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第三十三話 初めての成功
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ルーク様とのデートを終え、ぐっすりと眠って疲れを取った私は、翌朝もいつものように湖の近くで魔法の練習をしていた。
「ただいま、シャーロット」
「おかえりなさい。公務、お疲れ様でした」
「ありがとう。一緒に少し休憩しないかい?」
「ルーク様。はい、よろこんで」
小屋の中から出てきたルーク様に、少しドキッとしながら頷く。
ルーク様との休憩なんて、もう何度も経験しているのに、自分の気持ちを自覚した今、自分でも驚くほど嬉しくて、胸が高鳴る。
「あの、よかったら休憩の前に、また魔法を見てくれませんか?」
「もちろんいいよ」
「ありがとうございます。すぅ……はっ!」
気合を入れて魔法を使ってみるが、いつものように発動しない。
しかし、引っ張り上げた地脈の力の感覚が、いつもとは少し違っていた。
「なに、この感じ……もしかして!」
私は今までにないくらいの興奮を必死に抑え、魔法に集中する。すると、数秒ほど湖の水面がサワサワと動き、小さな波がたった。
ただ風が吹いただけと難癖をつけられるかもしれないが、そんなことはない。私の魔法が発動し、水面が動いた。
「で、出来た……魔法、発動した!」
ルーク様の魔法と比べれば、私の魔法は子供騙しもいいところだ。下手したら、子供が使える魔法の足元にも及ばないかもしれない。
それでも、魔法が使えたという事実は、私にとって大事件だ。
「ご覧になられましたわよね、ルーク様! 今、確かに魔法が出来ましたわよね!?」
「ああ、この目で……そしてこの体で、君の魔法の発動を確かに確認した! おめでとう、シャーロット!」
「ルーク様!!」
あまりにも嬉しくて、ルーク様の胸の中に飛び込んでしまった。その勢いは思った以上に強かったのか、ルーク様は私のことを受け止めきれず、その場でくるりと一回転した。
「本当に良かったね、シャーロット! 君の努力が、ついに報われ始めたんだ!」
「はい、本当に嬉しい……!」
まだ第一歩にすぎないが、私でも目標のために進めると自覚できたことが、何よりも嬉しい。
「ぐすっ……う、嬉しい……頑張ってよかったぁ……!」
どうしよう、嬉しくて涙が止まらない……泣いてたら、ルーク様に心配をかけてしまうかもしれないのに……止めようと思っても、とめどなく溢れてくる……。
「も、申し訳ございません……涙が、止まりません……」
「いいんだよ。嬉しい時は、好きなだけその感情を爆発させればいい。君には、その資格があるのだから」
「ルーク様……う、うわぁぁぁぁん!!」
好きな人に受け入れられ、優しく頭を撫でられた私は、周りのことなど一切気にせずに、声を上げて泣いた。
そんな私を、ルーク様はずっとずっと抱きしめ、そして慈しむように撫で続けてくれた――
****
「は、恥ずかしすぎて死にたいですわ……」
たくさん泣き続けて目も頬も真っ赤になった私は、小屋に置かれている椅子に座りながら、両手で顔を覆っていた。
いくら嬉しいからって、人前であんな子供みたいに泣いたうえに、ルーク様に思い切り抱きついてしまったという事実が、私にこれ以上ない羞恥心を与えていた。
『あはは、僕だって、嬉しい時は君の様に感情を爆発させるさ』
「だ、だからって……あんな……」
ルーク様は、王子としての公務のために再び出かけてしまったため、自身と同じ見た目をしている人形を通して、私を慰めてくれた。
そう仰っていただけるのはありがたいが、それでも恥ずかしさは消えることはない。なにせ、相手は私の好きな人……そんな人に、自分から抱きついて泣いてしまったのだから。
『シャーロット! すごい! でも、なんで、急に魔法?』
「急に……言われてみればその通りですわね」
ホウキの言う通り、どうして急に魔法が使えたのだろうか? 努力が実ったと言われればその通りかもしれないが、何か前触れがあったわけでもないし……。
『確証はないが、もしかしたら昨晩に精霊の声が聞こえたことが関係しているのかもしれないね』
「精霊……」
私は精霊の血が流れているのに、精霊に嫌われ、姿も見えなければ声も聞こえない。更に魔法の邪魔までされている。
そんな私が声を聞くことが出来て、その翌日に魔法が使えた……確かに偶然じゃない可能性もある。
「もしそうなら、精霊に少しだけ心を許してもらえたということ……? でも、どうして……?」
『僕ら人間にはわからない、彼らなりの感性があるのかもしれないね……っと、すまない。少しこっちに集中するから、一旦接続を切るね』
「わかりました。公務、頑張ってくださいませ」
『ああ、ありがとう。なるべく早くそっちに行けるようにするから』
その言葉を最後に、ルーク様の人形は動かなくなり、空虚をジッと見つめるだけになった。
「ルーク様も公務を頑張っていらしているのだから、私も頑張りませんと。さあ、練習を再開しましょう!」
私は、胸の前でむんっと握り拳を作って気合を入れると、杖を持って小屋の外に出た。
その際に、何か小さな光が飛んでいったのが見えた気がしたのだけど……気のせいかしら?
「ただいま、シャーロット」
「おかえりなさい。公務、お疲れ様でした」
「ありがとう。一緒に少し休憩しないかい?」
「ルーク様。はい、よろこんで」
小屋の中から出てきたルーク様に、少しドキッとしながら頷く。
ルーク様との休憩なんて、もう何度も経験しているのに、自分の気持ちを自覚した今、自分でも驚くほど嬉しくて、胸が高鳴る。
「あの、よかったら休憩の前に、また魔法を見てくれませんか?」
「もちろんいいよ」
「ありがとうございます。すぅ……はっ!」
気合を入れて魔法を使ってみるが、いつものように発動しない。
しかし、引っ張り上げた地脈の力の感覚が、いつもとは少し違っていた。
「なに、この感じ……もしかして!」
私は今までにないくらいの興奮を必死に抑え、魔法に集中する。すると、数秒ほど湖の水面がサワサワと動き、小さな波がたった。
ただ風が吹いただけと難癖をつけられるかもしれないが、そんなことはない。私の魔法が発動し、水面が動いた。
「で、出来た……魔法、発動した!」
ルーク様の魔法と比べれば、私の魔法は子供騙しもいいところだ。下手したら、子供が使える魔法の足元にも及ばないかもしれない。
それでも、魔法が使えたという事実は、私にとって大事件だ。
「ご覧になられましたわよね、ルーク様! 今、確かに魔法が出来ましたわよね!?」
「ああ、この目で……そしてこの体で、君の魔法の発動を確かに確認した! おめでとう、シャーロット!」
「ルーク様!!」
あまりにも嬉しくて、ルーク様の胸の中に飛び込んでしまった。その勢いは思った以上に強かったのか、ルーク様は私のことを受け止めきれず、その場でくるりと一回転した。
「本当に良かったね、シャーロット! 君の努力が、ついに報われ始めたんだ!」
「はい、本当に嬉しい……!」
まだ第一歩にすぎないが、私でも目標のために進めると自覚できたことが、何よりも嬉しい。
「ぐすっ……う、嬉しい……頑張ってよかったぁ……!」
どうしよう、嬉しくて涙が止まらない……泣いてたら、ルーク様に心配をかけてしまうかもしれないのに……止めようと思っても、とめどなく溢れてくる……。
「も、申し訳ございません……涙が、止まりません……」
「いいんだよ。嬉しい時は、好きなだけその感情を爆発させればいい。君には、その資格があるのだから」
「ルーク様……う、うわぁぁぁぁん!!」
好きな人に受け入れられ、優しく頭を撫でられた私は、周りのことなど一切気にせずに、声を上げて泣いた。
そんな私を、ルーク様はずっとずっと抱きしめ、そして慈しむように撫で続けてくれた――
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「は、恥ずかしすぎて死にたいですわ……」
たくさん泣き続けて目も頬も真っ赤になった私は、小屋に置かれている椅子に座りながら、両手で顔を覆っていた。
いくら嬉しいからって、人前であんな子供みたいに泣いたうえに、ルーク様に思い切り抱きついてしまったという事実が、私にこれ以上ない羞恥心を与えていた。
『あはは、僕だって、嬉しい時は君の様に感情を爆発させるさ』
「だ、だからって……あんな……」
ルーク様は、王子としての公務のために再び出かけてしまったため、自身と同じ見た目をしている人形を通して、私を慰めてくれた。
そう仰っていただけるのはありがたいが、それでも恥ずかしさは消えることはない。なにせ、相手は私の好きな人……そんな人に、自分から抱きついて泣いてしまったのだから。
『シャーロット! すごい! でも、なんで、急に魔法?』
「急に……言われてみればその通りですわね」
ホウキの言う通り、どうして急に魔法が使えたのだろうか? 努力が実ったと言われればその通りかもしれないが、何か前触れがあったわけでもないし……。
『確証はないが、もしかしたら昨晩に精霊の声が聞こえたことが関係しているのかもしれないね』
「精霊……」
私は精霊の血が流れているのに、精霊に嫌われ、姿も見えなければ声も聞こえない。更に魔法の邪魔までされている。
そんな私が声を聞くことが出来て、その翌日に魔法が使えた……確かに偶然じゃない可能性もある。
「もしそうなら、精霊に少しだけ心を許してもらえたということ……? でも、どうして……?」
『僕ら人間にはわからない、彼らなりの感性があるのかもしれないね……っと、すまない。少しこっちに集中するから、一旦接続を切るね』
「わかりました。公務、頑張ってくださいませ」
『ああ、ありがとう。なるべく早くそっちに行けるようにするから』
その言葉を最後に、ルーク様の人形は動かなくなり、空虚をジッと見つめるだけになった。
「ルーク様も公務を頑張っていらしているのだから、私も頑張りませんと。さあ、練習を再開しましょう!」
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