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46話 霧が晴れていく感じ
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後日談。
僕はお母さんに相談した。
「彩白を一回病院に連れて行ってください。」
「ええ。そのつもりよ。」
なぜ僕がそう言ったのか、それは彩白の精神状態が大分やられていたからだ。
あの後、落ち着いた状態の彩白と会話をして、僕の鈍感さが1番の原因だったというのがわかった。
「好きでもない男子に、手編みのマフラーとか作らないし、部屋でお泊りとか絶対しないよ。」
「そうなのか?」
「しないよ!! 私だって、そこらへんのリスク管理とか、好きな気持ちとか考えるもん!!」
「……リスク管理って、何される想定で話してんだよ……」
「だって男って猿でしょ? そりゃそれくらい覚悟していくもん!!」
「あのな……そんな誰にでも手を出すような男なんてそうそういないぞ?
「……えっ、そうなの?」
「……お前さ、男の事なんだと思ってたんだよ……」
「えっ、性欲の塊。」
何て不名誉な考え方。流石に傷つく男子多いぞ。
そんな冗談を言いながらも、以前よく一緒に回っていたコースを歩いた。
あの時、何で彩白があれだけ本音を曝け出したのか、僕には分からないでいた。
「彩白さ、何であんな自分の気持ちをハッキリ言ってたの?」
だからこそ、僕も自分の気持ちを伝えてやすかった。
「えっ、私なんか言ってた?」
「言ってたも何も、『アプローチしても響かないとか』そんな事凄い言ってたよ?」
「嘘っ……! 私そんな恥ずかしいこと言ってた?」
「うん……しかも止まらない感じだったな。」
僕がそう言うと彩白は、顔を隠して恥ずかしそうにしていた。
しかし、僕はそこで心の底から笑えていなかった。そして少し歩くスピードを上げたのだった。
そして彩白宅に帰って、お母さんに病院の件を相談した訳だ。
「何で? 私もう大丈夫だよ。」
「念のために行っとけよ。彩白、さっき僕との会話覚えてなかっただろ。」
「うん、それがどうしたの?」
「脳が情報を遮断してんだよ。ストレスからの防御のために、現実逃避してるのかもな。だから行っとけ。」
「あっ、確かに。最後に学校に行った日のこととか、全然覚えてない。」
「だから、お母さんと一緒に行ってきなよ。」
「彩白、準備しなさい。早くいくわよ。ごめんね輝波君、今日のところは帰ってもらっていいかしら」
「勿論ですよ。また明日伺いますね。」
「ええ。そうしてちょうだい。」
「……嘘、キー君とお母さんが凄い仲良くなってる……娘としては複雑だわ……」
そうして、僕と彩白達は別れてそれぞれの道を歩き始めた。
ストレスで頭も回ってなかったし、それで判断能力も落ちて制御機能も発動しなくなったんだろうな。
だからいつもなら抑えられていた事も、やってしまったんだ。
本当に点と点が全て線になった感じがした。とりあえずこの件での原因は僕と彩白のお母さんが作っていた。
特に僕の鈍感さが、彩白の心を折ったということのような気もした。
翌日は休みで、彩白の僕の家浸りが再び起こった。正直なところ、凄く嬉しかった。
その中で、僕は彩白に伝えようと思っていたことがあった。
「卒業式の後でさ、言いたい事があるんだ。」
「それって今じゃダメなの?」
「これから受験もあるし、志望校も一緒だからさ。大学からがいいなって思ったんだけど。」
「確かにね。受験に身が入らなくなるかもしれないし。私も賛成。」
「じゃあ、お互いに受かってから再会しよう。」
「うん!!!」
彩白の顔に特大の花火が咲き誇ったような、そんな表情に見えた。
週明け。久々に彩白と登校すると、クラス中の視線が僕らに集まった。
「彩白ー! 久しぶりー!」
「紫音……ごめんね、迷惑かけて。」
「いいのよ。こうして学校に来てくれたんだからさ。」
僕は二人が再会を喜ぶ姿を微笑みながら見ていた。その場から離れて、自分の机に行き荷物を置いた。
「それで、輝波は言えたの?」
「……う、うん……」
「えっ、本当に!? 絶対勇気出ないで終わると思ったわ……」
「……それをいちいち、僕の机に来てまで言う事かな……」
「いいじゃないの! おめでたいんだから!」
彩白と僕は少し居心地が悪くて、教室を後にした。
先に言っておくと、この2、3日後にはクラスの全員が僕らの関係を知り、僕に限ってはさらにいじりの度合いが高くなった。
「少し歩こっか。」
「そうだね。」
僕の提案に彩白は笑顔で応じてくれた。
手を繋いで、見慣れた校舎をゆっくり歩いた。
それでも、僕の目に飛び込んでくる景色は、今までのと全く違うような気がした。
「戻る?」
「だな。もうすぐ予鈴も鳴りそうだし、戻ろっか。」
僕はそう言って、自分の教室に戻って行くのだった。
後日談はこれにて終了!!
