特進クラスのふざけかた

やすを。

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20話 暗闇の青春

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 「よし、それじゃあ初めていくぞー! さっきのじゃんけんの順番で、ここから入ってってな!!」

 真斗は僕らに対して、テンション高めに説明した。

 僕は5番目。前は彩白で、僕の後に続くのは紫音だった。

 「……輝波いい、ここが2人になるラストチャンスだと思って行動しなさいよ……」

 「……わかってるって。」

 僕らは別荘で作戦会議をした後、走って彩白の後を追いかけたが、結局会えずに、この瞬間を迎えてしまった。

 「彩白、絶対追いつくからな!」

 僕は気まずいながらも、なんとか声をかけた。

 「……う、うん……頑張れ……」

 やはり彩白の態度はよそよそしかった。いつもなら「誰に言ってんのよ!」とか「冗談は顔だけにしといたら?」とか平気で言ってくるのに、今日ばかりは違った。

 一発目、拓人が炎のオーラを纏いながら樹海に入っていった。

 「よっしゃ!! 行ってくるぜー!!」

 「おう、そのままの勢いで行ってこい!! 昨日雨降ってて足取られやすいから、気おつけろよー!」

 「おうよ!!」

 なんだかんだこの二人仲良いんだよな。いつもバチバチやりあってるように見えて、ちゃんとリスペクトしてるっていう感じ。

 「なあ、どうしたらいいと思う?」

 「どうしたらって、素直に言ったら良いんじゃないの?」

 「じゃあここで謝るのはダメか?」

 作戦会議の時、紫音から『人前で言うのは禁止ね』と言われていた。

 「考えてみなさいよ! 気まずくなったのは、彩白が恥ずかしい思いをしたからでしょ? それを人前で言うのはデリカシー無いわよね。」

 「なるほどな……。」

 確かに考えてみれば妥当な話だ。黒歴史とか恥ずかしい過去を掘られたくないようなモノだろう。

 「ていうか、そんぐら言わなくても気づけ、バカ!!!」

 「バカは、余計だろ!! バカって言う方がバカなんだよ!」

 「あんたね……それ言うのは小学生までよ? 流石にそれはノれないわ……」

 そう紫音は呆れ顔で言った。

 「そこは、友達が始めたノリに参加するのが友達の役目でしょ!?」

 「いや違うわね……。私は、事故る未来しか見えなかったのよ……。」

 「いつも事故ってんだからいいでしょ!」

 「そういう問題じゃないのよ! というか、好きで事故ってる訳じゃないし!」


 好きで事故ってる訳じゃないのは、見ててなんとなく分かるよ。でも、キャラはちゃんと全うしようよ!!!

 そんなふざけ合いの中で、早速一人目が帰還した。二人目の葉月がノリノリで森林の奥に入って行った。

 彩白はと言うと、真斗と拓人と会話に花を咲かせているようだった。そこに違和感は無かった。

 葉月が戻ってきて、3人目4人目と森林の中を入っていく。

 「なあ、彩白遅くないか?」

 「いつもこんなんだろ? 別に大差ないよ。」

 「真斗、僕行ってくる。」

 「おいおい。流石にルールは守れよ!」

 「守りたいのは山々だけど、なんか嫌な予感がするんだよ。」

 さっき携帯を見たら圏外だったし、他の人は20分位で帰ってくるのに、何で彩白は30分経っても帰ってこないんだ!

 「遊びより、安否の方が大事。そうだよな?」

 「……そうだな。流石に背に腹はかえられないか……」

 真斗は渋々了承してくれた。

 「……すぐ戻るな。」

 僕は暗がりの樹海を走るようにして進んでいった。

 中は想像以上に暗かった。真斗からライトを支給されていなかったらと考えると、ゾッとする。

 道は複雑で、立て看板を見ていないと迷ってしまう程だ。

 とは言えこの中で彩白を探すとなると困難だ。足元も悪く移動がしずらい。しかも圏外のため、連絡を取る事もできない。

 僕の心の中には不安しかなかった。それでも推進力は高かった。

 ふとスマホを取り出し時間を確認する。そろそろ10分が経過するとこだった。もしかすると、何事もなく帰っているかもしれない。戻っても問題ない気もする。

 それでも万が一のことがあった時、僕は後悔するだろう。『あの時何で……』という気持ちで胸いっぱいになると思う。

 だから僕は走る。万が一が起きてい他時のために。その結果がどうであれ、自分に出来ることは何でもしたかった。

 少し走った時、少し先の方に何やら一筋の光が見えた。それが人工のものか自然のものか見分けが付かなかったか、とりあえず行ってみる。

 怖くないかって? そりゃ怖いに決まってるよ。得体の知れないその光に向かう恐怖は、体験してみないと分からないだろう。

 そして、そこで見た光景に、頭が真っ白になるのだった。

 
 





 
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