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第五十一話 勘当された王子
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アンドレ様が勘当された――その出来事は、私の心に大きな衝撃を与えました。どうやらそれはココ様も同じのようで、両手を口に当てて驚いていました。
「ど、どうしてですか? アンドレ様は歴代でも最高レベルの魔法の使い手なのに……」
「主な理由は二つあるそうだ。一つ、その最高と言われていた王子が敗北した事だ。これによって、王族の最高とはこの程度かと思われてしまった事に激怒したそうだ。二つ、大衆の前で王子が調子に乗り過ぎた。さすがにあそこまでいったら、普段から甘やかしていた国王も看過できなかったという事だ」
グザヴィエ様のご説明はもっともでしょう。でも、まさか今日の出来事だというのに、こんな早い処罰を下すだなんて……驚きを隠せません。
「まあ、彼の普段の態度からして、遅かれ早かれこうなるのはわかっていたけどね。むしろ、国王になってから問題にならなくてよかったよ」
「あの……アンドレ様がいなくなったら、次の国王はどうするのでしょう?」
「うむ、そこは現国王が何か対処を考えるだろう」
そうかもしれませんけど……正直心配です。あまりも急な話だったので、ちゃんと対応できるのでしょうか……?
「なんにせよ、これでココ殿達が王子に何かされる心配はない。だが、恐らくまだ王子は城にいるはず。もう少し屋敷に身を置いた方がいいだろう」
「ありがとうございます、グザヴィエ様。ベルモンド家には大変お世話になって……今度お礼をさせてください!」
「別にお礼なんて良いのよ。私達の願いは、領地の人達がみんな笑顔で幸せに暮らしてほしいだけなの」
にっこりと笑いながら、諭すように話すセシリー様の姿は、あまりにも母性を感じるというか……実は本当のお母さんはセシリー様だったのでは? と思わされてしまうくらいの母性でした。
あ、もちろん私のお母さんは、お花畑にあるお墓に眠っている人ですよ? 前回行ってからまた間が空いちゃったから、近いうちに……そうだ、その時はココ様も誘ってみましょう!
「さて、話はこれで終わりだが……他に何か話がある者は?」
「……少しいいか」
「なんだ?」
「アンドレは国家という縛りが無くなった。それによって、今まで以上に軽快に動けるようになる……」
えっと、何が仰りたいのでしょう……私のような頭では、イマイチ理解できません。
「なるほど、自分の気持ちを優先して行動しようというわけだね、ジーク」
「その通りだ、兄上。奴はかなり無理やりな内容で、シエルに仕返しをするほど、器の小さい男だ。そんな男が、自分の最大の汚点となった相手が生きている状態で、放っておくか?」
「確かにジークの言う通りだ。よし、屋敷の警備を厳重にしておこう。私とセシリーは、明日の朝には仕事でしばらく留守にする。その間は任せたぞ」
グザヴィエ様の言葉に応えるように、全員が一斉に頷いてみせた。
一難去ってまた一難……中々平穏な時間は訪れません。でも、止まない雨はありません。終わらない洞窟はありません。きっといつか、お日様の下で暖かい平穏な日々が過ごせると信じています。
「シエル、少しいいか」
「ジーク様? いいですけど……どうかしましたか?」
「俺の部屋に来い」
「えぇ!? わ、わかりました……」
それだけ言って、ジーク様は部屋へと帰っていきました。残された私とココ様は……呆然と顔を見合わせる事しか出来ませんでした。
「…………」
「こ、これはチャンスだよシエルさん!」
「ちゃ、チャンス?」
「お近づきのチャンス! ガンガン攻めるんですよ!」
「攻めるってなんですか!? よくわからないんですけど!」
「こうするんですよ! ごにょごにょ……」
ココ様のアイディアを聞いた私は、内容の過激さのせいで、全身ペンキでもかぶったのかと疑うくらい、真っ赤になってしまいました。
「まあそこまで過激な事はしなくてもいいけど……あくまで参考ですよ!」
「は、はい……」
ココ様に背中を押されてジーク様の部屋に入ると、そこにはバルコニーで物思いにふけるジーク様の姿がありました。
なにこれ……月明かりに照らされるジーク様……素敵すぎて死んじゃいそう……じゃなくて! もう、たまに他のものが見えなくなる癖を何とかしないと。
「来たか」
「はい、何か御用でしょうか?」
「用が無かったら呼んではいけないのか?」
「え?」
「用事は無い。ただ二人きりで話したかった……それでは駄目か?」
「だ、駄目じゃないです! 光栄と言うか……一緒にいれて、凄く嬉しいです!」
おもわず心の声が漏れちゃいましたが、きっと大丈夫でしょう。嬉しいからって、不意に好きとか言わないようにしなきゃ……あ、そうだ! あれをやってみろって言われたんですよね……。
効果は全く期待してませんし、そもそもどういう意味があるのかもわかりませんが……。
「ね~ぇ……ジークさまぁ……いいことぉ……し・ま・せ・ん・か?」
「…………」
「…………えっと」
「…………」
「…………う、うぅ……」
なにも……返事が返ってきません……私、これはやらかしてしまったのでしょうか? ジーク様に嫌われた……? もしそうなら、少しだけ恨みますよココ様……。
「わかった。兄上かココだな」
「え……?」
「今の台詞の発案者。普段のお前なら、そんな事を言わないってわかっている」
「せ、正解です。ココ様に……」
「なるほどな。俺はそんな作られたものよりも、自然なシエルといたい」
それって、普通の……素の私を求めてるって事ですよね?
人間は、多かれ少なかれ、演じて生きています。自分を出せば、変なやつ、関わらない方がいいと言われるからです。
だから……自然体と言われると、ちょっと戸惑っちゃいます。
「こっちに来い。今日は星がよく見える」
「わぁ……本当……!」
ジーク様に促されて空を見上げると、そこには満天の星空が広がっていました。まるで宝石を散りばめたかのように、様々な色に輝く星達は、いくら見ていても飽きないくらいに綺麗で、魅力的でした。
「凄く綺麗ですね……」
「ああ」
「あ、見てください流れ星! 次こそ回復術師になって、ベルモンド家の皆様に恩返しできますように……ジーク様とクリス様とココ様の怪我がはやく治りますように……それとそれと……皆様とずっと一緒にいられますように……」
「ふっ……シエル、流れ星は同じ願い事を三回言うものだ」
「あっ! た、確かにそうでした……お願い事が多すぎてつい……」
私ってば、さすがに必死過ぎますよ……これではジーク様に呆れられてしまいます。幸いにも、笑ってくれたから良かったですけど……。
「はっ……くしゅん!」
「寒いか?」
「ちょっとだけ……その……くっついてもいいですか……?」
思わず口から出た言葉は、私にしてはかなり大胆な発言でした。こんな事を言ったら、ジーク様を困らせてしまうだけなのに……わ、私の馬鹿……!
「構わない」
「え、いいんですか!?」
「だが、それに便乗して回復魔法は使うなよ」
「使いませんよ。回復術師には、まだなれてないんですから。えっと、それじゃ失礼して……」
私はおずおずとジーク様の腕にくっつきました。それだけで温まるわけもないなんて思ってましたが、ドキドキするせいで、体がポカポカしてきました。
ジーク様に触れるのなんて、これが一回目や二回目じゃないのに、いつもドキドキしちゃいます。でも、それも仕方がないですよね。だって好きなんだから!
「もっとこっちに来い」
「きゃっ」
「この方が暖かいだろうし……何かあった時に守れる」
「あ、ありがとうございます……」
ジーク様に肩を抱かれて引っ張られた私は、さっき以上にジーク様に密着しました。むしろこれ、抱きついてるって言った方がいいと思います。
それにしても……そこら中に傷だらけで……私が巻き込まなければ……私が悪いのに……色んなものを背負って戦って……。
「ああ、もう……好きぃ……」
「……は?」
…………………………………………あっ。
「ど、どうしてですか? アンドレ様は歴代でも最高レベルの魔法の使い手なのに……」
「主な理由は二つあるそうだ。一つ、その最高と言われていた王子が敗北した事だ。これによって、王族の最高とはこの程度かと思われてしまった事に激怒したそうだ。二つ、大衆の前で王子が調子に乗り過ぎた。さすがにあそこまでいったら、普段から甘やかしていた国王も看過できなかったという事だ」
グザヴィエ様のご説明はもっともでしょう。でも、まさか今日の出来事だというのに、こんな早い処罰を下すだなんて……驚きを隠せません。
「まあ、彼の普段の態度からして、遅かれ早かれこうなるのはわかっていたけどね。むしろ、国王になってから問題にならなくてよかったよ」
「あの……アンドレ様がいなくなったら、次の国王はどうするのでしょう?」
「うむ、そこは現国王が何か対処を考えるだろう」
そうかもしれませんけど……正直心配です。あまりも急な話だったので、ちゃんと対応できるのでしょうか……?