僕はお母さんに相談した。
「彩白を一回病院に連れて行ってください。」
「ええ。そのつもりよ。」
なぜ僕がそう言ったのか、それは彩白の精神状態が大分やられていたからだ。
あの後、落ち着いた状態の彩白と会話をして、僕の鈍感さが1番の原因だったというのがわかった。
「好きでもない男子に、手編みのマフラーとか作らないし、部屋でお泊りとか絶対しないよ。」
「そうなのか?」
「しないよ!! 私だって、そこらへんのリスク管理とか、好きな気持ちとか考えるもん!!」
「……リスク管理って、何される想定で話してんだよ……」
「だって男って猿でしょ? そりゃそれくらい覚悟していくもん!!」
「あのな……そんな誰にでも手を出すような男なんてそうそういないぞ?
「……えっ、そうなの?」
「……お前さ、男の事なんだと思ってたんだよ……」
「えっ、性欲の塊。」
何て不名誉な考え方。流石に傷つく男子多いぞ。
そんな冗談を言いながらも、以前よく一緒に回っていたコースを歩いた。
あの時、何で彩白があれだけ本音を曝け出したのか、僕には分からないでいた。
「彩白さ、何であんな自分の気持ちをハッキリ言ってたの?」
だからこそ、僕も自分の気持ちを伝えてやすかった。
「えっ、私なんか言ってた?」
「言ってたも何も、『アプローチしても響かないとか』そんな事凄い言ってたよ?」
「嘘っ……! 私そんな恥ずかしいこと言ってた?」
「うん……しかも止まらない感じだったな。」
僕がそう言うと彩白は、顔を隠して恥ずかしそうにしていた。
しかし、僕はそこで心の底から笑えていなかった。そして少し歩くスピードを上げたのだった。
そして彩白宅に帰って、お母さんに病院の件を相談した訳だ。
「何で? 私もう大丈夫だよ。」
「念のために行っとけよ。彩白、さっき僕との会話覚えてなかっただろ。」
「うん、それがどうしたの?」
「脳が情報を遮断してんだよ。ストレスからの防御のために、現実逃避してるのかもな。だから行っとけ。」
「あっ、確かに。最後に学校に行った日のこととか、全然覚えてない。」
「だから、お母さんと一緒に行ってきなよ。」
「彩白、準備しなさい。早くいくわよ。ごめんね輝波君、今日のところは帰ってもらっていいかしら」
「勿論ですよ。また明日伺いますね。」
「ええ。そうしてちょうだい。」
「……嘘、キー君とお母さんが凄い仲良くなってる……娘としては複雑だわ……」
そうして、僕と彩白達は別れてそれぞれの道を歩き始めた。
ストレスで頭も回ってなかったし、それで判断能力も落ちて制御機能も発動しなくなったんだろうな。
だからいつもなら抑えられていた事も、やってしまったんだ。
本当に点と点が全て線になった感じがした。とりあえずこの件での原因は僕と彩白のお母さんが作っていた。
特に僕の鈍感さが、彩白の心を折ったということのような気もした。
翌日は休みで、彩白の僕の家浸りが再び起こった。正直なところ、凄く嬉しかった。
その中で、僕は彩白に伝えようと思っていたことがあった。
「卒業式の後でさ、言いたい事があるんだ。」
「それって今じゃダメなの?」
「これから受験もあるし、志望校も一緒だからさ。大学からがいいなって思ったんだけど。」
「確かにね。受験に身が入らなくなるかもしれないし。私も賛成。」
「じゃあ、お互いに受かってから再会しよう。」
「うん!!!」
彩白の顔に特大の花火が咲き誇ったような、そんな表情に見えた。
週明け。久々に彩白と登校すると、クラス中の視線が僕らに集まった。
「彩白ー! 久しぶりー!」
「紫音……ごめんね、迷惑かけて。」
「いいのよ。こうして学校に来てくれたんだからさ。」
僕は二人が再会を喜ぶ姿を微笑みながら見ていた。その場から離れて、自分の机に行き荷物を置いた。
「それで、輝波は言えたの?」
「……う、うん……」
「えっ、本当に!? 絶対勇気出ないで終わると思ったわ……」
「……それをいちいち、僕の机に来てまで言う事かな……」
「いいじゃないの! おめでたいんだから!」
彩白と僕は少し居心地が悪くて、教室を後にした。
先に言っておくと、この2、3日後にはクラスの全員が僕らの関係を知り、僕に限ってはさらにいじりの度合いが高くなった。
「少し歩こっか。」
「そうだね。」
僕の提案に彩白は笑顔で応じてくれた。
手を繋いで、見慣れた校舎をゆっくり歩いた。
それでも、僕の目に飛び込んでくる景色は、今までのと全く違うような気がした。
「戻る?」
「だな。もうすぐ予鈴も鳴りそうだし、戻ろっか。」
僕はそう言って、自分の教室に戻って行くのだった。
後日談はこれにて終了!!
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