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82話 天使たちは仲良し
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約四メートルの高さとはいえ、普通に降りるだけでも衝撃は凄い。しかも今回は、菖蒲と同じぐらいの体格だが、ある程度の重さがある美神を抱えての着地、ある程度の怪我は覚悟しなければいけない。
「っ高」
落ちる時間は他者から見れば刹那的だが、響としては数分の長さに思えた。
落下地点は子どもたちが遊ぶ用の砂場があり、そこに着地出来れば少しの衝撃は分散されるだろう。
「ミカエル、大丈夫だからな」
口に出したのか言った気になっているだけか分からないが、美神の表情が少し和らいだ気がした。
地面が近づき、美神をより強い力で抱きしめる。
「っ仮氏さん!美神ちゃん!!」
着地した足先からふくらはぎ、腿の順に衝撃が走る。
「っふん!」
鼻で荒く呼吸をし、足の痛みに耐える。
美神を優しく下ろすと、響は膝から崩れ落ちた。
「怪我人はいますか!?」
「こ、ここです!ここに二人います!」
永流の案内のおかげで比較的早く救急車に乗り込んだ。
急を要することもあり一つの救急車に乗り込み、付き添いとして永流が同乗した。
「仮氏さん、大丈夫…ではなさそうですよね」
「ミカエルよりは大丈夫だ」
アドレナリンもあるのか、足の痛みはそれほどまではなく、椅子に座り話せる程度には余裕があった。
救急隊の人に怒られながら病院へ向かい、怪我人二人は治療を受けた。
「ほんと奇跡だからね?普通なら骨が粉々になっててもおかしくないんだから、もう二度としないように。でも、今回はよく頑張った」
「牛乳沢山飲んだおかげですかね」
医師から呆れながら頭にチョップされ、診察を終えた。
「仮氏さん、どうだった?」
「牛乳パワーで無傷だったぞ。ちょっと火傷したのと、服が焦げたのを除けばな」
「…良かった?のかな」
とりあえず響は無事だったことに、永流は胸を撫で下ろす。
肝心の美神は入院することになり、それからまるまる一日目を覚まさなかった。
「…どこ?」
「美神ちゃん!?」
火事から翌日、美神は永流に撫でられながら目を開けた。
「おはようミカエル」
「あ…響殿、おはようございます…」
美神はまだ状況を整理出来ていないのか、虚ろな目で響たちを見つめる。
「っ子どもたちはどうなった!?火事は!?」
火事のことを思い出したのか、ガバッと布団を払い起きあがろとする。
「まだ寝ててっ」
「サマエル?」
永流に抑え込まれ、美神は大人しく横になる。
響は何が起きたのかを美神に伝え、永流がその捕捉をする。
「仮氏さんが火の中に飛び込んだと思ったら、窓から飛び降りてきたんだよ」
「さながら、不死鳥フェニックスのようであるな!」
「バカ言わないで…」
永流はしりすぼみになりながら下を見つめる。
「私すごく心配したんだよ?真っ赤に燃える中から出てきた美神ちゃんは、ボロボロで目を閉じてて…」
「…すまない」
突然、美神の頬に手のひらが飛んでいく。
「っ永流!?」
「っ美神ちゃんはいっつも守るために自分を犠牲にして!その度に変わらない笑顔で話しかけてくる!」
「サマエル…」
永流の長年の気持ちが溢れるように涙が零れる。
「美神ちゃんの周りが笑顔でも、美神ちゃんの心が泣いてたら…私、嬉しくないよっ」
永流は子どものように泣き、美神を強く抱きしめる。
美神はどうしたいいのか分からないように、目で響に助けを求めるが、響は下手な口笛を吹きながら目を逸らす。
「…サマエルすまなかった」
美神は永流の背中を撫でながら、ポツリと話し出す。
「昔、サマエルに言われた話を聞いてくれるか?」
「あぁ」
話は響が美神を庇った時の事だった。
「響殿に助けられた話を何となくサマエル…永流ちゃんに話したことがあったんだ」
『ならその人は美神ちゃんの神様だねっ』
『その通り!』
中学の頃、今と同じの永流の病室でそんな話をしていた。
『なら美神ちゃんは大天使ミカエルってことになるのかな?』
『ミカエル?』
『知らない?なら私が説明してあげるね』
永流は長い長い物語を要約して話し始めた。
『昔ミカエルとサマエルっていう天使たちがいたの』
『おぉ!我らに似ている名だな!』
『サマエルが天国から追放された時、ミカエルも道連れにしたらしいの』
『全く似ていないな!永流ちゃんはそんなことはしない!』
永流は笑いながら続きを話した。
『一度は堕ちたミカエルだったけどそれを神様自身が救いあげたらしいの』
『さすがゴッドだな』
『ふふっ、なんか今の私たちに似てるよね。一つ違うのは美神ちゃんが私、サマエルを救ったところっ』
『サマエルは悪いヤツなのだろう!?そうなれば永流ちゃんとは全くの別物!』
永流は美神の手を握り、心配そうに見つめる。
『私のせいで美神ちゃんが…嫌なことされてるの私…知ってるの』
『な、何を言っているっ、我は何時でも元気であるぞ?』
『んーん、私が美神ちゃんの羽を掴んで道連れにした…ごめんね』
「それから二人はミカエルとサマエルになったのです!」
「いやいや端折りすぎだろ…永流のセリフ的にそこに落ち着く理由が分からないんだが?」
美神はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、響に言い放つ。
「我らを丸ごと引っ括めて、どちらも堕天せずにしてくれた響殿の功績である!!」
「ん?」
「簡単に言えば仮氏さんのおかげということだよ」
永流は涙と鼻水を美神の服に付けながら、話す。
「仮氏さんのおかげでミカエルとサマエルは仲良く出来てる。歴史とは違うけど、ハッピーエンドならそっちの方がいいっ」
「つまり俺最高ってこと?」
美神と永流は二人、微笑みながら呟く。
「「はい!」」
「っ高」
落ちる時間は他者から見れば刹那的だが、響としては数分の長さに思えた。
落下地点は子どもたちが遊ぶ用の砂場があり、そこに着地出来れば少しの衝撃は分散されるだろう。
「ミカエル、大丈夫だからな」
口に出したのか言った気になっているだけか分からないが、美神の表情が少し和らいだ気がした。
地面が近づき、美神をより強い力で抱きしめる。
「っ仮氏さん!美神ちゃん!!」
着地した足先からふくらはぎ、腿の順に衝撃が走る。
「っふん!」
鼻で荒く呼吸をし、足の痛みに耐える。
美神を優しく下ろすと、響は膝から崩れ落ちた。
「怪我人はいますか!?」
「こ、ここです!ここに二人います!」
永流の案内のおかげで比較的早く救急車に乗り込んだ。
急を要することもあり一つの救急車に乗り込み、付き添いとして永流が同乗した。
「仮氏さん、大丈夫…ではなさそうですよね」
「ミカエルよりは大丈夫だ」
アドレナリンもあるのか、足の痛みはそれほどまではなく、椅子に座り話せる程度には余裕があった。
救急隊の人に怒られながら病院へ向かい、怪我人二人は治療を受けた。
「ほんと奇跡だからね?普通なら骨が粉々になっててもおかしくないんだから、もう二度としないように。でも、今回はよく頑張った」
「牛乳沢山飲んだおかげですかね」
医師から呆れながら頭にチョップされ、診察を終えた。
「仮氏さん、どうだった?」
「牛乳パワーで無傷だったぞ。ちょっと火傷したのと、服が焦げたのを除けばな」
「…良かった?のかな」
とりあえず響は無事だったことに、永流は胸を撫で下ろす。
肝心の美神は入院することになり、それからまるまる一日目を覚まさなかった。
「…どこ?」
「美神ちゃん!?」
火事から翌日、美神は永流に撫でられながら目を開けた。
「おはようミカエル」
「あ…響殿、おはようございます…」
美神はまだ状況を整理出来ていないのか、虚ろな目で響たちを見つめる。
「っ子どもたちはどうなった!?火事は!?」
火事のことを思い出したのか、ガバッと布団を払い起きあがろとする。
「まだ寝ててっ」
「サマエル?」
永流に抑え込まれ、美神は大人しく横になる。
響は何が起きたのかを美神に伝え、永流がその捕捉をする。
「仮氏さんが火の中に飛び込んだと思ったら、窓から飛び降りてきたんだよ」
「さながら、不死鳥フェニックスのようであるな!」
「バカ言わないで…」
永流はしりすぼみになりながら下を見つめる。
「私すごく心配したんだよ?真っ赤に燃える中から出てきた美神ちゃんは、ボロボロで目を閉じてて…」
「…すまない」
突然、美神の頬に手のひらが飛んでいく。
「っ永流!?」
「っ美神ちゃんはいっつも守るために自分を犠牲にして!その度に変わらない笑顔で話しかけてくる!」
「サマエル…」
永流の長年の気持ちが溢れるように涙が零れる。
「美神ちゃんの周りが笑顔でも、美神ちゃんの心が泣いてたら…私、嬉しくないよっ」
永流は子どものように泣き、美神を強く抱きしめる。
美神はどうしたいいのか分からないように、目で響に助けを求めるが、響は下手な口笛を吹きながら目を逸らす。
「…サマエルすまなかった」
美神は永流の背中を撫でながら、ポツリと話し出す。
「昔、サマエルに言われた話を聞いてくれるか?」
「あぁ」
話は響が美神を庇った時の事だった。
「響殿に助けられた話を何となくサマエル…永流ちゃんに話したことがあったんだ」
『ならその人は美神ちゃんの神様だねっ』
『その通り!』
中学の頃、今と同じの永流の病室でそんな話をしていた。
『なら美神ちゃんは大天使ミカエルってことになるのかな?』
『ミカエル?』
『知らない?なら私が説明してあげるね』
永流は長い長い物語を要約して話し始めた。
『昔ミカエルとサマエルっていう天使たちがいたの』
『おぉ!我らに似ている名だな!』
『サマエルが天国から追放された時、ミカエルも道連れにしたらしいの』
『全く似ていないな!永流ちゃんはそんなことはしない!』
永流は笑いながら続きを話した。
『一度は堕ちたミカエルだったけどそれを神様自身が救いあげたらしいの』
『さすがゴッドだな』
『ふふっ、なんか今の私たちに似てるよね。一つ違うのは美神ちゃんが私、サマエルを救ったところっ』
『サマエルは悪いヤツなのだろう!?そうなれば永流ちゃんとは全くの別物!』
永流は美神の手を握り、心配そうに見つめる。
『私のせいで美神ちゃんが…嫌なことされてるの私…知ってるの』
『な、何を言っているっ、我は何時でも元気であるぞ?』
『んーん、私が美神ちゃんの羽を掴んで道連れにした…ごめんね』
「それから二人はミカエルとサマエルになったのです!」
「いやいや端折りすぎだろ…永流のセリフ的にそこに落ち着く理由が分からないんだが?」
美神はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、響に言い放つ。
「我らを丸ごと引っ括めて、どちらも堕天せずにしてくれた響殿の功績である!!」
「ん?」
「簡単に言えば仮氏さんのおかげということだよ」
永流は涙と鼻水を美神の服に付けながら、話す。
「仮氏さんのおかげでミカエルとサマエルは仲良く出来てる。歴史とは違うけど、ハッピーエンドならそっちの方がいいっ」
「つまり俺最高ってこと?」
美神と永流は二人、微笑みながら呟く。
「「はい!」」
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