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第八十話 王位継承者の終焉
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「あ、兄上……!? どうして生きている!?」
「静かに。父上が起きてしまう」
ハリー様は、まるでルーク様が生きていられるのが、とても困るかのように、声を荒げる。
これだけでも、自分が犯人だと自供しているようなものだが、ここで問い詰めても、効果的ではなさそうだ。
「お、おかしいじゃないか! 兄上達は、確かにあの魔法で死んだはず! わざわざ確認もさせて、裂け目も全て消えているのを確認したのに!」
やっぱり、私達の生死を確認しに来ていたのね。あのまま小屋に残っていたら、面倒なことになっていただろう。
「これから、父上に今まであったことを、全て話す。君はもう終わりだ」
「……くくっ……はははははっ!!」
追い詰められている立場の割に、高笑いをする余裕があるハリー様は、急に静かになったと思ったら、不敵な笑みを浮かべた。
「貴様らがどう思おうが、俺様の知ったことではないが、次期国王の俺様にたてついたということは、そういうことだよなぁ? 全員この場で、俺様の手で処刑……を……」
散々調子に乗るハリー様だったが、突然起き上がった国王様を見て、顔を青ざめさせた。
そうよね、今での会話って、国王様が意識が無いのを前提にしていたのだから、起きていられると……。
「この馬鹿息子が! 禁術に手を出して他人に迷惑をかけ、余まで手にかけるとは何事だ!」
「父上!? あ、あははっ……何のことか、さっぱりですよ」
「とぼけるな! 話は全て聞いているのだ! ルークの研究所があった森を、禁術で滅茶苦茶にしたことも、余に毒を盛っていたことも、何もかも全て!」
「そんなことしてませんよ。証拠はあるんですか?」
あくまでしらを切るつもりなのね。それなら、こっちだって考えがある。
「この血液に、国王様を苦しめていた毒が含まれています。そして、この毒が城にある花を使ったものだということもわかっています! それに、あなたが多くの人を脅した証拠の署名もありますわ!」
「なっ……その花をどうして……それに、あいつら俺様を裏切ったのか!? くそっ!」
「あっ、逃げた! セラピア、みんなにお願いして、足止めをして! 大きな怪我をしない程度なら、結構酷いイタズラでいいから!」
『りょうか~い! けちょんけちょんにして捕まえちゃうもんね!』
****
■ハリー視点■
まったく、父上の部屋に変な魔力があるから様子を見に行ったら、とんだ藪蛇だった。まさか兄上がいて、俺様のしていたことが全部バラされていたのは、さすがに不味すぎる。
いくら放任主義とはいえ、許容できるラインはあるだろう。俺様は、それをゆうに超えている。捕まれば、極刑は免れない。
屈辱的だが、仕方がない……とりあえず身を隠して、改めて父上と兄上を殺す。そうすれば、必然的に俺様が国王になれるというわけだ!
その第一歩として、まずはここを脱出しなければ。中庭を突っ切って裏庭に行き、外に繋がっている隠し通路を使うのが手っ取り早いだろう。
「そうと決まればしゅっぱ――ぶへぇ!?」
突然飛んできた花瓶が顔面に激突し、同時にカーペットが勢いよく引かれて足を取られてしまい、派手に転んで体を打ち付けてしまった。
あ、頭に星が飛んでいる……じゃなくて! これは一体何なのだ! さっきから変なことが起こっているが、何がどうなっている!?
「くそっ、早く逃げなければ……な、なんだこの道は!? どうしておもちゃが散乱しているんだ!?」
次に出てきたのは、小さな人形のおもちゃだ。こんなもの踏みつぶせばいいのだが、中々に尖っていて、刺さると痛そうだ。しかも、ご丁寧に人形が固定されている。
「小癪な真似を……」
回り道をしていたら、追っ手に捕まるかもしれない。こんなおもちゃくらい、余裕で突破してやる……そう思っていたが。
「いってぇぇぇぇぇぇ!?!?」
……想像以上に激痛だ。まさか、おもちゃにこんな殺傷能力があるだなんて。
その後も、バケツが降ってきて頭にはまったり、水浸しの廊下を歩かされたり、どこからか飛んできた女性の下着が飛んできて、変な目で見られたり……なんたる侮辱!
魔法で防ごうにも、どういった妨害が入るかわからない以上、適切な対処をすることが出来ない。見えない妨害というのが、これほどまで厄介なものだとは……!
「くっそぉ……とにかく、早く中庭に……」
ここには噴水がある。先程から、噴水も不調なのは聞いているが……。
「相変わらず、風もないのに波打っている……なるほど、そういうことか?」
予想を立てた瞬間、噴水の水が勢いよく吹き上がり、俺様に目掛けて落ちてくる。しかし、俺様の魔法によって、水は俺様に当たる前に、蒸発していった。
「ふははははっ! 馬鹿め、もうそんな手には引っ掛からな――」
勝利に酔いしれている俺様の足元から、巨大な黒い岩が、鈍い音と共に生えてきた。それは一つだけではなく、俺様を囲うように陣取っている。
こんなもので、俺様を足止めするとは笑わせる。簡単に破壊してやる……そう思い、魔法で破壊を試みたが、何をしても傷一つ付けられない。
まさか、この岩は……父上の防御魔法か!? 確か、いかなる魔法も物理攻撃も通さない、最強の土属性魔法!
「もう魔法が使えるところまで回復したというのか!? くっそぉぉぉぉ!! 出せ! ここから出せ!!」
何度叩いても、岩は当然壊れない。その間に、俺様は追っ手に追いつかれてしまい、そのまま拘束された。
その際に、黒い岩と同じものを使った手錠で、両手の自由を奪われてしまった。
この手嬢を付けられた人間は、魔法を使うことを封じられてしまう。しかも、あの岩と同じ成分なせいで、物理的に壊すこともほぼ不可能だ。
「放せ! 俺様を誰だと思っている! くそっ、貴様ら全員処刑にしてやるからな!」
「まだ君に、そんな権限があると思っているのかい?」
俺様を拘束する兵士から逃げようと、必死にもがいていると、兄上が俺様に冷たい声をかけてきた。その隣には、父上と医者、そしてシャーロットの姿もある。
このままでは、俺様は助からない。今はどれだけ見苦しくてもいいから、この場を切り抜けなければ!
「誰でもいい、俺様をこの場から助けろ! 助けた人間には、望むだけの報酬を渡そう! それに、相応の権力もくれてやる!」
「愚か者め……まだそんなことをぬかして、玉座を奪うつもりか!」
「そんなものは命に比べればどうでもいい! 頼む、命だけは助けてくれ!」
「そんなことを言ったって、誰も君の味方なんているはずが……」
兄上の言葉に逆らうように、一人の人間が俺様の前に立った。それは、なんとあのシャーロットだった。
ははっ、妹が馬鹿なら、こいつも対外馬鹿な女だな! 金と権力に目がくらんで、愛する婚約者を裏切るだなんてな!
まあ、助かるのだったらなんでもいい。せめてもの褒美として、一晩中かわいがってやるくらいのことはしてやろう。
「貴様は思ったよりも賢いようだな! よし、早く父上を亡き者にしろ! そうすれば、この手錠は壊れる!」
「…………」
「な、なんだその目は? そんな目で俺様を見て良いとでも――」
「さっきから、ごちゃごちゃうるさいのよ!!」
シャーロットの怒号と共に、奴の手のひらが俺の顔面を目掛けて振り抜かれた。バチンッ!! という音共に、顔に激痛が走る。
……こいつ、俺様を殴ったのか? 王族であり、次期国王の俺様を? ただの雑魚貴族の分際で??
