19 / 44
第十九話 大切な人とのんびりと
しおりを挟む
会計を済ませて店を出た私は、今後の事を考えながら、うーんと唸った。
結構ゆっくりしたつもりだったけど、まだお日様は高く昇っている。せっかく何も考えずに、ラルフと二人でお出かけ出来るのだから、もう少し楽しみたい。
でも、何をすればいいのかわからないというのが現状だ。この前みたいに図書館に行ってもいいけど、図書館だとラルフとおしゃべりが出来ないのが難点だし……。
「お父さん、今日はいっぱい釣れたね!」
「そうだな! 帰ったら母さんと腹いっぱい食べような!」
「うん! お母さんに、僕の釣った一番大きいのを食べてもらうんだ!」
どうすればいいか頭を悩ませていると、近くを楽しそうに歩く親子の会話が聞こえてきた。
手に持っているのは、釣り竿かな? お父さんと二人で釣りをしてきたみたいだね。余程楽しかったのか、男の子は満面の笑みだ。
……釣りかぁ……やったことがないな……ちょっとやってみたいかも!
「ねえラルフ、もう少しだけ私に付き合ってくれる?」
「もう少しと言わず、一生お傍に置いていただけると幸いです」
「も、もうまたそうやって! えっとね、釣りをしてみたいの!」
「釣りでございますか。ご経験はおありなのですか?」
「ううん。だから、やってみたくて!」
「なるほど。私はもちろんお付き合いたしますが、道具はお持ちですか?」
「…………」
ラルフに至極真っ当な意見をされた私は、言葉を詰まらせた。
そ、そうだよね……釣りをするには釣り竿が必要だよね……やってみたいって気持ちが先行して、すっかり頭から抜け落ちていたよ。
仕方がない、今日は諦めよう。はぁ……ラルフと一緒に釣りを楽しみたかったな……。
「そんな悲しそうな顔をされないでくださいませ。すぐに準備いたしますので、釣りがしたいと強く思ってください」
そう言うと、ラルフは目を閉じて意識を集中させる。それから間もなく、ラルフの手には、釣り竿が握られていた。
「そっか、ラルフの魔法! さすがラルフ、頭良い!」
「お褒めにあずかり光栄にございます。しかしこれは、私一人の力ではございません。シエル様が釣りがしたいと、心で願ったから成し得たのです」
私に気を使って、自分一人の手柄にしないようにしているのが伝わってくる。別にそんなに気にしなくても良いと思うんだけどね。
「よーし、これでたくさん釣るぞー!」
「お待ちくださいませ、シエル様。釣りをするには、餌がないといけません」
「…………あ、そうだよね! それくらいわかってたよ! えっへん!」
「さすがシエル様です」
……釣りの初体験に浮かれて、餌が必要なのも忘れていたなんて、恥ずかしすぎて言えない……!
「ではすぐに餌を買ってくるので、先に行っていてください」
「うん、わかった!」
一旦ラルフと別れた私は、手ごろな堤防にやってきた。私がここに始めて来た時は漁師によって賑わっていたけど、今はその姿はあまり確認できない。
漁って、朝だけにやるものなのかな? それに、海で堤防っていわれる場所は、湖だとなんていうんだろう? まだまだ知らないことがたくさんあるなぁ。
「お待たせいたしました」
「全然待ってないよ。買ってきてくれてありがとう。それで、餌って何を使うの?」
「この辺りの魚は、これがとてもよく釣れるんです」
そういって差し出された袋の中には、ミミズに似た虫が入っていた。しかも、まだ生きているのか、ウネウネと動いている。
「ぎゃあぁぁぁぁ! 虫ぃぃぃぃ!!」
「ゴカイと呼ばれる虫です。毒は無いのでご安心を」
「わ、私……虫は苦手なんだよ~!」
「ふふっ……存じております」
「なんで笑ってるのよ!?」
「失礼いたしました。怖がっているシエル様が、とても可愛らしくて」
「ら、ラルフのイジワル~!」
クスっと笑いながらも、私への愛情を忘れないラルフとは対照的に、私は涙目になっていた。
本当に虫って苦手で……ウネウネしてたり、ブンブンしてたり、変な色をしてたり……と、とにかく昔から苦手なの!
「針につけるのは、私にお任せください」
ラルフは手慣れた手つきで、釣り竿の針にゴカイをつけてくれた。
もしかして、ラルフは釣りの経験があるのかな? 今の一連の動作に、全く迷いが感じられなかった。
「あ、ありがとう。それで、どうすればいいの?」
「私が見本をお見せします」
ラルフは釣り竿を勢いよく湖に向かって振ると、綺麗な弧を描いてゴカイが湖の中に入っていった。
「あそこに、丸いものが浮いているのが見えますか?」
「うん、見えるよ!」
「あれはウキです。魚が食いつくと、あのウキが動くので、それに合わせて釣り竿を上げるんです」
「へぇ……! ラルフって、釣りにも詳しいんだね!」
「姉上と何度かやったことがあるんですよ」
ナディア様とかぁ……小舟に乗った経験を聞いた時も感じたけど、改めて姉弟の中が良いんだなっていうのがわかったよ。
私も、そんな仲の良いお姉様とか妹がいたら、人生が変わってたかもしれないね。
「ご覧ください、シエル様。今、少しだけウキが動いたのがわかりますか?」
「本当だ! 引っ張らなきゃ!」
「焦ってはいけません。今はまだ完全に食いついてはおりません。ゆっくりとそのタイミングを……」
ちょんちょんっと動いていたウキが、湖の中に引っ張られた。その瞬間を狙っていたのか、ラルフは思い切り竿を引っ張り上げた。
「わわっ、竿が凄いしなってる!」
「これは結構大きそうですね……むっ」
引っ張られていた竿が、急にその勢いを無くしてしまった。もしかして、逃げられちゃったのかな。
「残念ながら、逃げられてしまったようです」
「やっぱりそうなんだね。でも次があるよ!」
「ええ、その通りでございます。今度はシエル様の番ですよ」
「わかった! よーっし、大きいのを釣る……あっ」
意気込もうとした直後、釣る前に最大の難関があることを思いだして、言葉を詰まらせた。
それは、ゴカイを針につけることだ。ラルフがやってくれると言ってくれていたけど、自分からやりたいといったことで、甘えてちゃいけないもんね。
「こ、怖くない……怖くない……」
「シエル様、ご無理はされない方がよろしいかと。私がつけて差し上げますので」
「だ、だいじょうびゅ! 私にもできりゅはずだから!」
虫に対する緊張と恐怖で、呂律が回っていないけど、そんなのを気にする余裕は私には無かった。
「よし……えいっ!!」
意を決してゴカイを一匹指でつまむと、何とも言えない変な感触が指に伝わってきた。
うわぁぁぁ……き、気持ち悪い! 逃げようと必死にウネウネしてるのも不気味だよ! と、鳥肌が収まらない~! でも負けてたまるもんか!
「こうやってつけるんだよね……」
さっきラルフが見せてくれた通りに、ゴカイを針につける。もっと苦戦するかと思っていたけど、結構簡単につけることが出来たのは、不幸中の幸いだね。
「ラルフ、これでいいか見てくれないかな?」
「はい、大丈夫です。苦手な物を一つ克服できましたね。このラルフ、感服いたしました。今日はご馳走を用意させましょう」
「お、大げさだよ! それに克服は出来てないし!」
今はなんとか耐えきれたけど、虫自体は相変わらず苦手だ。実際に、ゴカイが沢山入っている袋を見ると、無意識に体が強張っちゃうもん。
とにかく、準備は出来たんだから、あとはお魚を釣るだけだ。
「待ってろお魚達ー! 私が釣って、ラルフと一緒においしくいただくからね!」
意気揚々と釣り竿を振り、初めての釣りを開始する――が、中々お魚は餌に食いついてくれなかった。
「やっぱり初めてだと、うまくいかないね」
「最初はそんなものですよ。私も姉上も、初めての時は釣れませんでした」
「そうなんだね。でも、ラルフとこうしてのんびりと釣りをしているだけでも、凄く楽しいよ!」
誰の目も気にせず、ただ大切な人とのんびり過ごす。他の人からしたら、当たり前のことなのかもしれないけど、私にはその時間がとてもかけがえのない一時に感じる。
「私も、シエル様と過ごせて幸せです」
「それならよかった! こんな平和な時間が、ずっと続くといいなぁ……」
「きっと続きますよ。いえ、私があなたに幸せをもたらしてみせます」
「さすがラルフ、大きく出たね。私もしてもらってばかりは嫌だから、一緒に頑張って幸せになろう!」
「それは、ある意味告白ではございませんか?」
「そっ、そうなの!?」
わ、私ってば……まだ恋心がどんなものなのかもわからないうちに、ラルフに告白しちゃったの!? 私ってば本当にバカなんだから!
