19 / 45
第十九話 炭鉱の町
しおりを挟む
船に揺られ続け、夕方になりかけた頃に、ようやく別大陸の港へと到着した。
お父さんの手紙によれば、既に見えている大きな山に向かっていけば、目的地である炭鉱の町があるはずだ。
「他の大陸って初めて来ましたけど……町並みとか、住んでる人の洋服とか、私達の大陸と変わらないんですね」
「そうだね。でも場所によって、全然違う文化もあるよ。いつか機会があれば、一緒に行こうか」
「はい、是非」
海に行く約束に続いて、他の大陸に行く話まで出るとは思ってもなかった。いつになるかはわからないし、そもそもただの社交辞令で、本当は行けないかもしれないけど……正直楽しみかな。
「事前の情報では、この港町から目的地まで、定期的に馬車が出ているという情報を得ています。場所を伺ってきますので、少々お待ちを」
「何から何まですみません……」
「いえ、お気になさらず」
エリカさんは深々とお辞儀をしてから、港で仕事をしている人から、連絡便について聞いて来てくれた。
どうやらあと十分程で出発するらしい。乗り場も近くにあるとの事だそうだ。
「これは運が良かったね。恐らく夜には到着できるだろう。着いたら宿を確保して、明日お父上を探しに行こう」
「わかりました。では連絡便の所に行きましょう」
本当は三人でこの港町を周りたかったけど、そんなワガママを言うわけにはいかないよね。
「む、どうやらあの馬車のようだね。失礼、炭鉱の町に行きたいのですが、この馬車に乗ればよろしいのでしょうか?」
「おう、俺の自慢の馬車で安全快適に送り届けてやるぜ!」
「それは心強いですね」
とても豪快な御者と話をしてから、私達は馬車に乗りこんだ。どうやらお客さんは私達だけのようで、中には誰もいない。
念の為、お金を多めに持ってきておいてよかった。そうじゃなかったら、偉そうに自分で何とかしたいとか言っておきながら、ヴォルフ様に払ってもらうところだったよ。
「ふわぁ~……」
「眠いのなら、少し休んだ方がいいよ」
「そうですね……ちょっと眠いので、仮眠を取ります……」
気が緩んだ瞬間に、一気に睡魔が襲い掛かってきた。
駄目だ、頭がボーっとして何も考えられない。睡魔がここまで凄いものだったなんて、全然知らな、かった……すやぁ。
****
「セーラ様、起きてくださいませ」
「ええ……まだ眠いよぉ……」
「着きましたよ」
「え、着いた!?」
完全に寝ぼけていた頭が覚醒した私は、馬車の窓の外を見ると、そこには確かに別の町が広がっていた。
炭鉱の町だからなのか、周りを歩いている人は屈強な人が多い。きっと彼らが炭鉱で働いているのだろう。石で作られている建物は、少し古いものが多い印象だ。
「まずは宿屋でしたよね。どこなんでしょうか……」
「お、よその人間なんて珍しいな。宿を探してるのかい?」
周りをキョロキョロと見ていると、凄く大柄で強面の男性が声をかけてきた。怖さで言えば、マスターと良い勝負かもしれない……。
「ええ。なにぶんここに来たのは初めてで、右も左もわからくて」
「それならこの道を真っ直ぐ行った所にあるぜ。岩宿って看板もあるから、行きゃわかるだろうよ」
「そうですか。ご親切にありがとうございます」
「良いって事よ!」
怖そうな見た目だったけど、良い人っているんだなぁ……怖い見た目で優しい人は、マスターだけだと思ってたよ。
「あ、ヴォルフ様! エリカさん! あそこじゃないですか! 岩宿って書いてあります!」
「ああ。そこのようだ。入ってみようか……ごめんください」
「いらっしゃいませ。お客様なんて珍しい。三名様ですか?」
「ええ。部屋は空いてるでしょうか?」
「ええ、すぐにご用意できます」
「では二人部屋と一人部屋を、一つずつお願いします」
「かしこまりました」
無事に部屋を二つ確保出来た後、私は何気なく、ヴォルフ様と同じ部屋に荷物を置きに来た。
「……気持ちは嬉しいけどね」
「え?」
「さすがにまだ正式に結婚もしてないからさ。さすがに早いと思うよ」
「……っ!?」
やや苦笑気味ではあるが、諭すように教えてくれた。
言われてみれば、男女は同じ部屋で寝るなんてありえない! しかも、ここって一人部屋だ! こんな所で寝たら、ヴォルフ様と同じベッドで……うにゃぁぁぁぁぁぁ!!?!??!