「なんにせよ、これでココ殿達が王子に何かされる心配はない。だが、恐らくまだ王子は城にいるはず。もう少し屋敷に身を置いた方がいいだろう」
「ありがとうございます、グザヴィエ様。ベルモンド家には大変お世話になって……今度お礼をさせてください!」
「別にお礼なんて良いのよ。私達の願いは、領地の人達がみんな笑顔で幸せに暮らしてほしいだけなの」
にっこりと笑いながら、諭すように話すセシリー様の姿は、あまりにも母性を感じるというか……実は本当のお母さんはセシリー様だったのでは? と思わされてしまうくらいの母性でした。
あ、もちろん私のお母さんは、お花畑にあるお墓に眠っている人ですよ? 前回行ってからまた間が空いちゃったから、近いうちに……そうだ、その時はココ様も誘ってみましょう!
「さて、話はこれで終わりだが……他に何か話がある者は?」
「……少しいいか」
「なんだ?」
「アンドレは国家という縛りが無くなった。それによって、今まで以上に軽快に動けるようになる……」
えっと、何が仰りたいのでしょう……私のような頭では、イマイチ理解できません。
「なるほど、自分の気持ちを優先して行動しようというわけだね、ジーク」
「その通りだ、兄上。奴はかなり無理やりな内容で、シエルに仕返しをするほど、器の小さい男だ。そんな男が、自分の最大の汚点となった相手が生きている状態で、放っておくか?」
「確かにジークの言う通りだ。よし、屋敷の警備を厳重にしておこう。私とセシリーは、明日の朝には仕事でしばらく留守にする。その間は任せたぞ」
グザヴィエ様の言葉に応えるように、全員が一斉に頷いてみせた。
一難去ってまた一難……中々平穏な時間は訪れません。でも、止まない雨はありません。終わらない洞窟はありません。きっといつか、お日様の下で暖かい平穏な日々が過ごせると信じています。
「シエル、少しいいか」
「ジーク様? いいですけど……どうかしましたか?」
「俺の部屋に来い」
「えぇ!? わ、わかりました……」
それだけ言って、ジーク様は部屋へと帰っていきました。残された私とココ様は……呆然と顔を見合わせる事しか出来ませんでした。
「…………」
「こ、これはチャンスだよシエルさん!」
「ちゃ、チャンス?」
「お近づきのチャンス! ガンガン攻めるんですよ!」
「攻めるってなんですか!? よくわからないんですけど!」
「こうするんですよ! ごにょごにょ……」
ココ様のアイディアを聞いた私は、内容の過激さのせいで、全身ペンキでもかぶったのかと疑うくらい、真っ赤になってしまいました。
「まあそこまで過激な事はしなくてもいいけど……あくまで参考ですよ!」
「は、はい……」
ココ様に背中を押されてジーク様の部屋に入ると、そこにはバルコニーで物思いにふけるジーク様の姿がありました。
なにこれ……月明かりに照らされるジーク様……素敵すぎて死んじゃいそう……じゃなくて! もう、たまに他のものが見えなくなる癖を何とかしないと。
「来たか」
「はい、何か御用でしょうか?」
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「え?」
「用事は無い。ただ二人きりで話したかった……それでは駄目か?」
「だ、駄目じゃないです! 光栄と言うか……一緒にいれて、凄く嬉しいです!」
おもわず心の声が漏れちゃいましたが、きっと大丈夫でしょう。嬉しいからって、不意に好きとか言わないようにしなきゃ……あ、そうだ! あれをやってみろって言われたんですよね……。
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「…………えっと」
「…………」
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「え……?」
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「せ、正解です。ココ様に……」
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人間は、多かれ少なかれ、演じて生きています。自分を出せば、変なやつ、関わらない方がいいと言われるからです。
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ジーク様に促されて空を見上げると、そこには満天の星空が広がっていました。まるで宝石を散りばめたかのように、様々な色に輝く星達は、いくら見ていても飽きないくらいに綺麗で、魅力的でした。
「凄く綺麗ですね……」
「ああ」
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「あっ! た、確かにそうでした……お願い事が多すぎてつい……」
私ってば、さすがに必死過ぎますよ……これではジーク様に呆れられてしまいます。幸いにも、笑ってくれたから良かったですけど……。
「はっ……くしゅん!」
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思わず口から出た言葉は、私にしてはかなり大胆な発言でした。こんな事を言ったら、ジーク様を困らせてしまうだけなのに……わ、私の馬鹿……!
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「え、いいんですか!?」
「だが、それに便乗して回復魔法は使うなよ」
「使いませんよ。回復術師には、まだなれてないんですから。えっと、それじゃ失礼して……」
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ジーク様に触れるのなんて、これが一回目や二回目じゃないのに、いつもドキドキしちゃいます。でも、それも仕方がないですよね。だって好きなんだから!
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「あ、ありがとうございます……」
ジーク様に肩を抱かれて引っ張られた私は、さっき以上にジーク様に密着しました。むしろこれ、抱きついてるって言った方がいいと思います。
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