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26話 始まったクラスの青春
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「さあ、やって行こう~!!」
委員長の掛け声で始まった、放課後の作業時間。段ボールや色画用紙など教室に飾り付けを施していく。
なぜ学校でそんなことやってるかって? みんなも一度は通った道だよ! そう高校生の青春の1ページに必ず刻まれているあれ。
「文化祭シーズン来たわね~!!」
そう、男女が協力して一つのブースを作りあげるその行事。それが文化祭。男と女が共に時間を過ごし、絆深め合う。その中で恋が生まれることも……!
「紫音、帰らなくて大丈夫なのか?」
僕は紫音にそう声をかけた。
「本当はすぐにでも帰りたいけど、流石に何もせずに帰るのは、気がひけるのよね……。」
「大丈夫だよ。みんなに事情は伝えとくから、安心して帰りなさい!!」
「任せちゃっていいの?」
判断がつかない様子の紫音を見て、僕は委員長に紫音帰宅理由を説明した。
「紫音ちゃん、無理して残んなくていいよ~。自分の事情を優先してね。」
「委員長……ありがとう!」
そう言うと、紫音はカバンを持って走って帰っていった。
「なあ、何で紫音帰ったんだよ?」
そう言いながら、真斗、葉月と拓人が近づいてきた。僕は彼らに簡潔に説明した。
「そうだったのか……。知らなかったなー。言ってくれれば、いつでも手伝いに行ったのに。」
「お前が弟達の前に出たら、発狂して泣いちゃうんじゃない?」
真斗はそう拓人をいじった。それからは2人の言い合いが始まった。周りは笑いながら傍観していた。
今年の特進クラスの出し物は、メイド喫茶に決まった。クラスの誰かが何の気無しに言ったそれが、ノリで決まってしまった形だった。
「厨房班を決めたいんだけどさ、誰か言ってくれる人いない?」
「メイドとかウエイターにならない人が、裏方やればいんじゃね?」
「とりあえず、紫音と葉月、それから委員長と彩白は確定じゃん。」
「いや、女子は全員表でいいよ。」
やっぱ、うちのクラス仲良いな。男子も女子も関係なく普通に意見を出すって、特進ならではだよね。
「でもさ、裏方男子だけじゃ不安だぜ?」
「クラスで顔のいい3人位は、ウエイターで表やるの、よくない?」
「女子全員はシフト制で表をやって、男子は1人ずつを3人で回すって感じでどう~?」
委員長はそう提案した。みんなもそれに乗っかった。
「男子のウエイター、どうする?」
ある男子がそう問いかけると、クラスの女子がこんな提案を出した。
「あのさ、彩白と輝波君て、メッチャ仲良いじゃん。だからさ、ネタも込みでカップルウエイターみたいな感じとかどう?」
「ちょっと、何言ってんだよ!?」
僕が速攻でそう言うと、真斗が目を光らせて入ってきた。
「輝波は無いって。流石にもっと他にいるでしょー!」
「まあ、それはそうね……。流石に彩白とじゃ釣り合わないか……。」
「顔のレベルが違いすぎるぜ!」
そんな意見が幾つも僕の心に突き刺さっていた。
「……なあ、僕はこれをどんな気持ちで聴いてたらいいんだよ。」
そういうと、クラス中に爆笑が起こった。僕はその瞬間に少し困惑したが、すぐに察知した。
「流石だよ、輝波は。そこでちゃんと突っ込んでくる感じ、イジリ甲斐あるわー!」
なんか複雑な気分……。貶されたのに、イジリの一言でそれ無かったことになった。それが少し引っかかったけど、みんなが楽しそうにしているし、それだけでよかった。
「そういえば、彩白はどうなのよ? 輝波君とやってもいいの?」
「私は全然オッケー! なんか楽しそうだし、普通にやってみたいかも。」
「えっちょっと、彩白さん? 何言ってるんですか……?」
「何か楽しそうじゃない? 家に泊まった時も楽しかったし。そん時だって一緒に寝たじゃん!!」
おいおいおい!!! 何でそんな誤解を招く言い方するー!!
「嘘っ!! 2人ってそこまで行ってたの? じゃあより面白そうじゃない?」
「だな! 委員長―! やろうぜ!!」
「待って! 良いから、僕の話を聞いてくれ……!!」
しかし僕の雄叫び虚しく、話を聞いてもらうこともなく、それが決定事項となってしまった。
「……おい、なんであの場でそれを言った。」
「何でって、本当の事だし……。楽しかったしさ……。えっ、もしかして忘れちゃったの?」
「忘れてないよ。ただ、一緒ベッドで寝ただけで何もしなかったじゃんか。」
「うん。別に私、何かしたって言ったっけ?」
「……そういう風に、誤解されるようなことを言った。」
もう、こういう時に困るんだよ、こいつの天然は……。
そして、それからの作業では、周りから色々いじられるのだった。
委員長の掛け声で始まった、放課後の作業時間。段ボールや色画用紙など教室に飾り付けを施していく。
なぜ学校でそんなことやってるかって? みんなも一度は通った道だよ! そう高校生の青春の1ページに必ず刻まれているあれ。
「文化祭シーズン来たわね~!!」
そう、男女が協力して一つのブースを作りあげるその行事。それが文化祭。男と女が共に時間を過ごし、絆深め合う。その中で恋が生まれることも……!
「紫音、帰らなくて大丈夫なのか?」
僕は紫音にそう声をかけた。
「本当はすぐにでも帰りたいけど、流石に何もせずに帰るのは、気がひけるのよね……。」
「大丈夫だよ。みんなに事情は伝えとくから、安心して帰りなさい!!」
「任せちゃっていいの?」
判断がつかない様子の紫音を見て、僕は委員長に紫音帰宅理由を説明した。
「紫音ちゃん、無理して残んなくていいよ~。自分の事情を優先してね。」
「委員長……ありがとう!」
そう言うと、紫音はカバンを持って走って帰っていった。
「なあ、何で紫音帰ったんだよ?」
そう言いながら、真斗、葉月と拓人が近づいてきた。僕は彼らに簡潔に説明した。
「そうだったのか……。知らなかったなー。言ってくれれば、いつでも手伝いに行ったのに。」
「お前が弟達の前に出たら、発狂して泣いちゃうんじゃない?」
真斗はそう拓人をいじった。それからは2人の言い合いが始まった。周りは笑いながら傍観していた。
今年の特進クラスの出し物は、メイド喫茶に決まった。クラスの誰かが何の気無しに言ったそれが、ノリで決まってしまった形だった。
「厨房班を決めたいんだけどさ、誰か言ってくれる人いない?」
「メイドとかウエイターにならない人が、裏方やればいんじゃね?」
「とりあえず、紫音と葉月、それから委員長と彩白は確定じゃん。」
「いや、女子は全員表でいいよ。」
やっぱ、うちのクラス仲良いな。男子も女子も関係なく普通に意見を出すって、特進ならではだよね。
「でもさ、裏方男子だけじゃ不安だぜ?」
「クラスで顔のいい3人位は、ウエイターで表やるの、よくない?」
「女子全員はシフト制で表をやって、男子は1人ずつを3人で回すって感じでどう~?」
委員長はそう提案した。みんなもそれに乗っかった。
「男子のウエイター、どうする?」
ある男子がそう問いかけると、クラスの女子がこんな提案を出した。
「あのさ、彩白と輝波君て、メッチャ仲良いじゃん。だからさ、ネタも込みでカップルウエイターみたいな感じとかどう?」
「ちょっと、何言ってんだよ!?」
僕が速攻でそう言うと、真斗が目を光らせて入ってきた。
「輝波は無いって。流石にもっと他にいるでしょー!」
「まあ、それはそうね……。流石に彩白とじゃ釣り合わないか……。」
「顔のレベルが違いすぎるぜ!」
そんな意見が幾つも僕の心に突き刺さっていた。
「……なあ、僕はこれをどんな気持ちで聴いてたらいいんだよ。」
そういうと、クラス中に爆笑が起こった。僕はその瞬間に少し困惑したが、すぐに察知した。
「流石だよ、輝波は。そこでちゃんと突っ込んでくる感じ、イジリ甲斐あるわー!」
なんか複雑な気分……。貶されたのに、イジリの一言でそれ無かったことになった。それが少し引っかかったけど、みんなが楽しそうにしているし、それだけでよかった。
「そういえば、彩白はどうなのよ? 輝波君とやってもいいの?」
「私は全然オッケー! なんか楽しそうだし、普通にやってみたいかも。」
「えっちょっと、彩白さん? 何言ってるんですか……?」
「何か楽しそうじゃない? 家に泊まった時も楽しかったし。そん時だって一緒に寝たじゃん!!」
おいおいおい!!! 何でそんな誤解を招く言い方するー!!
「嘘っ!! 2人ってそこまで行ってたの? じゃあより面白そうじゃない?」
「だな! 委員長―! やろうぜ!!」
「待って! 良いから、僕の話を聞いてくれ……!!」
しかし僕の雄叫び虚しく、話を聞いてもらうこともなく、それが決定事項となってしまった。
「……おい、なんであの場でそれを言った。」
「何でって、本当の事だし……。楽しかったしさ……。えっ、もしかして忘れちゃったの?」
「忘れてないよ。ただ、一緒ベッドで寝ただけで何もしなかったじゃんか。」
「うん。別に私、何かしたって言ったっけ?」
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