「ごめんなさーい!!」
ダッシュで部屋を出た私は、もう一つの部屋の方に入ると、そこではエリカさんが沢山のぬいぐるみを、ベッドの枕元に並べていました。
「あの、エリカさん……そのぬいぐるみ達は?」
「この子達がいないと、ぐっすり眠れないものでして」
「そうなんですね。凄く可愛いですね」
「はい、とても愛らしいんです」
とてもたくさん荷物を持っていたから、何が入っているのかと思ったら、まさか着替えとぬいぐるみとは思ってなかったよ……。
「あ、そのウサギさんのぬいぐるみ……」
「はい、セーラ様にプレゼントしていただいた子です」
「えへへ、大事にしてくれて嬉しいです」
「良ければ今度、私の部屋においでくださいませんか? この他にも、たくさん可愛い子がいるので紹介させてください」
「そうなんですね! 是非!」
誰かの部屋に遊びに行くなんて、生まれてこの方一度も経験がない。もう今から心が躍ってしまって仕方が無いよ。
「さて、一度ヴォルフ様と合流をして、食事にでも行きましょうか。長旅でお腹が空いているでしょう?」
「はい、実はもうペコペコで……炭鉱の町の料理ってどんなものなんでしょう?」
「私もそこまでは調べておりませんので、お楽しみという事に致しましょう。では、簡単な身支度をさせていただきます」
私はエリカさんに身支度をしてもらった後、一緒に宿屋のエントランスに向かうと、ヴォルフ様がのんびりと読書をしていた。
あ、あの本……私がプレゼントしたものだ。読んでくれてて嬉しいなぁ。
「お待たせしました。とりあえず食事に行きましょう」
「待ってないから大丈夫だよ。どうやら近くに大きな酒場があるらしい」
「酒場……周りが屈強な人ばかり町にある酒場って、危ないんじゃ……」
「ここの人は親切だし、大丈夫だろう。それに、なにかあったら僕とエリカが守る」
なんて頼もしいんだろう。二人と一緒なら、私はきっと大丈夫だ。
でも、守ってばかりというのはよくない。どこかで私に出来る事を見つけて、二人に返してあげないと。
「えーっと、あの店だ」
「すでに良い香りがしておりますわね。肉でも焼いているのでしょうか?」
「行ってみましょう!」
良い匂いにつられて酒場の中に入ると、沢山の屈強な人達が、楽しそうにお酒を飲んでいた。
ちょっと怖そうだけど、うちの酒場とそんなに変わらない感じがする。だってほら、お客さんがあんなに楽しそうにしてるのは、うちの店だって……おな、じ……。
「どこかに空いてる席は無いでしょうか?」
「うーん、あそこはどうだい。セーラもどうって……何を見ているんだい?」
見間違えるはずもない。少し老けてしまって頭が寂しくなってたり、体格ががっしりになってても、あの髭と笑った顔……見間違えるはずもない。あの人は……お父さんだ……!
お父さんの手紙によれば、既に見えている大きな山に向かっていけば、目的地である炭鉱の町があるはずだ。
「他の大陸って初めて来ましたけど……町並みとか、住んでる人の洋服とか、私達の大陸と変わらないんですね」
「そうだね。でも場所によって、全然違う文化もあるよ。いつか機会があれば、一緒に行こうか」
「はい、是非」
海に行く約束に続いて、他の大陸に行く話まで出るとは思ってもなかった。いつになるかはわからないし、そもそもただの社交辞令で、本当は行けないかもしれないけど……正直楽しみかな。
「事前の情報では、この港町から目的地まで、定期的に馬車が出ているという情報を得ています。場所を伺ってきますので、少々お待ちを」
「何から何まですみません……」
「いえ、お気になさらず」
エリカさんは深々とお辞儀をしてから、港で仕事をしている人から、連絡便について聞いて来てくれた。
どうやらあと十分程で出発するらしい。乗り場も近くにあるとの事だそうだ。
「これは運が良かったね。恐らく夜には到着できるだろう。着いたら宿を確保して、明日お父上を探しに行こう」
「わかりました。では連絡便の所に行きましょう」
本当は三人でこの港町を周りたかったけど、そんなワガママを言うわけにはいかないよね。
「む、どうやらあの馬車のようだね。失礼、炭鉱の町に行きたいのですが、この馬車に乗ればよろしいのでしょうか?」
「おう、俺の自慢の馬車で安全快適に送り届けてやるぜ!」
「それは心強いですね」
とても豪快な御者と話をしてから、私達は馬車に乗りこんだ。どうやらお客さんは私達だけのようで、中には誰もいない。
念の為、お金を多めに持ってきておいてよかった。そうじゃなかったら、偉そうに自分で何とかしたいとか言っておきながら、ヴォルフ様に払ってもらうところだったよ。
「ふわぁ~……」
「眠いのなら、少し休んだ方がいいよ」
「そうですね……ちょっと眠いので、仮眠を取ります……」
気が緩んだ瞬間に、一気に睡魔が襲い掛かってきた。
駄目だ、頭がボーっとして何も考えられない。睡魔がここまで凄いものだったなんて、全然知らな、かった……すやぁ。
****
「セーラ様、起きてくださいませ」
「ええ……まだ眠いよぉ……」
「着きましたよ」
「え、着いた!?」
完全に寝ぼけていた頭が覚醒した私は、馬車の窓の外を見ると、そこには確かに別の町が広がっていた。
炭鉱の町だからなのか、周りを歩いている人は屈強な人が多い。きっと彼らが炭鉱で働いているのだろう。石で作られている建物は、少し古いものが多い印象だ。
「まずは宿屋でしたよね。どこなんでしょうか……」
「お、よその人間なんて珍しいな。宿を探してるのかい?」
周りをキョロキョロと見ていると、凄く大柄で強面の男性が声をかけてきた。怖さで言えば、マスターと良い勝負かもしれない……。
「ええ。なにぶんここに来たのは初めてで、右も左もわからくて」
「それならこの道を真っ直ぐ行った所にあるぜ。岩宿って看板もあるから、行きゃわかるだろうよ」
「そうですか。ご親切にありがとうございます」
「良いって事よ!」
怖そうな見た目だったけど、良い人っているんだなぁ……怖い見た目で優しい人は、マスターだけだと思ってたよ。
「あ、ヴォルフ様! エリカさん! あそこじゃないですか! 岩宿って書いてあります!」
「ああ。そこのようだ。入ってみようか……ごめんください」
「いらっしゃいませ。お客様なんて珍しい。三名様ですか?」
「ええ。部屋は空いてるでしょうか?」
「ええ、すぐにご用意できます」
「では二人部屋と一人部屋を、一つずつお願いします」
「かしこまりました」
無事に部屋を二つ確保出来た後、私は何気なく、ヴォルフ様と同じ部屋に荷物を置きに来た。
「……気持ちは嬉しいけどね」
「え?」
「さすがにまだ正式に結婚もしてないからさ。さすがに早いと思うよ」
「……っ!?」
やや苦笑気味ではあるが、諭すように教えてくれた。
言われてみれば、男女は同じ部屋で寝るなんてありえない! しかも、ここって一人部屋だ! こんな所で寝たら、ヴォルフ様と同じベッドで……うにゃぁぁぁぁぁぁ!!?!??!
「ごめんなさーい!!」
ダッシュで部屋を出た私は、もう一つの部屋の方に入ると、そこではエリカさんが沢山のぬいぐるみを、ベッドの枕元に並べていました。
「あの、エリカさん……そのぬいぐるみ達は?」
「この子達がいないと、ぐっすり眠れないものでして」
「そうなんですね。凄く可愛いですね」
「はい、とても愛らしいんです」
とてもたくさん荷物を持っていたから、何が入っているのかと思ったら、まさか着替えとぬいぐるみとは思ってなかったよ……。
「あ、そのウサギさんのぬいぐるみ……」
「はい、セーラ様にプレゼントしていただいた子です」
「えへへ、大事にしてくれて嬉しいです」
「良ければ今度、私の部屋においでくださいませんか? この他にも、たくさん可愛い子がいるので紹介させてください」
「そうなんですね! 是非!」
誰かの部屋に遊びに行くなんて、生まれてこの方一度も経験がない。もう今から心が躍ってしまって仕方が無いよ。
「さて、一度ヴォルフ様と合流をして、食事にでも行きましょうか。長旅でお腹が空いているでしょう?」
「はい、実はもうペコペコで……炭鉱の町の料理ってどんなものなんでしょう?」
「私もそこまでは調べておりませんので、お楽しみという事に致しましょう。では、簡単な身支度をさせていただきます」
私はエリカさんに身支度をしてもらった後、一緒に宿屋のエントランスに向かうと、ヴォルフ様がのんびりと読書をしていた。
あ、あの本……私がプレゼントしたものだ。読んでくれてて嬉しいなぁ。
「お待たせしました。とりあえず食事に行きましょう」
「待ってないから大丈夫だよ。どうやら近くに大きな酒場があるらしい」
「酒場……周りが屈強な人ばかり町にある酒場って、危ないんじゃ……」
「ここの人は親切だし、大丈夫だろう。それに、なにかあったら僕とエリカが守る」
なんて頼もしいんだろう。二人と一緒なら、私はきっと大丈夫だ。
でも、守ってばかりというのはよくない。どこかで私に出来る事を見つけて、二人に返してあげないと。
「えーっと、あの店だ」
「すでに良い香りがしておりますわね。肉でも焼いているのでしょうか?」
「行ってみましょう!」