「……シエル様、ウキをご覧くださいませ」
「ウキ? あれ、動いてる?」
バカな自分に頭を痛ませていると、ついにウキがピクピクと動きを見せていた。それから間もなく、ウキは勢いよく湖に飲み込まれた。
これは来たよね! ここで釣り竿を引っ張る!!
「えっ……!?」
勢いよく引っ張ったのは良かったものの、お魚の力が想像以上に強かった。そのせいで、私は前のめりにバランスを崩してしまった。
――これはマズい、このままだと湖に落ちる。わ、私……泳げないのに……!!
結構ゆっくりしたつもりだったけど、まだお日様は高く昇っている。せっかく何も考えずに、ラルフと二人でお出かけ出来るのだから、もう少し楽しみたい。
でも、何をすればいいのかわからないというのが現状だ。この前みたいに図書館に行ってもいいけど、図書館だとラルフとおしゃべりが出来ないのが難点だし……。
「お父さん、今日はいっぱい釣れたね!」
「そうだな! 帰ったら母さんと腹いっぱい食べような!」
「うん! お母さんに、僕の釣った一番大きいのを食べてもらうんだ!」
どうすればいいか頭を悩ませていると、近くを楽しそうに歩く親子の会話が聞こえてきた。
手に持っているのは、釣り竿かな? お父さんと二人で釣りをしてきたみたいだね。余程楽しかったのか、男の子は満面の笑みだ。
……釣りかぁ……やったことがないな……ちょっとやってみたいかも!
「ねえラルフ、もう少しだけ私に付き合ってくれる?」
「もう少しと言わず、一生お傍に置いていただけると幸いです」
「も、もうまたそうやって! えっとね、釣りをしてみたいの!」
「釣りでございますか。ご経験はおありなのですか?」
「ううん。だから、やってみたくて!」
「なるほど。私はもちろんお付き合いたしますが、道具はお持ちですか?」
「…………」
ラルフに至極真っ当な意見をされた私は、言葉を詰まらせた。
そ、そうだよね……釣りをするには釣り竿が必要だよね……やってみたいって気持ちが先行して、すっかり頭から抜け落ちていたよ。
仕方がない、今日は諦めよう。はぁ……ラルフと一緒に釣りを楽しみたかったな……。
「そんな悲しそうな顔をされないでくださいませ。すぐに準備いたしますので、釣りがしたいと強く思ってください」
そう言うと、ラルフは目を閉じて意識を集中させる。それから間もなく、ラルフの手には、釣り竿が握られていた。
「そっか、ラルフの魔法! さすがラルフ、頭良い!」
「お褒めにあずかり光栄にございます。しかしこれは、私一人の力ではございません。シエル様が釣りがしたいと、心で願ったから成し得たのです」
私に気を使って、自分一人の手柄にしないようにしているのが伝わってくる。別にそんなに気にしなくても良いと思うんだけどね。
「よーし、これでたくさん釣るぞー!」
「お待ちくださいませ、シエル様。釣りをするには、餌がないといけません」
「…………あ、そうだよね! それくらいわかってたよ! えっへん!」
「さすがシエル様です」
……釣りの初体験に浮かれて、餌が必要なのも忘れていたなんて、恥ずかしすぎて言えない……!
