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8話 強引な二人
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週末。僕らはとあるショッピングモールにやってきた。葵の服を購入するために、四人で出掛けていた。流石に親から葵の洋服代を請求するのは忍びなかったので、バイト代から出すことにした。
だから金額面での制約がある事が、僕の罪悪感を誘った。
「相変わらず、二人は仲良いな。」
「まあな、最寄りが一緒ってのもあるがな。」
九時半、お洒落な二人の男女が横並びで話しながらやってきた。その見た目は、僕らとは段違いの輝きを放っているように見えた。
「葵ちゃんは持ってないからいいとしてさ、翔太お前な、どんだけ服ダセーんだよ。」
「本当。翔太は服が買えるくらいのお金持ってんでしょ? 横着しないでちゃんと買いなさいよ。」
何で、来て早々二人から説教を食らわなきゃいけないのだろう。着る服ぐらい自分で選んでもいいはずなんだがな……。
「よっしゃ、じゃあ早速いくか。葵ちゃんと翔太の服を買いに!」
「えっ、僕もなの? そんなにお金持ってきてないよ!」
「なんかあったら、私たちが出すわよ。そんなことよりさ、ほら行った行った。」
決して二人の家が裕福な訳でもないのに、そこまでしてもらうのは、些か気がひけるな。確かに二人の両親とは顔見知りで話もするが、そこまでしてもらう恩はないはずだ。
「とりあえず、まずは葵ちゃんの服ね。」
沙耶香はそう言うと、葵の手を取って引っ張るようにして、お店まで連れて行った。
「葵ちゃん、俺のこと嫌いなのかな?」
「どうした? いきなり?」
「いやな。葵ちゃん、すげー俺のこと警戒してんだよ。沙耶香には、結構懐き始めてるけどさ、俺とはあんまり話してくれないんだ。」
「そうなのか? でも、まあ最初はそんなもんだぞ。僕だってそうだったからな。ここまでくるのに、時間かかったよ。」
僕も薄々は感じていた。葵が男子にだけガードが堅いということに。巧の言う通り、沙耶香にはすぐに打ち解けているようだが、巧とは少し距離感があるように感じた。
しかし、これは沙耶香だから出来たこと。決して全員ができる訳ではない。
「でもま、辛抱強く葵ちゃんが心開いてくれるまで待つとするよ。」
僕からすれば、ありがとうの一言に尽きる。今日の買い物だって、僕らの洋服を買いに来た訳で、二人にはなんのメリットもないはずなのだ。それなのに、こうやってわざわざ休日に足を運んでくれるのは、優しさ以外の何者でもない。
「俺らもいくか。早く行かないと、沙耶香に怒られるからね。」
「ああ。そうだな。」
そうやって僕らは足速に二人の後を追った。何度か沙耶香の買い物に付き合わされてきたから、なんとなく行きたい所は分かっていた。
「やっときたわね。遅いじゃない、もう葵ちゃん何着か洋服を決め終えたわよ。」
「えっそうなの? 早くない?」
「これから試着するから、翔太は葵ちゃんの服見てあげて。」
「あ、うん。分かった。」
そう言われても、女子の服なんてよくわからないんだけどな……。沙耶香の時も適当に答えてるだけだし。良し悪しなんて区別つかないんだよな。
「翔太、開けるよ。じゃーん! どおかな?」
「普通に可愛い。」
「何その感想。もっと具体的にさ、無いの?」
「僕に決められるのは似合ってるかどうか、可愛いかどうかくらい。他は巧の方が分かるんじゃないのか?」
葵は、「良かった」と言って再びカーテンを閉めた。
「じゃあ、次行くよ。」
「次はこれ! どう?」
「似合ってるし、可愛い。」
「良かった。じゃあ最後いくよ?」
僕には女性用の服の知識が皆無で、服の名前すらほとんどわからない。沙耶香がいくら服の種類を出しても、一切反応できないでいた。
「全部似合ってたし、可愛かったよ。」
「本当? じゃあ買っていいかな?」
良かった……。多めに持ってきておいて。この量ならまだ余裕はある。
「いいよ。じゃあ会計済ませてくるね。」
「あっ、私も行くよ。」
僕らは二人で会計を済ますことにした。その間、二人は保護者のような目で僕らを見ていた。
「私たちもう少し買いたいものあるから、ちょっと葵ちゃん借りるね。」
「お金は? いくらくらいかかりそう?」
「そんなのいいから。私からのプレゼントってことで。じゃあまた後で。」
二人はそうして奥へと消えて行った。
だから金額面での制約がある事が、僕の罪悪感を誘った。
「相変わらず、二人は仲良いな。」
「まあな、最寄りが一緒ってのもあるがな。」
九時半、お洒落な二人の男女が横並びで話しながらやってきた。その見た目は、僕らとは段違いの輝きを放っているように見えた。
「葵ちゃんは持ってないからいいとしてさ、翔太お前な、どんだけ服ダセーんだよ。」
「本当。翔太は服が買えるくらいのお金持ってんでしょ? 横着しないでちゃんと買いなさいよ。」
何で、来て早々二人から説教を食らわなきゃいけないのだろう。着る服ぐらい自分で選んでもいいはずなんだがな……。
「よっしゃ、じゃあ早速いくか。葵ちゃんと翔太の服を買いに!」
「えっ、僕もなの? そんなにお金持ってきてないよ!」
「なんかあったら、私たちが出すわよ。そんなことよりさ、ほら行った行った。」
決して二人の家が裕福な訳でもないのに、そこまでしてもらうのは、些か気がひけるな。確かに二人の両親とは顔見知りで話もするが、そこまでしてもらう恩はないはずだ。
「とりあえず、まずは葵ちゃんの服ね。」
沙耶香はそう言うと、葵の手を取って引っ張るようにして、お店まで連れて行った。
「葵ちゃん、俺のこと嫌いなのかな?」
「どうした? いきなり?」
「いやな。葵ちゃん、すげー俺のこと警戒してんだよ。沙耶香には、結構懐き始めてるけどさ、俺とはあんまり話してくれないんだ。」
「そうなのか? でも、まあ最初はそんなもんだぞ。僕だってそうだったからな。ここまでくるのに、時間かかったよ。」
僕も薄々は感じていた。葵が男子にだけガードが堅いということに。巧の言う通り、沙耶香にはすぐに打ち解けているようだが、巧とは少し距離感があるように感じた。
しかし、これは沙耶香だから出来たこと。決して全員ができる訳ではない。
「でもま、辛抱強く葵ちゃんが心開いてくれるまで待つとするよ。」
僕からすれば、ありがとうの一言に尽きる。今日の買い物だって、僕らの洋服を買いに来た訳で、二人にはなんのメリットもないはずなのだ。それなのに、こうやってわざわざ休日に足を運んでくれるのは、優しさ以外の何者でもない。
「俺らもいくか。早く行かないと、沙耶香に怒られるからね。」
「ああ。そうだな。」
そうやって僕らは足速に二人の後を追った。何度か沙耶香の買い物に付き合わされてきたから、なんとなく行きたい所は分かっていた。
「やっときたわね。遅いじゃない、もう葵ちゃん何着か洋服を決め終えたわよ。」
「えっそうなの? 早くない?」
「これから試着するから、翔太は葵ちゃんの服見てあげて。」
「あ、うん。分かった。」
そう言われても、女子の服なんてよくわからないんだけどな……。沙耶香の時も適当に答えてるだけだし。良し悪しなんて区別つかないんだよな。
「翔太、開けるよ。じゃーん! どおかな?」
「普通に可愛い。」
「何その感想。もっと具体的にさ、無いの?」
「僕に決められるのは似合ってるかどうか、可愛いかどうかくらい。他は巧の方が分かるんじゃないのか?」
葵は、「良かった」と言って再びカーテンを閉めた。
「じゃあ、次行くよ。」
「次はこれ! どう?」
「似合ってるし、可愛い。」
「良かった。じゃあ最後いくよ?」
僕には女性用の服の知識が皆無で、服の名前すらほとんどわからない。沙耶香がいくら服の種類を出しても、一切反応できないでいた。
「全部似合ってたし、可愛かったよ。」
「本当? じゃあ買っていいかな?」
良かった……。多めに持ってきておいて。この量ならまだ余裕はある。
「いいよ。じゃあ会計済ませてくるね。」
「あっ、私も行くよ。」
僕らは二人で会計を済ますことにした。その間、二人は保護者のような目で僕らを見ていた。
「私たちもう少し買いたいものあるから、ちょっと葵ちゃん借りるね。」
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