良い匂いにつられて酒場の中に入ると、沢山の屈強な人達が、楽しそうにお酒を飲んでいた。
ちょっと怖そうだけど、うちの酒場とそんなに変わらない感じがする。だってほら、お客さんがあんなに楽しそうにしてるのは、うちの店だって……おな、じ……。
「どこかに空いてる席は無いでしょうか?」
「うーん、あそこはどうだい。セーラもどうって……何を見ているんだい?」
見間違えるはずもない。少し老けてしまって頭が寂しくなってたり、体格ががっしりになってても、あの髭と笑った顔……見間違えるはずもない。あの人は……お父さんだ……!
12
あなたにおすすめの小説
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』
鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、私は婚約を破棄されました。
理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。
……ええ、どうぞご自由に。
私は泣きません。縋りません。
なぜなら——王家は、私を手放せないから。
婚約は解消。
けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。
失ったのは殿下の隣の席だけ。
代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。
最初は誰もが疑いました。
若い、女だ、感情的だ、と。
ならば証明しましょう。
怒らず、怯えず、排除せず。
反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。
派手な革命は起こしません。
大逆転も叫びません。
ただ、静かに積み上げます。
そして気づけば——
“殿下の元婚約者”ではなく、
“揺れない王”と呼ばれるようになるのです。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。
王冠の重みを受け入れた一人の女性が、
国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。
【完結】何度でもやり直しましょう。愛しい人と共に送れる人生を。
かずえ
恋愛
入学式の日に前回の人生を思い出す。短いけれど、幸せな一生だった。もう一度この気持ちを味わえるなんて、素晴らしいと大喜び。けれど、また同じことを繰り返している訳ではないようで……?
婚約破棄された令嬢は、幸せになると決めました~追放先で出会った冷徹公爵が、なぜか溺愛してくる件~
sika
恋愛
名家の令嬢・アイリスは、婚約者の王太子から「平凡すぎる」と婚約破棄を突きつけられる。全てを奪われ、家からも冷たく追放された彼女がたどり着いたのは、戦場帰りの冷徹公爵・レオンの領地だった。誰にも期待しないようにしていたアイリスだったが、無愛想な彼の優しさに少しずつ心を開いていく。
やがて、笑顔を取り戻した彼女の前に、あの王太子が後悔と共に現れて——。
「すまない、戻ってきてくれ」
「もう、あなたの令嬢ではありません」
ざまぁと溺愛が交錯する、幸福への再生ストーリー。
悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
触れれば石。魔女にされた公爵令嬢は、王国の価値を塗り替える
ふわふわ
恋愛
「触れれば石になりますわ。それでもお触れになりますか?」
公爵令嬢レフィリアは、ある日突然“触れたものを石に変える力”を持ったとして、王太子から魔女の烙印を押され、婚約を破棄される。
名誉も立場も奪われ、追放。
けれど彼女は気づく。
この力は呪いではない。
――ただの“法則”だと。
素手で触れれば石になる。
だが、境界を守れば問題は起きない。
さらに彼女は知る。
石は、選べる。
強く念じれば、望んだ種類の石へと変わることを。
宝石にも。
やがて王国は凶作に見舞われ、国庫は逼迫。
一方、辺境に追いやられたはずのレフィリアは、その力を制御し、価値を生み出していた。
「触れ方を誤れば、石になりますわ」
かつて彼女を断罪した王家は揺らぎ、
触れてはならない境界を越えた者から、静かに砕けていく。
これは――
魔女と呼ばれた令嬢が、王国の“価値”そのものを書き換えていく物語。
境界を知る者だけが、未来に触れられる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる