10 / 58
第十話 異常な記憶力
しおりを挟む
■ジーク視点■
シエルに勉強を教えるようになってから、二ヶ月が経ったある日の夜、俺は兄上とシエルの家庭教師と共に、俺の部屋で茶を飲んでいた。
別にのんびりと茶を楽しむために集まったわけではない。今日は、シエルの事で二人に話があったから、こうして集まった。
「それで、急に呼んでどうかしたのかい? シエルの勉強の事でとは聞いたが」
「シエルが勉強を始めて二ヶ月……あいつの覚える速度が尋常じゃないと思わないか?」
「それは私も感じておりました。最初は文字も読めない、書けないくらいの学力でしたのに……今では何不自由なく使えております。数学や魔法学、歴史といった他の教科も、もう大人に引けを取らないくらいかと」
「確かにそうだ……いつの間にか、シエルに教える内容が、私が授業でやった事を教えるようになっていたね」
兄上や家庭教師が感じた事を、俺も同じように感じている。誇張抜きで、俺や兄上の学力をすでに超えていてもおかしくはない。
このスピードは尋常じゃない。まるで、干からびたスポンジが、物凄い勢いで水を吸収しているかのように、凄まじい速度で知識を吸収している。
「私といたしましては、この調子で更に学力が身に着くのなら、入試を受けても良いかと」
「さすがにその領域までは……」
「私は可能だと思います。あの記憶力に加えて、勉強を心から楽しむ姿勢、勉強をやろうと思う前向きな姿勢。それがある彼女なら、さほど時間はいらないでしょう」
兄上が驚くのも無理はない。ジェニエス学園の入試はとても難しい。しかも今回は編入試験……より優れた生徒を見つけるため、入学試験よりも難しくすると聞いた事がある。
だが、今のシエルなら……。
「俺は賛成だ。せっかくあそこまでやって、入学して勉強したがっているんだ。ベルモンド家があいつに返せる恩としては、中々上出来だと思う」
「しかし……」
「残りの期間、テスト対策をすれば行けるはず。あいつならできる……仮に駄目だったら、俺が支えるだけだ」
あいつの夢……学校に通いたいという願いが、俺にはとても重く感じた。それ以上に、叶えてやりたいと思った。その為には、俺はなんでもしてやるつもりだ。
「ジーク。お前はどうしてそんなにシエルに固執する?」
「固執……? そんな事はしていない」
「なら言い方を変えよう。聖女である彼女に助けられた日から始まっていたが、お前はシエルをかなり気にかけている。それは、恩人とかそういうのじゃない。異性に向ける感情だ」
「……そんな事を言われても、わからない」
「だろうね。いまだに婚約話すら来ないくらい、女性に縁が無いからね。そんなジークを見ていると、要所要所に彼女への想いが見え隠れしているんだ」
そんな……馬鹿な? 俺はいつも通り過ごしていただけに過ぎないはずだ。そんな行動でわかるはずが……。
「お供えのバラ、あれは遠回しにシエルへの愛を表現していたのだろう? それに埋葬に行く時、お前はシエルの隣を陣取って離れなかった。お茶をしてる時は、たいてい来ているじゃないか。お茶なんか適当で良いと言っていたくせに」
「……もう、いい」
……確かに俺は、巡礼でシエルと出会った時から、好意を寄せている。
きっかけなんて些細なものだ。以前、母上の治療を終えたシエルは、すぐに近くの民家に走っていった。次の患者がいると言っていたが、もし何かあったらと思い、俺はすぐに追いかけた。
幸いにも何も起こらなかったが、その時にお礼を言いながら笑うシエルの顔が……輝いて見えて……まさに女神だった。
それから、俺は彼女の虜になった。
だが、すぐに次の村に行かなければならないと言われた俺は、困った事があったらすぐに来いと言い残したんだ。また会える……そう信じるしかなかったんだ。
だから、会えた時は飛び上がって喜びそうになった。人生で初めての感情だ。だが、そんなはしたない事をしたら、ベルモンド家の名前に傷がつくからしなかっただけだ。
とにかく、結論としては、俺はシエルが好きだ。それは紛れもない……事実。だからこそ、俺は彼女に普通に過ごしてもらいたいし、普通に学んでほしい。そして幸せになってほしい。それが俺の願いだ。
その為なら……俺はなんでもするつもりだ。
****
「今日は解散の前に、一つお知らせがあります」
「あ、はい」
いつものように、家庭教師様と一緒に勉強をし終えた後、何故か凄く真面目な顔をしている先生。正直ちょっぴり怖いです……。
「実は今日やった問題集……ジェニエス学園の模試の過去問です。これがほとんどできているので、編入テストを、受けてもいいかもしれません」
先生の仰ってる意味がすぐに理解できなかった私は、ポカンと口を開ける事数秒……ようやく理解できたのも束の間、その場で後ろに倒れてしまいました。
だ、だって……目標ではあったとはいえ、まさかこんな短期間でテストの話が出るなんて、思いもしてませんでしたから!