「ではすぐに餌を買ってくるので、先に行っていてください」
「うん、わかった!」
一旦ラルフと別れた私は、手ごろな堤防にやってきた。私がここに始めて来た時は漁師によって賑わっていたけど、今はその姿はあまり確認できない。
漁って、朝だけにやるものなのかな? それに、海で堤防っていわれる場所は、湖だとなんていうんだろう? まだまだ知らないことがたくさんあるなぁ。
「お待たせいたしました」
「全然待ってないよ。買ってきてくれてありがとう。それで、餌って何を使うの?」
「この辺りの魚は、これがとてもよく釣れるんです」
そういって差し出された袋の中には、ミミズに似た虫が入っていた。しかも、まだ生きているのか、ウネウネと動いている。
「ぎゃあぁぁぁぁ! 虫ぃぃぃぃ!!」
「ゴカイと呼ばれる虫です。毒は無いのでご安心を」
「わ、私……虫は苦手なんだよ~!」
「ふふっ……存じております」
「なんで笑ってるのよ!?」
「失礼いたしました。怖がっているシエル様が、とても可愛らしくて」
「ら、ラルフのイジワル~!」
クスっと笑いながらも、私への愛情を忘れないラルフとは対照的に、私は涙目になっていた。
本当に虫って苦手で……ウネウネしてたり、ブンブンしてたり、変な色をしてたり……と、とにかく昔から苦手なの!
「針につけるのは、私にお任せください」
ラルフは手慣れた手つきで、釣り竿の針にゴカイをつけてくれた。
もしかして、ラルフは釣りの経験があるのかな? 今の一連の動作に、全く迷いが感じられなかった。
「あ、ありがとう。それで、どうすればいいの?」
「私が見本をお見せします」
ラルフは釣り竿を勢いよく湖に向かって振ると、綺麗な弧を描いてゴカイが湖の中に入っていった。
「あそこに、丸いものが浮いているのが見えますか?」
「うん、見えるよ!」
「あれはウキです。魚が食いつくと、あのウキが動くので、それに合わせて釣り竿を上げるんです」
「へぇ……! ラルフって、釣りにも詳しいんだね!」
「姉上と何度かやったことがあるんですよ」
ナディア様とかぁ……小舟に乗った経験を聞いた時も感じたけど、改めて姉弟の中が良いんだなっていうのがわかったよ。
私も、そんな仲の良いお姉様とか妹がいたら、人生が変わってたかもしれないね。
「ご覧ください、シエル様。今、少しだけウキが動いたのがわかりますか?」
「本当だ! 引っ張らなきゃ!」
「焦ってはいけません。今はまだ完全に食いついてはおりません。ゆっくりとそのタイミングを……」
ちょんちょんっと動いていたウキが、湖の中に引っ張られた。その瞬間を狙っていたのか、ラルフは思い切り竿を引っ張り上げた。
「わわっ、竿が凄いしなってる!」
「これは結構大きそうですね……むっ」
引っ張られていた竿が、急にその勢いを無くしてしまった。もしかして、逃げられちゃったのかな。
「残念ながら、逃げられてしまったようです」
「やっぱりそうなんだね。でも次があるよ!」
「ええ、その通りでございます。今度はシエル様の番ですよ」
「わかった! よーっし、大きいのを釣る……あっ」
意気込もうとした直後、釣る前に最大の難関があることを思いだして、言葉を詰まらせた。
それは、ゴカイを針につけることだ。ラルフがやってくれると言ってくれていたけど、自分からやりたいといったことで、甘えてちゃいけないもんね。
「こ、怖くない……怖くない……」
「シエル様、ご無理はされない方がよろしいかと。私がつけて差し上げますので」
「だ、だいじょうびゅ! 私にもできりゅはずだから!」
虫に対する緊張と恐怖で、呂律が回っていないけど、そんなのを気にする余裕は私には無かった。
「よし……えいっ!!」
意を決してゴカイを一匹指でつまむと、何とも言えない変な感触が指に伝わってきた。
うわぁぁぁ……き、気持ち悪い! 逃げようと必死にウネウネしてるのも不気味だよ! と、鳥肌が収まらない~! でも負けてたまるもんか!
