特進クラスのふざけかた

やすを。

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22話 脱出

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  僕は彩白をおぶりながら帰路を歩いていた。理由は単純で、僕が寒さに我慢できなくなったから。それを落ち着いた彩白に言ったら大爆笑していた。

 スマホの時間を確認すると、午前の3時。今から帰れば3時半には帰れそうだった。

 「キー君てさ、何でそんなイケメン俳優みたいなこと言ってたの?」

 「やめろって……思い出すだけで恥ずかしくなってくるから……」

 「……思い出すだけで面白いのよね……」

 そう笑いながら言っていた。

 マジで腹立つな……。でも、完全復活って言っていいよな。僕のことこんだけおちょくれるって事はさ。

 そう考えながら、いじりを捌いていた。

 「輝波氏。」

 「どうしたのかな?」

 「あの口説き文句はどこで入手したんですかな?」

 「主任……。やっぱりアニメがいいですよ。あんな口説き文句メチャクチャ出てきますから。」

 「なるほど……輝波氏はそういうのに触発されて、私に使ってみた感じですな。」

 「まあ? 僕って、彼女いた事ないですから? そういうところで勉強するしかないですから?」

 「あーうん、そうだよね。」

 何だよ、その知ってますよ感。つうかさ、オタク口調ノリ続けようよ……!

 真っ暗の樹海の中、僕らの明るい雰囲気はライトで照らされていなくても大丈夫だと勘違いするほど、僕らの世界は明るく見えた。それは彩白を探している時とは雲泥の差だった。

 僕らはその雰囲気のまま、樹海から脱出した。そしてその前には彼らが立っていた。

 「無事だったんだな2人とも!!!」

 拓人が泣くくらいの勢いで、僕らの前に現れた。3人もどこか緊張の糸が切れたような表情を浮かべていた。

 僕は早急に彩白を救護室に運んだ。管理人さんが応急手当てをしてくれたが、明日1日は安静にしておく事だそうだ。

明日は、元からダラダラ過ごそうという計画だったから、旅行自体にあまり影響はなさそうだった。それでも彩白は申し訳なさそうに謝っていた。

皆んなの反応は、笑いながら『何してくれてんねん』みたいなこと言っていた。僕はその雰囲気を感じて少し安心した。

みんなが先に寝て、僕は彩白と共に帰ってきたという余韻に浸っていた。

「帰ってこれないかと思ったよ。」

「おいおい……縁起でもないこと言うなよ……。」

「本当に絶望してたんだから、あそこにいたときにさ。」

そんなの見てて分かったよ。それに絶望してたの、彩白だけじゃないから、あそこの残ってたみんなが同じ気持ちだったんだぞ。

それがなぜか。後になって管理人さんから聞いたのだが、20年前に一度遭難事故があったそうで、その人が2年経って白骨化した状態で見つかったとの事。

僕ら全員その話を聞いて、来年の肝試しはやめようという結論に至った。

彩白の応急処置も終わり、僕らもそれぞれの部屋に分かれて布団に入った。僕は、3秒と経たない間に眠りに落ちてしまった。

翌日は、皆んな文字通りダラダラと過ごしてた。ゆっくり宿題をする人もいれば、トランプとかウノで遊ぶ人もいるしゲームしている人もいた。それぞれが馬鹿騒ぎをしてその日は何事もなく、皆んな布団に入ったのだった。

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