雨と晴

やすを。

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6話 学校の友達

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 「おはよ、翔太。最近くるの遅くなったな。」

 「まあな。」

 自分の所属するクラス。二年三組。その中心的人物であり、みんなから慕われている人気者。絶え間なく彼女がいて、女子たちはいつもその座を狙っているとかいないとか。

 その男子の名は、佐藤巧。僕の親友の一人だ。

 そろそろ、巧たちにも明かす頃かな。一週間前には雨森にオッケーもらってだけど、言い出す勇気が無かったんだ。こう考えると、僕ってけっこう情けないな……。

 「あら、やっと来たの。最近登校時間遅いんじゃない? 生活リズムが崩れてる何て、受験生の恥よ。」

 この女子も、僕の親友のもう一人の方だ。名は友部沙耶香。学級委員長で、面倒見が良い。巧と負けず劣らずの人望を持ち、成績優秀。志望校は医学部だと言う。

 「君らは何故いつも話す内容がかぶるんだよ……。」

 「そんなの決まってるじゃない。仲良いからに決まってるでしょ?」

 「まあ、そういうことだ。で? 何でこんな遅いんだよ。親族でも死んだのか?」

 出た。相も変わらずのノンデリカシー発言。これでかのじょができるのだから 、こと世界はおかしい。

 「えっ、そうだったの? 聞いてごめんなさい。」

 あー、面倒臭い……。この天然女、素直に何でも信じるんだよな。

 「だったら、学校なんか来てないよ。というか、二人に話があるから、放課後付き合って欲しいんだけど。」

 「良いよ。丁度部活もデートも塾もないしな。」

 予定あり好きだよ。てか、どんだけ今日都合いいんだよ……。

 「えっ、ごめん。翔太とは友達のままでいたいの。」

 「違うわ! 放課後予定に付き合ってくれっつってんの! 何でここで告白なんかするんだよ!」
 

 本当、何でこれで委員長が務まるんだよ。話せば話すほど、意味不明なんだよな……。

 「冗談はここまでにしておいて、どこに行くんだ?」

 「僕の家。」
 
 「そこで何をしようと?」

 「それは後でのお楽しみということで。」

 「あー、おけ。」

 「うん、分かったわ。早めに委員長の仕事片付けるから、それまで待ってて。」

 この清々しいほどのメリハリ。なんと言うか、調子が狂うと言うか……。これについていくのが本当に大変なんだよな……。

 そして始業のチャイムが鳴った。各々が席に戻り、担任の到着を待った。

 時間は流れて、放課後。僕らは委員長が仕事を終えるのを待っていた。

 待っていたわけではなく、手伝っていたのだが、まあ、全体の九割以上は沙耶香が片付けたから、実質見ていたに近い。

 そうしてようやく三人で帰路に着く。その間に、僕は二人に雨森と僕が同居している事や、そこに至ってからの経緯を話た。

 「なんか、翔太っぽくないわね……。」

 「ああ。同感だ……。」

 なんだよ僕っぽくないって。というか僕っぽいってなんだよ。確かに今までの僕がやらなさそうな行動だけどさ、別に僕がやったっていいじゃないか!

 「とりあえず、そういう事だから、あんまり初めから、馴れ馴れしい感じにはしないでな。」

 何故僕が忠告したのか。それは、度を超えた距離感の近さで相手を驚かせる事がよくあるから。

 二人は良くも悪くも距離感が近い。だから初対面の人には敬遠されがちだ。しかも今回は雨森ときた。余計神経質にならないといけない部分だ。

 じゃあ、何故そんな人たちなのに、雨森に合わせようと僕がするのか。それは二人なら雨森と友達になれるような気がしたから。

 僕は決して馴れ馴れしくするなとは言っていない。加減を考えろと言ったのだ。だからうまい具合に、馴れ馴れしさを発揮すれば、仲よくなれるのではと、僕は思ったのだ。

 それがうまくいくかどうかは、二人次第。でも、僕は上手くいくと信じている。何故なら、二人は人想いの優しい人だからだ。でなければ、初めから二人を合わせようとは考え無かっただろう。

 僕らは同じ足取りで、目的地を目指して歩いていた。
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