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第二十話 デートは大成功
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「シエル様!!」
もうこのまま、湖に落ちるしか無いと思って諦めていたが、いつまで経っても湖に落ちた感覚は無かった。
その代わりに、私の背後からがっしりと抱きしめられる感触があった。
「シエル様、ご無事ですか!?」
「う、うん。ラルフが助けてくれたの?」
「咄嗟に体が動いただけです! 私がお手伝いしますので、しっかり竿を握ってください!」
ラルフの頼もしい言葉に頷きを返してから、私は竿を引っ張る手に更に力を入れる。すると、ラルフの両手が私の手に覆い被さり、更に体が強く引っ張られた。
お魚の引っ張る力って、こんなに強いなんて知らなかった。きっと私一人だったら、何度やっても湖に引きずり込まれていただろう。
でも、今の私には頼りになる人がいる。ラルフがいれば、まさに百人力! お魚なんかに負けたりしないんだから!
「ぐぬぬぬぬ……!!」
「シエル様、もう少しでございます! 焦らずにいきましょう!」
「うんっ! 絶対釣ってみせるんだから……根性だぁぁぁぁ!!」
元貴族の娘とは到底思えないような雄たけびを上げながら、一気に釣竿を持ち上げると、大きなお魚が陸地を目掛けて、勢いよく飛び出した。
やった、無事に釣れた! そう思ったのも束の間……お魚の引っ張る力が無くなり、私達は勢いよく後ろに倒れてしまった。
「う~ん、いったぁ……くない? あれ?」
「シエル様、怪我はございませんか?」
勢いよく倒れたというのに、どこも痛いところはない。それを不思議に思いながら目を開けると、心配そうな顔で私を見つめる、ラルフの顔が間近にあった。
「っ……!?」
よく見たら、ラルフの腕の中にすっぽり収まってるんだけど!? 抱きしめられてるんだけど!? だから痛くなかったんだ、納得――じゃないよ!
あぁ~……もう! やっぱりラルフのことを変に意識しちゃうよ! 前までは、くっついてもなんとも思わなかったのに!
「ご、ごめんね! 私、重いよね! すぐにどくから!」
「もうしばらくこのままでもよろしいのですが」
「ここ外だからね!? 百歩譲って家だとしても、恥ずかしくてやらないから!」
こんな時でもブレないラルフから、半ば逃げるように立ち上がると、高鳴る胸に手を当てた。
まさか、事故とはいえラルフに抱きついてしまうとは……は、恥ずかしい……。
「あ、そうだ! お魚は!?」
すっかりラルフに抱きしめられたことで頭がいっぱいになっていた私は、急いで周りを確認する。すると、近くで元気よく跳ねているお魚の姿を見つけた。
なんか、白と黒の鱗が綺麗なお魚だ! このお魚の種類は何かわからないけど、結構大きい! 私の両手を横に並べたのよりも大きいよ!
「本当に釣れちゃったよ! 凄い、生きてるお魚ってこんな感触なんだ! わぁ、ヌルヌルしてる~!」
「お見事です、シエル様。この魚は、この辺りで釣れる魚で、刺身が美味ですよ」
お刺身……! 実家にいた時は、あまり食べたことがない食べ方だ! 元々は外国の食文化らしくて、お魚が新鮮じゃないと出来ない食べ方だ。
どうしよう。考えただけで、またよだれが出そうだよ。早くラルフと一緒にその味を楽しみたいから、急いで帰らないと!
