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第十七話 学園のツートップ
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「何度来ても大きいなぁ……」
無事に登校時間に間に合った私は、馬車の窓から見える校舎を見つめながら、ポカンと口を開けていました。
こんなすごい規模の学園にこれから通うなんて、今でも信じられません。これが夢だと言われても、何一つ疑わずに信じてしまうくらいです。
「そうだ、今日のお昼は三人で食べませんか?」
「僕は構わないよ。ジークは?」
「問題ない」
「ありがとうございます! それにしても……馬車で登校してる方が多いですね」
「国の二大学園と呼ばれているくらいだから、自然と権力者の家や裕福な家の子供が多く入学するんだ。だから、こうして馬車で登下校する生徒が多いのさ」
「ベルモンド家も領主の家ですもんね。納得です」
「領主と言っても、さほど大きな領ではないがな」
話をしている間に、いつの間にか私達が乗っている馬車は開けた場所へと到着しました。周りの馬車もここに集まっていますし、ここで乗り降りをするのでしょう。
「今更ですが、スラム出身の私が来ていい場所なのでしょうか……?」
「多いというだけで、貧しい者が来てはいけない場所ではないよ。それに、今はうちの人間という扱いだから、何も問題は無い」
「……文句を言う人間がいたら、実力で黙らせればいい。お前にはその実力がある。もっとも……そんな事をする輩がいたら、俺が許さないが」
「あ、ありがとうございます」
ジーク様、頼もしいですけど……その表情と声色はちょっとだけ怖いですよ……。守ってくれるのはいいですけど、穏便にしてくださいね?
「さて、のんびりしてる時間は無い。私はシエルを職員室へと案内するから、ジークは先に教室に行っていてくれ」
「……俺が行く」
「頼みたいのは山々なんだが、先生から頼まれていてね」
「それなら仕方ないか」
お二人は淡々と会話をしながら馬車を降りると、外が少しザワザワし始めました。
何かあったのでしょうか……? 窓から外を確認してみましょう。
「おい見ろよ、生徒会長のクリス様と、弟のジーク様だぜ……」
「やっぱり学年のツートップが並ぶと全然違うな……」
「兄弟そろって、最強の剣の使い手と、最強の魔法の使い手だろ? ベルモンド家、恐るべしだ……」
どうやらお二人の話でざわついているようです。生徒会長というのは……なんなのでしょうか? それに、ツートップというのもわかりません。
改めて思うと、私って本当に世間知らずというか……普通とはかけ離れた生活をしていたんだと思い知らされます……。
あ、でもでも! 最後にお話してたところは分かります! きっと剣の使い手がジーク様で、魔法がクリス様ですよね! 以前ジーク様が剣を使っているのを見た事があるので!
「キャ~! クリス様、ジーク様~! こっち向いて~!」
「あはは、おはよう諸君」
「……ふん」
「キャアアアアア!! あの爽やかな笑顔も、そっけない態度も素敵~!」
「アタシ、あのお二人と同じ空気を吸えるだけで幸せだわ……!!」
……な、なんなのでしょうあの女性達は……? 物凄い熱気と言いますか……勢いが凄まじいです。正直、ちょっと怖いですね……。
「シエル、そんな所で何をしているんだい? 早く行かないと遅刻してしまう」
「……手を出せ」
「あ、ありがとうございます」
お二人に同時に手を出されてしまい、どちらの手を取ればわからなくなってしまったので、両方の手を取って馬車を降りました。
すると……周りの人達の視線が、私に一斉に向きました。その目は、かつてスラムにいた時に、この真っ白な髪のせいで虐められていた時と似ていました。
「え、なんだあの子……ベルモンド兄弟と同じ馬車から降りてきたぞ? あんな真っ白な髪の子、うちにいたか?」
「いや、見た事の無い女性だな……転入生か?」
「俺、どこかであの人見た事ある気がするんだが……」
私の勘違いじゃなければ、みなさん私の話をしているように思います。あまりいい気はしないですし、スラムにいた頃を思い出して、ちょっとつらくなっちゃいます。
あの頃は道を歩いているだけで、気持ち悪いとかバケモノとか言われ、酷い時は物を投げられた事もありましたっけ……。髪が白いというだけで、随分と虐められたものです……。
「ちっ。シエルは見世物じゃないというのに……」
「まあ仕方ないさ。さあ、ここにいても仕方がないし、行こうか」
「はい」
「ちょっと何あれ……私達のクリス様とジーク様と馴れ馴れしくしてるとか、生意気じゃない?」
さっきまで大騒ぎをしていた女性達も、私の事を見て来ました。違う点は、周りの人と比べて、完全に敵を見る目でした。
私、あの人達に何もしていないのですが……なんでそんなに睨みつけてくるんでしょうか……。
「アタシ達のベルモンド兄弟に近づくなんて、いい度胸してるわね」
「ていうか~? 何あの髪~? 真っ白で年寄りかっての! 病気とか持ってるのかも~?」
「なにそれ怖いんだけど! そもそもそれだと、クリス様とジーク様が感染しちゃうじゃん! もしかして、病気を移すとか脅されて優しくさせるように仕向けてるのかも!」
彼女達のあまりにも品が無く、非人道的な言葉は……私の心に深く突き刺さってきました。
私はそんな病気なんて持ってません。この髪は生まれつきなのに……どうしてそんなに酷い事を言うんですか? 私、あなた達に恨まれるような事をしましたか……?
って、駄目ですよね。私は元とはいえ聖女。ああいった心の無い言葉も受け止めないと。
そう思っていた矢先、私の隣にいたジーク様が、物凄い形相で女子生徒達の所に向かっていきました――が、クリス様に肩を掴まれて止められました。
「離せ……!」
「落ち着け。気持ちは分かるが、何にでも噛みつきに行くな」
「だが……!!」
「変に事を大きくすれば、シエルに被害が行く可能性もある」
「……それもそう、か……すまない兄上……ついカッとなった。シエルの事になると、つい……」
「なに、気にするな。私も腹が立ったのは事実だからね。だから……」
近くにいた私にしか聞こえないくらいの、小声で話していたお二人でしたが、終わった矢先にクリス様が私の肩に、そっと手を乗せてきました。
それは、遠回しに私に病気なんて無いからこんなに触っても平気だという事と、あなた達よりも私の方が大切と言っているようでした。
……ちなみに最後のは、私の勝手な妄想です。別に大切に思ってなかったら、ただの勘違い女になってしまいますね……。
「お、おい兄上……!」
「お前がやらないから私が代わりにやったのさ。代わってもいいぞ?」
「ちっ……!」
「ひゃわぁ!?」
やや強引に私達の間に割って入ったジーク様は、私の肩に手を回す――どころか、思い切り抱き寄せるように密着しながら、校舎の中へと入っていきました。
こ、これはなんていうか……守ってくれて嬉しい反面、とんでもなく目立っちゃって恥ずかしいです! それに、後ろからあの女性達の恨めしそうな目が……目が……すっごく怖いです!!
無事に登校時間に間に合った私は、馬車の窓から見える校舎を見つめながら、ポカンと口を開けていました。
こんなすごい規模の学園にこれから通うなんて、今でも信じられません。これが夢だと言われても、何一つ疑わずに信じてしまうくらいです。
「そうだ、今日のお昼は三人で食べませんか?」
「僕は構わないよ。ジークは?」
「問題ない」
「ありがとうございます! それにしても……馬車で登校してる方が多いですね」
「国の二大学園と呼ばれているくらいだから、自然と権力者の家や裕福な家の子供が多く入学するんだ。だから、こうして馬車で登下校する生徒が多いのさ」
「ベルモンド家も領主の家ですもんね。納得です」
「領主と言っても、さほど大きな領ではないがな」
話をしている間に、いつの間にか私達が乗っている馬車は開けた場所へと到着しました。周りの馬車もここに集まっていますし、ここで乗り降りをするのでしょう。
「今更ですが、スラム出身の私が来ていい場所なのでしょうか……?」
「多いというだけで、貧しい者が来てはいけない場所ではないよ。それに、今はうちの人間という扱いだから、何も問題は無い」
「……文句を言う人間がいたら、実力で黙らせればいい。お前にはその実力がある。もっとも……そんな事をする輩がいたら、俺が許さないが」
「あ、ありがとうございます」
ジーク様、頼もしいですけど……その表情と声色はちょっとだけ怖いですよ……。守ってくれるのはいいですけど、穏便にしてくださいね?
「さて、のんびりしてる時間は無い。私はシエルを職員室へと案内するから、ジークは先に教室に行っていてくれ」
「……俺が行く」
「頼みたいのは山々なんだが、先生から頼まれていてね」
「それなら仕方ないか」
お二人は淡々と会話をしながら馬車を降りると、外が少しザワザワし始めました。
何かあったのでしょうか……? 窓から外を確認してみましょう。
「おい見ろよ、生徒会長のクリス様と、弟のジーク様だぜ……」
「やっぱり学年のツートップが並ぶと全然違うな……」
「兄弟そろって、最強の剣の使い手と、最強の魔法の使い手だろ? ベルモンド家、恐るべしだ……」
どうやらお二人の話でざわついているようです。生徒会長というのは……なんなのでしょうか? それに、ツートップというのもわかりません。
改めて思うと、私って本当に世間知らずというか……普通とはかけ離れた生活をしていたんだと思い知らされます……。
あ、でもでも! 最後にお話してたところは分かります! きっと剣の使い手がジーク様で、魔法がクリス様ですよね! 以前ジーク様が剣を使っているのを見た事があるので!
「キャ~! クリス様、ジーク様~! こっち向いて~!」
「あはは、おはよう諸君」
「……ふん」
「キャアアアアア!! あの爽やかな笑顔も、そっけない態度も素敵~!」
「アタシ、あのお二人と同じ空気を吸えるだけで幸せだわ……!!」
……な、なんなのでしょうあの女性達は……? 物凄い熱気と言いますか……勢いが凄まじいです。正直、ちょっと怖いですね……。
「シエル、そんな所で何をしているんだい? 早く行かないと遅刻してしまう」
「……手を出せ」
「あ、ありがとうございます」
お二人に同時に手を出されてしまい、どちらの手を取ればわからなくなってしまったので、両方の手を取って馬車を降りました。
すると……周りの人達の視線が、私に一斉に向きました。その目は、かつてスラムにいた時に、この真っ白な髪のせいで虐められていた時と似ていました。
「え、なんだあの子……ベルモンド兄弟と同じ馬車から降りてきたぞ? あんな真っ白な髪の子、うちにいたか?」
「いや、見た事の無い女性だな……転入生か?」
「俺、どこかであの人見た事ある気がするんだが……」
私の勘違いじゃなければ、みなさん私の話をしているように思います。あまりいい気はしないですし、スラムにいた頃を思い出して、ちょっとつらくなっちゃいます。
あの頃は道を歩いているだけで、気持ち悪いとかバケモノとか言われ、酷い時は物を投げられた事もありましたっけ……。髪が白いというだけで、随分と虐められたものです……。
「ちっ。シエルは見世物じゃないというのに……」
「まあ仕方ないさ。さあ、ここにいても仕方がないし、行こうか」
「はい」
「ちょっと何あれ……私達のクリス様とジーク様と馴れ馴れしくしてるとか、生意気じゃない?」
さっきまで大騒ぎをしていた女性達も、私の事を見て来ました。違う点は、周りの人と比べて、完全に敵を見る目でした。
私、あの人達に何もしていないのですが……なんでそんなに睨みつけてくるんでしょうか……。
「アタシ達のベルモンド兄弟に近づくなんて、いい度胸してるわね」
「ていうか~? 何あの髪~? 真っ白で年寄りかっての! 病気とか持ってるのかも~?」
「なにそれ怖いんだけど! そもそもそれだと、クリス様とジーク様が感染しちゃうじゃん! もしかして、病気を移すとか脅されて優しくさせるように仕向けてるのかも!」
彼女達のあまりにも品が無く、非人道的な言葉は……私の心に深く突き刺さってきました。
私はそんな病気なんて持ってません。この髪は生まれつきなのに……どうしてそんなに酷い事を言うんですか? 私、あなた達に恨まれるような事をしましたか……?
って、駄目ですよね。私は元とはいえ聖女。ああいった心の無い言葉も受け止めないと。
そう思っていた矢先、私の隣にいたジーク様が、物凄い形相で女子生徒達の所に向かっていきました――が、クリス様に肩を掴まれて止められました。
「離せ……!」
「落ち着け。気持ちは分かるが、何にでも噛みつきに行くな」
「だが……!!」
「変に事を大きくすれば、シエルに被害が行く可能性もある」
「……それもそう、か……すまない兄上……ついカッとなった。シエルの事になると、つい……」
「なに、気にするな。私も腹が立ったのは事実だからね。だから……」
近くにいた私にしか聞こえないくらいの、小声で話していたお二人でしたが、終わった矢先にクリス様が私の肩に、そっと手を乗せてきました。
それは、遠回しに私に病気なんて無いからこんなに触っても平気だという事と、あなた達よりも私の方が大切と言っているようでした。
……ちなみに最後のは、私の勝手な妄想です。別に大切に思ってなかったら、ただの勘違い女になってしまいますね……。
「お、おい兄上……!」
「お前がやらないから私が代わりにやったのさ。代わってもいいぞ?」
「ちっ……!」
「ひゃわぁ!?」
やや強引に私達の間に割って入ったジーク様は、私の肩に手を回す――どころか、思い切り抱き寄せるように密着しながら、校舎の中へと入っていきました。
こ、これはなんていうか……守ってくれて嬉しい反面、とんでもなく目立っちゃって恥ずかしいです! それに、後ろからあの女性達の恨めしそうな目が……目が……すっごく怖いです!!
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