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18話 海で青春
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「うわっ、案外拓人の言ってたこと間違ってないじゃん! プライベートビーチってなんだよ!」
「まあ、確かにここまで入れたらそうなるかもしれない……。」
先に着替えを済ませた野郎3人は一足先に、砂浜の上から広大な海を眺めていた。
「とりあえず泳ぐか! 俺と勝負する人ー?」
「……輝波、行けって。」
「……真斗こそ、行ってやれよ。」
僕らの本音は一緒だったと思う。
「単純に面倒臭い!」これに尽きる!
砂浜でビーチバレーとか、目隠ししてスイカ割りとか、膝くらいまで浸かって水遊びするとか。
それで十分じゃないか!!
「おい、なんでそんなに嫌がるんだよ! 良いじゃねえかよ、少しくらい付き合ってくれてもよ!」
「お前の一回が長すぎんだよ! 20分も30分も泳いでる奴があるか!!」
「2、30分くらいで何言ってんだよ! ただの準備体操だぞ!」
「いや、拓人と一緒の基準にしないでもらえるかな……。バリバリのアスリートの発想だから、それ。」
「いいや、お前らなら出来る!! やれば出来るんだよ!」
「おいお前、こんな炎天下なんだから、そんな暑苦しいこと言うなよ……。熱中症になるじゃないか!」
「だったら海に入って冷やせば良いだろ! ほら真斗やるぞ!!」
「おっ、おい! 待て! 俺はやって言ってないぞ……!! なあ、おい……」
お気の毒に……。立派なお墓建てといてやるからな……。
僕はそう考えながら、真斗に向かって合掌した。
「相変わらず、元気いいわね!」
「そうだね~! 海に来たって感じするね~。」
「男子の水着は、◯◯コの形を見れるチャンスだわ!! 頑張らないとね!!」
「あんた、本当にキャラブレしないわよね……」
元気な雰囲気の女子達も遅れてやってきた。
僕は後ろを振り返る。そして僕の目には3人にぶら下がっている、ある種の凶器を目の当たりにした。
「3人とも似合ってるね。」
「あら、輝波が私たちのこと口説き落とそうとしてるわ。なんて男なの……」
「紫音、気おつけてね……。ああやって平気な顔してるけど、心の中では私たちで妄想してるのよ……!」
「私は別にいいけどな~。逆に私もしちゃうかも……」
「いい加減、あんた黙ってなさいよ……」
なんだろう。僕が責められていたはずなのに、完結してしまった。
この過ごし方のわからなさ、どうしたらいいんだろう。
「んで、輝波は誰が一番好みなわけ?」
「えっ……えっと……選べと……?」
「その他に何があるのよ! さあ、誰のスタイルが好みなわけ?」
うわ、何この困惑シチュ……。誰答えても気まずくなるやつじゃん、これ。
そうは言ってもな、全員スタイルに差がないんだよね。強いて言えば身長くらいかな。
紫音が僕と一緒で170前後、彩白が真ん中の163ぐらい、葉月が一番小さくて155くらい。
胸の大きさもみんなメロンサイズで、差があるようには見えない。さらにくびれもある。
んー……。どうしたもんだこれは……。
「じゃあ……彩白かな?」
僕はなんとか搾り出して答えた。すると3人はシンクロしてこう言った。
「やっぱな~!!」
「えっ、何で?」
そこには2つの『何で?』があった。
「だって、一番バランスいいもの。足も細いし、くびれもあって、身長も平均的。しかもおっぱいがデカいときた。」
「あのー、紫音さん。」
「やめなさいよ! 今私が彩白のスタイルについて解説してるんだから!」
「いやあの……、見れば分かるよ……。」
たまにはこういうのもいいかな、と思って言ってみたら意外な方向に……。
「輝波あんたね……! これから私と彩白で1ネタやろうと思ってたのに……!」
その言葉に青天の霹靂のような顔を浮かべたのは、隣の彩白だった。
「……私聞いてないよ?」
