前世で【俺の奴隷】といじめていた相手が王太子に転生してたとか聞いてない!

Natuめ

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一章

前世を信じるかい?

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「そうだなぁ……。真っ裸で土下座すれば許してやる」

 今思えばやめておけばよかったのにと、つくづく後悔している。
 しかしあの頃はこれが一番の娯楽であったのだ。
 伯爵令息のシリルには、同い年の奴隷がいた。
 実際には男爵家の男の子なのだが、シリルにとっては奴隷となに一つ変わりない。
 好き勝手できる相手。
 それがクリフだった。
 彼はシリルに命じられるがままに洋服を脱ぐ。
 真っ白でひょろっとした体には、無数のあざがあった。
 もちろんシリルが殴ったわけではない。
 暴力は好かないのだ。
 だって拳が痛いじゃないか。
 だから殴っているのはシリルではなく、彼の父親らしい。
 まあそんなことは関係ないかと、自分に向かって土下座しているクリフを小馬鹿にしたように笑う。

「情けないなぁ。プライドってものはないのか? ああ、奴隷にはそんなものないよな」

 シリルはそういうと、クッキーやアメの入ったバケットを手にとる。
 どうやらクリフは家でまともに食事を与えられていないらしい。
 かわいそうなこの子に、恵んであげようというのだ。

「ほら、ありがたく食べろよ」

 そう言って、シリルは土下座するクリフの頭上にクッキーやアメを振らせた。
 コツコツと音を鳴らしクリフの頭に落ちていくその様を、シリルは意地悪く笑う。

「次は……そうだな。そのまま散歩するか。最後にワンって鳴いたら、パンを恵んでやるよ。お前は【俺の】奴隷なんだからな!」

 心底楽しそうなシリルは知らない。
 この後一年後に、流行病で若くして亡くなってしまうことを……。
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