「早速捌くとしましょう」
「捌くって、ラルフに出来るの?」
「はい。プロの腕には到底及びませんが」
「す、凄い……ラルフってなんでも出来るね」
「あなたの傍にいて恥ずかしくないように、多くの知識を学んだ甲斐がありました。近くの店で刃物を買ってまいりますので、少々お待ちください」
そう言うと、ラルフはダッシュでその場を立ち去る。それから十分もしないうちに、ダッシュで戻ってきた。
なんか、ラルフって普段から冷静沈着で、行動も落ち着いていることが多いから、今みたいに全力で走っている姿は、ちょっぴり面白かった。
「お待たせいたしました。近くで魚を捌くためのナイフやまな板を扱っている店があったので、一式買ってまいりました」
「おかえり! 全然待ってないから大丈夫——ねえラルフ、汗がすごいけど、大丈夫?」
「ええ、問題ありません」
口では大丈夫なのを装ってるけど、ほっぺがちょっと赤くなってるし、汗もどんどん流れていた。
「とりあえず、ここだと日差しがあって暑いから、日陰に行こう」
「かしこまりました」
ラルフの汗をハンカチで拭いてあげてから、私達は近くの建物の陰に移動した。日陰に移動しただけで、だいぶ涼しくなるね。
「慣れない釣りをしてお疲れでしょう。少しお休みになっててください」
「ラルフ一人に任せられないよ。私に出来ることは無い?」
「一人で出来ることなので、ご心配は不要です」
「そっか……わかった。それじゃあ、お言葉に甘えるね」
手持ち無沙汰になってしまった私は、魚を捌き始めたラルフの顔をジッと見つめて過ごすことにした。
改めて見ると、ラルフってイケメンだなぁ。身長も高いし、優しいし、料理も出来るし……考えても、欠点らしい欠点が見つからない。強いて言うなら、ここ最近は私への接し方が変わった影響で、恥ずかしい思いをするのが増えたくらい?
こんな凄い人には、何をやっても平凡……いや、下手したら平凡以下の私なんかよりも、もっと素敵な人がいると思うんだけどな……。
「お待たせしました」
「はやいっ!?」
ラルフの顔を見つめていたら、いつの間にかお魚は捌かれ、おいしそうなお刺身に姿を変えていた。
お刺身は白い部分が大部分を占めていて、一部分だけピンク色になっている。脂も程よくのっていて、とてもおいしそうだ。
「ラルフ、早速いただこう!」
「シエル様からどうぞ」
「何を言っているの。ラルフが捌いたんだから、ラルフから食べるべきだよ」
「それを仰るなら、釣ったのはシエル様でございます」
「ラルフも手伝ってくれたよ!」
傍から見ていたら、別にどっちからでも良いだろうと思われるような言い争いをした結果、一緒に食べるということに落ち付いた。
「もぐもぐ……お、おいしい~!」
「これは絶品ですね。やはり新鮮なものは違いますね」
「本当だね! 今食べたのはどの部分なんだろう?」
「腹部ですね。しっぽの方もおいしいですよ」
ラルフは簡潔に教えながら、しっぽの部分のお刺身を私の口元に持っていった。
これって、もしかしなくても……私がさっきしたことだよね!?
「どうぞ、シエル様」
「じ、自分で食べられるから!」
「私のことはお気になさらず。先程していただいたので、お返しをしているまでです」
「うぅ~……ほら、こういうのをするのは、バーランド家の屋敷に帰ってからでもいいよね?」
「私は今したいのです」
まさか、さっきしたことを根に持っている? いや、ラルフがそんな心の狭い考え方をするはずないよね。きっと善意と好意で、私にお返しをしてくれているに違いない。
「あ、あーん……」
「どうですか?」
「お、おいしーです……」
「ならよかった。まだまだありますから、沢山お食べください。はい、あーん」
「もう自分で食べるから、勘弁して~!」
あわあわしながら反抗してみるも、ラルフには全く通じなかった。結局私は、その後もラルフにあーんをされ続けた。
……あーんの衝撃が大きすぎて、後半はお魚の味があんまりしなかったよ……でもでも、そんな私でもおいしかったって思えるくらいには、最高のお魚だったよ!
もしかしたら、ラルフと力を合わせて釣ったからこそ、おいしかったのかもしれないね!