「……知ってるわよ。でも彩白なら合わせてくれるかなって。」
「あの、聞こえてるんですけど……」
僕がそう言うと。
「黙らっしゃい!!!」
何で彩白と紫音でハモるのかな……。仲良いんだろうな……。
そのあとなぜか正座させられて、謎の説教が男子陣の帰還まで続いた。
そして足が痺れたまま、ビーチバレーに水遊び、砂遊びまで満喫した。
その最後にはスイカ割りがあった。
「よし、輝波ね!」
ジャン負けで僕が目隠しをつけることに。
「右曲がって4歩歩いて!!」
セットした真斗が、紫音にゴーサインを出してスイカ割りは始まった。
全員が様々な方向から指示を出すから、どれが正解か分からなかった。
正直メチャクチャ怖かった。目の前は真っ暗で、僕1本を両手に握りして、どこにいるのかも分からず、色んな方向から人の声が飛び交う。
この状況はカオス以外の何物でもなかった。
「そこ右に3歩!!!」
ふと誰かの声が耳に入り、その通りに動いてみた。何かあるかもと右手を遊ばせてみると、そこに何やら柔らかい感触があった。
「きやっ……!!」
聞いた事もない可愛い声が聞こえた。僕はいまいち何か分からなかったから、引き続きそれを触り続けた。
「……そろそろやめてくれない? 流石に恥ずかしい……」
「ん? その声は彩白か!! なあ僕スイカに近づいてる?」
「……振り返って、棒を振り下ろしてみたら?」
「おう! よし、やってみよう!」
僕は言われた通り振り返り、棒を振り下ろすと硬い何かが潰れた音が聞こえた。
「目隠し外していいぞー!!」
真斗の一言で付けていた物を外すと、スイカが見事なまでに潰れているのが目に入った。
「ありがとな、彩白! 助かったよ!」
「……う、うん。それは良かったよ……」
「うん? どうした? 顔、赤いぞ?」
「……直射日光に当たりすぎたのかもしれないから、木陰で休んでくるね。」
「お、おう……。何だったんだ?」
僕は彼女の言動に違和感を抱いた。しかしその正体がわかるはずもなく、この感情を流すことにした。
「よし! 昼食の時間だよー!」
真斗の号令で僕らは別荘に戻っていくのだった。
「まあ、確かにここまで入れたらそうなるかもしれない……。」
先に着替えを済ませた野郎3人は一足先に、砂浜の上から広大な海を眺めていた。
「とりあえず泳ぐか! 俺と勝負する人ー?」
「……輝波、行けって。」
「……真斗こそ、行ってやれよ。」
僕らの本音は一緒だったと思う。
「単純に面倒臭い!」これに尽きる!
砂浜でビーチバレーとか、目隠ししてスイカ割りとか、膝くらいまで浸かって水遊びするとか。
それで十分じゃないか!!
「おい、なんでそんなに嫌がるんだよ! 良いじゃねえかよ、少しくらい付き合ってくれてもよ!」
「お前の一回が長すぎんだよ! 20分も30分も泳いでる奴があるか!!」
「2、30分くらいで何言ってんだよ! ただの準備体操だぞ!」
「いや、拓人と一緒の基準にしないでもらえるかな……。バリバリのアスリートの発想だから、それ。」
「いいや、お前らなら出来る!! やれば出来るんだよ!」
「おいお前、こんな炎天下なんだから、そんな暑苦しいこと言うなよ……。熱中症になるじゃないか!」
「だったら海に入って冷やせば良いだろ! ほら真斗やるぞ!!」
「おっ、おい! 待て! 俺はやって言ってないぞ……!! なあ、おい……」
お気の毒に……。立派なお墓建てといてやるからな……。
僕はそう考えながら、真斗に向かって合掌した。
「相変わらず、元気いいわね!」
「そうだね~! 海に来たって感じするね~。」
「男子の水着は、◯◯コの形を見れるチャンスだわ!! 頑張らないとね!!」
「あんた、本当にキャラブレしないわよね……」
元気な雰囲気の女子達も遅れてやってきた。
僕は後ろを振り返る。そして僕の目には3人にぶら下がっている、ある種の凶器を目の当たりにした。
「3人とも似合ってるね。」
「あら、輝波が私たちのこと口説き落とそうとしてるわ。なんて男なの……」
「紫音、気おつけてね……。ああやって平気な顔してるけど、心の中では私たちで妄想してるのよ……!」
「私は別にいいけどな~。逆に私もしちゃうかも……」
「いい加減、あんた黙ってなさいよ……」
なんだろう。僕が責められていたはずなのに、完結してしまった。
この過ごし方のわからなさ、どうしたらいいんだろう。
「んで、輝波は誰が一番好みなわけ?」
「えっ……えっと……選べと……?」
「その他に何があるのよ! さあ、誰のスタイルが好みなわけ?」
うわ、何この困惑シチュ……。誰答えても気まずくなるやつじゃん、これ。
そうは言ってもな、全員スタイルに差がないんだよね。強いて言えば身長くらいかな。
紫音が僕と一緒で170前後、彩白が真ん中の163ぐらい、葉月が一番小さくて155くらい。
胸の大きさもみんなメロンサイズで、差があるようには見えない。さらにくびれもある。
んー……。どうしたもんだこれは……。
「じゃあ……彩白かな?」
僕はなんとか搾り出して答えた。すると3人はシンクロしてこう言った。
「やっぱな~!!」
「えっ、何で?」
そこには2つの『何で?』があった。
「だって、一番バランスいいもの。足も細いし、くびれもあって、身長も平均的。しかもおっぱいがデカいときた。」
「あのー、紫音さん。」
「やめなさいよ! 今私が彩白のスタイルについて解説してるんだから!」
「いやあの……、見れば分かるよ……。」
たまにはこういうのもいいかな、と思って言ってみたら意外な方向に……。
「輝波あんたね……! これから私と彩白で1ネタやろうと思ってたのに……!」
その言葉に青天の霹靂のような顔を浮かべたのは、隣の彩白だった。
「……私聞いてないよ?」
「……知ってるわよ。でも彩白なら合わせてくれるかなって。」
「あの、聞こえてるんですけど……」
僕がそう言うと。
「黙らっしゃい!!!」
何で彩白と紫音でハモるのかな……。仲良いんだろうな……。
そのあとなぜか正座させられて、謎の説教が男子陣の帰還まで続いた。
そして足が痺れたまま、ビーチバレーに水遊び、砂遊びまで満喫した。
その最後にはスイカ割りがあった。
「よし、輝波ね!」
ジャン負けで僕が目隠しをつけることに。
「右曲がって4歩歩いて!!」
セットした真斗が、紫音にゴーサインを出してスイカ割りは始まった。
全員が様々な方向から指示を出すから、どれが正解か分からなかった。
正直メチャクチャ怖かった。目の前は真っ暗で、僕1本を両手に握りして、どこにいるのかも分からず、色んな方向から人の声が飛び交う。
この状況はカオス以外の何物でもなかった。
「そこ右に3歩!!!」
ふと誰かの声が耳に入り、その通りに動いてみた。何かあるかもと右手を遊ばせてみると、そこに何やら柔らかい感触があった。
「きやっ……!!」
聞いた事もない可愛い声が聞こえた。僕はいまいち何か分からなかったから、引き続きそれを触り続けた。
「……そろそろやめてくれない? 流石に恥ずかしい……」
「ん? その声は彩白か!! なあ僕スイカに近づいてる?」
「……振り返って、棒を振り下ろしてみたら?」
「おう! よし、やってみよう!」
僕は言われた通り振り返り、棒を振り下ろすと硬い何かが潰れた音が聞こえた。
「目隠し外していいぞー!!」
真斗の一言で付けていた物を外すと、スイカが見事なまでに潰れているのが目に入った。
「ありがとな、彩白! 助かったよ!」
「……う、うん。それは良かったよ……」
「うん? どうした? 顔、赤いぞ?」
「……直射日光に当たりすぎたのかもしれないから、木陰で休んでくるね。」
「お、おう……。何だったんだ?」
僕は彼女の言動に違和感を抱いた。しかしその正体がわかるはずもなく、この感情を流すことにした。
「よし! 昼食の時間だよー!」
真斗の号令で僕らは別荘に戻っていくのだった。
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