19 / 48
19話 夜の青春
しおりを挟む
昼食を食べ、ゲームや勉強、鬼ごっこを経て、夜がやってきた。
あらかじめ温泉に男女別で入った後、夕食を全員で平らげて、今回の旅行の幹事である真斗から次の工程が告げられた。
「次は肝試し行きまーす!!」
「えっ。今年もやるの、あれ……」
いきなりのテンションの下がり具合にキョどりながらも、僕は話を聞いていた。
「そんなに怖いの?」
「うん……。歩いて10分くらいの樹海に一人で入って、30分くらい歩いて出てくる。みたいな流れなのよ。」
「しかも、その奥では幾度となく自殺が行われていたらしい……。幽霊の目撃情報が後を絶たないそうなんだ……」
「えっ、それ本当……?」
「ああ、全て事実さ……。何を隠そう、この俺でさえ目視したことあるんだからな!!」
なんか嫌になってきたんだけど……。そんなところにこれから行かなきゃいけないのか……。
「おい、嘘が過ぎるぞ! 幽霊なんか出たことないって去年言ってたじゃねえかよ!!」
「拓人お前、何でバラしちゃうんだよ! 輝波の反応見たかったのに、楽しみ奪うなって。」
「お前さ、何考えてんだよ……。本気で肝試し断念しようか迷ったじゃないか。」
「いやー、ついさはじめての人をいじめてみたくなっちゃって。」
真斗は悪びれるどころか、少しにこやかにそう言った。
まあ、それが真斗らしさだし、それがなくなったら真斗じゃないもんな。
その後、少し説明を挟んで、いざ現場に向かおう。となった時に、突然紫音に呼ばれた。
「どうした?」
「どうした? じゃないよ! アンタのせいで、彩白の元気がないじゃないの!」
「えっ!? 僕、なんかしたっけ!?」
僕も薄々どころか、ずっと変だと思っていた。違和感を忘れようと努力したけど、結局できず、心の中に留まっている。
「そっか……、あんた目隠ししてたから分からないのね……。」
「目隠し? ああ、スイカ割りの時か……。」
そういえば、最後の方に彩白と話したけど、その時にはもう変だったからな……。
「あんた、あの時柔らかいモノを触らなかった?」
「あっ、そういえば触ったけど……えっ、まさかそれって……」
ようやく点と点が繋がった気がした。
「そうよ!! 彩白の胸だったのよ!!」
「嘘、だろ……。」
そりゃ気まずくなる訳だ……。好きでもない男子に突然胸を揉まれたら、嫌な気持ちになるのも明白だ。
「早くあの子に謝りなさい!!」
「そんなこと分かってるよ! もう行っちゃったか?」
「ええ、結構前に。だから、肝試しの間に言いなさい!」
これは相当マズイ事になってな……。いくら不可抗力とはいえ、流石にそこの分別はつけないと……。
「というか、あんた触った時に気づかなかった訳?」
「気づくわけないじゃんか!! この陰キャ童貞が、胸の感触なんか知る訳ないじゃん!!」
「めっちゃキレるじゃない……。」
とにかく早く謝罪の言葉を伝えないと、気まずいままで終わるのは、僕の本望じゃない。
僕は、早足で紫音と共に現場に向かったのだった。
あらかじめ温泉に男女別で入った後、夕食を全員で平らげて、今回の旅行の幹事である真斗から次の工程が告げられた。
「次は肝試し行きまーす!!」
「えっ。今年もやるの、あれ……」
いきなりのテンションの下がり具合にキョどりながらも、僕は話を聞いていた。
「そんなに怖いの?」
「うん……。歩いて10分くらいの樹海に一人で入って、30分くらい歩いて出てくる。みたいな流れなのよ。」
「しかも、その奥では幾度となく自殺が行われていたらしい……。幽霊の目撃情報が後を絶たないそうなんだ……」
「えっ、それ本当……?」
「ああ、全て事実さ……。何を隠そう、この俺でさえ目視したことあるんだからな!!」
なんか嫌になってきたんだけど……。そんなところにこれから行かなきゃいけないのか……。
「おい、嘘が過ぎるぞ! 幽霊なんか出たことないって去年言ってたじゃねえかよ!!」
「拓人お前、何でバラしちゃうんだよ! 輝波の反応見たかったのに、楽しみ奪うなって。」
「お前さ、何考えてんだよ……。本気で肝試し断念しようか迷ったじゃないか。」
「いやー、ついさはじめての人をいじめてみたくなっちゃって。」
真斗は悪びれるどころか、少しにこやかにそう言った。
まあ、それが真斗らしさだし、それがなくなったら真斗じゃないもんな。
その後、少し説明を挟んで、いざ現場に向かおう。となった時に、突然紫音に呼ばれた。
「どうした?」
「どうした? じゃないよ! アンタのせいで、彩白の元気がないじゃないの!」
「えっ!? 僕、なんかしたっけ!?」
僕も薄々どころか、ずっと変だと思っていた。違和感を忘れようと努力したけど、結局できず、心の中に留まっている。
「そっか……、あんた目隠ししてたから分からないのね……。」
「目隠し? ああ、スイカ割りの時か……。」
そういえば、最後の方に彩白と話したけど、その時にはもう変だったからな……。
「あんた、あの時柔らかいモノを触らなかった?」
「あっ、そういえば触ったけど……えっ、まさかそれって……」
ようやく点と点が繋がった気がした。
「そうよ!! 彩白の胸だったのよ!!」
「嘘、だろ……。」
そりゃ気まずくなる訳だ……。好きでもない男子に突然胸を揉まれたら、嫌な気持ちになるのも明白だ。
「早くあの子に謝りなさい!!」
「そんなこと分かってるよ! もう行っちゃったか?」
「ええ、結構前に。だから、肝試しの間に言いなさい!」
これは相当マズイ事になってな……。いくら不可抗力とはいえ、流石にそこの分別はつけないと……。
「というか、あんた触った時に気づかなかった訳?」
「気づくわけないじゃんか!! この陰キャ童貞が、胸の感触なんか知る訳ないじゃん!!」
「めっちゃキレるじゃない……。」
とにかく早く謝罪の言葉を伝えないと、気まずいままで終わるのは、僕の本望じゃない。
僕は、早足で紫音と共に現場に向かったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる