婚約者に騙されて巡礼をした元貧乏の聖女、婚約破棄をされて城を追放されたので、巡礼先で出会った美しい兄弟の所に行ったら幸せな生活が始まりました

ゆうき

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第四十九話 裏切り

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■ジーク視点■

「……あなた……いえ、お前はどこまでも……!!」

 迫りくる巨大な風の刃を前にして無力だった俺の前に、ココが怒りの形相を浮かべながら立つと、後ろの兄上まで包み込むほどの巨大な障壁を作り出した。

 ここまでの試合の中で、それなりに魔力を消費していただろうに……これほど巨大で強い防御魔法は見た事がない。

「おい、どうして俺まで……!」
「立場とかそんなのより……私自身がそうするべきだと思ったからです!!」

 まさに魂の叫びと言わんばかりに声を張るココ。だが、それとは対照的に、障壁にはどんどんと大きなヒビが入っていた。

 このままでは、持ってあと数秒だろう。この障壁が無くなれば、こんどこそ俺達は仲良く切り刻まれる。

 しかし、ココの行動によって生まれた数秒が、俺達にとって救いの一手となる。

「ふう、なんとか来れた。無事で本当によかった」
「兄上、俺の剣に強化魔法を付与してくれ! あの障壁はもう持たないが、おかげで勢いは弱まった。あれなら……兄上の力が合わされば、斬れる!」
「わかった。彼女の事は私に任せておくれ」
「ご、ごめんなさい……もう持たないです……!」
「いや、こちらこそ……そこまで無理をさせてすまない。そして、ありがとう」
「……えへへ……シエルさんを助けてくれた、ささやかなお礼です。なん、て……」

 その言葉を最後に、ココは力なく倒れてしまった。幸いにも、兄上が隣にいてくれたから支えられたが、障壁は使い手に呼応するように、粉々に粉砕されてしまった。

「ありがとう、ココ。その気持ち……確かに受け取った」

 迫りくる巨大な風の刃に向かって、俺は思い切り剣を振る。

 先程俺の体に受けた傷が痛み、今にも吹き飛ばされそうだが……俺は倒れるわけにはいかない。

 なぜなら、才能の無い俺を信じてくれる兄上、体を張って守ってくれたココの為に。そして……今もきっと震えながらも見守ってくれているシエルの為に。俺は……こんな男に負けるわけにはいかない!

「くぅ……斬ってみせる……!!」

 ここまでの試合でボロボロになっていた剣から、割れるような音が聞こえてきた。もう間もなく、俺の剣は粉々に粉砕されるだろう……頼む相棒、もう少しだけ持ってくれ!

「っ……はぁ!!」

 限界まで体に力を込めて、真一文字に剣を振り抜く。すると、金属が割れるような音と共に、巨大な風の刃と俺の剣が砕け散った。

 ……なんとか防げたか。これもみんなの力があったからこそだ。俺のような無愛想な人間が、こんなに恵まれてるなんて、考えられないな。

「……おいおい……ココ……こいつは何の冗談だ? シエルと一緒に旅をして、馬鹿が移ったかぁ?」
「それ以上……私の友達を馬鹿にしないでください……!」

 兄上に支えられながらも、力強い声で言い返すココ。それは、ずっとアンドレに従っていた時の姿からは、信じられないものだった。

「過酷な巡礼を乗り越えたシエルさんは……とても立派な人です! あなたのように、裕福な環境と才能を盾にして、女性と遊び、気に入らないものに制裁を下すような人に……シエルさんを侮辱する権利などありません!!」
「……ククッ……あはははは! 随分とおもしれえ事を言うじゃねえか! 故郷の家族の事……忘れたとは言わせねえぞ?」
「…………」

 故郷の家族……もしかして、今まで従っていた理由は……。

「なるほど、やはりそういう事でしたか。貴方は彼女の家族を人質にし、我々を揺さぶる為のコマとして利用したのですね」
「人質とは人聞きの悪い! オレ様はちょーっとこいつの家族の事を話しただけだ。そうしたら、こいつが自発的に協力したいと申し出ただけだ!」
「物は言いようだな……外道め」

 こいつの事だから、遠回しに逆らったら家族が犠牲になるとでも言ったのだろう。そうでなければ、ココが従うなんて考えにくい。

「残念ですが、それは無駄ですよ。先程ベルモンド家に、ココ殿の家族の事を話し、保護しに行ってもらいましたから」
「なに……? 兄上、いつの間に……もしかして、先程言っていたのは……この事か?」
「ああ。彼女の様子が明らかにおかしいと思ったからね。共に旅した人間を裏切ってまでして言う事を聞く理由が、他に思い当たらなかったからね」

 何か理由があるとは思っていたが、まさかそれが家族の事で、しかも原因をそれ一択に絞ったというのに正解だったのか……さすが兄上だ。

「……どいつもこいつもオレ様にたてつきやがって! もうてめえなど用済みだ!!」
「きゃあ!?」
「くぅ!?」

 苛立ちを前面に表すように頭をかきむしってから、アンドレは魔法陣を展開すると、兄上とココに目掛けて突風を巻き起こした。

 あまりにも突然で躊躇無い攻撃だったせいで、俺達は誰も反応が出来ず……二人は壁に勢いよく衝突してしまった。

「こいつ……味方まで……!! 兄上、ココ! 無事か!?」
「僕は大丈夫だが……彼女は気を失ってしまったみたいだ。それにしても……ついに本性を大衆の前で晒しましたね」
「そんな事は些細な事だ! オレ様の権限を使って、ここにいる連中を抹殺すればいいだけの事!」

 抹殺、だと……? こいつは何を言っているんだ? 王族として民を守らなければいけない立場だというのに、こいつは自分で民を殺すような事が出来るのか?

 いや、仮に口だけだったとしても、王族がそのような事を言っていいものではない。

「それに言っていなかったが……そんな女などいなくても、オレ様一人の力で、てめえらなんて殺せんだぜ?」

 そう言うと、アンドレの剣と体が淡い光に包まれた。恐らく強化魔法を使ったのだろう……そう思った瞬間、アンドレの姿が一瞬で消えた。

「ジーク、後ろだ!!」
「っ……!」

 兄上のおかげで、間一髪しゃがむ事で、アンドレの攻撃をかわす事が出来た。

 こいつ、躊躇なく首を狙ってきている。確実に殺しにきている……いいだろう。そっちがそのつもりなら、俺も容赦はしない。

 だが、俺の剣は先程の攻防で粉々になってしまった。これでは攻撃する術が……。

「ギャハハハハハ!! 避けてばかりじゃジリ貧だぜぇ!?」
「私がいる事を忘れてもらっては困るな」
「あぁ? 雑魚なんかハナから眼中にねえんだよ!!」

 俺のサポートをする為に、地面から鋭利な氷塊を突きだして攻撃してくれたが、アンドレの風によってすべて粉砕されてしまった。

 魔法に威力が無い……さっきから魔法を使い続けているせいで、兄上の魔力が無くなり始めているな。これ以上無理はさせられない。

 考えろ。何か攻撃する手段が……そうだ! この辺りにあれが落ちているはず……!

「……あった!」

 俺は地面に転がっていた短めの剣を拾うと、そのまま剣を振ってアンドレの攻撃を受け止めた。

 こいつはさっきまでココが使っていた剣だ。いつもより短くて軽いせいで違和感があるが……相手が速いから、逆にこの方が対処しやすい。

「そんなオモチャみたいな剣で、オレ様に勝てるとでも思っているのかぁ!?」
「物は使いようだ。貴様のような頭の悪い男にはわからないだろうがな」
「なんだと……!?」
「後先考えず、目の前の嫌いな人間を排除する事しか考えていない貴様は、馬鹿だと言っているんだ。それすらもわからないか?」
「このっ……おもしれえ! ならオレ様がてめえの得意な事で勝ったら、さぞ悔しいよなぁ……?」
「そうだな。それが出来るものならな!」

 新しい獲物が軽くなってくれたおかげで、いつもより素早く剣を振って仕留めようとするが、アンドレが咄嗟に作り出した風の剣によって阻まれてしまった。

 風魔法を剣に……面白い発想だ。この小さい剣で張り合えるかはわからないが……やってみる価値はある。何とかなるはずだ。

「何とかなる、とか思ってんのか? 甘い……甘すぎんだよ!」

 真紅の光がアンドレの手に集まっていき……気づけば、アンドレの手には、風の剣とは別に、熱く燃え滾る炎の剣があった。

「天才が使える魔法が、風魔法だけなわけねえだろうが! ここまでハンデをつけてやってたんだよ!」
「ハンデ……どこまでおちょくれば気が済む……!」
「寛大なオレ様が褒められる事はあっても、貶される事は無いはずだが? まあいい、これでさっさと死にな!」

 二刀流になったアンドレは、真っ直ぐ俺へと接近すると、二本の剣を振り回し始めた。

 魔法というのは、基本的に二つの属性を同時に使える人は、かなり少ない。兄上ですら、雷魔法を使えるが威力は弱い。だから、炎と風を使えるアンドレは、本当に凄い。

 だが……弱者が大物を斬っても、何の問題も無いだろう?

「死ねやぁぁぁぁ!」
「甘い!」

 俺は斬りかかってきたアンドレの攻撃を、剣で一度受け止めてから、最小限の動きで払い落した。持ち主から離れた炎は、その場で消えていった。

「剣を叩き落としたからなんだ? オレ様にはまだまだ魔力はあるんだよ!」

 次に出してきたのは、岩でごつごつした剣だった。こいつ、三つも属性を扱えるのか? 歴代最強の名は伊達じゃないな。

 だが……また叩き落とすだけだ。

「ぐぬぬぬ……! オレ様をコケにしやがって……!」

 堪忍袋の緒が切れたアンドレは、様々な属性の魔法で作られた剣を次々と生成し、俺に斬りかかってくるが、その刃が俺に届く事は無かった。

 確かに色んな属性があると聞くと厄介だが、所詮はただの剣としか扱えていない相手だ。こっちの道はあまり得意じゃなかったようだ。

 ……まあ、俺から剣の戦いに仕向けたんだがな。アンドレは馬鹿だから、こういう挑発をされたり、自分の思い通りに行かなくなると、すぐムキになる。あれが……その末路だ。

「ぜー……ひゅー……く、くそがぁ……!」

 俺に一発入れようと体を動かし続け、落とされた剣を再補充もすれば、短時間でバテるのは時間の問題だった。

 よし、完全に作戦にハマったな。こうでもしないと、また遠距離から特大魔法を使われてしまう。そうなったら、さすがに対処の仕様が無いからな。

「さて、言い残す事はあるか?」
「ま、待て……オレ様は王族だぞ? オレ様に恥をかかせたら、ベルモンド家がどんな目に合うか……」
「…………」

 この期に及んで、まだそんな戯言を言うのか。こいつの言っている事も理解はできるが、こうなった以上、どのみち難癖をつけてくる未来が見える。

 それなら……またこうなってしまうのは嫌だと思わせるくらいにはしておいた方が、得策と思える。

「お、おい!? オレ様の話を聞いて――」
「黙れ。貴様は散々俺の大切な人を傷つけてきた。その罪は償ってもらう」

 手に持っていた剣を振り上げ、アンドレの首筋に向けて振ろうとした瞬間、丁度観客席にいたシエルと目が合った。小さく縮こまってはいたが、何かを訴えるように首を振っている。

 ここまで声は届かないが……まあいい。もうすぐ、お前を傷つけていた元凶と決着をつける。だから……そこで見守ってていてくれ。

「や、やめろ……ふざけるな……オレ様は王族だ……選ばれた天才だというのに……こんな才能の無いゴミクズに負けるだなんて……!」
「終わりだ」
「ダメぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 大歓声の中、確かに聞こえてきた制止する声に反応するように、俺はアンドレの首筋ギリギリのところで剣を止めた。すると、アンドレは泡を吹いてその場で倒れてしまった。

「最後の最後で良い顔になったじゃないか。止めてくれたシエルに感謝するんだな」

 まあ……さすがにこいつじゃあるまいし、本気で首を落とすつもりは無かったが……シエルの制止が無かったら、もしかしたらやっていたかもしれない。

 なんにせよ、長いようで短かったエキシビションマッチは……俺達の勝利で幕切れとなった。
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