「おいしかったし、楽しかっまなぁ……実家にいた時ってさ、勉強とか習い事ばかりの毎日で、あとは貴族の付き合いとしてパーティーに出席したり、お茶会に出たりとか、そんな感じだったでしょ?」
「そうですね」
「だからさ、二人で自由に外を歩けるのが凄く楽しいの!」
「では、これからもお時間がある時は、色々な場所をデートしましょう」
「それ最高だね! 絶対……ん? デート……まあいいか!」
デートって表現はやっぱり恥ずかしかったけど、気にしたところで、ラルフの強い意志に勝てないと踏んだ私は、約束を交わす握手を求める。すると、ラルフは微笑みながら私の手を握り返してくれた。
ラルフとデート……じゃなくて、おでかけか。今度はどこに行こうかな? 安全な状態で湖に遊びに行くとか、ちょっと町から離れて、湖を眺めながらハイキングとか……夢がどんどん膨らむよ!
「……ところでラルフ、いつまで手を握ってるの?」
「いえ、シエル様の手を合法的に触れるチャンスでしたので」
「その言い方だと、普通に触れたら犯罪みたいだよ!? これくらいだったら、いつでも触らせてあげるから!」
「シエル様はお優しいですね。では、毎日十回はお願いします」
「限度は考えようね!?」
「二割くらいは冗談ですので、ご安心ください」
「安心できる要素あるかなぁ!?」
またしても、ラルフの愛情攻撃にたじたじになりながらも、無事にラルフとのお散歩兼カフェ兼釣りデートは終わった。
結局最後までラルフに押されっぱなしではあったけど、とても楽しい一時だった。またラルフと一緒にデートしたいな!
「親方、船の点検が終わったッス~……って、なにボーっとしてるんスか?」
「……あの青い髪……」
「青い髪? さっきイチャコラしてた姉ちゃんのことッスか? なんかバーランド家とかなんとか言ってましたね。お嬢様でも、こんなところで呑気に魚を釣ったり食ったりするんッスね~」
「あの女、最近取引を始めた、マーチャント家の屋敷で見たことがある。それも、お嬢様と呼ばれていたな」
「マーチャント家? でも、さっきはバーランド家って言ってたッスよね? どういうことッスか?」
「知らん。一応彼に連絡をしておくか」
もうこのまま、湖に落ちるしか無いと思って諦めていたが、いつまで経っても湖に落ちた感覚は無かった。
その代わりに、私の背後からがっしりと抱きしめられる感触があった。
「シエル様、ご無事ですか!?」
「う、うん。ラルフが助けてくれたの?」
「咄嗟に体が動いただけです! 私がお手伝いしますので、しっかり竿を握ってください!」
ラルフの頼もしい言葉に頷きを返してから、私は竿を引っ張る手に更に力を入れる。すると、ラルフの両手が私の手に覆い被さり、更に体が強く引っ張られた。
お魚の引っ張る力って、こんなに強いなんて知らなかった。きっと私一人だったら、何度やっても湖に引きずり込まれていただろう。
でも、今の私には頼りになる人がいる。ラルフがいれば、まさに百人力! お魚なんかに負けたりしないんだから!
「ぐぬぬぬぬ……!!」
「シエル様、もう少しでございます! 焦らずにいきましょう!」
「うんっ! 絶対釣ってみせるんだから……根性だぁぁぁぁ!!」
元貴族の娘とは到底思えないような雄たけびを上げながら、一気に釣竿を持ち上げると、大きなお魚が陸地を目掛けて、勢いよく飛び出した。
やった、無事に釣れた! そう思ったのも束の間……お魚の引っ張る力が無くなり、私達は勢いよく後ろに倒れてしまった。
「う~ん、いったぁ……くない? あれ?」
「シエル様、怪我はございませんか?」
勢いよく倒れたというのに、どこも痛いところはない。それを不思議に思いながら目を開けると、心配そうな顔で私を見つめる、ラルフの顔が間近にあった。
「っ……!?」
よく見たら、ラルフの腕の中にすっぽり収まってるんだけど!? 抱きしめられてるんだけど!? だから痛くなかったんだ、納得――じゃないよ!
あぁ~……もう! やっぱりラルフのことを変に意識しちゃうよ! 前までは、くっついてもなんとも思わなかったのに!
「ご、ごめんね! 私、重いよね! すぐにどくから!」
「もうしばらくこのままでもよろしいのですが」
「ここ外だからね!? 百歩譲って家だとしても、恥ずかしくてやらないから!」
こんな時でもブレないラルフから、半ば逃げるように立ち上がると、高鳴る胸に手を当てた。
まさか、事故とはいえラルフに抱きついてしまうとは……は、恥ずかしい……。
「あ、そうだ! お魚は!?」
すっかりラルフに抱きしめられたことで頭がいっぱいになっていた私は、急いで周りを確認する。すると、近くで元気よく跳ねているお魚の姿を見つけた。
なんか、白と黒の鱗が綺麗なお魚だ! このお魚の種類は何かわからないけど、結構大きい! 私の両手を横に並べたのよりも大きいよ!
「本当に釣れちゃったよ! 凄い、生きてるお魚ってこんな感触なんだ! わぁ、ヌルヌルしてる~!」
「お見事です、シエル様。この魚は、この辺りで釣れる魚で、刺身が美味ですよ」
お刺身……! 実家にいた時は、あまり食べたことがない食べ方だ! 元々は外国の食文化らしくて、お魚が新鮮じゃないと出来ない食べ方だ。
どうしよう。考えただけで、またよだれが出そうだよ。早くラルフと一緒にその味を楽しみたいから、急いで帰らないと!
「早速捌くとしましょう」
「捌くって、ラルフに出来るの?」
「はい。プロの腕には到底及びませんが」
「す、凄い……ラルフってなんでも出来るね」
「あなたの傍にいて恥ずかしくないように、多くの知識を学んだ甲斐がありました。近くの店で刃物を買ってまいりますので、少々お待ちください」
そう言うと、ラルフはダッシュでその場を立ち去る。それから十分もしないうちに、ダッシュで戻ってきた。
なんか、ラルフって普段から冷静沈着で、行動も落ち着いていることが多いから、今みたいに全力で走っている姿は、ちょっぴり面白かった。
「お待たせいたしました。近くで魚を捌くためのナイフやまな板を扱っている店があったので、一式買ってまいりました」
「おかえり! 全然待ってないから大丈夫——ねえラルフ、汗がすごいけど、大丈夫?」
「ええ、問題ありません」
口では大丈夫なのを装ってるけど、ほっぺがちょっと赤くなってるし、汗もどんどん流れていた。
「とりあえず、ここだと日差しがあって暑いから、日陰に行こう」
「かしこまりました」
ラルフの汗をハンカチで拭いてあげてから、私達は近くの建物の陰に移動した。日陰に移動しただけで、だいぶ涼しくなるね。
「慣れない釣りをしてお疲れでしょう。少しお休みになっててください」
「ラルフ一人に任せられないよ。私に出来ることは無い?」
「一人で出来ることなので、ご心配は不要です」
「そっか……わかった。それじゃあ、お言葉に甘えるね」
手持ち無沙汰になってしまった私は、魚を捌き始めたラルフの顔をジッと見つめて過ごすことにした。
改めて見ると、ラルフってイケメンだなぁ。身長も高いし、優しいし、料理も出来るし……考えても、欠点らしい欠点が見つからない。強いて言うなら、ここ最近は私への接し方が変わった影響で、恥ずかしい思いをするのが増えたくらい?
