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17話 青春の始まる予感
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「拓人さんや、真斗の別荘って凄いところなのかい?」
「それはもう……バカでかいぞ! お前が想像する10倍はあるから、ちゃんと心の準備していけよ!!」
「あーもう、熱い熱い!! そんな熱血感要らないって。」
「別に俺、熱血教師みたいな事してないから!」
「何だろうね。口から出てくる言葉に、全部燃えてるみたいに見えるわ。」
「それはさ、俺の情熱が伝わってることの裏返しだろ!!」
だから、それを言ってんだけど……。どうやら伝わってないみたいだな。
勉強できんのに、脳筋なのか?
「そっか輝波、あそこ行くの初めてなのか。」
「ああ。結構楽しみにしてるんだよね。」
「ていうかさ、そこの脳筋野郎。ハードル上げすぎだから! 想像の10倍は流石に言い過ぎ!」
「誰が脳筋野郎だよ!! 俺のどこから脳筋感が出てんのか?」
あっ、真斗も同じこと思ってたみたいだな。
「言葉の端端、体から出てる熱気、あとは……」
「……おいおいおい! そんな無理に探さなくていいぞ!」
そんな会話を僕は入ったり入らなかったりで、楽しい雰囲気を楽しめていた。
今回の参加者は、元々の5人と僕の計6人。僕は今日が楽しみで仕方なかった。夜も眠れないほど、妄想を勝手に膨らませていたのだ。
行きはワゴン車で、別荘の管理人さんが運転をしてくれていた。
座席は、助手席に真斗、二列目に女子3人、最後尾に僕と拓人が並んでいた。
「今回、紫音来れて良かったよね。」
「初めてだよな、こうやって全員揃うって。……逆になんか新鮮だわ。」
「確かにね、いつもだったら絶対来れなかったから。全部、輝波とその両親のおかげなのよね。」
「……なるほどな! まあ、なんにせよ全員揃えたのはいい事じゃねえか! この旅行を楽しもうぜー!」
「……拓人ー。空回りしてるぞー。」
そのあと数瞬置いて、葉月が口を開く。
「でもさ、アツいってなんか良いわよね~。」
そうやって場を一気に葉月色に染めていく。
「なんで葉月が喋ると、空気が変わるんだろうね。」
僕はそう不思議に思った。
「あら、それは私が魅力的ってことかしら。」
「……ま、まあ、そう言うことにしとこうか。」
「うふふ。嬉しいわ~。」
本当に同い年だよな……? 葉月だけ人生二周目とかなんじゃないか?
そう思うくらい、精神年齢は高そうに見えた。
なんの話してたんだっけ…………あっそうだ! 紫音が遊びに来られた話だった。
今日の朝、集合3時間前。僕の家に、紫音家が大集合していた。
彼女の両親は、出社前の時間に足を運び、直々にお礼と謝礼金を持ってきた。
もちろんうちの両親が謝礼金など受け取るはずもなく、お礼と5人の兄弟達を受け取って、足早に家を後にした。
やはり常識と礼儀がしっかりしている方々で、僕らとしても喜んでこれからも協力したい所存だった。
ただ、今回の旅行は2泊3日。それだけ光熱費や食費がかかってしまう。
うちも一般家庭で、お金に余裕があるわけでは決してない。だから、今後少し援助を頼む事もあると話し合っていた。
それについては、やはり現実問題限度もあるし、避けては通れない道なのは自負している。
その場に紫音もいて、『その時は援助してもらうよう私から言っておきます。』と真っ直ぐな眼差しで、両親を見ていた。
万が一に、不正にお金を貰っている場面を目撃したら、僕は殴ってでも止めに入るつもりだ。
うちの親だから、万に一つもないと思うが、決して絶対とは言い切れない。
彼女の両親だって、お金に余裕があるのなら仕事なんてしなくてもいいはずだし、子育てする時間があるはずだ。だからお金の無心は許し難い。
それが紫音家に対する本音だった。
「はい、とうちゃーく!!」
真斗はテンション高めにそう言うのだった。
「それはもう……バカでかいぞ! お前が想像する10倍はあるから、ちゃんと心の準備していけよ!!」
「あーもう、熱い熱い!! そんな熱血感要らないって。」
「別に俺、熱血教師みたいな事してないから!」
「何だろうね。口から出てくる言葉に、全部燃えてるみたいに見えるわ。」
「それはさ、俺の情熱が伝わってることの裏返しだろ!!」
だから、それを言ってんだけど……。どうやら伝わってないみたいだな。
勉強できんのに、脳筋なのか?
「そっか輝波、あそこ行くの初めてなのか。」
「ああ。結構楽しみにしてるんだよね。」
「ていうかさ、そこの脳筋野郎。ハードル上げすぎだから! 想像の10倍は流石に言い過ぎ!」
「誰が脳筋野郎だよ!! 俺のどこから脳筋感が出てんのか?」
あっ、真斗も同じこと思ってたみたいだな。
「言葉の端端、体から出てる熱気、あとは……」
「……おいおいおい! そんな無理に探さなくていいぞ!」
そんな会話を僕は入ったり入らなかったりで、楽しい雰囲気を楽しめていた。
今回の参加者は、元々の5人と僕の計6人。僕は今日が楽しみで仕方なかった。夜も眠れないほど、妄想を勝手に膨らませていたのだ。
行きはワゴン車で、別荘の管理人さんが運転をしてくれていた。
座席は、助手席に真斗、二列目に女子3人、最後尾に僕と拓人が並んでいた。
「今回、紫音来れて良かったよね。」
「初めてだよな、こうやって全員揃うって。……逆になんか新鮮だわ。」
「確かにね、いつもだったら絶対来れなかったから。全部、輝波とその両親のおかげなのよね。」
「……なるほどな! まあ、なんにせよ全員揃えたのはいい事じゃねえか! この旅行を楽しもうぜー!」
「……拓人ー。空回りしてるぞー。」
そのあと数瞬置いて、葉月が口を開く。
「でもさ、アツいってなんか良いわよね~。」
そうやって場を一気に葉月色に染めていく。
「なんで葉月が喋ると、空気が変わるんだろうね。」
僕はそう不思議に思った。
「あら、それは私が魅力的ってことかしら。」
「……ま、まあ、そう言うことにしとこうか。」
「うふふ。嬉しいわ~。」
本当に同い年だよな……? 葉月だけ人生二周目とかなんじゃないか?
そう思うくらい、精神年齢は高そうに見えた。
なんの話してたんだっけ…………あっそうだ! 紫音が遊びに来られた話だった。
今日の朝、集合3時間前。僕の家に、紫音家が大集合していた。
彼女の両親は、出社前の時間に足を運び、直々にお礼と謝礼金を持ってきた。
もちろんうちの両親が謝礼金など受け取るはずもなく、お礼と5人の兄弟達を受け取って、足早に家を後にした。
やはり常識と礼儀がしっかりしている方々で、僕らとしても喜んでこれからも協力したい所存だった。
ただ、今回の旅行は2泊3日。それだけ光熱費や食費がかかってしまう。
うちも一般家庭で、お金に余裕があるわけでは決してない。だから、今後少し援助を頼む事もあると話し合っていた。
それについては、やはり現実問題限度もあるし、避けては通れない道なのは自負している。
その場に紫音もいて、『その時は援助してもらうよう私から言っておきます。』と真っ直ぐな眼差しで、両親を見ていた。
万が一に、不正にお金を貰っている場面を目撃したら、僕は殴ってでも止めに入るつもりだ。
うちの親だから、万に一つもないと思うが、決して絶対とは言い切れない。
彼女の両親だって、お金に余裕があるのなら仕事なんてしなくてもいいはずだし、子育てする時間があるはずだ。だからお金の無心は許し難い。
それが紫音家に対する本音だった。
「はい、とうちゃーく!!」
真斗はテンション高めにそう言うのだった。
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