「こうやってつけるんだよね……」
さっきラルフが見せてくれた通りに、ゴカイを針につける。もっと苦戦するかと思っていたけど、結構簡単につけることが出来たのは、不幸中の幸いだね。
「ラルフ、これでいいか見てくれないかな?」
「はい、大丈夫です。苦手な物を一つ克服できましたね。このラルフ、感服いたしました。今日はご馳走を用意させましょう」
「お、大げさだよ! それに克服は出来てないし!」
今はなんとか耐えきれたけど、虫自体は相変わらず苦手だ。実際に、ゴカイが沢山入っている袋を見ると、無意識に体が強張っちゃうもん。
とにかく、準備は出来たんだから、あとはお魚を釣るだけだ。
「待ってろお魚達ー! 私が釣って、ラルフと一緒においしくいただくからね!」
意気揚々と釣り竿を振り、初めての釣りを開始する――が、中々お魚は餌に食いついてくれなかった。
「やっぱり初めてだと、うまくいかないね」
「最初はそんなものですよ。私も姉上も、初めての時は釣れませんでした」
「そうなんだね。でも、ラルフとこうしてのんびりと釣りをしているだけでも、凄く楽しいよ!」
誰の目も気にせず、ただ大切な人とのんびり過ごす。他の人からしたら、当たり前のことなのかもしれないけど、私にはその時間がとてもかけがえのない一時に感じる。
「私も、シエル様と過ごせて幸せです」
「それならよかった! こんな平和な時間が、ずっと続くといいなぁ……」
「きっと続きますよ。いえ、私があなたに幸せをもたらしてみせます」
「さすがラルフ、大きく出たね。私もしてもらってばかりは嫌だから、一緒に頑張って幸せになろう!」
「それは、ある意味告白ではございませんか?」
「そっ、そうなの!?」
わ、私ってば……まだ恋心がどんなものなのかもわからないうちに、ラルフに告白しちゃったの!? 私ってば本当にバカなんだから!
「……シエル様、ウキをご覧くださいませ」
「ウキ? あれ、動いてる?」
バカな自分に頭を痛ませていると、ついにウキがピクピクと動きを見せていた。それから間もなく、ウキは勢いよく湖に飲み込まれた。
これは来たよね! ここで釣り竿を引っ張る!!
「えっ……!?」
勢いよく引っ張ったのは良かったものの、お魚の力が想像以上に強かった。そのせいで、私は前のめりにバランスを崩してしまった。
――これはマズい、このままだと湖に落ちる。わ、私……泳げないのに……!!
152
あなたにおすすめの小説
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)
リオール
恋愛
父の代わりに公爵家の影となって支え続けてるアデラは、恋愛をしてる暇もなかった。その結果、18歳になっても未だ結婚の「け」の字もなく。婚約者さえも居ない日々を送っていた。
そんなある日。参加した夜会にて彼と出会ったのだ。
運命の出会い。初恋。
そんな彼が、実は王子様だと分かって──!?
え、私と婚約!?行き遅れ同士仲良くしようって……えええ、本気ですか!?
──と驚いたけど、なんやかんやで溺愛されてます。
そうして幸せな日々を送ってたら、やって来ましたよ妹が。父親に甘やかされ、好き放題我が儘し放題で生きてきた妹は私に言うのだった。
婚約者を譲れ?可愛い自分の方がお似合いだ?
・・・はああああ!?(゚Д゚)
===========
全37話、執筆済み。
五万字越えてしまったのですが、1話1話は短いので短編としておきます。
最初はギャグ多め。だんだんシリアスです。
18歳で行き遅れ?と思われるかも知れませんが、そういう世界観なので。深く考えないでください(^_^;)
感想欄はオープンにしてますが、多忙につきお返事できません。ご容赦ください<(_ _)>
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?
リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。
だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。
世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何?
せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。
貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます!
=====
いつもの勢いで書いた小説です。
前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。
妹、頑張ります!
※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…
傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ
悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。
残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。
そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。
だがーー
月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。
やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。
それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる