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7話
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「……では、貴女は“王政”そのものを否定するおつもりか?」
控室に響いたのは、ノア=グランディスの低く静かな声だった。
市民演説を終えたレティシアのもとに、彼は自ら姿を現した。
「いいえ。私は“機能していない王政”を否定するだけですわ」
レティシアは水の入ったグラスを傾けながら、淡々と答えた。
「今の王太子殿下が“愛”を語りながら、神殿と共に民を操ろうとしているのなら——それは、王政ではなく“茶番劇”ですもの」
「……言い切るな。“皮肉屋令嬢”の名は伊達ではない」
ノアは口元をわずかに歪めた。皮肉とも、賞賛とも取れない表情。
「だが、君が動けば動くほど、王家は追い詰められる。その先に、君自身の居場所は残らないのではないか?」
「覚悟の上ですわ。私は“正妃の座”を捨てた時点で、すでに盤外の人間です」
だからこそ、自由に動ける。そして誰よりも、しがらみに縛られずに“真実”を暴ける。
「それでも——君に“味方”がいるとすれば、それはわたしかもしれない」
一拍の沈黙の後、ノアは歩み寄り、手にした一枚の紙を差し出した。
「これは?」
「王宮の財務監査結果。王妃が秘密裏に進めていたものだ。“聖女”の活動資金の一部が、国外から流入していた記録がある」
「国外……?」
「つまり、あの“聖女”は単なる平民などではない。どこかの勢力に育てられ、送り込まれた“駒”だ」
レティシアの眼差しが鋭くなる。
「……神殿と外国の繋がり。それが事実なら、聖女を擁護する王太子殿下も“王国の敵”となり得ますわね」
「同じことを、王妃も考えている。だが、証拠が足りない。君が持つ情報と、我々の証拠——今こそ、重ねる時だ」
静かに差し出されたその手を、レティシアは少しだけ見つめた。
そして——迷いなく、握り返す。
「では、“皮肉屋令嬢”と“影の王子”で、一芝居打ちましょうか」
*
その夜。神殿では異変が起きていた。
「リリィ様、“査問会”のお達しが届いております!」
「な、何ですって……!?」
聖職者が手渡した書簡には、王妃直筆の命令が記されていた。
『王城にて、貴殿の出自および聖務に関する聴取を行う。出頭なき場合、王家への背信と見なす』
逃げ場は、ない。
全ては、用意されていた舞台へと収束していく。
光を纏った“聖女”が崩れ落ちる時、その隣で初めて、かつて捨てられた“皮肉屋令嬢”が舞台の中央に立つのだ。
控室に響いたのは、ノア=グランディスの低く静かな声だった。
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「今の王太子殿下が“愛”を語りながら、神殿と共に民を操ろうとしているのなら——それは、王政ではなく“茶番劇”ですもの」
「……言い切るな。“皮肉屋令嬢”の名は伊達ではない」
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だからこそ、自由に動ける。そして誰よりも、しがらみに縛られずに“真実”を暴ける。
「それでも——君に“味方”がいるとすれば、それはわたしかもしれない」
一拍の沈黙の後、ノアは歩み寄り、手にした一枚の紙を差し出した。
「これは?」
「王宮の財務監査結果。王妃が秘密裏に進めていたものだ。“聖女”の活動資金の一部が、国外から流入していた記録がある」
「国外……?」
「つまり、あの“聖女”は単なる平民などではない。どこかの勢力に育てられ、送り込まれた“駒”だ」
レティシアの眼差しが鋭くなる。
「……神殿と外国の繋がり。それが事実なら、聖女を擁護する王太子殿下も“王国の敵”となり得ますわね」
「同じことを、王妃も考えている。だが、証拠が足りない。君が持つ情報と、我々の証拠——今こそ、重ねる時だ」
静かに差し出されたその手を、レティシアは少しだけ見つめた。
そして——迷いなく、握り返す。
「では、“皮肉屋令嬢”と“影の王子”で、一芝居打ちましょうか」
*
その夜。神殿では異変が起きていた。
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逃げ場は、ない。
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