「き、き、き……貴様ぁ!! 今したことが、どれほど馬鹿げたことなのか、わかっているのかぁ!!」
「黙りなさい!! 私の大切な人と、大切な人との思い出の場所を滅茶苦茶にしておいて! 自分だけ助かろうとするなんて、虫が良すぎますわ!! あなたのした愚行は、その身をもって償いなさい!!」
「ぶへぇ!?」
てっきり委縮すると思いきや、更に怒り狂うシャーロットは、逆の手で俺様の頬をビンタした。
その衝撃は凄まじく、目の前が真っ白になり、そのまま意識を手放してしまった……。
「静かに。父上が起きてしまう」
ハリー様は、まるでルーク様が生きていられるのが、とても困るかのように、声を荒げる。
これだけでも、自分が犯人だと自供しているようなものだが、ここで問い詰めても、効果的ではなさそうだ。
「お、おかしいじゃないか! 兄上達は、確かにあの魔法で死んだはず! わざわざ確認もさせて、裂け目も全て消えているのを確認したのに!」
やっぱり、私達の生死を確認しに来ていたのね。あのまま小屋に残っていたら、面倒なことになっていただろう。
「これから、父上に今まであったことを、全て話す。君はもう終わりだ」
「……くくっ……はははははっ!!」
追い詰められている立場の割に、高笑いをする余裕があるハリー様は、急に静かになったと思ったら、不敵な笑みを浮かべた。
「貴様らがどう思おうが、俺様の知ったことではないが、次期国王の俺様にたてついたということは、そういうことだよなぁ? 全員この場で、俺様の手で処刑……を……」
散々調子に乗るハリー様だったが、突然起き上がった国王様を見て、顔を青ざめさせた。
そうよね、今での会話って、国王様が意識が無いのを前提にしていたのだから、起きていられると……。
「この馬鹿息子が! 禁術に手を出して他人に迷惑をかけ、余まで手にかけるとは何事だ!」
「父上!? あ、あははっ……何のことか、さっぱりですよ」
「とぼけるな! 話は全て聞いているのだ! ルークの研究所があった森を、禁術で滅茶苦茶にしたことも、余に毒を盛っていたことも、何もかも全て!」
「そんなことしてませんよ。証拠はあるんですか?」
あくまでしらを切るつもりなのね。それなら、こっちだって考えがある。
「この血液に、国王様を苦しめていた毒が含まれています。そして、この毒が城にある花を使ったものだということもわかっています! それに、あなたが多くの人を脅した証拠の署名もありますわ!」
「なっ……その花をどうして……それに、あいつら俺様を裏切ったのか!? くそっ!」
「あっ、逃げた! セラピア、みんなにお願いして、足止めをして! 大きな怪我をしない程度なら、結構酷いイタズラでいいから!」
『りょうか~い! けちょんけちょんにして捕まえちゃうもんね!』
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■ハリー視点■
まったく、父上の部屋に変な魔力があるから様子を見に行ったら、とんだ藪蛇だった。まさか兄上がいて、俺様のしていたことが全部バラされていたのは、さすがに不味すぎる。
いくら放任主義とはいえ、許容できるラインはあるだろう。俺様は、それをゆうに超えている。捕まれば、極刑は免れない。
屈辱的だが、仕方がない……とりあえず身を隠して、改めて父上と兄上を殺す。そうすれば、必然的に俺様が国王になれるというわけだ!
その第一歩として、まずはここを脱出しなければ。中庭を突っ切って裏庭に行き、外に繋がっている隠し通路を使うのが手っ取り早いだろう。
「そうと決まればしゅっぱ――ぶへぇ!?」
突然飛んできた花瓶が顔面に激突し、同時にカーペットが勢いよく引かれて足を取られてしまい、派手に転んで体を打ち付けてしまった。
あ、頭に星が飛んでいる……じゃなくて! これは一体何なのだ! さっきから変なことが起こっているが、何がどうなっている!?
「くそっ、早く逃げなければ……な、なんだこの道は!? どうしておもちゃが散乱しているんだ!?」
次に出てきたのは、小さな人形のおもちゃだ。こんなもの踏みつぶせばいいのだが、中々に尖っていて、刺さると痛そうだ。しかも、ご丁寧に人形が固定されている。
「小癪な真似を……」
回り道をしていたら、追っ手に捕まるかもしれない。こんなおもちゃくらい、余裕で突破してやる……そう思っていたが。
「いってぇぇぇぇぇぇ!?!?」
……想像以上に激痛だ。まさか、おもちゃにこんな殺傷能力があるだなんて。
その後も、バケツが降ってきて頭にはまったり、水浸しの廊下を歩かされたり、どこからか飛んできた女性の下着が飛んできて、変な目で見られたり……なんたる侮辱!
