんだ。」
「うわっ、自分で美少女とか、キモいって……。」
「何を!? 次会った時は覚えてなさい!」
「いやさ、彩白って本当に顔とか可愛い方だし、スタイルいいから、ボケにならないんだよ。」
彩白からそういう類のボケ振られると困るんだよな……。だってボケがボケじゃないんだもん。
「ねえ、口説いてる?」
「は? 何で僕が彩白を口説くのさ。」
「だって可愛いとか、スタイルいいとか、そんな歯の浮くようなセリフ、そうじゃなきゃ言えないなと思って。」
「ん? だって事実を述べただけだし。そんなつもりないよ。」
僕は彩白の意図がいまいち見えてこなかった。
「ま、まあいいよ。また明日ね。」
「う、うん。」
そう言って僕らはお互い別々の帰路に着いた。僕は彩白の挙動のおかしくなったのが、少し気がかりだった。
「いいよ。」
彩白は唐突に僕にそんなお願いをした。僕にはこの後特に予定もなかったから、即座にオッケーした。
「どう今のクラス?」
「慣れたよ、もう。あんなにぶっ飛んでた人ばっかで、初めは驚いたし、印象と真逆で少し安心した部分もあった。」
「でも、一番キャラ濃いのキー君だからね?」
「嘘つけよ! 僕ただのツッコミだから、キャラの濃淡ないよ!」
ほとんど乗客のいないバスの中、僕らは2人で下校していた。
人がいないからこそ、この声量で話せるわけだ。
「いやいや、キー君。自分のキャラクター性はね自分には分からないものだよ~!」
いや、分かってるわ!! クラスであれだけキャラの濃いボケ陣が揃ってて、それをただ捌いている僕とじゃ、キャラ性なんて比べ物にならないだろ!
「彩白さんや……。僕の個性はですね、ボケあってのものなんですよ。」
「ほうほう。続けたまえ。」
「濃いキャラのボケがいないと、僕のキャラは濃くないわけで。」
「なるほどですねー。じゃあ君のキャラは薄いんだよ!」
「おい! そこはさ、食い下がらないで、僕を褒めるとこでしょ!?」
「えっ、そうなの?」
「あれ? 違った?」
流れ的にはそうのはずだし、もっとこう僕に都合の良いようになる感じじゃないのか?
「まあ、何でも良いよ。……私さ、思うんだ。」
「あ、うん。」
「何で特進クラスの雰囲気が怖がられるんだろうってさ。」
「あー、確かにね。」
「あれ、興味ない感じ?」
「そうじゃなくて、確かになと思ってさ。」
僕がこのクラスに始めて入った時、不安感と恐怖心しかなかった。
別に何か酷いことをされた訳でもなく、ただイメージとして怖い印象があった。
「内輪でずっと話してるからじゃない?」
「というと?」
「特進クラスの人達って、怖いぐらい全員と仲良くてさ。そこに入り込む隙がないんだよね。だから、その中で何が行われてるのか分からないんだよ。」
結論、僕が中に入って思ったことは、何も無かったということ。誰かの悪口を言う訳でもなく、いじめることもしない。
ただ、内輪で全てが完結しているだけだった。
「なるほどね。やっぱり、外から見た景色が私たちには分からないのよ。」
そうだと思うよ。主観と客観は反対だからね、見え方が違うのは仕方ない。
そんな、彩白と柄にもなく真面目な話を繰り広げた後は、他愛もない笑い話をした。
そして、バスは最後の停留所に着くと、僕らは荷物を持って下車し、駅に併設されている百貨店の上の方の階の本屋に立ち寄った。
「彩白って漫画とかラノベ読むんだな。」
「えっ、逆に読まないって選択肢ないと思うけど。」
うわ、ガチのオタクだ。本を見る顔もガチだし、話しかけづらっ!
「僕来た意味ある?」
「うん。だって女子1人じゃ怖いじゃん。」
「何が?」
「もしかしたら、誰かに襲われるかもしれないじゃない!!」
「もしかしたら過ぎる……。」
そんな可能性信じてたら、何も出来なくなるぞ。
次に彩白はおもむろにある本を手に取り僕に見せてきた。
「えっ、彩白もリ○ロ読んでんの?」
「全部読んだよ。キー君はどのキャラ推し?」
「白い髪のキャラ。」
「うわ……。分かってないね。そこは青髪のショートのキャラでしょ!」
「いや、そこは譲れないな!」
「こっちだって。そこだけは譲らない!」
そんなオタトークを30分ほど繰り広げた後、僕らは本屋を後にし、帰路に着いた。
「私こっちだから、バイバイ。あっ、女子が1人で暗闇の道を歩くのが危険だ。なんてカッコいい理由でついてくるならいいけど、どうする?」
「えっと、女子?」
「キー君、それ言っちゃうんだ。あー、こんな美少女に対してそんなこと言うんだ。」
「うわっ、自分で美少女とか、キモいって……。」
「何を!? 次会った時は覚えてなさい!」
「いやさ、彩白って本当に顔とか可愛い方だし、スタイルいいから、ボケにならないんだよ。」
彩白からそういう類のボケ振られると困るんだよな……。だってボケがボケじゃないんだもん。
「ねえ、口説いてる?」
「は? 何で僕が彩白を口説くのさ。」
「だって可愛いとか、スタイルいいとか、そんな歯の浮くようなセリフ、そうじゃなきゃ言えないなと思って。」
「ん? だって事実を述べただけだし。そんなつもりないよ。」
僕は彩白の意図がいまいち見えてこなかった。
「ま、まあいいよ。また明日ね。」
「う、うん。」
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