雨と晴

やすを。

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15話 夜のひと時

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 「レッツパーティー!」

 夕食後、各々がお風呂に入り、お楽しみのゲームパーティーが始まった。

 夕食時、自分達で作ったカレーを頬張りながら、巧と沙耶香はおんぶについて色々と質問してきた。その事について興味津々の様子で、ずっと僕への質問が止まなかった。

 「女の子をおんぶした感想は?」

 「軽すぎて驚いた。」

 「えー、そんな事。もっとおっぱいに興奮したとかないの?」

 「何でその答えを沙耶香が期待してんだよ。」

 「だって、私にもあるもの。葵ちゃんのおっぱいの感触にね。」

 「それは、二人で風呂に入ってる時にでもやってくれ。」

 沙耶香って本当に学級委員長だよな。時々本気で疑いたくなるんだよね。

 「葵ちゃんはもう足大丈夫なの?」

 「うん。やっぱり歩くのに支障はあるけどね。まあ、それ以外なら何ともないよ。」

 「困ったら翔太を頼れば良いからね。」

 「何でも言えよ。遠慮はいらないからさ。」

 「うん。その時は力貸してね。」

 ボケたりまともな話をしたりで、なんだかんだ夕食中は会話も盛り上がり、楽しい時間を過ごせたことは間違いなかった。

 各々がお風呂を済ませて、少し髪の毛が湿っている状態で、僕らはコントローラーを手に取りパーティーゲームを始めた。

 「俺が適当に設定するな。」

 巧が率先してゲームのルールを作って、終わると、順番やキャラクターを決めていく。そして、ゲームスタート。全員が時間を忘れて大きくリアクションをしたり、叫んだり。どこか青春の一ページを作り上げているような気がした。

 パーティーゲームが終わっても夜はまだまだ続く。元々別荘にあったゲームや各々の各家から持ってきた物まで、手当たり次第に遊んでいった。

 そして、気づけば夜の十二時。僕以外の三人は、目が虚ですぐにでも寝たいようだった。僕は行きの車の中で、十分な睡眠をとったようで、目が冴え渡っていた。

 とりあえず僕も布団に入り、睡魔が来るのを待った。しかし、一向に現れる気配もなく、すぐに起き上がった。そして自室から出ると、僕は玄関に向かった。

 「翔太? どこ行くの?」

 声の主は葵だった。片足だけで歩いてここまできたらしい。

 「おいおい、無理すんなって。眠れなさそうだから散歩しにいくだけだよ。」

 「私も連れてって。」

 「そんな目が座ってる人を連れてはいけません。」

 今にも寝そうじゃないか。もしかして今話しているのも、明日の朝には記憶にないんじゃないか?

 「私を一人にしないで。翔太がいないと不安で仕方がないから。」

 やっぱり可愛いな。うちの同居人は、いつでも可愛いよ。抱きしめちゃいたいくらいだ。

 「分かったよ。じゃあまたおぶるから行くぞ。」

 「うん。やっぱり君は良い人だよ。」

 「はいはい。ありがとう。」

 僕は再びおんぶをして、玄関から別荘を後にした。僕はある場所を目指して歩く。去年巧に教えてもらって、泊まっていた期間は毎日足を運んでいた。

 「どこ行くの?」

 「着いてからのお楽しみ。」

 「いいところ?」

 「僕がつまらないところに行くわけないだろ。」

 「確かにね。じゃあ楽しみにしてる。」

 「そうしててくれ。」

 そうして葵は僕の背中で眠ってしまった。よほど眠たかったようで、話終わるのとほぼ同時だった。
 
 今は寝ていてくれ。次、葵が目を開けた時に広がっている景色を見て度肝を抜くことになるから。その時のリアクションだけを残しておいてくれれば何の問題も無いよ。

 僕は月明かりが差し込む森林の中を一人静かに歩いていた。背中の女の子は僕にとって軽すぎるほどで、時々背負っていることを忘れるくらいだった。

 




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