魔法で防ごうにも、どういった妨害が入るかわからない以上、適切な対処をすることが出来ない。見えない妨害というのが、これほどまで厄介なものだとは……!
「くっそぉ……とにかく、早く中庭に……」
ここには噴水がある。先程から、噴水も不調なのは聞いているが……。
「相変わらず、風もないのに波打っている……なるほど、そういうことか?」
予想を立てた瞬間、噴水の水が勢いよく吹き上がり、俺様に目掛けて落ちてくる。しかし、俺様の魔法によって、水は俺様に当たる前に、蒸発していった。
「ふははははっ! 馬鹿め、もうそんな手には引っ掛からな――」
勝利に酔いしれている俺様の足元から、巨大な黒い岩が、鈍い音と共に生えてきた。それは一つだけではなく、俺様を囲うように陣取っている。
こんなもので、俺様を足止めするとは笑わせる。簡単に破壊してやる……そう思い、魔法で破壊を試みたが、何をしても傷一つ付けられない。
まさか、この岩は……父上の防御魔法か!? 確か、いかなる魔法も物理攻撃も通さない、最強の土属性魔法!
「もう魔法が使えるところまで回復したというのか!? くっそぉぉぉぉ!! 出せ! ここから出せ!!」
何度叩いても、岩は当然壊れない。その間に、俺様は追っ手に追いつかれてしまい、そのまま拘束された。
その際に、黒い岩と同じものを使った手錠で、両手の自由を奪われてしまった。
この手嬢を付けられた人間は、魔法を使うことを封じられてしまう。しかも、あの岩と同じ成分なせいで、物理的に壊すこともほぼ不可能だ。
「放せ! 俺様を誰だと思っている! くそっ、貴様ら全員処刑にしてやるからな!」
「まだ君に、そんな権限があると思っているのかい?」
俺様を拘束する兵士から逃げようと、必死にもがいていると、兄上が俺様に冷たい声をかけてきた。その隣には、父上と医者、そしてシャーロットの姿もある。
このままでは、俺様は助からない。今はどれだけ見苦しくてもいいから、この場を切り抜けなければ!
「誰でもいい、俺様をこの場から助けろ! 助けた人間には、望むだけの報酬を渡そう! それに、相応の権力もくれてやる!」
「愚か者め……まだそんなことをぬかして、玉座を奪うつもりか!」
「そんなものは命に比べればどうでもいい! 頼む、命だけは助けてくれ!」
「そんなことを言ったって、誰も君の味方なんているはずが……」
兄上の言葉に逆らうように、一人の人間が俺様の前に立った。それは、なんとあのシャーロットだった。
ははっ、妹が馬鹿なら、こいつも対外馬鹿な女だな! 金と権力に目がくらんで、愛する婚約者を裏切るだなんてな!
まあ、助かるのだったらなんでもいい。せめてもの褒美として、一晩中かわいがってやるくらいのことはしてやろう。
「貴様は思ったよりも賢いようだな! よし、早く父上を亡き者にしろ! そうすれば、この手錠は壊れる!」
「…………」
「な、なんだその目は? そんな目で俺様を見て良いとでも――」
「さっきから、ごちゃごちゃうるさいのよ!!」
シャーロットの怒号と共に、奴の手のひらが俺の顔面を目掛けて振り抜かれた。バチンッ!! という音共に、顔に激痛が走る。
……こいつ、俺様を殴ったのか? 王族であり、次期国王の俺様を? ただの雑魚貴族の分際で??
「き、き、き……貴様ぁ!! 今したことが、どれほど馬鹿げたことなのか、わかっているのかぁ!!」
「黙りなさい!! 私の大切な人と、大切な人との思い出の場所を滅茶苦茶にしておいて! 自分だけ助かろうとするなんて、虫が良すぎますわ!! あなたのした愚行は、その身をもって償いなさい!!」
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