こんな凄い人には、何をやっても平凡……いや、下手したら平凡以下の私なんかよりも、もっと素敵な人がいると思うんだけどな……。
「お待たせしました」
「はやいっ!?」
ラルフの顔を見つめていたら、いつの間にかお魚は捌かれ、おいしそうなお刺身に姿を変えていた。
お刺身は白い部分が大部分を占めていて、一部分だけピンク色になっている。脂も程よくのっていて、とてもおいしそうだ。
「ラルフ、早速いただこう!」
「シエル様からどうぞ」
「何を言っているの。ラルフが捌いたんだから、ラルフから食べるべきだよ」
「それを仰るなら、釣ったのはシエル様でございます」
「ラルフも手伝ってくれたよ!」
傍から見ていたら、別にどっちからでも良いだろうと思われるような言い争いをした結果、一緒に食べるということに落ち付いた。
「もぐもぐ……お、おいしい~!」
「これは絶品ですね。やはり新鮮なものは違いますね」
「本当だね! 今食べたのはどの部分なんだろう?」
「腹部ですね。しっぽの方もおいしいですよ」
ラルフは簡潔に教えながら、しっぽの部分のお刺身を私の口元に持っていった。
これって、もしかしなくても……私がさっきしたことだよね!?
「どうぞ、シエル様」
「じ、自分で食べられるから!」
「私のことはお気になさらず。先程していただいたので、お返しをしているまでです」
「うぅ~……ほら、こういうのをするのは、バーランド家の屋敷に帰ってからでもいいよね?」
「私は今したいのです」
まさか、さっきしたことを根に持っている? いや、ラルフがそんな心の狭い考え方をするはずないよね。きっと善意と好意で、私にお返しをしてくれているに違いない。
「あ、あーん……」
「どうですか?」
「お、おいしーです……」
「ならよかった。まだまだありますから、沢山お食べください。はい、あーん」
「もう自分で食べるから、勘弁して~!」
あわあわしながら反抗してみるも、ラルフには全く通じなかった。結局私は、その後もラルフにあーんをされ続けた。
……あーんの衝撃が大きすぎて、後半はお魚の味があんまりしなかったよ……でもでも、そんな私でもおいしかったって思えるくらいには、最高のお魚だったよ!
もしかしたら、ラルフと力を合わせて釣ったからこそ、おいしかったのかもしれないね!
「おいしかったし、楽しかっまなぁ……実家にいた時ってさ、勉強とか習い事ばかりの毎日で、あとは貴族の付き合いとしてパーティーに出席したり、お茶会に出たりとか、そんな感じだったでしょ?」
「そうですね」
「だからさ、二人で自由に外を歩けるのが凄く楽しいの!」
「では、これからもお時間がある時は、色々な場所をデートしましょう」
「それ最高だね! 絶対……ん? デート……まあいいか!」
デートって表現はやっぱり恥ずかしかったけど、気にしたところで、ラルフの強い意志に勝てないと踏んだ私は、約束を交わす握手を求める。すると、ラルフは微笑みながら私の手を握り返してくれた。
ラルフとデート……じゃなくて、おでかけか。今度はどこに行こうかな? 安全な状態で湖に遊びに行くとか、ちょっと町から離れて、湖を眺めながらハイキングとか……夢がどんどん膨らむよ!
「……ところでラルフ、いつまで手を握ってるの?」
「いえ、シエル様の手を合法的に触れるチャンスでしたので」
「その言い方だと、普通に触れたら犯罪みたいだよ!? これくらいだったら、いつでも触らせてあげるから!」
「シエル様はお優しいですね。では、毎日十回はお願いします」
「限度は考えようね!?」
「二割くらいは冗談ですので、ご安心ください」
「安心できる要素あるかなぁ!?」
またしても、ラルフの愛情攻撃にたじたじになりながらも、無事にラルフとのお散歩兼カフェ兼釣りデートは終わった。
結局最後までラルフに押されっぱなしではあったけど、とても楽しい一時だった。またラルフと一緒にデートしたいな!
「親方、船の点検が終わったッス~……って、なにボーっとしてるんスか?」
「……あの青い髪……」
「青い髪? さっきイチャコラしてた姉ちゃんのことッスか? なんかバーランド家とかなんとか言ってましたね。お嬢様でも、こんなところで呑気に魚を釣ったり食ったりするんッスね~」
「あの女、最近取引を始めた、マーチャント家の屋敷で見たことがある。それも、お嬢様と呼ばれていたな」
「マーチャント家? でも、さっきはバーランド家って言ってたッスよね? どういうことッスか?」
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