「あ、あのあの! 私なんかがテストに合格できるんですか!? まだ勉強してからそんなに経ってませんよ!?」
「あなたの学力の伸びは目を見張るものがあります」
「っ……!」
「ですが……魔法の実技もテストにあるのです。あなたは回復魔法以外は得意とは言えません。なので、トータルで考えた結果、可能性はありますが、絶対に受かるとは言えません」
「うっ……」
実は私、使える魔法が回復魔法しかありません。小さい子でも使えるような魔法すら、全く使えません。
そんな状態で、私が合格なんてできるのでしょうか……? いえ、やってみないとわかりませんよね! よーっし、頑張るぞー!
シエルに勉強を教えるようになってから、二ヶ月が経ったある日の夜、俺は兄上とシエルの家庭教師と共に、俺の部屋で茶を飲んでいた。
別にのんびりと茶を楽しむために集まったわけではない。今日は、シエルの事で二人に話があったから、こうして集まった。
「それで、急に呼んでどうかしたのかい? シエルの勉強の事でとは聞いたが」
「シエルが勉強を始めて二ヶ月……あいつの覚える速度が尋常じゃないと思わないか?」
「それは私も感じておりました。最初は文字も読めない、書けないくらいの学力でしたのに……今では何不自由なく使えております。数学や魔法学、歴史といった他の教科も、もう大人に引けを取らないくらいかと」
「確かにそうだ……いつの間にか、シエルに教える内容が、私が授業でやった事を教えるようになっていたね」
兄上や家庭教師が感じた事を、俺も同じように感じている。誇張抜きで、俺や兄上の学力をすでに超えていてもおかしくはない。
このスピードは尋常じゃない。まるで、干からびたスポンジが、物凄い勢いで水を吸収しているかのように、凄まじい速度で知識を吸収している。
「私といたしましては、この調子で更に学力が身に着くのなら、入試を受けても良いかと」
「さすがにその領域までは……」
「私は可能だと思います。あの記憶力に加えて、勉強を心から楽しむ姿勢、勉強をやろうと思う前向きな姿勢。それがある彼女なら、さほど時間はいらないでしょう」
兄上が驚くのも無理はない。ジェニエス学園の入試はとても難しい。しかも今回は編入試験……より優れた生徒を見つけるため、入学試験よりも難しくすると聞いた事がある。
だが、今のシエルなら……。
「俺は賛成だ。せっかくあそこまでやって、入学して勉強したがっているんだ。ベルモンド家があいつに返せる恩としては、中々上出来だと思う」
「しかし……」
「残りの期間、テスト対策をすれば行けるはず。あいつならできる……仮に駄目だったら、俺が支えるだけだ」
あいつの夢……学校に通いたいという願いが、俺にはとても重く感じた。それ以上に、叶えてやりたいと思った。その為には、俺はなんでもしてやるつもりだ。
「ジーク。お前はどうしてそんなにシエルに固執する?」
「固執……? そんな事はしていない」
「なら言い方を変えよう。聖女である彼女に助けられた日から始まっていたが、お前はシエルをかなり気にかけている。それは、恩人とかそういうのじゃない。異性に向ける感情だ」
「……そんな事を言われても、わからない」
「だろうね。いまだに婚約話すら来ないくらい、女性に縁が無いからね。そんなジークを見ていると、要所要所に彼女への想いが見え隠れしているんだ」
そんな……馬鹿な? 俺はいつも通り過ごしていただけに過ぎないはずだ。そんな行動でわかるはずが……。
「お供えのバラ、あれは遠回しにシエルへの愛を表現していたのだろう? それに埋葬に行く時、お前はシエルの隣を陣取って離れなかった。お茶をしてる時は、たいてい来ているじゃないか。お茶なんか適当で良いと言っていたくせに」
「……もう、いい」
……確かに俺は、巡礼でシエルと出会った時から、好意を寄せている。
きっかけなんて些細なものだ。以前、母上の治療を終えたシエルは、すぐに近くの民家に走っていった。次の患者がいると言っていたが、もし何かあったらと思い、俺はすぐに追いかけた。
幸いにも何も起こらなかったが、その時にお礼を言いながら笑うシエルの顔が……輝いて見えて……まさに女神だった。
それから、俺は彼女の虜になった。
だが、すぐに次の村に行かなければならないと言われた俺は、困った事があったらすぐに来いと言い残したんだ。また会える……そう信じるしかなかったんだ。
