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第二十三話 聖女の邂逅
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青い光の玉の導きに従って進むこと約十分程で、馬車はゆっくりと停止した。
もう目的地に着いたのかしら? 馬車の窓から見える景色は、特に変わらない森の中だから、状況がイマイチ飲み込めないわ。
「ウィルフレッド様、到着いたしました」
「ああ、長時間ありがとう。エレナ殿、行きましょうか」
「はいっ」
私は、ウィルフレッド様や使用人と一緒に馬車を降りるが、周りにあるのは木だけで、どこを見ても人影すらない。
改めて外に出ると、本当に薄暗くて不気味な森ね……レプグナテ家から出る時も森を通ったけど、あの森よりも薄暗い気がする。
「なにも無いですね……」
「私もそう思ったのですが、光の導きはここで止まってしまったんです」
御者の言う通り、青い光の玉は宙に浮いたまま、全く動かなくなってしまっていた。
ということは、やっぱりここが目的地? もしかして、どこか木の陰に彼女が隠れている……なんて、そんな意味のないことをするかしら?
「エレナ殿、私から離れないように。む……? なにやら光の玉が点滅を……」
「あ、本当――きゃあ!?」
青い光の玉がピカピカとしたと思った瞬間、急に眩い光を放ちだす。その光から目を守るために、咄嗟に目を瞑った。
あ、あー……ビックリした……急に光るだなんて思ってもなかった。ちょっと目チカチカしてる……。
「みんな無事か!?」
「うぅ……ちょっと目がチカチカしますけど、何とか大丈夫です……」
「我々も特に問題はございません。ウィルフレッド様は?」
「問題ない。それよりも……」
「え……!?」
改めて周りを確認すると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
さっきまで、私達の周りにあったのは木だけだったはずなのに、いつの間にか周りが少し開け、そこに小さな小屋が建っていた。
「ど、どうして小屋が??」
「ふむ……恐らくですが、魔法で認識できなくなる結界の類が張られていたのでしょう。それが、先程の光の玉で解除した……」
「なるほど……」
『ほう、そこそこの洞察力はあるようじゃな』
ウィルフレッド様の解説に感心していると、さっき聞いた声と同じ声が、小屋の中から聞こえてきた。
あの小屋の中に、探していた聖女がいる……そう思うと、緊張して胸がバクバクいっている。
ああもうっ! 今更怖気づいてどうするのよ私! しっかりしなさい!
『そんな所でボケーっと突っ立ってないで、さっさと入らんか』
「では、お言葉に甘えさせていただきます。みんな、行こう」
言われた通りに小屋の入口まで行くと、ギギィ……と錆びた扉が開く音と共に、小さなホウキが私達を出迎えた。
って……え? ホウキが……自分だけで立って、しかも動いてるんだけど!?
「初めまして。私はウィルフレッド・エクウェスと申します。彼女はエレナ・ゲリール。そして私の使用人達です」
「いらっしゃいませ! 僕は使い魔のホウキです! ご主人様がお待ちですので、中にどうぞ!」
「ホウキが動くだけじゃなくて、喋った!?」
ホウキはハキハキと喋りながら、驚く私達を小屋の中へと招き入れてくれた。そこには、ロッキングチェアに座って編み物をしている、一人の老婆の姿があった。
肩の辺りまで伸びた白髪と、体中に刻み込まれた深いシワが、彼女の人生という歴史を感じさせる一方、目力は人一倍鋭い。見られているだけなのに、自然と背筋が伸びてしまう。
「突然の来訪、失礼致します。私は――」
「堅苦しい挨拶はいらん。律義にホウキに挨拶してるのが聞こえたからのう。えーっと、ウィルフレッドとエレナだったか。まあ小僧と小娘で良いか」
「はじめまして! えっと……」
「ラピアじゃ。ちゃんとその阿呆な頭で覚えておくんじゃぞ」
「わかりました、ラピア様!」
ラピアと名乗った老婆は、編み物を中断して立ち上がると、私とウィルフレッド様の体をジロジロと観察し始めた。
こうして立ち上がると、思ったより大きい方だわ。私よりも普通に身長が高い。さすがにウィルフレッド様よりはないみたいだけどね。
「なるほどのぉ……確かに小娘からは、儂と同じ魔力を感じる。聖女というのは本当のようじゃな」
「はい、本当です!」
「しっかし弱い魔力じゃのぉ~……こんなんじゃ、アリ一匹治すのが関の山じゃな」
やれやれと肩をすくめながら、呆れてみせるラピア様。
いくらなんでも、そこまで私の魔力は弱くない……はず。でも、ラピア様から見たらそれくらい弱い魔力なのかもしれない。
「こほんっ……ところで、どうしてラピア殿は我々を招いてくださったのでしょうか? 今までここに来た人間は、全て追い返していたと伺っておりましたが」
「ふんっ、さすがは侯爵家……無駄によく知っておる」
「エクウェス家のことをご存じなのですか?」
「当たり前じゃろ、古い家じゃしな」
「確かにその通りです。それで、質問の回答は?」
「知り合いの馬鹿正直な聖女のせいじゃよ」
「あの、それってもしかして……!」
「エレノア・ゲリールという女じゃよ」
やっぱり……ラピア様は、母さんの知り合いだったんだ。だから母さんの名前を聞いたり、母さん譲りの目を見て判断したのね。
「母さんとはどこで知り合ったのですか?」
「なんじゃ、こんな老いぼれの昔話なんて聞いてどうする」
ラピア様は葉巻を咥えてから、指をパチンっと鳴らす。すると、葉巻に火がついて煙が出始めた。
「私の知らない母さんのことや、あなたのことをもっと深く知れたらなって……」
「私も気になりますね。エレノア殿の名前は存じてますが、詳しくは知らないので」
「ふー……はっ、揃いも揃って変な奴じゃ。まあよい、小娘達も長旅で疲れているだろう。休息ついでに話してやるわい。ホウキ、茶の用意を」
「かしこまりましたー!」
ホウキは私達全員の座る椅子を用意した後に、お茶の準備をし始める。
わざわざ私のお願いを聞いてくれたり、お茶の準備をしてくれたり、休憩の時間を考えてくれたり……ラピア様って、実は優しい方なのかも?
「まだ儂が現役で聖女をしていた時……人間の愚かさに辟易としていた。儂は貴族お抱えの聖女として働いていたのじゃが、権力争いや妬み、身勝手な思惑……ありとあらゆる汚いものを見せつけられてきた」
ラピア様は淡々と己の過去の一部を話してから、大きく煙を吐き出す。その姿が、不思議と様になっている。
「ある日、身勝手な貴族達に媚びを売るのが馬鹿らしくなり、儂は屋敷を後にして世界を転々とした。その度の最中も、醜いものをたくさん見た。儂を聖女とわかるや否や、いの一番に自分を治せと懇願する者、金儲けに利用しようとする者、他にも色々。その時に思ったのじゃ。こんな愚かな生き物など、治す価値もない……とな」
……私には、全員がそんな勝手な人だったり、悪い人だとは思えない。だって、私にはウィルフレッド様やルナちゃん、それに優しい使用人達もいる。
きっと、そんなことはないとラピア様もわかってはいるだろう。でも、その考えがかき消されてしまうくらい、嫌なものを見せつけられたのね……。
なんだか……凄く悲しくて……胸が締め付けられる。
「人間に失望した儂は、どこか一人でひっそりと生きようとした。その場所を探している時に出会ったのが、エレノアじゃ」
「母さんに……?」
「うむ。たまたま通りかかった、貧困者が住む廃墟で出会ってな。当時はまだ少女だったわい」
「エレノア殿は、そこに住んでいたのですか?」
「いや、違う」
ラピア様は何かを思いだすように、フッっと鼻で笑った。煙で少し見えにくい彼女の顔が、出会ってから初めて少し柔らかくなった。
「エレノアは世界を周り、誰彼構わず困っている人を助ける、まさに正義の聖女をしておったのじゃ」
もう目的地に着いたのかしら? 馬車の窓から見える景色は、特に変わらない森の中だから、状況がイマイチ飲み込めないわ。
「ウィルフレッド様、到着いたしました」
「ああ、長時間ありがとう。エレナ殿、行きましょうか」
「はいっ」
私は、ウィルフレッド様や使用人と一緒に馬車を降りるが、周りにあるのは木だけで、どこを見ても人影すらない。
改めて外に出ると、本当に薄暗くて不気味な森ね……レプグナテ家から出る時も森を通ったけど、あの森よりも薄暗い気がする。
「なにも無いですね……」
「私もそう思ったのですが、光の導きはここで止まってしまったんです」
御者の言う通り、青い光の玉は宙に浮いたまま、全く動かなくなってしまっていた。
ということは、やっぱりここが目的地? もしかして、どこか木の陰に彼女が隠れている……なんて、そんな意味のないことをするかしら?
「エレナ殿、私から離れないように。む……? なにやら光の玉が点滅を……」
「あ、本当――きゃあ!?」
青い光の玉がピカピカとしたと思った瞬間、急に眩い光を放ちだす。その光から目を守るために、咄嗟に目を瞑った。
あ、あー……ビックリした……急に光るだなんて思ってもなかった。ちょっと目チカチカしてる……。
「みんな無事か!?」
「うぅ……ちょっと目がチカチカしますけど、何とか大丈夫です……」
「我々も特に問題はございません。ウィルフレッド様は?」
「問題ない。それよりも……」
「え……!?」
改めて周りを確認すると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
さっきまで、私達の周りにあったのは木だけだったはずなのに、いつの間にか周りが少し開け、そこに小さな小屋が建っていた。
「ど、どうして小屋が??」
「ふむ……恐らくですが、魔法で認識できなくなる結界の類が張られていたのでしょう。それが、先程の光の玉で解除した……」
「なるほど……」
『ほう、そこそこの洞察力はあるようじゃな』
ウィルフレッド様の解説に感心していると、さっき聞いた声と同じ声が、小屋の中から聞こえてきた。
あの小屋の中に、探していた聖女がいる……そう思うと、緊張して胸がバクバクいっている。
ああもうっ! 今更怖気づいてどうするのよ私! しっかりしなさい!
『そんな所でボケーっと突っ立ってないで、さっさと入らんか』
「では、お言葉に甘えさせていただきます。みんな、行こう」
言われた通りに小屋の入口まで行くと、ギギィ……と錆びた扉が開く音と共に、小さなホウキが私達を出迎えた。
って……え? ホウキが……自分だけで立って、しかも動いてるんだけど!?
「初めまして。私はウィルフレッド・エクウェスと申します。彼女はエレナ・ゲリール。そして私の使用人達です」
「いらっしゃいませ! 僕は使い魔のホウキです! ご主人様がお待ちですので、中にどうぞ!」
「ホウキが動くだけじゃなくて、喋った!?」
ホウキはハキハキと喋りながら、驚く私達を小屋の中へと招き入れてくれた。そこには、ロッキングチェアに座って編み物をしている、一人の老婆の姿があった。
肩の辺りまで伸びた白髪と、体中に刻み込まれた深いシワが、彼女の人生という歴史を感じさせる一方、目力は人一倍鋭い。見られているだけなのに、自然と背筋が伸びてしまう。
「突然の来訪、失礼致します。私は――」
「堅苦しい挨拶はいらん。律義にホウキに挨拶してるのが聞こえたからのう。えーっと、ウィルフレッドとエレナだったか。まあ小僧と小娘で良いか」
「はじめまして! えっと……」
「ラピアじゃ。ちゃんとその阿呆な頭で覚えておくんじゃぞ」
「わかりました、ラピア様!」
ラピアと名乗った老婆は、編み物を中断して立ち上がると、私とウィルフレッド様の体をジロジロと観察し始めた。
こうして立ち上がると、思ったより大きい方だわ。私よりも普通に身長が高い。さすがにウィルフレッド様よりはないみたいだけどね。
「なるほどのぉ……確かに小娘からは、儂と同じ魔力を感じる。聖女というのは本当のようじゃな」
「はい、本当です!」
「しっかし弱い魔力じゃのぉ~……こんなんじゃ、アリ一匹治すのが関の山じゃな」
やれやれと肩をすくめながら、呆れてみせるラピア様。
いくらなんでも、そこまで私の魔力は弱くない……はず。でも、ラピア様から見たらそれくらい弱い魔力なのかもしれない。
「こほんっ……ところで、どうしてラピア殿は我々を招いてくださったのでしょうか? 今までここに来た人間は、全て追い返していたと伺っておりましたが」
「ふんっ、さすがは侯爵家……無駄によく知っておる」
「エクウェス家のことをご存じなのですか?」
「当たり前じゃろ、古い家じゃしな」
「確かにその通りです。それで、質問の回答は?」
「知り合いの馬鹿正直な聖女のせいじゃよ」
「あの、それってもしかして……!」
「エレノア・ゲリールという女じゃよ」
やっぱり……ラピア様は、母さんの知り合いだったんだ。だから母さんの名前を聞いたり、母さん譲りの目を見て判断したのね。
「母さんとはどこで知り合ったのですか?」
「なんじゃ、こんな老いぼれの昔話なんて聞いてどうする」
ラピア様は葉巻を咥えてから、指をパチンっと鳴らす。すると、葉巻に火がついて煙が出始めた。
「私の知らない母さんのことや、あなたのことをもっと深く知れたらなって……」
「私も気になりますね。エレノア殿の名前は存じてますが、詳しくは知らないので」
「ふー……はっ、揃いも揃って変な奴じゃ。まあよい、小娘達も長旅で疲れているだろう。休息ついでに話してやるわい。ホウキ、茶の用意を」
「かしこまりましたー!」
ホウキは私達全員の座る椅子を用意した後に、お茶の準備をし始める。
わざわざ私のお願いを聞いてくれたり、お茶の準備をしてくれたり、休憩の時間を考えてくれたり……ラピア様って、実は優しい方なのかも?
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きっと、そんなことはないとラピア様もわかってはいるだろう。でも、その考えがかき消されてしまうくらい、嫌なものを見せつけられたのね……。
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「母さんに……?」
「うむ。たまたま通りかかった、貧困者が住む廃墟で出会ってな。当時はまだ少女だったわい」
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