だから、会えた時は飛び上がって喜びそうになった。人生で初めての感情だ。だが、そんなはしたない事をしたら、ベルモンド家の名前に傷がつくからしなかっただけだ。
とにかく、結論としては、俺はシエルが好きだ。それは紛れもない……事実。だからこそ、俺は彼女に普通に過ごしてもらいたいし、普通に学んでほしい。そして幸せになってほしい。それが俺の願いだ。
その為なら……俺はなんでもするつもりだ。
****
「今日は解散の前に、一つお知らせがあります」
「あ、はい」
いつものように、家庭教師様と一緒に勉強をし終えた後、何故か凄く真面目な顔をしている先生。正直ちょっぴり怖いです……。
「実は今日やった問題集……ジェニエス学園の模試の過去問です。これがほとんどできているので、編入テストを、受けてもいいかもしれません」
先生の仰ってる意味がすぐに理解できなかった私は、ポカンと口を開ける事数秒……ようやく理解できたのも束の間、その場で後ろに倒れてしまいました。
だ、だって……目標ではあったとはいえ、まさかこんな短期間でテストの話が出るなんて、思いもしてませんでしたから!
「あ、あのあの! 私なんかがテストに合格できるんですか!? まだ勉強してからそんなに経ってませんよ!?」
「あなたの学力の伸びは目を見張るものがあります」
「っ……!」
「ですが……魔法の実技もテストにあるのです。あなたは回復魔法以外は得意とは言えません。なので、トータルで考えた結果、可能性はありますが、絶対に受かるとは言えません」
「うっ……」
実は私、使える魔法が回復魔法しかありません。小さい子でも使えるような魔法すら、全く使えません。
そんな状態で、私が合格なんてできるのでしょうか……? いえ、やってみないとわかりませんよね! よーっし、頑張るぞー!
19
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
追放された聖女は幻獣と気ままな旅に出る
星里有乃
恋愛
精霊国家トップの魔力を持つ聖女ティアラは、王太子マゼランスの妃候補として約束された将来が待っているはずだった。ある日、空から伝説の聖女クロエが降りてきて、魔力も王太子も奪われ追放される。
時を同じくして追放された幻獣と共に、気ままな旅を始めることに。やがて運命は、隣国の公爵との出会いをティアラにもたらす。
* 2020年2月15日、連載再開しました。初期投稿の12話は『正編』とし、新たな部分は『旅行記』として、続きを連載していきます。幻獣ポメの種族について、ジルとティアラの馴れ初めなどを中心に書いていく予定です。
* 2020年7月4日、ショートショートから長編に変更しました。
* 2020年7月25日、長編版連載完結です。ありがとうございました。
* この作品は、小説家になろうさんにも投稿しております。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
日向はび
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
【完結】薬学はお遊びだと言われたので、疫病の地でその価値を証明します!
きまま
恋愛
薄暗い部屋の隅、背の高い本棚に囲まれて一人。エリシアは読書に耽っていた。
周囲の貴族令嬢たちは舞踏会で盛り上がっている時刻。そんな中、彼女は埃の匂いに包まれて、分厚い薬草学の本に指先を滑らせていた。文字を追う彼女の姿は繊細で、金の髪を揺らし、酷くここには場違いのように見える。
「――その薬草は、熱病にも効くとされている」
低い声が突然、彼女の背後から降ってくる。
振り返った先に立っていたのは、辺境の領主の紋章をつけた青年、エルンだった。
不躾な言葉に眉をひそめかけたが、その瞳は真剣で、嘲りの色はなかった。
「ご存じなのですか?」
思わず彼女は問い返す。
「私の方では大事な薬草だから。けれど、君ほど薬草に詳しくはないみたいだ。——私は君のその花飾りの名前を知らない」
彼は本を覗き込み、素直にそう言った。
胸の奥がかすかに震える。
――馬鹿にされなかった。
初めての感覚に、彼女は言葉を失い、本を閉じる手が少しだけ震え、戸惑った笑みを見せた。
※拙い文章です。読みにくい文章があるかもしれません。
※自分都合の解釈や設定などがあります。ご容赦ください。
※本作品は別サイトにも掲載中です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる